介護施設見学レポート

看取りまで在宅を支援〜横浜市の小規模多機能「ふくふく」

ふくふく
写真は、横浜市にある小規模多機能型居宅介護「ふくふく寺前」の外観。
訪問看護を行っている「在宅ナースの会」が母体となって立ち上げた小規模多機能です。

住み慣れた家で安心して暮らし続けるために、平成18年から介護保険の地域密着型サービスとして始まった「小規模多機能型居宅介護」。
運営自体がなかなか難しいといわれる小規模多機能で、看取りまで行うところがあると聞いて、横浜市まで取材に行ってきました。

「ふくふく」の取り組みは、読売新聞でも紹介されていたので、以下に引用しますね。

------------------------(ここから引用です)----------------------

小規模ケア 看取りも含め在宅で
(2011年7月12日 読売新聞)

基本はかかりつけ医との連携
 高齢になると、介護も医療も必要になることが多い。小規模多機能型の介護施設が、「在宅生活を支える」という本来の役割を発揮するには、医療との連携が欠かせない。医療ニーズの高い人の受け入れ態勢を整え、看取みとりも含めて対応する事業所も出てきている。

多様なニーズ対応
 横浜市の住宅地にある小規模多機能型ハウス「ふくふく寺前」には、気管切開や、腹部の穴からチューブで栄養液を注入する「胃ろう」などで、医療的ケアを必要とする利用者が多い。介護保険の「小規模多機能型居宅介護」の指定事業所で、「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせて提供し、在宅生活を支えている。

 「点滴終わりましたよ。気分はどうですか」。泊まり用の個室で、男性利用者(80)にスタッフの看護師が声をかける。男性は重い認知症で、栄養剤の点滴と酸素吸入を受けている。平日の日中はデイサービスを利用し、うち4日はそのまま泊まる。家族の負担を考慮した結果だ。病院の受診を拒むため、近隣の医師に往診を頼んでいる。

 「ふくふく」を運営するのは、看護師の小菅清子さんが代表を務める「在宅ナースの会」。長く訪問看護などに携わってきた小菅さんは、お年寄りを終末期まで地域で支えるには、多様なニーズに臨機応変に対応できる小規模多機能型施設が必要と考え、開設した。

 医療ニーズに対応するため、介護保険の基準では1人の看護師を2人配置。介護職員にも、利用者の体調のチェックポイントや予想される状態変化、看護師に連絡するタイミングなどを細かく伝える。「緊急時の判断は看護師の役割ですが、利用者と接する機会の多い介護職員が常に医療的な視点を持ち、小さな変化に気づけることが大切。医療機関への連絡も的確になり、連携がスムーズになります」と小菅さんは説明する。

 協力病院もあるが、基本は利用者のかかりつけ医との連携。気付いたことや提案があれば、すぐに連絡・相談する。その積み重ねで、地域の様々な医療機関との信頼関係を築いている。

 運営母体の「在宅ナースの会」に訪問看護ステーションがあるのも強み。利用者の状態などの情報共有がしっかりでき、急な看護師の派遣にも応じてもらえる。小菅さんは「介護と看護が適切に提供できれば、終末期まで地域で支えることが可能です」と強調する。

医師の協力で実現
 千葉県松戸市の宅老所「ひぐらしのいえ」は、介護保険のデイサービスと、保険外の「泊まり」を行う小規模施設。看護師の安西順子さんが8年前に開設した。気管切開や胃ろう、がんの終末期の利用者も受け入れ、看取りの経験も多い。

 看取りも含めた医療対応が可能なのは、市内にある在宅医療専門の「あおぞら診療所」との緊密な連携があるからだ。医療的ケアが必要な利用者の大半がかかりつけ医としている。何かあれば、同診療所や併設の訪問看護ステーションが24時間対応してくれる。

 長期宿泊や終末期の利用者を受け入れる際には、緊急時の対応について家族と医師を交えて話し合い、救急車を呼ぶかどうかなどを決めておく。「在宅支援に理解のある医師が地域にいれば、介護職員も不安なく終末期までのケアができる。看取りの経験を重ねることで、職員も成長しました」と、安西さんは話す。

「複合型」介護保険に
 介護と医療の連携強化の一環として、厚生労働省は来年度から、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた「複合型サービス」を介護保険に導入する。介護と看護を一体的に提供し、医療ニーズの高い高齢者の在宅支援を充実させるのが目的だ。ただ、看護師の確保や役割分担の難しさを指摘する声もあり、実効ある仕組みへの工夫が求められる。

-----------------------(引用ここまでです)---------------------

「ふくふく」では、胃ろうや気管切開、がんの末期患者など、医療的措置が必要な人も受け入れていました。
認知症の症状のために個別の対応が必要な人は、2階にある個室でスタッフが1対1でつきそうなど、きめ細やかな対応をしているのが印象的でした。

とりわけ印象に残ったのは、どんな人でも見捨てないという覚悟です。
重い認知症で、家でも家族に対して手が出てしまう男性利用者が、「ふくふく寺前」を利用することになった時のこと。
対応するスタッフはあざだらけ。けがをして入院するスタッフまで出てしまうという事態になった時にも、「ここで、わたしたちが利用をことわったら、家族がつぶれてしまう。なんとか工夫してがんばりましょう」と、あきらめずに対応しつづけたといいます。
最初は、「トイレに行きませんか」と声をかけるだけで、怒って手がでる状態だったのが、1年たつうちに、笑顔をみせて一緒にトイレに行ってくれるまでになったのだとか。
「これで、もうどんな人が来ても、自信を持って対応できます」
と笑顔で話してくれるスタッフのみなさんが、輝いて見えました。

