介護ライターの独り言

豊明の無届け有料老人ホームで高齢者虐待か?!

今日の中日新聞の一面に驚きの記事!
愛知県豊明市の無届け有料老人ホームで、入所者の手首をベッド柵に縛り付けたり、介護放棄のネグレクトが行われていた容疑が固まり、愛知県警が捜索に入っているというのです。

中日新聞の記事は、以下のとおり。

--------------------------(以下、引用です)-----------------------

豊明の老人ホーム捜索 愛知県警、特養虚偽申請疑い

 愛知県豊明市で無届け有料老人ホームを運営する「中日看護センター」の女性経営者(70)が、特別養護老人ホーム建設をめぐって虚偽申請をしていた疑いが強まり、愛知県警は有印私文書偽造・同行使の疑いで、施設や経営者宅などを家宅捜索した。捜査関係者などへの取材で分かった。
 施設は以前から、入所する高齢者を放置する虐待(ネグレクト)などをめぐる告発などが相次いでいた。県警は本件容疑を固めるとともに、施設の運営実態を慎重に調べる。
 虐待の告発を受け、県や豊明市などが2007年から調査。名古屋法務局は09年3月、経営者の指示で従業員が入所者の手首をベッドの柵に縛り付けていたほか、部屋の外から鍵をかけて閉じ込める虐待があったと認定。必要な措置を取るよう豊明市に通告していた。
 豊明市によると、06~09年に少なくとも入所者18人が死亡している。捜査関係者によると、検視や司法解剖はされていない。
 県警への取材では、経営者は昨年夏ごろ、名古屋市緑区で来年7月に開設する特養ホームの建設を申請した際、入所者の口座残高を示す書類を自分の名義に書き換えて、市に提出した疑いが持たれている。書類は自己資金を示すために必要という。
 こうした事件は普通、知能犯罪を受け持つ捜査2課が扱うが、今回は殺人や傷害致死、虐待死などの事件を担当する捜査1課が主体となり、押収資料の分析などを進めている。捜索は13日に実施した。
 施設は豊明市前後町と間米町の2カ所にある。市によると、デイサービスなどの介護機能を備えており、老人福祉法の届け出はないが、実質的に有料老人ホームだった。捜索時に14人が入所していたが、市などが他施設への全員の転居を進めている。
 経営者の親族で、センター取締役は取材に対し「警察の調べを受けており、お話しできない。迷惑をかけたので施設は閉鎖したい」と話した。経営者は取材に応じていない。
 
【無届けの有料老人ホーム】 
国の制度改革で病院や介護施設にいられなくなった高齢者の受け皿として、全国で急増した介護や食事付きの高齢者向け入居施設。無届けのため行政の監視が行き届きにくく、ケアの質などをめぐるトラブルが目立つ。中日看護センターは株式会社で、豊明市間米町に鉄筋3階建て(2000年開設)と同市前後町に同7階建て(03年開設)の2施設を経営している。

(中日新聞 2011年7月24日 10時05分)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011072490100520.html

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もう少し詳しい記事が、別の面に掲載されていたので、そちらも以下に転載します。

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3年半で18人死亡 豊明の老人施設捜索

市「短期間で以上」 
介護放棄 預金管理も不透明

 愛知県警の家宅捜索を受けた同県豊明市の中日看護センターが運営いる無届け老人ホームでは、必要な介護を放棄する虐待や、不透明な財産管理に関する告発が相次いでいた。行政は高齢者への待遇を問題視し、施設内で死亡した入所者数の多さを指摘した。超高齢社会を迎え、施設不足で行き場を失い、たどり着いた「介護難民」たち。センターで一体、何が起きていたのか。

 「出される食事はおかゆばかり。体重が半分の40キロに減った」
 2008年、センターに入所していた男性=当時(66)=は、立ち入り調査に入った豊明市の担当者に空腹を訴えた。女性入所者は「汚れたおむつが部屋に放置されたまま」と証言した。
 4年前、認知症の母親を2ヶ月半、入所させた県内の女性は本紙の取材に対し「面倒を満足に見ないためか、最初の3週間で筋力が衰え、階段を満足に上り下りできなくなり、認知症も進んだ」と話す。3年前まで職員として勤務していた女性も「お年寄りの背中が床ずれで、血で真っ赤なのに、経営者に「水道水で洗って、おむつを当てれば良い」と指示された」と話した。
 豊明市などによると、2007年にネグレクト(放置)などを指摘する施設職員らの通報が始まり、市議会でも問題が取り上げられた。
 立ち入り調査は10回前後に上り、一部の部屋で外から鍵がかけられていた事実が発覚。名古屋法務局の虐待認定に加え、市も2009年、「夜間の施錠は災害時に重大な結果を招く」として、職員の増員などによる改善を経営者に求めた。
 施設が入所者の預金口座を管理していたことでも複数の通報があった。入手時に通帳や印鑑を施設に預けたままとなり、支出や残高への充分な説明がなく、市に不安を漏らす入所者もいたという。
 だが、市は施設が無届けであるため「実態把握は困難」と説明。虐待が「ないとは判断しがたい」との見解を示した。3年半で18人の死亡を確認した調査結果を受け、市の担当課長は「短期間に集中しすぎており、こうした施設としては以上だ」と指摘している。

