認知症になっても安心して暮らせるまちづくり

若年性認知症を支える愛知県での取り組み〜本人交流会「元気かい」

若年性認知症への支援のヒントをもらおうと、10月1日から始まった「若年性認知症無料電話相談」を実施している、認知症介護研究・研修大府センターに行ってきました。
(「若年性認知症の無料相談電話がスタート」もご参照ください)

無料電話相談には、全国から相談が寄せられ、今月の1日に始まってから今日(10/23)までに、約300件の相談があったそうです。
驚いたのは、若年性認知症(かもしれない)本人からの相談が、3分の1を占めていたということ。
もちろん、その全員が若年性認知症というわけではなく、過剰に心配して電話をしてきた人も入っているのですが、大府センターのスタッフも「予想以上に本人からの相談件数が多かった」と話していました。

若年性認知症への支援の取り組みは、まだまだ始まったばかりで、足りないことがたくさんあるのですが、本人の思いや願いを聞く取り組み(本人交流会)が各地でスタートしています。

愛知県では、2008年から、認知症介護研究・研修大府センターと認知症の人と家族の会・愛知県支部との共催で、若年性認知症の本人と家族の交流会が始っています。
会場は、東海市しあわせ村。
軽度の人を対象に、毎月、第2土曜日の午後1時半〜4時に行われています。
これからの予定は、認知症の人と家族の会・愛知県支部ホームページ
http://www.hearttoheart.or.jp/kazoku/ に掲載されています。

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元気かい(若年認知症交流会) ご本人・ご家族対象
12月12日(土) 13:30~16:00
 2月13日(土) 13:30~16:00
 3月13日(土) 13:30~16:00
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認知症の人を支えるためには、ご本人の思いをよく聞くことが何より大切だと思います。
またご本人にとっても、同じ病気と闘っている仲間と交流することは大きな支援につながります。

本人交流会の取り組みが、もっと身近な地域で広がるようにしていければと思います。

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若年性認知症の無料相談電話がスタート

65歳未満で発症する若年性認知症の本人や家族を支えようと、愛知県大府市の認知症介護研究・研修大府センターで、「若年性認知症無料電話相談」が始まりました。

-------------------------(ここから引用)-----------------------
「若年性認知症」無料の電話相談
大府でスタート

65歳未満の「若年性認知症」に対する無料電話相談が10月1日、始まった。
全国唯一で、愛知県大府市の認知症介護研究・研修大府センターに設けられたコールセンターで専門の相談員が対応する。

厚生労働省の委託事業。
若年性認知症の場合、患者が一家の大黒柱だったり、親の介護をしていたりする世代が多く、家族への負担も大きい。
コールセンターでは本人、家族、職場や地域の人からの相談を想定。
最適な診察機関や利用できる介護保険制度などを紹介する。
相談員は看護師、社会福祉士らで3ヶ月の訓練を積んできた。

利用は月曜から土曜日(祝日、年末年始を除く)の午前10時から午後3時まで、コールセンター=電話0800-100-2707=へ。

(中日新聞/2009年10月2日)
-----------------------(引用ここまで)-------------------------

若年性認知症は、全国で現在、約3万8千人の患者がいると推計されています。

NHKのニュースによると、若年性認知症コールセンターには3台の電話が据えられ、初日の1日だけで、全国から240件を超える電話があったとか。
相談窓口が公的に設置されたことは、支援の第一歩ですが、各地に受け皿となる支援体制が作られていなければ、実効性のある解決策に結びつくか難しいところがあります。

若年性認知症は、発症年齢が若いということだけで、通常の認知症と医学的には同じとされていますが、子どもがまだ小さな働き盛りに発症することから、高齢者の認知症とは違う支援が必要になります。

どんな問題があるのか、把握するために、厚生労働省や東京都が調査を行っています。

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若年性認知症、推計3万7800人…厚労省研究班調査

新年度から本格支援
65歳未満の現役世代が発症する若年性認知症の人が全国で推計3万7800人に上ることが19日、厚生労働省研究班の調査でわかった。

若年性は働き盛りなどに発症するため、失業や経済的困難に結びつくことが多い。
同省は新年度から、各地に支援担当者を配置するほか、就労支援や相談窓口の開設などに力をいれていく方針。