通常のデイサービスや、訪問ヘルパーでは、対応が難しい。
そんな場合に力を発揮するのが、「小規模多機能型居宅介護」です。

まだまだ普及していない介護サービスですが、もっと多くの人に(特に行政担当者に)知ってもらいたいと思います。

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戸建て有料老人ホーム「サンヒルズ・ヴィラアンキーノ」見学会報告

戸建て有料老人ホーム「サンヒルズ・ヴィラアンキーノ」見学会報告
戸建て有料老人ホーム「サンヒルズ・ヴィラアンキーノ」見学会報告
岐阜県の揖斐郡池田町にある、住宅型有料老人ホーム「サンヒルズ・ヴィラアンキーノ」。
緑豊かな池田山の山すそにある、全国でも珍しい一戸建ての有料老人ホームで、見学会を行いました。

上の写真が、ヴィラアンキーノの外観。
とんがり屋根の戸建てが、テラスでつながっています。

下の写真は、見学会で試食した昼食。
写真はおかずのみですが、これに具だくさんの炊き込みご飯と、デザートのコーヒーゼリーがついていました。
おかずは、右上がエビフライ、ホタテフライ、トマトサラダ。右下が五目野菜の煮物。左上がにんじんと生麩の炊き合わせ、きゅうりの漬け物。左下がサワラの照り焼き、付け合わせはゴボウとシシトウの煮物。野菜たっぷりのヘルシー献立です。
(敷地内にある畑で採れた新鮮野菜を使った一品が入るのが、特徴です)
料金は、これで700円。
ちなみに、朝食300円、昼食700円、夕食700円。
居室内にはキッチンもあり自炊できるので、食事は希望した分のみ支払う形。
自室まで、スタッフが配達し、必ず手渡しして声をかけています。

試食のあとで、パワーポイントを使っての説明がありました。
アンキーノは平成15年7月にオープン。
名称の「アンキーノ」は、岐阜の方言「安気(あんき)やのぉ」=気楽でのんびり から付けたとのこと。
モットーは、「気楽で安心な住まい」。
元気なうちからでも、介護が必要になっても、最後まで安心して暮らし続けられる老いの住まいをめざしているという説明でした。

あちこちに果樹や季節の花々、畑には野菜が植わった緑豊かな敷地は、5699㎡。
この広い敷地に、独立型の一戸建てが29戸あります。
部屋の広さは、32〜56㎡。
写真のとんがり屋根の戸建ては、一番狭いシングルタイプですが、天井が高くて吹き抜けになっていて、32㎡という面積の割に、広い感じがします。
それぞれの住戸には、システムキッチン、洗面、浴室、エアコン、床暖房が完備。
専用のプライベートデッキもあって、くつろげます。
吹き抜けだと掃除が心配ですが、高いところの窓や換気扇の掃除は、月に1回、スタッフが無料で行ってくれるそうです。

いざという時の安心のために、各部屋には緊急コール付きの電話を設置。
「相談」と「緊急」というボタンがあり、電話まで行けない緊急時のために、首からさげるペンダント式の緊急ボタンもあります。
ボタンを押すと、スタッフ全員が持っている携帯電話にコールが鳴り、それで部屋番号を確認して、一番近くにいるスタッフが駆けつけるという仕組み。
食事中にのどにご飯が詰まった入居者が、首にかけていたコールボタンを押し、急いでスタッフが駆けつけて事なきを得たということもあったそうです。

もう1つの安心は、敷地内にあるデイサービスセンター「ちゃぼぼ」と、デイサービス併設のグループホーム「弥生」。
ちゃぼぼでは、俳句の会や陶芸教室、お茶会などが定期的に開かれていて、アンキーノの入居者は無料で自由に参加できます。
また医師の今村寧さんが、アンキーノに定期的に訪問して身体や薬のことなどの相談にのっています。(もちろん、主治医として医療が必要な人には、各居室まで往診も行います)

こうした安心を得ると同時に、自分らしい独立した気楽な暮らしを実現できるのが、アンキーノの良さ。
食事の支度からは卒業したいという人は、食事サービスを利用できますし、自分で作りたい場合は、施設から出るシャトルバスでスーパーに買い物に行ったり、生協の宅配サービスを利用することもできます。
入所者は、読書に没頭したり、趣味を楽しんだりと過ごし方はさまざま。
閉じこもりきりにならないように、共用のサロンで午後は喫茶を開いたり、月に1回、食事会やケーキを食べる会があったり、畑で作物を収穫したりというイベントも。
まちに外食に出かけたり、おいしいパン屋さんに買い出しに行ったり、美術館やお花見に出かけたりという外出支援もあります。

日常的な外出の手段として、シャトルバスも運行。
買い物だけでなく、近くの池田温泉や図書館、役場などに運行しています。
バスの利用料は1回100円。
入居者は、1ヶ月に20枚までシャトルバス券または呈茶券がもらえます。
(呈茶券は、共用のサロンで、コーヒーや紅茶などを飲むのに使えます)