無届け老人ホーム 介護難民の「受け皿」に
待遇 文句言えず

 中日看護センターは本来、老人福祉法上で「有料老人ホーム」に分類されるが、県への届け出をせず、職員体制の適切さなどをチェックされないまま運営されてきた。問題の背景に正規施設が慢性的に不足し、無届け施設が、行き先のない「介護難民」の受け皿となっている現状がある。
 センターは「介護対応型アパート」を自称し、建前はあくまでアパート。だが県は、高齢者が入所し、食事なども提供される実態を「有料老人ホームにあたる」と判断。基準を満たして届け出るよう再三、指導してきた。
 無届け施設が問題となったのは2009年、群馬県渋川市の施設「たまゆら」で10人が死亡した火災。行政の監視が及ばず、防災や当直体制が不十分だった。厚生労働省によると、今も全国に248、愛知県には6の無届け施設がある。
 たまゆら火災は、介護する家族がおらず、届け出施設などから厄介がられる重い認知症患者や生活保護受給者らが集まる「現代の姥捨て山」という側面でも注目された。中日看護センターにも同じ図式が当てはまる。
 国は2006年の医療制度改革で、長期入院用の病床の削減を打ち出した。診療報酬も長期より短期の方が稼げるため、患者は早期退院を求められた。
 だが受け皿となる特別養護老人ホームなどは足りないまま。この結果、介護難民が無届け施設に向かった。豊明市によると、同センターでも国立病院などの紹介で入所した人が少なくなかった。
 日本福祉大中央専門学校の渡辺哲雄専門教員は「追い出されれば、ほかに行き先がないので、無届け施設の待遇に文句が言えない。介護難民が生まれる仕組みを国がつくってきた。似た問題は各地にあるはずだ」と指摘している。

--------------------------(引用は、以上です)-----------------------

新聞記事の文中に、「介護難民が無届け施設に向かった」という表現がありますが、介護が必要な本人が望んで無届け施設に入ったのでしょうか?
そこに入ることを望んだのは、その人が入院していた病院のソーシャルワーカーだったり、家族だったりしたのではないのでしょうか。

市民ボランティア団体「介護施設と地域を結ぶ市民の会」で、愛知県内の住宅型有料老人ホームを調査した時に、古いアパートの一室に何人ものお年寄りを入れている、環境の劣悪な施設をいくつかみました。
そうした施設に「入所している人はどうしてこちらに?」と聞くと、どこも口を揃えて、「病院や行政の生活保護担当からの紹介がほとんどです」と、答えてくれました。
行き先が劣悪でもかまわず紹介して入れているのは、だれなのか。
その責任の所在を明らかにしてほしいと思います。

介護の質を保証する責任は、各市町村の行政職員にあります。
豊明市は立ち入り調査をして、2009年に「虐待がある」と気がついたにもかかわらず、それから2年間も放置していた責任があるはずです。
虐待のはてに亡くなった高齢者は、もう生き返ることはありません。

必要悪だからしかたがない、家族の助けになるのだからいいだろう、などといって逃げていてはいけないのだと、痛切に思います。

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認知症高齢者が狙われている

認知症になって、判断能力が弱った高齢者を狙う、詐欺事件が多発しています。

今日のNHKで放送された「クローズアップ現代 認知症詐欺〜衝撃の被害実態」では、予想以上に被害が拡大している状況が報道されていました。

------------------------(ここから引用です)----------------------
クローズアップ現代
2010年10月27日(水) 放送
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2956

狙われる認知症高齢者
いま認知症などで判断力の落ちた高齢者が、悪質な業者から高額な商品を購入させられたり、未公開株などの購入代金をだまし取られたりする財産被害が急増している。
NHKは司法書士の団体と、高齢者の財産管理を行う後見人5000にアンケートを実施。
そこからは、詐欺グループだけでなく、社会的信用のある金融機関や、高齢者を見守る身近な人までが財産を狙う深刻な実態が浮かびあがった。
どうすれば被害を食い止めることができるのか、対策を考える。

■再放送時間変更のお知らせ〈BS2〉
24:20~24:46【28日(木)午前0:20~】
------------------------(引用ここまでです)----------------------

放送の中で、認知症高齢者を食い物にする、悪質業者の談話が流されていました。
高齢者を狙った振込詐欺をしていたグループが、認知症高齢者を狙うようになってきているとのことで、彼らに言わせれば「認知症の年寄りはおいしい」とか。
振込したことも忘れてしまうため、家に帰ったころを見計らって
「まだ振込されていませんよ。今から出かけて、すぐ振り込んでください」
というと、1日に何度も言われるままにお金を振り込んでしまうのだとか。
被害者は、半年という短期間に、何千万もの預金をすべて失ってしまうなど、高額な被害額に至ることもあるそうで、預金はおろか、持ち家までも失って、介護施設に行くはめになった方などが番組で取り上げられていました。

認知症高齢者を狙うのは、悪質業者ばかりではありません。
信託銀行や証券会社の営業が、リスクが高い外国の証券などを売りつけていたケースも紹介されていました。
また、信じて頼っていた家族や、近所の人などが、財産を奪うことも珍しくないようです。

こうした被害を防ぐためには、成年後見制度を利用して、認知症のお年寄りに第三者後見人をつけることが有効なのですが。
成年後見人の引き受け手がまだまだ少なく、必要な人がだれでも利用できるまでにはなっていません。

そこで、期待されているのが、市民のボランティアによる「市民後見人」。
明日、市民後見人の取り組みについて勉強するために、東京都世田谷区の成年後見センターに行ってきます。

明日は午前5時半に家を出る予定なので、今日のブログはここまでにしますね。

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有料老人ホームと高齢者向け賃貸住宅を一本化?!〜厚生労働省と国土交通省が関連法案提出へ

老後に高齢者が住み替える民間の住まいに、有料老人ホーム(介護付き、住宅型、自立型の3種類)と、高齢者専用賃貸住宅・高齢者優良賃貸住宅があります。
前者は、厚生労働省の管轄。
後者は、国土交通省の管轄として、分かれていましたが、内容的にはほぼ同じ。
なのに、設置基準などが違い、選ぶのにわかりにくいという実情がありました。
これを受けてか、両者を一本化し、基準や料金、サービス内容などの情報公開制度を義務づけるという動きが出てきました。