調査は2006~08年度に、茨城、群馬、富山、愛媛、熊本県で実施した。
認知症の人が利用する可能性がある医療機関など約1万2000か所に、患者の有無や病名などを尋ねたほか、介護者の家族会に生活実態などを聞いた。

5県で把握された人数は、約2000人。
これをもとに全国では約3万7800人と推計した。
1996年度の前回調査では、約2万5600人~約3万7400人と推計されていた。

18~64歳の人口10万人あたりで見ると、男性が57・8人、女性が36・7人。
推定発症年齢は、男性が平均51・1歳、女性が同51・6歳だった。
原因は、脳血管性認知症が39・8%と最も多く、アルツハイマー病(25・4%)、頭部外傷の後遺症(7・7%)がそれに続いた。

若年性認知症の人を介護する87家族に生活実態を聞いたところ、介護者の約6割が抑うつ状態と判断されたほか、約7割の家族で収入が減っていた。

(2009年3月20日 読売新聞)
-----------------------(引用ここまで)-----------------------

東京都が実施した「東京都若年性認知症生活実態調査」の概要は、こちら。
 東京都若年性認知症生活実態調査の結果(概要)
 http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2008/10/DATA/60iag100.pdf

上記の調査によると、
若年性認知症だと気づくきっかけになった本人の変化は
日常生活で
①新しいことを覚えられなかったり、少し前のことを忘れるようになった(76.1%)
②考えるスピードが遅くなったり、同時に2つ以上のことを考えられなくなった(41.3%)
③電話の応対ができなくなった(39.1%)
④同じものを買ってくるようになった(39.1%)
⑤買い物で料金が払えなくなった(30.4%)
⑥親戚や友人などが、様子がおかしいと連絡があった(26.1%)
⑦同じ料理を作るようになった(17.4%)

勤め先で・その他
①勤務先から様子がおかしいと連絡があった(19.6%)
②伝票など書類の処理ができなくなった、計算ができなくなった(13.0%)
③打ち合わせなどに来ないことがあった(10.9%)
④本人が対応して、取引先などから苦情がきた(8.7%)

調査結果を見て一番驚いたのは、若年性認知症になる年齢。
推定発症年齢は、男性が平均51・1歳、女性が同51・6歳
というから、45歳のわたしも、いつ発症してもおかしくない。
40代や50代で認知症になると、本人も家族もかなりのショックを受けるだろうと思います。

若年性認知症は進行度合いが高齢者に比べて早いと言われていますが、心理的なショックの大きさや、突然、仕事や居場所を失ってしまうことによるストレスの激しさから、認知症の進行が激しくなっているのではないかと推測しています。

本人や家族を、どう地域で支えていくのか、真剣に考えていかなければと思っています。

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認認介護の悲劇を周囲の気づきで防ぐ

高齢者のみの世帯が増える中、介護する側もされる側も認知症という「認認介護」が増えてきている。
昨日の中日新聞でも、認認介護の問題を取り上げていた。

------------------------(ここから引用)---------------------

介護者の認知症 周囲の早い気づきで長く一緒の生活を

高齢者世帯の「老老介護」が増える中、介護者自身が認知症を発症してしまうケースが増えてきた。
世話をする側もされる側も認知症という「認認介護」もしばしば見られる。
介護者は自分の問題を認めない傾向が強く、周囲の早い気づきが大切だ。

愛知県内の有料老人ホーム。
入居したばかりの老夫婦が、ホームの職員や娘夫婦と一緒に生活の打ち合わせをしていた。

八十代の夫は、心臓疾患などで車いすの身。
長年介護してきた妻は、スタッフたちと笑顔であいさつをしたり、席を勧めたり…。
家事を一手に支えてきたしっかり者の妻だが、認知症が進行している。