なにより、特筆すべきなのが、ひとりひとりの尊厳を守ったケアの意識です。
「他人(ひと)の痛みを自分のこととして感じる感性を」というのが、ケアの理念。
以前に施設長さんと身体拘束について話をしたことがあるのですが、介護保険で禁じられている身体拘束を行わないのはもちろん、言葉による制限(「○○しないで」「ちょっと待って」など)も行わないように研修しているとのこと。
また、社会的なつながりを失うことも身体拘束と捉え、どうしたら、それまで送っていた「我が家の暮らし」が継続できるか、社会とのつながりを継続できるかに苦心していると聞きました。

身体拘束の禁止すら守れない介護施設がまだ多数ある中、レベルが違うとしみじみ感じました。

最後に、見学会に参加した方の感想を少し紹介しますね。

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ご主人のターミナルをここで迎えられた方が、ベッドにいても、天井の様や窓から風景が見えて良かったと言われたと聞き、納得できました。
介護が必要になったら移る、ベッドだけの四角い介護居室は、人間的じゃありません。
もし懐具合が許すなら、とんがり屋根の住居には、住んでみたいなと思えました。

感動したのは利用者様の穏やかな顔・・・。
いい顔をしていますね。
老人独特の臭いがない事に驚き!
環境や食べ物、やっぱり人ですね。

お金があれば、別荘として欲しい。
だれか買ってくれたら、遊びに行きたい。
サンビレッジは池田町の町興しですね。

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サンヒルズ・ヴィラアンキーノの連絡先は
住所/岐阜県揖斐郡池田町宮地1175
電話/0585-45-0760
ホームページ/http://www.shinsei-kai.or.jp/anki/

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戸建ての住宅型有料老人ホーム〜サンヒルズ ヴィラ・アンキーノ

明日行う予定の「有料老人ホーム見学会」。
行き先は、岐阜県の池田町にある「サンビレッジ宮地(サンヒルズ ヴィラ・アンキーノ)です。

ヴィラ・アンキーノは、全国でもあまりない戸建ての住宅型有料老人ホーム。
どんなところなのかについて、わたしが介護情報誌「ぬくぬく」6号で紹介した文章を引用します。

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サンヒルズ ヴィラ・アンキーノ
 住所/岐阜県揖斐郡池田町宮地1175

全国でも珍しい戸建タイプの有料老人ホーム「サンヒルズヴィラ・アンキーノ」は、濃尾平野を一望できる池田町の豊かな自然の中にある。

春には川沿いに桜が咲き、初夏には新緑の茶畑が目を楽しませてくれる。
敷地内には柿やいちじく、梅などの果樹が植わり、畑には季節の野菜が元気に育っている。
戸建て住居のまわりは四季折々の花や緑があふれ、澄んだ空気とどこまでも広がる青空に心が癒される日々。

入居者は散歩のおりに気に入った花やハーブを手折って持ち帰るのは自由。
また、果樹に実る果物や畑で収穫された野菜は、毎日の食事の一品に使われるほか、「おすそわけ」として入居者に配られ、食卓を彩る旬の味となるという。

こうした豊かな環境は、環境係という専属の職員によるもの。
季節ごとに敷地内の花を植え替えたり、畑で野菜を育てたりするスタッフがいるからだ。
花壇や畑を入居者が世話する施設は多いが、高齢化とともに荒れ果てるケースも多い。
花に囲まれた暮らしを提供するために、専従の「環境係」というコストをかけているのだ。
アンキーノでの心地よさは、こうしたちょっと見には気づきにくい高い専門性と理念に支えられている。

運営母体は、介護の質の高さで定評があり、羽田澄子監督の「安心して老いるために」という記録映画でも紹介された総合ケアセンター・サンビレッジ。
特養ホームで安心して最後まで老いる暮らしを支えてきた職員たちが、「元気なうちに選んで入れる施設がほしい」という思いから作ったのが、ヴィラ・アンキーノなのだ。

一番の特徴は、最後まで自由に気ままに暮らせるよう、プライバシーを確保できる戸建てという形をとっていること。
中は吹き抜けの天井があり、明るく開放的な雰囲気。
床暖房に、浴室、キッチンと設備も充実しており、夫婦でも1人でも、豊かに暮らせる第二の我が家だ。

介護が必要になった時のために、デイサービスセンター「ちゃぼぼ」とグループホームも併設されている。
ちゃぼぼはアンキーノの入居者の茶の間としても機能しており、手芸や陶芸、茶道、句会などを楽しむ場に。
その他に戸建ての共有スペースもあり、気のあった友人同士で食事をしたり、月に一度、板前の出張料理を皆で楽しんだりしているという。

「人としての尊厳」を常にめざすアンキーノには、それぞれの生き方を理解して支えるプロの介助者がいる。
介護が必要になっても安心といえる、数少ない有料老人ホームだ。

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明日の見学会は、アンキーノへの1年半ぶりの訪問となります。
どんなふうに進化しているのか、よく見てこようと思います。

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元気になる認知症ケア〜学習療法で脳の前頭前野を活性化「寺田ガーデン」