-------------------------(ここから引用です)-----------------------
「サービス付き住宅」に再編へ
=有料ホームと高齢者向け賃貸−厚労・国交省

 厚生労働、国土交通両省は17日、有料老人ホームと、高齢者の入居を拒まず、一定のサービスを備えたものもある高齢者向け賃貸住宅を、新たに「サービス付き高齢者住宅」として再編する方針を固めた。設備基準や料金・サービス内容に関する情報公開制度を設け、入居希望者の利便性を高める。来年の通常国会に関連法案を提出し、2012年度の次期介護保険制度改正に盛り込む。
 現在、有料老人ホームは厚労省所管の老人福祉法で、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)など3種類ある高齢者賃貸住宅は両省共管の高齢者住まい法で、それぞれ設置基準などが規定されている。有料老人ホームは入居一時金により「利用権」を買い、入居後は介護などのサービスを受けられるタイプが中心。高専賃は賃借権方式で、1戸当たりの床面積は原則25平方メートル以上、家事などサービス内容はさまざまだ。ともに一定以上の収入・資産のある高齢者が入居者層の中心となっている。

(2010/10/17-15:39)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201010/2010101700089

------------------------(引用ここまでです)-----------------------

どんな形で統合化するのか、情報公開の部分が一番気になります。
いずれにせよ、利用者の権利が守られるように、制度を作っていって欲しいと思っています。

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介護保険でお泊りデイサービスが始まるか?!

厚生労働省が、介護保険の高齢者デイサービスに、宿泊サービスをつける方向で検討しています。

「通いなれたデイサービスで、お泊りができたらいいのに」という声は、たしかに家族からよく聞きます。

環境の変化に弱い認知症の高齢者の場合は、通いなれたデイサービスとショートステイの場所が違うのは、確かに本人にとっても不安が強いだろうし、デイの続きでお泊りの方が、抵抗感が薄いかもしれないと思います。

では、デイサービスに宿泊サービスをプラスしようという厚生労働省の動きは、歓迎すべきものなのでしょうか。

この問題について、中日新聞が記事を掲載していたので、以下に転載します。

-----------------(ここから引用です)-----------------

『お泊まりデイサービス』の現状(上)  独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く

 高齢者が日中に通う通所介護(デイサービス)事業所で、夜も高齢者を預かるところが増えている。夜間は介護保険が使えず、全額利用者の負担。認知症の高齢者を日常的に宿泊させる場合や、介護する家族の休息のため一時的に預かるケースなど、高齢社会のしわ寄せが及んだ格好だ。二回に分け、「お泊まりデイサービス」の現状を紹介する。 

 昭和初期の民家を活用した愛知県津島市の通所介護事業所「昭和の時代」。夕方以降も帰宅しない高齢者八人について、スタッフは「デイの利用者のうち、自宅での生活が難しい人たちです」と説明する。

 その一人、六十七歳の女性は、ここに来るまで独り暮らしだった。買い物の仕方も分からないほど認知症が進み、家の中は散らかり放題。「見守りが必要」。デイのスタッフがそう感じても、介護保険に見守りサービスはなく、地域や親族に頼るあてもなかった。

 「力になりたい」と、娘、本人の了解を得て、引っ越してもらったのは昨年十一月。女性の個室は約六畳。夜間は、デイのスタッフが泊まり込んで見守る。「親切にしてもらい、ありがたい」と女性は話す。

 別の六十四歳の男性も以前は独居。認知症で、作り方が分からなくなったカップ焼きそばのごみが、自宅の周りに散乱。配食サービスも手の付け方が分からず、配達された状態で放置されていた。重度の若年性認知症。デイのスタッフが「栄養も取れず危険」と、泊まりを勧めた。

 「行き場がない人や患者さんを預かってほしいと、役所や医療機関から頼まれることも多い」と、金子和敬施設長。「うちのようなところが預かれないと、住む場所がない人、あっても生活できない高齢者が地域で増える」と話す。

 泊まりの高齢者は生活保護受給者が多く、食費やデイの利用料、宿泊費の合計を保護費の範囲内にしなければならない。宿泊費を月二万五千円に抑えている同事業所では、夜間の利用部分は赤字だ。

      ◇

 低所得の独居高齢者が認知症になったら、安心できる住まいを探すのは大変だ。主な選択肢は(1)特別養護老人ホーム(特養)(2)認知症の人のグループホーム(GH)(3)有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅(高専賃)。

 ただ、特養は待機者が多い上、最近整備された個室型の特養は居住費が高く、入りにくい。生活保護の人の個室への入所を認めない自治体も多い。GHは一般に特養より料金が高く、低所得者向けの負担軽減の制度もないため、さらに難関。有料老人ホームや高専賃も、一般に料金が高い。低料金のホームでは、サービスが額相応になることがほとんど。料金にかかわらず「認知症お断り」のところも少なくない。

      ◇

 「自宅での生活に困る認知症の人が増えた」-。独居や高齢者だけの世帯の増加と、低所得者向けの安心できる住まいの少なさを背景に、多くのデイ関係者が感じている現実だ。介護保険のサービスと保険外サービスを組み合わせても困難が解消しきれない高齢者を、一部のデイが預かるという流れができている。「慣れ親しんだデイと同じスタッフが夜もかかわるから安心」とデイならではの強みを強調する関係者も多い。

 ただし、提供されるお泊まりサービスの質はさまざま。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の木間昭子理事は「高齢者を雑魚寝させている事業所、男女同じ部屋で泊まらせるところもある」と指摘。一部の事業所は、粗末な食事で食費を切り詰めている。