「五、六年前から、あれ? 何かおかしいね、って感じになってきたんです。同じ食材をたくさん買って冷蔵庫がいっぱいになったり、味付けが変になったり…」と娘。
本人には、認知症の自覚は今もない。
在宅介護サービスを受け、娘が約一時間かけて世話に通うなどしてやりくりしてきたが、火の始末も難しくなり、夫と娘が説得して入居を決めた。
      ◇
厚生労働省の国民生活基礎調査(二〇〇八年)によれば、六十五歳以上の高齢者だけで暮らす世帯は、九百二十三万七千世帯と、二十年間で約三倍に増えた。
また、家族で介護をする世帯のうち34%は介護者が七十歳以上だ。

同県東海市で在宅医療に携わる内科伊藤医院の伊藤光保院長は「介護者の認知症は、五年ほど前からよく見聞きするようになった。介護される人の栄養面で問題が出たり、褥瘡(じょくそう)ができやすくなったり、薬の管理が難しくなりがち。でも、本人は『自分でやれる』とヘルパーを入れるのに抵抗したりする」と話す。

介護サービスを受けることに了解が得られた場合でも、認知症対応のグループホームは夫婦での入所は難しい。
デイサービスや短期入所、在宅介護などを組み合わせた小規模多機能ホームは、夫婦での短期入所など融通が利きやすいが数が足りない。
有料老人ホームは経済的に余裕のある夫婦に限られる。
要介護の人を施設入所させ、介護者に在宅サービスを提供するなど、夫婦を切り離すケースが多いという。

認知症の専門医で国立長寿医療センター包括診療部長の遠藤英俊医師によれば、認知症患者が通院するうちに配偶者も認知症になるケースは10%程度あり、「認認介護」が珍しくはないことをうかがわせる。

援助のポイントは「息子、娘」と「ケアマネジャー」。
別居の両親を気遣い、状況を理解して、介護サービスを受けるように勧めるのが子どもの役目。
ケアマネジャーは、部屋が汚れている、世話がおろそかになったといった変化を察知し、認知症を早期発見することが求められる。

「夫婦を施設と在宅に分けたりすると、両方とも悪化してしまうことが多い。一日でも長く二人一緒に暮らせるように、介護者の負担を減らし、家族や地域の協力を高めていくことが大切」と呼び掛ける。

また、介護者がサービスを拒絶する問題について、高齢者の権利擁護に詳しい矢野和雄弁護士(名古屋市)は「以前なら行政が強制的に措置していたケースでも、介護保険制度の中では、本人が申請をしないとサービスが受けられない」と指摘。
「地域包括支援センターがもっと力を発揮して、本人任せにしない体制をつくることを考えていく必要がある。後見人が意思決定を代行する成年後見制度も、活用してほしい」と話す。

中日新聞Web 2009年9月17日
--------------------------(引用ここまで)----------------------

認認介護は、食事がきちんと摂れないなど不適切な介護につながったり、時に虐待やふたりで孤独死という最悪の結果を招くことがある。

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認知症妻が認知症夫を殺害 「認認介護」が突きつける現実
http://www.j-cast.com/tv/2009/03/04037059.html

仲がよいことで知られていた富山県のある夫婦。夫が認知症となり、妻は献身的に介護していたが、自分も認知症になってしまった。症状は悪化し、近所の人の話では、日時や曜日の感覚もなくなってしまっていた。そんな妻はオムツを替えるのを嫌がる夫を叩き続けて、死なせてしまった。しかし、本人は叩いたことを覚えておらず、なぜ夫が死んだのかも理解できない状態だという。