元気になる認知症ケア〜学習療法で脳の前頭前野を活性化「寺田ガーデン」
元気になる認知症ケア〜学習療法で脳の前頭前野を活性化「寺田ガーデン」
上の写真は、寺田ガーデンの外観。
下は、学習療法をしているところです。

だれにでもできる読み書きや簡単な計算で、脳を活性化し、認知症の改善をめざす「学習療法」。
岐阜市の寺田ガーデンでは、この学習療法を始めて5年になります。

使用しているのは、高齢者用に開発されたくもんの学習教材です。
読み書きと計算のプリントを各3枚行い、その後、数字が書かれた盤に同じ数字の駒を置くゲームをするという流れで、学習療法は行われています。

大切なのは、利用者がすらすらできるレベルの教材を使うこと。
大学の研究結果では、複雑な計算をしている時よりも、簡単な計算問題を解いている時や、声に出して文章を読んでいる時の方が、前頭前野を含む脳全体が活性化するのだとか。
認知症になると、脳の前頭前野の機能が落ちるので、ここを活性化することで認知症を改善する効果が期待できるのだと聞きました。

1回の学習は30分以内。1人当たり、週に3回が基本。
ですが、やりたくない時は無理強いせず、話をするだけでもいいそうです。
こだわっているのは、濃密な個別の対応時間を持つこと。
利用者と施設スタッフが1対1で向き合い、お互い腰を据えてじっくり取り組むことで、それまで全く話さない、字も書かないといった認知症の患者が、始めて1ヶ月で「これがわたしの生き甲斐なの」と、笑顔で話すようになったと、施設のスタッフが話してくれました。

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認知症の人を元気にするギャンブル療法

認知症の人を元気にするギャンブル療法
大府市にある老人保健施設「ルミナス大府」では、どんなリハビリを行えば、認知症の症状を軽くしり、状態を良くする効果があるかを試行錯誤しながら、さまざまなデイケアを行っています。

その中で、一番効果がでているのが
ギャンブル療法」。
ということで、実際にギャンブル療法を行っている現場を見学に行ってきました。

ギャンブル療法は、その名のとおり、カードゲーム(ブラックジャック)や麻雀などのギャンブルに参加することで、脳を活性化させ、元気になってもらおうという療法です。
ルミナス大府では、週に1度、認知症でデイケアに通ってきている人を対象に行っています。

面白いのが、ゲームの対価として、施設内通貨が用意されていること。
施設長の顔写真が真ん中にある、なかなか本格的な紙幣です。
(最初は市販のおもちゃの紙幣を使ったそうなのですが、参加者から不評で、もっとリアルな精密なものをと、独自の紙幣を作ったのだそうです)
1枚が日本円で10円に相当するということで、ギャンブルで稼いだ紙幣を使って、施設内の売店でお菓子などを購入できます。

わたしが見学に行った日は、男性は麻雀を、女性はブラックジャックを楽しんでいました。
脳梗塞の後遺症などで、身体にまひがある人は、指示して牌を並べてもらって参加していたのですが、だんだん勝負が白熱してくると、ふだんは動かない手が動き、牌を自分でとろうとするなど、気持ちが身体を動かす好例となることも。
ただ、ルールを知らないとできないため、麻雀を知っている人しか参加できず、メンバーが4人そろわなくて、施設の職員が混じってゲームをする日もあるようでした。

ブラックジャックの方は、簡単な足し算をして「21」に近づけるゲームなので、参加する人は簡単な足し算をしながら、カードをもらうかどうか決めなくてはなりません。
「もう1枚」と言って、カードをめくって・・・
「あぁっっ!ドボン(21を超えること)かぁ」と嘆息したり、
「やった!勝った」と喜んだり、
女性陣は賑やかに、ゲームを楽しんでいました。

ゲームが終わって、紙幣をたくさん儲けた人は、「これでなにか買おう!」とうれしそうに、連れだって売店に向かいます。
施設内通貨としての紙幣は、施設長が作っているのですが、この紙幣を売店で使う時には、施設長がその分の日本円をポケットマネーで支払っているのだとか。
にこにこしながら、「買って喜んでもらえるのはいいけど、こちらの懐は寂しくなるなぁ」と話す人柄の良さが、利用者の気持ちを明るくしているように思いました。

ギャンブル療法がどのくらい改善に効果が出るか、この施設では、3ヶ月に1回の割合でデータをとって調査もしているとのことですが、認知症の改善にははっきりした効果は出ていない(変化なしということですから、低下させないという意味では、効果が出ているのかもしれません)とか。
ですが、鬱(うつ)的な傾向は、明らかに改善。
(参加者は明るくなり、コミュニケーションがとれるように変わってきた)
身体機能的な面でも、少し改善するなど、認知症の人を元気にする効果は確かにあるようです。

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アパートの部屋を利用した住宅型有料老人ホーム

アパートの部屋を利用した住宅型有料老人ホーム
有料老人ホームの定義が変わり、1人からでも食事などの生活支援や介護を行う施設は有料老人ホームとして届け出をすることになったため、アパートの部屋で介護している有料老人ホームが増えています。