 こうしたサービスは、介護保険を使わない「自主事業」。行政がサービスをチェックし、サービス内容を是正させる仕組みがほとんどない。「基準を設けるなどして、不適切なサービスを排除する必要がある」と木間さんは訴える。

『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題

 「じゃあ、パジャマに着替えますか」。東京都北区の認知症対応型通所介護事業所「あかり家」のスタッフが文枝さん(94)=仮名=に声をかける。文枝さんは要介護4。週二日、デイサービスに通い、うち月二日は夕方、家に帰らず、そのまま泊まる。

 なじみのスタッフに見守られ、八畳の静養室で床に就く。一泊の宿泊料四千二百円(別に朝夕食費千円)は、夜勤一人、宿直一人の体制にしては格安だ。泊まり事業は都の補助金で成り立っている。

 通所する人の泊まりの受け入れは昨年九月から。一日二人が上限。実際には、月六、七件ほどで、家から通うという基本線を守っている。狙いは、家で介護する家族の支援だ。

      ◇

 在宅介護では、日中は通所介護や訪問介護を利用し、夜間は家族で介護するのが一般的。認知症の高齢者では、夜に出歩こうとする人や、頻繁な排せつ介助が必要な人もいて、家族は気が休まらない。

 家族が日ごろの疲れを取れるようにと、介護保険サービスのショートステイでは、特別養護老人ホーム(特養)など入所施設が高齢者を泊まりで預かってくれるものの、都市部ではサービス自体が不足気味。何カ月も前に予約しないと使えない地域もあり「思ったほどショートが使えず、介護する側が倒れそうになって親を施設に入れた」という話も珍しくない。

 通所施設での宿泊が進めば、在宅介護が続けやすくなるほか、慣れた施設での夜間預かりは、認知症の人にもなじみやすいとして、厚生労働省も、あかり家のような通所介護事業所が介護保険外で提供しているお泊まり機能に着目。早ければ来年度から、通所施設での宿泊サービスを介護保険の対象にし、ショートステイ同様、一割の負担で使えるようにする方向だ。

 厚労省は、通所施設を、保険で宿泊サービスを提供するのにふさわしい場に改修してもらうため、来年度予算の概算要求に改修の補助金として百億円(八千床分)を盛り込んだ。間仕切りやスプリンクラーの設置費用を想定している。

      ◇

 もっとも、デイサービスは本来、昼間限定。夜勤を嫌って通所施設で働く職員も多く、泊まりに対応する職員が確保できるかどうかは不透明だ。

 「本当に困っている人が介護保険を使えないのでは」。通所施設での泊まりが保険適用になっても、要介護度ごとに定められた介護保険の利用枠を日中の介護で使い切り、負担が減らない利用者が出てくる可能性も指摘されている。

 愛知県内の通所施設を週六日利用する要介護4の女性(67)も、そんな一人だ。女性は対応が難しい認知症で、夫は介護うつ。疲れ果てた夫を助けようと、施設は夜間も週一度、一泊九千円(朝夕食込み)で女性を預かってきた。介護保険で泊まれるようになっても、介護保険の利用限度額を引き上げない限り、宿泊の全額負担は変わらない。「ある程度の限度額引き上げも必要では」とこの施設の管理者は提案している。

 「規制が目的では」-。厚労省が「家族支援のため」と説明している「お泊まりデイサービス」への介護保険適用の目的を、こうみている施設関係者は多い。泊まりサービスが保険外の現在は、問題あるサービスを提供しているとの情報が役所に寄せられても、ほとんど規制の手段はない。保険適用になれば、規制しやすくなるとの見方だ。

 「ショートが希望通り使えず困っている家族のために、利用者を時々泊めている」という愛知県内の別の通所施設の管理者は「いい方向に向かえばいいが、現場が動きにくくなる規制では困る」と訴える。

  (佐橋大)

中日新聞 2010年9月30日

-----------------(引用ここまでです)--------------

お泊りは実費という形ですでに実施しているデイサービスは、東郷町近隣でも複数あります。

全国でチェーン展開している「茶話本舗」は、宿泊を800円で実施しています。

介護で疲れ果てている家族には、本当にありがたいサービス。

だけど・・・

介護の質はどうやって担保するのでしょう。

そう考えると、介護保険のサービスに組み込んで、行政が指導監査できるようにしようという厚生労働省の狙いは理解できるように思います。

とはいえ、本来は有料老人ホームの届け出が必要なのに、無届で営業する事業者がいくつもあるのも現実。

お泊りデイサービスも、規制を嫌って、介護保険の届け出をしない事業者が数多く出るかもしれません。

届け出があろうがなかろうが、介護サービスを使う利用者の権利が守られるような仕組みの構築が、なにより必要だと思います。

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介護予防はきめ細かい個別の状況把握から

2006年の介護保険見直しで、取り入れられた「介護予防」。
介護保険の予算の3%までが介護予防にあてられることになっていますが、果たして今のままで効果があるのかどうか、疑問の声があがっていました。

今日の新聞で、介護予防について厚労省が見直し案を発表したと掲載されていました。
以下に転載します。

-----------------------(ここから引用です)-------------------

介護予防 戸別訪問が効く?
高齢者の健康細かく確認 厚労省が見直し案

 高齢者が介護保険サービスに頼らず自立した生活を続けられるように、長妻昭厚生労働相は、介護予防事業を強化する方針を固めた。アンケートや戸別訪問で健康状態を把握し、体力増進プログラムへの参加などを促す。年内にも自治体に通知し、来年度からの実施を目指す。
 介護予防事業は、介護が必要な状態になることを水際で防ぐ目的で、2006年度の介護保険制度改正で導入。厚労省は高齢者の10%程度が対象になると見込んでいたが、把握できたのは4%弱で、体操教室や栄養教室など予防事業への参加者は全体の0.5%にとどまっている。行政刷新会議の事業仕分けでは予防事業の効果に疑問が示され、見直しを求められた。
 予防事業の対象者の把握は、自治体による健康診断を活用。ただ、介護が必要になりそうな人は、うつ状態だったり認知機能が低下していたりする場合も多い。こうした人は健康診断を受けない傾向にあり、実態把握が難しい一因になる。
 そこで厚労省がまとめた見直し案では、まず高齢者に郵送でアンケートを実施。日常生活で感じる不便な点や、物忘れの程度などを答える形式だ。返送されない場合は、自治体職員や民生委員らが直接訪ねて、介護予防が必要かどうかを確かめる。
 介護予防の対象者は自治体が「特定高齢者」と認定していたが、レッテルを張られることに高齢者の抵抗感があるため、名称を変更する。予防プログラムも見直し、転倒防止や腰痛軽減策など参加意欲を高めるものにするという。
 また、元気な高齢者には介護予防事業の運営への参加を促す方策も講じる。例えば、介護保険料の支払いや将来のサービス利用に使える「介護ポイント」を新たに設ける。
 一方、介護の必要度が低い「要支援」から、必要度が高い「要介護」となった場合、介護サービス利用計画を作るケアマネジャーが代わるため、現場からは不満が出ていた。このため、同じケアマネが引き続き担当できるように省令改正を検討する。

(朝日新聞/2010年6月17日(木)朝刊)
--------------------------(引用ここまでです)------------------------

介護予防が必要というよりも、生活する上で何らかの手助けが必要な高齢者にサービスが届いていないのが問題だと思います。
認知症の症状が出てきたり、うつ気味になって家に閉じこもっている高齢者は、自分から「助けて欲しい」と訴えることができません。
自分で助けてといえない人を、どう見つけて、少しでも早く支援に繋げていくかが、これからの大きな問題になると思います。

厚労省は、きめ細かい戸別訪問による状況把握をすすめるつもりのようですが、これは方向としては間違っていないでしょう。
介護をめぐる悲劇がおきないように、必要な人には一刻も早く、助けが入る仕組み作りが必要です。

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認知症は予防できる?!

「地域で認知症を支える」をテーマに、国立長寿医療研究センターの遠藤英俊先生の講演会が行われました。

主催したのは、NPO法人「地域ネットワークほほえみ」。
孤立しがちな人たちをつなぎ、安心して認知症の人が暮らせる社会づくりをめざすボランティア団体です。
遠藤先生の講演は、地域ネットワークほほえみの設立記念講演会として行われました。

遠藤先生からは、認知症の最新医療情報を交えた、とても興味深い話がたくさん披露されたのですが、中でも一番印象に残ったのが、修道院の修道女の話。
亡くなった修道女が医療に貢献するために、死後、脳を提供しているとのこと。
で、解剖した結果わかったのが、
脳の所見からは、萎縮がありアミロイドの付着もあるなど、どうみても認知症の脳なのに、認知症の症状が出ないまま亡くなった方が8%あった。
というのです。
つまり、脳が萎縮して機能が落ちているにもかかわらず、生活に支障がでるような認知症の症状がでない人が1割弱いるわけです。

なんらかの支援がないと生活できないなど、生活上の支障が出るのが認知症とされていますから、症状がでなければ、いくら脳が萎縮していようと、認知症ではないのです。

では、どうしたら認知症にならずに済むのでしょう。
遠藤先生によると、認知症の予防として効果がはっきりしているのは、次の4つ。

①生活習慣病を防ぐ
血管性の病気や糖尿病などは、認知症になりやすくなるリスク因子です。野菜をたくさん食べる、規則正しい生活をするなど、生活習慣病を防ぐことが、認知症の予防につながります。

②運動
40歳になったら、運動する習慣を持つのが大切だそうです。
といっても、スポーツをするとかでなく、1日30分歩く(できれば週に3日は)だけでOK。
歩くことで、脳の血流が増え、認知症の予防につながります。

③知的生活
好奇心をもって、楽しく暮らすことが大切です。
読書、パズルゲーム、計算、コーラスなど、頭を使って楽しむ趣味を続けることが、認知症の予防につながるそうです。

④コミュニケーション
家の中に閉じこもり、だれにも会わず、だれとも口をきかない生活は、認知症をひきおこします。
1日1時間、気の合う人と楽しくおしゃべりすることが、脳の血流を活性化させることがわかっています。
地域に気軽に立ち寄って話ができる「たまり場」があると、認知症予防につながります。

認知症になっても、それまで属していた趣味のサークルに通いつづけたり、なじみの店に行って話をしたりすることで、認知症が進行しないで穏やかに過ごせるという報告も出ています。
グループホームでも、毎日、外に散歩に出かけるところが、認知症の悪化を防ぐそうです。

毎日、外にでかけ、人と話し、趣味など自分なりの楽しみを続けることが、認知症を予防し、認知症の進行をおさえます。
あたりまえの暮らしを、意識的に送ることが大切なのだなと再確認した思いでした。

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人生の最後をどう迎えたいかを考えるために

明日の午後1時半から、東郷町のいこまい館で行う「終末医療の選択」についての勉強会。
講師に来てくださる「せんねん村」の看護師、山田さんの記事が、今日の中日新聞に掲載されていました。

-----------------------(ここから引用です)----------------------

風の霊安室

「近くの子どもたちが集まって遊んだり、弁当を広げたり。ここはうちで一番の場所なんですよ」

施設で最後を迎える「看取り」を実践している、西尾市の特別養護老人ホーム「せんねん村」。
移動式の戸が取り払われ、中庭をぐるりと見渡せる空間には「風」という名前がついていた。
そこが施設の霊安室だと、看護師の山田江己子さんは教えてくれた。