写真は、名古屋市名東区にある住宅型有料老人ホーム「エミサン名東南」。
ふつうのマンション(賃貸アパート)の部屋を借りて、介護が必要な高齢者を入居させています。

平成20年に開設した時には、アパートの1室に6人、計2室で12人定員でしたが、現在は借りている部屋が増え、定員29人に。
3階に4室(うち1室はリビング兼食堂として利用)、4階に2室。ほかに事務所として、5階の部屋を借りています。

中を見学させてもらうと、2DKの1室にベッドを6つ入れ、ベッドとベッドの間はカーテンで仕切っています。
(4人部屋の特別養護老人ホームのような感じですが、面積が狭いので、ベッドとベッドの間にはほとんど空間はなく、私物を置くスペースはあまりない印象でした)

生活空間が個室ではなく、雑居部屋なので、借りているアパートの部屋ごとに女性用、男性用と分けているようで、女性用の部屋にはまだ空きがあるという話でした。
(入居者はほぼ男性で、女性用の部屋は1室だけでしたが)

入居できるのは、要介護1〜5の人。
認知症で歩いて外に出て行く人の場合、スタッフの目が届かないので難しいようです。
(夜勤は1人で、すべての部屋を巡回しているとのこと。ナースコールはあるそうですが、階が違うために、すべての部屋のナースコールがきちんと機能しているわけではないそう。普通のアパートで複数の部屋を借りて営業しているため、難しいようでした)

利用料金は
○入居金/6万円
○月額/ 8万8800円(共用衛生費、日用品費は別途。介護保険の自己負担分も別にかかります)
オムツは実費負担。

パンフレットとしてもらった案内ちらしに
「生活保護受給者の方の入居もお断り致しませんし、入居金もいただきません」
と書いてありました。
居室の内容(ハード面)は、4人部屋の特別養護老人ホームよりも劣るという印象でしたが、借りる部屋を借りて定員数を増やしているということは、名古屋市内の特養ホームに入れない高齢者の受け入れ施設として機能しているのでしょうか。

「どんな方がお入りになりますか」
と質問すると
「病院にパンフレットを置かせていただいて、そこからの紹介で入る人が多いですね」
との答え。

有料老人ホームというと、お金持ちが入る豪華な施設という印象を持っている人も多いと思いますが、個室でなく、雑居部屋の有料老人ホームもあります。
貧困層(生活保護の人)をターゲットにした住宅型有料老人ホームも増えてきているようで、内容の公開やチェック機能が求められていると思いました。

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日進市に新しくできた住宅型有料老人ホーム「すまいるハッピー日進」

日進市岩崎町に去年の秋にオープンした、住宅型有料老人ホーム「すまいるハッピー日進」に、見学に行ってきました。
(すまいるハッピー日進のホームページは以下をクリック)
http://www.smilehappy-nissin.com/

場所は、北高上バス停の向かい。
大きな道路に面した、新築の2階建てです。
駐車場と玄関は大きな道路側ではなく、裏手にあるので、ぐるっと回る形になります。

居室は22室。
ほぼ寝たきりの人が入居対象とのことで、廊下には手すりはありません。
居室は全室個室で、居室の広さは9㎡と、かなり狭く感じます。
居室内にあるのは、手洗いのみ。
小さなキッチンやトイレなどの設備はなく、空き部屋を見ると、小さな箱という印象。
運営している会社は(有)オオツカという、訪問介護・通所介護・福祉用具レンタル・ケアプラン作成をしている所なのですが、その関連事業所からレンタルしたベッドを置くと、居室はほぼいっぱい。
病院のベッドの横についているような小さな台の上にテレビを置いて、車椅子に座ってテレビを見ている方が大半のようでしたが、ベッドと車椅子、小さな台を置くだけで、他の家具などを持ち込むスペースはほとんどないように思いました。

お風呂は、寝たままで入る寝浴の機械浴槽のみ。
入浴は週に2回。(希望があっても、今はスタッフの人手の関係で週2回までとのこと)
車椅子に座ることができる人も、寝浴の機械浴に入るそうです。
(ふつうの個浴のお風呂はありません。もちろん居室内にもなし)
食事をとる食堂は1階にあり、そこの厨房で食事を作っていますが、現在、1階の居室には入居者はいないので、食堂は使わず、2階のスタッフ控え室で食事をとっているという説明でした。
トイレは居室内にはなく、フロア共用のトイレが2つありました。
(2階は、居室16に対してフロアにあるトイレが2つ。数が少ないのは、寝たきりの方を対象にしているからかもしれません)

気になったのは、玄関にいきなり段差があったこと。
「散歩など、外出はしていますか」
と聞いたところ
「気分転換に、外にちょっと出るくらい」
という答え。
一段ですが、高さがあるので、車椅子では、ガタンとなるのではないかなと思いましたが、「大丈夫ですよ。上手に介助しますから」とのこと。
ただ、車椅子に乗って自走で出ようとしても、あの段差があると怖くて自力では外出できないのではないかなという感想を持ちました。
入居者が自由に外に外食に行ったり、買い物にでかけたりということは難しそうだなという印象でした。

くわしい介護内容や提供サービスが知りたくて、「重要事項説明書をください」とお願いしたのですが、「重要事項説明書を渡すのは契約時。前もって渡せない」とのお答え。
重要事項説明書は見学者の希望に応じて渡さなくてはならないと、県の監査が指導しているはずですが、渡してくれない施設はここだけではありません。
情報開示が求められているのに、事業所の自主性に任せていては難しいのかなと、考えてしまいます。