「寝たきり専用賃貸住宅」の問題を取材する中で痛感した。
医療技術の発達と拝金主義の横行に囲まれながら「人生の最後をどう迎えたいか」という肝心の願いがドーナツのように抜け落ちた社会。
そんな長寿社会を、私たちは生きている。

せんねん村では、入所者が意思決定できなくなったときのため、最後にどんなケアを望むかを家族と話し合い「事前指定書」という書類に記入してもらっている。
ほとんどの人が施設での看取りを希望し、普段通りの暮らしのまま死を迎えるという。

より良く生きる。
その延長線上に死がある。
風の霊安室は、その象徴なのだろう。
(後藤厚三)

(中日新聞/2010年6月11日・朝刊)
---------------------(引用ここまでです)-----------------------

より良く生ききることを支える先に、最後の時がある。
終末期の医療について、まず知って、自分なりに考えることから始められればと思います。

終末期医療の勉強会は、明日の午後1時半から。
東郷町のいこまい館2階、会議室Bで行います。
まだ定員には余裕がありますので、どうぞお気軽にお越し下さい。

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介護する人を支援するための法律〜イギリスの介護者(機会均等)法

日本で、過去12年間に発生した「介護殺人」は454件。
これは、高齢者虐待について研究している、日本福祉大の湯原悦子准教授の調査で明らかになった数です。

最近、4年間では、年間40〜50件もの殺人が発生しているのだとか。
つまり我が国では、月に3〜4件もの介護殺人が起きているというのです。

介護殺人や介護者による高齢者虐待を減らすためには、どうしたらいいのか?
このことについて、湯原先生が対談をしている記事を以下に引用します。

--------------------(ここから引用です)---------------------

介護する側を守る法とシステムの確立を

 過去12年間に発生した「介護殺人」は454件。つまり、この国では、介護者が要介護者を殺す事件が、月に3件程度は発生している-。日本福祉大の湯原悦子准教授の調査で明らかになった現実である。高齢化が進行する中、この痛まし過ぎる現実を解決するすべはあるのか。「まずは、介護する側を守る法とシステムの確立が不可欠」と訴える湯原准教授に話を聞いた。

―12年間に454件もの介護殺人が発生しているとは、想像以上の数でした。

残念ながら、その数ですらも氷山の一角にすぎません。

―どういうことでしょうか。

 今回、発表した数字は、新聞報道された事件のうち「被害者は60歳以上。介護が原因で家族や親族によって引き起こされた殺人や心中」だけを集計したものです。しかも心中については、遺書やメモなどで介護が背景にあるとはっきりしたものだけをカウントしました。理由がよく分からない心中も少なくありませんから、現実の介護殺人はもっと多いはずです。

―2000年には介護保険が導入されています。この保険は、介護殺人の発生状況に変化をもたらしているでしょうか。

 一時的に減った時期はありますが、最近4年間だけで見ると、年間40-50件もの殺人が発生しています。介護保険が導入されたからといって、介護殺人が減っているわけではないと言えるでしょう。

―介護殺人の特徴について教えてください。

 特徴の一つは、半分以上が心中目的であることです。これは、10年以上前から変わりません。また、加害者と被害者の立場で見れば、「息子が親」を殺すパターンと、「夫が妻」を殺すパターンが多いですね。最近はどちらかというと、「夫が妻」を殺すパターンの増加が目に付きます。
 男性が加害者となるケースが圧倒的に多いのも特徴です。事実、454件の7割余りは、男性が加害者でした。虐待にしても、かつてはお嫁さんが義理の父母への加害者となるパターンが多かったのですが、今では息子が実の父母を虐待するケースの方が目立ちます。

―なぜ男性の介護者は、殺人や虐待の加害者になりやすいのでしょうか。

 男性の場合、介護だけでなく家事でも行き詰まる人が多いからでしょう。例えば、ほとんどすべての女性は、スーパーマーケットでの買い物を苦痛と感じることはありません。ところが、男性は違います。特に現役時代、一定の社会的地位にあった人は、「スーパーで買い物かごを提げた自分」に、たまらないほどのみじめさを感じることもあるようです。

 また、比較的高齢の男性では、悩みを他人に相談したり、愚痴をこぼしたりすることを潔しとせず、黙々と介護に取り組む人を多く見掛けます。ちょっとしたことでも友人としゃべり合い、不安や悩みの“重さ”を分かち合う女性とは、まるで違います。このあたりにも、男性が加害者になってしまう原因があると思われます。
 「悩みを打ち明けるか、自分の胸にしまっておくか」など、単に生き方の相違で、殺人や虐待を引き起こすような問題ではないと思う方がいるかもしれません。しかし、誰とも悩みや不安を共有せず、一人で頑張り続ける時間が1年、2年、3年…と続いていくとしたら、どうでしょう。どんなに心が強い人でも、心身共に疲労困憊して、うつ状態になり、将来に希望を見いだせなくなるのではないでしょうか。

―すると、虐待や殺人に走りやすいのは「妻の介護を手掛ける夫」ということでしょうか。

 確かに「夫が妻」を殺してしまう例は増えています。しかし、それより深刻な問題が発生しやすいケースがあります。「無職の息子が母親を介護する」ケースです。特に、その息子が引きこもりがちだったりすると危険です。こうした男性のほとんどは、介護に関する知識がない上、他の人に助けを求めることが苦手だからです。
 例えば08年7月には、引きこもりの男性が介護を必要する母親の面倒を見きれず、絞殺する事件も発生しましたが、この母親は、ほとんど介護を受けていませんでした。殺される直前などは、ほとんど食事を口にしていない状態でした。

―介護殺人や虐待を防ぐには、どうしたらよいでしょうか。

 殺人にしろ、虐待にしろ、その兆候となる言動をキャッチすることが発生防止のカギとなります。だからケアマネはもちろん、家族や親せきも、最悪の事態もあり得ることを心に留め、介護者が頑張り過ぎていないか、うつ状態になっていないかなどに注意を払うことが必要です。

―しかし、家族やケアマネの注意力に頼るだけの対策では限界があります。法や制度の改革で、問題を根本的に解決することはできないでしょうか。

 まずやるべきは、介護者の権利擁護の根拠となる「介護者法」を制定することでしょう。英国などでは施行されている法律ですが、その理念は「介護役割を引き受けることによって、社会的に孤立したり、余暇が楽しめなくなったり、就労の機会が奪われたりしてはならない」です。
 日本の社会では、自らの生活や権利を抑制してでも介護を全うすべき、という雰囲気があるように思えてなりません。その結果、心身共に疲れ果てた介護者が殺人や虐待を引き起こしているのではないでしょうか。そうした雰囲気を変えるためにも、介護者の権利を守る法律を制定することから始めるべきだと思うのです。近日中には、同様の志を持った識者や大学関係者が集まり、介護者の権利を守るための団体を立ち上げ、介護者法の確立に向け運動を進めていく予定です。

―しかし、法を作るだけでは、現実の問題は解決しないのではないでしょうか。

 もちろんです。介護者法の成立を目指すと同時に、介護者の心身の状況などを推し量るアセスメント作りにも取り組みたいと考えています。アセスメントについては、まだ検討を始めたばかりなので、多くは語れませんが、例えば「うつ状態」にあるかどうかの検査項目などは、ぜひ盛り込みたいですね。
いずれにせよ、このまま手をこまねいていては、介護殺人も虐待も減ることはありません。一刻も早く、介護者を守る法とシステムを整備する必要があります。

( 2010年05月15日 10:00 キャリアブレイン )
http://news.cabrain.net/article.do?newsId=27614

----------------------(引用ここまでです)-----------------------

文中で、イギリスの「介護者法」について言及されているので、少し調べてみました。

イギリスでは、家族や友人、近隣の人など、ボランティアで介護をしている人を「介護者(ケアラー)」と呼んでいます。
(仕事で行っている介護職のフォーマルサービスと区別するために、インフォーマルな介護サービスを「介護者」と位置づけているようですが、注目すべきは、「介護者」を家族だけでなく、友人や近隣の人も含めていることだと思います)

こうした仕事でなく、自発的な意志で親しい人の介護を行う「介護者」に対して、イギリスでは支援する法律を整備しています。
それが、「介護者法」です。

特徴は
①介護者がどの程度、介護をすることができるのかをアセスメントする
 (自治体はアセスメント請求権が介護者にあることを知らせる義務がある)
②要介護者から離れて、自分の生活を楽しむための「介護休業制度」がある
③介護者手当、税制上の措置、公的年金制度上の取り扱いなど、介護を行うことで経済的に不利にならないよう、所得保障がある
④介護者が仕事に戻れるよう支援する
などのようです。

以下に、介護者法について、簡潔にまとめてあったホームページをリンクしておきます。
矢部久美子のイギリス福祉情報 No.37
http://www.tutui.com/yabe/yabe_37.html

---------------------(ここから引用です)----------------------

家族など介護者への支援を強化する法が成立

 介護者(機会均等)法 Carers(equal opportunities) Actが2004年7月22日に成立した。www.dh.gov.uk
 同法の狙いは1995年、2000年の介護者関連法を強化し、介護者の生活の質を高め、介護を続けることができるよう支援することだ。
 自治体がケアのニーズのある人とその介護者のニーズを審査しサービスを組み立てているが、同法は自治体に、介護者がニーズ審査を受ける権利があるということを介護者本人に知らせることを義務付けた。多くの介護者が介護者としてニーズ審査を受ける権利があるにもかかわらず、そのことを知らずにいるという状況を改善することになるだろう。また自治体のケアマネジャーは、介護者のニーズ審査を行なうときに介護者の働きたいという願いや研修、娯楽などへの望みを考慮にいれることも義務付けられた。

--------------------------(引用ここまでです)-------------------

日本の在宅介護は、家族介護に頼ってきました。
しかし介護保険制度では、本人のアセスメントはしても、介護者のアセスメントは行わず、介護者である家族の介護力は、要介護度を決める際に考慮されてきませんでした。

在宅介護を願う人は多いし、できれば愛する家族に介護されたい(家族も介護したい)という思いは根強くあります。
介護者の支援をおきざりにしては、在宅介護を支えることは難しいと思います。

介護される人の人権とともに、介護者の人権も保障する。
そうした視点での制度改革が必要だと感じています。

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長妻昭厚生労働相が「たんの吸引をヘルパーに解禁」との方針を表明

asahi.comのニュース速報によれば、厚生労働省大臣が、たんの吸引や経管栄養をヘルパーなど介護職に解禁する方針を示したとのことです。
http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY201005150279.html?ref=rss

---------------------(ここから引用です)---------------------

たん吸引、ヘルパーに解禁へ 法案を来年提出 厚労相

長妻昭厚生労働相は15日、原則として医師や看護師にしか認められていない医療行為のうち、たんの吸引などをヘルパーら介護職にも認める方針を明らかにした。
これまで一定の条件で認められていたのを拡大する方向だ。
来年の通常国会への法案提出を目指し、近く有識者らの検討会を立ち上げて議論する。