料金表はもらえたので、利用料金について転記しますね。
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【すまいるハッピー日進 料金表】
○入居金/11万1千円
○月々の費用/9万1950円
 (内訳)家賃 3万7千円、食費 2万1千円、水道光熱費 1万5百円、管理費 2万3450円
○その他の費用
 ・介護保険、医療保険の利用者負担金
 ・リネン、クリーニング代金 6000円
 ・おむつ代 2万2500円

入居問い合わせ先
 住宅型有料老人ホーム すまいるハッピー日進
 日進市岩崎町北高上133番地  電話/0561-74-7177
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ここに限らず、住宅型の有料老人ホームは、介護については外部サービスを利用するということになっているため、介護内容についてのチェックは県の実地指導では行いません。
適切な介護が行われているかどうか、日進市の介護保険課で個々の入居者に対してケアプランチェックをする必要があるように思いました。

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小牧市内の住宅型有料老人ホーム訪問記/風の家、ボンセジュール小牧

小牧市内には、住宅型有料老人ホームが3箇所あります。
そのうち、「サントピア小牧」はアンケートと訪問調査に応じてくれたのですが、「風の家」と「ボンセジュール小牧」は、アンケートへの回答がありませんでした。

アンケート回答がなかった施設についても、訪問してパンフレットと重要事項説明書をもらいに行くことにしています。(その時に見学もお願いして、できれば中を見てきます)

というわけで、アンケート回答がなかった2施設も、午後から訪問してきました。
どんな様子だったか、訪問順に報告します。

【風の家】
民家を改築した住宅型有料老人ホームで、入居定員は6人。
場所がかなりわかりにくくて、電話で聞きながら行ったのですが、大通りから細い道を中に入っていって、里山のような森(?)の中にありました。
すぐ手前に、認知症高齢者のグループホーム「安心樹(やすらぎ)」があります。
運営主体は、このグループホームを運営している「介護支援センターやすらぎ」です。

50代の落ち着いた男性(施設長さん)が、電話の時から対応してくださったのですが、その話によると、「風の家」はつい最近、運営主体が変わったそうで、そのためにアンケートの回答がなかったよう。
(前は個人の方が「見守りつき住宅」として運営していたそうです)
改めて、アンケートに協力いただけるよう、お願いしました。

風の家は、もとが普通の家ですから、中は家庭的な雰囲気。
キッチンとつながった居間に通されましたが、キッチンで食事を作る香りがしてきて、ただ座っているだけで、くろげる雰囲気だと感じました。
2階建てですが、災害時に2階からも車いすで避難できるよう、2階からゆるやかなスロープが外につながっています。

入居の条件は、要介護1以上であること。
年齢制限は特になく、若年性認知症の方も受け入れるという話でした。
いま入っている入居者6人は、すべて要介護4・5の重度の方ばかり。
経管栄養の人も入居しているということでした。

居間に、車椅子の入居者さんがいらっしゃって、食事介助の様子も見ることができたのですが、とろみをつけて食べやすくした食事(ふつうに家で食べるようなメニュー。この日は、食べやすく小さめにした鶏の唐揚げ、野菜のあんかけ、コーンスープ、ご飯でした)を、介護スタッフが横に座って、ゆっくり口に運んで食べてもらっていました。
こうしたゆったりした介護ができるのは、入居者が6人と少ないわりに、介護スタッフが多いから。
夜間もスタッフが1人泊まって、24時間で介護しています。
(特別養護老人ホームだと、夜間は20〜30人にスタッフ1人ですから、比較すると手厚さがわかります)

居室はプライバシーの関係から見ていませんが、居室内にはミニキッチン、冷蔵庫、洗面、収納、テレビがあって、電話の設置もできるとのこと。
トイレは共用部分にあります。

金額は
○入居一時金
 100万円(3ヶ月以内は全額返却、3ヶ月後は、1〜7ヶ月まで10万円、8〜12ヶ月まで6万円ごと償却)
○月々の利用料
 18万2千円(家賃6万円、食費4万5千円、水道光熱費1万5千円、日用品費2千円、管理費6千円) + 介護保険の自己負担分(1割)

運営しているシルバーサービス株式会社は、ヘルパーステーションやケアプランセンターも持っていますが、ケアマネジャーは前からのケアマネさんでもいいとのこと。
ヘルパー事業所も、自社だけでなく、ほかからも自由に選べるというお話でした。


【ボンセジュール小牧】
最後に、訪問したのが、ここボンセジュール小牧。
ですが、残念ながら、施設長さんにお会いすることも、中の見学もお許しいただけませんでした。
(施設内に施設長はいらっしゃったのですが、受付で名刺を出して訪問の主旨を話し、取り次いでもらった結果は、「お断り」。見学も「お断り」という、残念な結果でした)

パンフレットのほかに、重要事項説明書も受け取りたいと申し出たのに、「いったい何に使うんですか?」と言って、すぐには渡してくれなかったりと、情報公開に対しては非常に消極的な施設のようです。
(重要事項説明書は、希望者に手渡すように県の監査が指導しています。渡さない場合は、監査時に指導対象となります)