医療行為のうち介護職にも認めるのは、口の中のたんなどを出す「吸引」と、チューブから胃に流動食を入れる「経管栄養」。
現在は、特別養護老人ホームの介護職など一定の条件のもとでしか認められていない。

長妻厚労相は同日、記者団に対して、「たんの吸引など、これまで医療行為ということで出来なかったものについての対応も考えなければならない。(法案を)来年の国会に出すとすれば秋ぐらいまでに詰めていく」と説明。
どの介護職まで認めるかは今後、検討する。

(2010年5月15日22時15分)
-------------------(引用ここまでです)------------------------

やっと、医療行為が必要な重度の方が、在宅で療養せざるを得ない現実に対応しようと、国が動き出したようです。
具体的には、これから内容が決まっていくと思いますが、注意深く見守りたいと思います。

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たん吸引や経管栄養の管理をヘルパーにも認めるべきではないか

病院から経管栄養となって退院したり、気管切開し人工呼吸器をつけて退院する人が増えています。

そこで問題になってくるのが、医師法の壁。
たんの吸引や経管栄養の管理は、「医療行為」であり、医師や看護師、そして家族にしか認められていないのです。
しかし、1時間おきにたんの吸引が必要な場合、訪問看護師が1日に24回家に来てくれるかといえば、そんなことは現実にはできません。
実際は、医療には素人である家族が、たんの吸引をし、経管栄養の管に栄養剤を流し込んでいるのです。
ということは、たんの吸引を24時間できる家族がいなければ、実質的に自宅での療養はできないということ。1人暮らしでも最後まで家で暮らしたいという願いをかなえることも難しく、特養ホームや老健などの介護施設にも医療行為が必要だからと入居できず、行き場がなくなっているのが現状です。
こうした現状に対して、医療行為を見直し、ヘルパーにも訓練して行えるようにしてほしいという声が、強くなっています。

昨日の中日新聞に、重度障害をかかえる子どもの母親らから、たん吸引をヘルパーに解禁する要望が提出されたという記事が掲載されていました。
以下に、転載します。

-----------------------(ここから引用です)----------------------

重度障害児 社会参加に壁
「医療行為」見直しを

 重度の障害で自宅療養する子どもの親たちが、たんの吸引などの負担を背負い込んでいる。医師法でたんの吸引は医師や家族のみができる「医療行為」とされ、ホームヘルパーは合意文書を交わした場合に特例的に認められるという制度の壁があるためだ。愛知県一宮市の主婦らが所属する保護者の団体は「吸引できる人が拡大すれば、子どもたちの社会参加の機会が増える」として、体制整備を求める要望書を今週にも厚生労働省などに提出する。

一宮の母ら 要望提出へ
「たん吸引 ヘルパーにも」

 生後間もなく低酸素脳症になった一宮市木曽川町玉ノ井の宮田晴吐(はると)君(4つ)。起きているときは1時間おきにたんがたまるので、母幸恵さん(30)が絶えず付き添い、吸引器で処理する。
 週に1日頼んでいるホームヘルパーは合意文書がないため吸引ができない。保育園に通う兄(6つ)と弟(2つ)が病気になった時などは、医師法では認められないものの、善意で手伝ってくれる友人に吸引をしてもらっている。
 「兄弟が大きくなれば、外出の機会も増える。ヘルパーさんはよくしてくれるけど、友人などの素人でもできるぐらいの作業が頼めないなんて…」と幸恵さんは困惑。「この子と生きていくため、家族の負担を減らして」と訴える。
 厚労省は2003年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の在宅患者について、2005年にはその他の疾病在宅患者についても、医師や家族以外の第三者によるたん吸引を特例的に認めた。
 しかし、現行制度で吸引はヘルパーの業務とされず、個々のヘルパーと患者や家族が合意書を交わしたうえで行っている。危険を伴う作業にもかかわらず、責任はヘルパー個人が負う仕組みのため、全国ホームヘルパー協議会(東京)は「ヘルパー個人の意欲に頼っているのが現状。(ヘルパーを派遣する)事業所は尻込みしてしまう」と指摘する。
 要望を提出する「人工呼吸器をつけた子の親の会」(大阪府箕面市)によると、同会に所属する呼吸器を付けた小児の在宅患者は、発足時の1990年に全国で1人しかいなかったが、機器の進歩などによって現在は会員の子どもだけで200人以上。会員以外も含めれば推計で千人ほどに増えているとみられ、ヘルパーによる吸引を求める声は強い。
 厚労省医事課の担当者は「現行制度の見直しを検討する方針は決まっている」と話すが、見直しの具体的な内容は未定で、保護者らは動きが鈍いと感じている。経管栄養チューブの挿入やカテーテルによる排尿など、吸引以外の日常的な介護作業には特例措置もないのが実情だ。
 親の会の折田みどり事務局長は「きちんとした実習を積めば誰にもできる作業ばかり。生活を支援する行為として、医療行為とは切り離してほしい」と訴えている。

(中日新聞/2010年5月10日朝刊)
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在宅療養患者や重度障がい者が在宅で暮らすために、ヘルパーやボランティアなど第三者がたん吸引を行うことを、厚労省は一定の条件下で認めています。
くわしい通知は、
http://www.jscf.org/jscf/kaihou/k26/k26-02.pdf

それでも、介護施設で働くヘルパーには、のどの奥までのたん吸引や経管栄養の管理を許可していないというのが、現在の状況です。
医師法との関係で、いろいろ難しいということは理解しますが、そのためにどんな悲劇が起こっているかという現状に向き合い、解決の道を国が真剣に考える時期にきているのではないでしょうか。
たんの吸引がヘルパー業務としては認められていないために、家族の介護負担を恐れて、ALSの患者が人工呼吸器をつけられないという状況は、早急に変えていかなければいけないと思います。

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