というわけで、見ることができたのは、外観のみ。
大型の高級マンションといった、堂々とした外観で、ちょっと圧倒されました。

ここからは、重要事項説明書からの施設概要です。

開設/平成20年10月1日
構造/鉄骨鉄筋コンクリート造地上10階建て
総戸数/123戸
定員/130名(夫婦室7部屋)
居室面積/23.2〜72.95㎡

一般居室と介護居室があり、介護が必要になった場合は、介護居室に住み替えをするようです。

気になったのは、開設後1年たっているのに、入居率が23.1%しかないこと。
今年の8月1日時点で
 自立…8人、要支援1…1人、要支援2…5人、要介護1…3人、要介護2…2人、要介護3…6人、要介護4…3人、要介護5…1人

利用金額は
○入居一時金
 一般居室/1人入居…800〜820万円、2人入居…2280〜2390万円
 介護居室/1人入居…539〜631万円、2人入居…1080〜1110万円
○月々の利用料
 一般居室…10万9680円〜22万9080円(管理費5万7750円、食費5万1930円、家賃0〜11万9400円)
 介護居室/13万680円〜20万9380円(管理費7万8750円、食費5万1930円、家賃0〜7万8700円)

入居一時金が高額なのに、介護が必要になったら、介護居室に住み替えを求められるというのが、一番気になります。
介護居室に移ると、部屋は狭くなりますし、中に備え付けてある設備も変わります。
何より、引っ越し(環境の変化)は高齢者にとってダメージとなります。
自宅として入る住宅型有料老人ホームなのに、なぜ居室替えが必要になるのか、不思議でなりません。

今回は話を聞くことはおろか、見学もさせてもらえませんでしたが、また機会を見つけてお願いしてみようと思います。


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小牧市内の住宅型有料老人ホーム訪問記/サントピア小牧

介護施設と地域を結ぶ市民の会では、愛知県内の住宅型有料老人ホームの訪問調査に取り組んでいます。

訪問は基本的に2人1組で。
訪問希望が重なった場合は、3人で訪問することもあります。
今日は、小牧市内にある住宅型有料老人ホーム(全部で3箇所あります)を訪問しました。
訪れた順番に、紹介しますね。

【サントピア小牧】
訪問調査の前段階として、県内にあるすべての住宅型有料老人ホームに、アンケートを送っています。
サントピア小牧は、このアンケートに回答して返送してくれ、なおかつ、施設長との面談もOKしてくれた、情報公開に前向きな施設です。

開設した母体は、介護センターはなたば。
訪問介護、訪問入浴、デイサービスのほかに、介護付有料老人ホーム(春日井市・サントピア勝川)、高齢者専用賃貸住宅(小牧市・サン小牧)も運営しています。

サントピア小牧は、住宅型有料老人ホームです。
2階建て、定員27人の小さめな施設。
入居条件は60歳以上、要介護の人のみ。元気な自立している高齢者や要支援では入れません。
医療行為が必要な場合、在宅酸素、インシュリン、人工透析は対応できますが、経管栄養や痰の吸引は今のところ受け入れていないとのこと。

部屋はすべて個室で、18.3㎡と小さめ。
居室内にはトイレ、洗面(ドアではなく、カーテンで仕切って居室内にある)があり、介護ベッドはレンタルできます。
エアコン、照明器具、カーテンはついています。
緊急通報用のボタンと、スプリンクラーも居室内にあります。
(安全確認のため、見回りは頻回に行っているとのことです)
収納用の家具類はなにも備え付けていません。「自宅で使い慣れた家具を持ち込んで欲しい」というお話でした。
冷蔵庫やテレビの持ち込みはできますが、専用の電話回線は引けません。

共有スペースは1階の食堂のみ。
食事は厨房スタッフが3食作ります。
食費は1日1720円。一食ごとに注文でという形ではないため、外食や出前、自分で作るという選択は基本的にありません。
お風呂は、月、水、金の週3回の固定。
毎日入りたくても、入浴日は固定で個別対応はなし。
浴槽は、個浴が2つ(ひとつは檜風呂)と、寝たまま入れる機械浴があります。
外出も個別の希望には対応しておらず、生活の楽しみというよりは、介護に特化した施設という印象を受けました。

入居者の平均要介護度は、2〜3。
認知症の入居者が多いとか。
2階の階段は閉鎖(スタッフのみ使用)。エレベーターのみ使用するとのこと。
話の中では、「基本的に玄関の施錠はしない。玄関付近に介護スタッフがいない時だけ、鍵をかける時もある」と聞きましたが、実際に帰りに玄関に行くと、中扉に鍵がかかっていました。

対応してくださったのは、25歳という若い男性の施設長さん。
(かなりのイケメンで、施設内をぐるっと一緒に回った時に、入居者のおばあちゃんたちと笑顔で話す様子が、とてもいい雰囲気でした。)
前職は、介護センターはなたばの訪問入浴を担当していたとのこと。
食事やお風呂を楽しんでもらうことを重視していると話してくれました。

気になる金額ですが
○入居時
 32万円(入居契約事務費20万円、敷金12万円)
○月々の費用
 15万5千円(家賃6万円、管理費4万5千円、食費5万円)+介護保険利用料の1割

住宅型有料老人ホームの場合、自宅で介護を受けるのと同じように、ケアマネジャーが個別のケアプランを作って、必要なヘルパーやデイサービスなどを使えるように支援するのですが、どうしても要介護度が高くなれば、限度額を超えてしまいます。
自宅の場合は、この超えた分の介護を家族が担っているので、この施設では超えた分がさらに追加料金になるのかと聞いてみましたが、超えた分はスタッフが無償で介護しているとのこと。
そのかわり、ケアマネジャーも使う介護サービス事業所も、サントピア小牧で指定している自社のものを使うことが条件となります。

利用する人にとっては、費用負担が少なくて済むのでいいようにみえますが、介護保険制度の基本である、選択の自由がなくなるわけですから、問題だと思います。

サントピア小牧の場合、実態は介護付き有料老人ホームですから、「住宅型」でなく「介護付」で県に登録する方がわかりやすいのにと思いました。
施設長さんによれば、「住宅型にしたのは、小牧市の意向から」とのこと。
施設でなく、在宅を重視したいという市の方針で、住宅型にしたという説明でしたが、なんとなく腑に落ちません。

在宅で、ということであれば、施設内(同一法人内)で介護サービスを丸抱えにするのでなく、入居者ひとりひとりの希望にそって、自由に介護サービス事業者を選べるようにすべきです。
こうした「見かけだけ」住宅、実質は「介護施設」という住宅型有料老人ホームは、ここだけではありませんが、住宅型有料老人ホームにすると介護の中身については、市や県の指導監査が入らないのが、一番の問題。
介護サービスが一律固定されている住宅型有料老人ホームは、「介護付」として登録しなおし、情報の公表制度や、行政の指導監査がきちんと入るようにできないものかと思いました。

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住宅型有料老人ホームは千差万別〜ただいま訪問調査中!

「介護施設と地域を結ぶ市民の会」で取り組んでいる、住宅型有料老人ホームの訪問調査。
先日、行われた定例会で、訪問に行った会員から報告および意見交換を行いました。

住宅型有料老人ホームアンケートの回収結果は以下のようです。
アンケート発送数   68施設
アンケート回答数   25施設(36.7%)
そのうち面談可施設  17施設

現在、10~12月にかけて、面談可施設への訪問を行っています。

それにしても、定例会での中間報告でわかったのが、住宅型有料老人ホームと一言でいっても、その内容は非常にばらばらで、千差万別なこと。
入京一時金が2000万円をこえる高額の老人ホーム(料金が高いから質も高いというわけではありませんよ)から、アパートの2室をつなげた形で運営しているところまで、本当にさまざま。
古い民家の部屋をベニア板で仕切って個室にし(とうぜん、音は丸聞こえです)、入り口にチェーンロックをしている住宅型有料老人ホームもありました。

傾向として分かってきたのが、入居一時金が高額で、(それなのに)最後までは暮らせない(介護度が重くなったり、医療支援が必要になれば退去を求められる)住宅型有料老人ホームは、人気がないということ。
半数近くが空いている施設もありました。

逆に人気が高い(入居が満員)なのは、医療的な措置が必要(経管栄養、気管切開など)になっても住み続けることができて、入居一時金が50万円ほどのところ。(月々の費用は20万円くらい)

会員からも、「いざという時の安心がほしいのに、介護度が重くなったら出なくてはいけないようでは、入居しても安心できない」という声があがっていましたが、同じように考える人は多いようです。

わたしが先日、訪問したのは、アパートの部屋を2つ借りて運営している、住宅型有料老人ホームでした。

入居定員は7人という小さなところで、全員が介護保険を利用して介護を受けています。
2つの部屋は、ベランダの仕切り扉をはずして、ベランダから行き来できるようになっています。
認知症の入居者も複数いて、「目を離したすきに外へ出て行ってしまうから」という理由から、片方の部屋の玄関扉は、イスを積み上げて封鎖してありました。
本来の玄関扉が使えないため、入居者の部屋が通路も兼ねています。
目が離せない入居者は、食卓兼リビングのすぐ横の部屋にベッドを並べて寝てもらっています。
個室というには無理な状態。
入居一時金は0円で、月額利用料は10万5千円(この他に介護保険の自己負担1割分が必要)と、有料老人ホームにしては安いのですが、プライバシーはほとんどなさそうです。
費用が安いのは、同じ法人内の訪問介護(ヘルパー)を使うことを条件としているから。
介護保険の費用を有料老人ホームの運営費にあてるため、月10万5千円というのは要介護3以上の方のみ。要介護1〜2の場合は、基本料金をこえた自己負担が必要となるという説明でした。

介護方針や介護のしかたに格別に問題があるとは思わなかったのですが、特別養護老人ホームで受けられる介護内容や環境に比べると、月10万5千円(+介護保険の1割負担金)という料金は高すぎます。
(公的施設として税金が投入されている特養ホームが、税金が入っていない民間の老人ホームより内容が保障されているのはあたりまえかもしれません、この指摘はあえて、です)
特養ホームに入れないから、こうした環境の有料老人ホームでも、入居希望者がいるわけです。
しかし、どう考えても公平なこととは思えない。
でも、これが、いまの日本の介護の現実です。

住宅型有料老人ホームの実態については、今後も訪問調査を続けていきます。
続報は随時、このブログでも紹介します。


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