認認介護 という言葉を知っていますか?
http://www.news.janjan.jp/living/0811/0811191899/1.php

現在、団地の棟の管理をしているが、今年の8月の猛暑時、かねてからご夫婦とも軽い認知症なのかなと思っていたが、そのお宅の向いに住んでいる方から「奥さんの様子がおかしい」との連絡があった。行ってみると、言動に脈絡がないため、救急車を呼んだ方がいいと判断し、通報した。確認のため、なんとか説得し、室内に入ってみると、既にご主人は亡くなっていた。
不審死として司法解剖。所轄署からすぐに連絡があり、「死後3日」で「あまりに何もなさ過ぎ、室内がきれい過ぎるのが不思議だ」と刑事の話。実際、冷蔵庫の冷凍室にアイスキャンデーが1本あるだけだった。奥様もその間、水以外何も摂っていなかったようだ。
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認認介護の問題は、NHKも何度かとりあげていた。
ゲストとして招かれた永田久美子(認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹)さんが、「認認状態では、お互いの認知症の進行で、生活状況が急変(悪化)してしまう。自分から適切なSOSも出せない」と問題を指摘していた。

団地の管理人が異変に気づいたケースでは、残された妻は急激な精神的ショックで食べることを忘れ、健康状態も体力も落ちたことで一層、認知症が進行したとのことだが、なんとかグループホームでケアを受けているとか。
でも、気づかなければ、ふたりで孤独死に至る可能性もあったわけで、周囲が早く気づくことがどんなに大切かが胸に迫る。

認知症サポーターの養成講座はあちこちで開かれ、全国で100万人の目標も達成されたが、認知症のことを知ったサポーターが、なにをするかという第2段階に早くうつる必要があると思う。
自分たちのまわりの認知症の方々に気づき、危険な状態になる前に、地域包括支援センターにつなげる体制をつくらないと、大変なことになるかもしれない。

認認介護は、もはや珍しくない。
身近な場所で介護をめぐる悲劇がおこる前に、できることから始めなければと思う。

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東郷町・三好町キャラバンメイト養成研修がありました

認知症になっても安心して暮らせるまちをつくっていくために。
平成17年度から、厚生労働省は「認知症を知り地域をつくる10カ年」キャンペーンをスタートしています。
認知症になっても、家の中や介護施設に閉じこもらず、まちの中であたりまえに暮らしていくためには、何より大事なのは、地域の人の理解。
そのために、市町村や県で養成しているのが、認知症のことを理解し認知症の人を支える「認知症サポーター」です。

表題の「キャラバンメイト」とは、認知症サポーターを育てる養成講座の講師役のこと。
認知症サポーターをたくさん育てるには、講師役となるキャラバンメイトを増やさなければ、ということで、今日、東郷町・三好町キャラバンメイト養成研修が実施されました。

参加者は、東郷町・三好町を合わせて48人ちかく。
今日の研修前には、キャラバンメイトは東郷町に7人、三好町に6人だけだったので、一気にキャラバンメイトが増えることになります。

研修の最初には、三好町の町長から
「高齢化が進む中、認知症サポーターを1人でも多く地域に増やすことが、これからの重要な政策となります。東郷町と三好町が合同研修を行うというのは、初の試みですが、この地域を核として、認知症を支える動きが広がっていけば、いうことはありません」
とあいさつがあり、行政として認知症の支援をすすめていくという意気込みを感じました。

研修は、午前中は、名古屋大学医学部老年科の大西丈二先生による「認知症の基礎地域」の講座。
午後は6人ほどのグループに分かれての、グループワークなどがあり、1日みっちりというスケジュールでした。
わたしが参加していたグループには、地域の特別養護老人ホーム相談員、訪問看護ステーションの看護師、もと地域包括支援センターの職員、民生委員など、多職種の方が集まっており、それぞれの立場から認知症への支援方法などを話し合うのは、いろいろな発見もあり、たいへん勉強になりました。
(わたしは、認知症グループホーム・小規模多機能居宅介護の「外部評価員」として参加)

1日の研修を終えて、特に印象に残ったのは
「認知症予防はまちづくり」
という大西先生の言葉でした。

認知症は病気ですが、認知症が悪化しないようにするための方法がいろいろあります。
研究結果として、認知症予防に効果があると認められているのが、
①運動
②計算(学習療法)
③音楽(楽器演奏)や回想法

なのだそうです。

なにより、大事なのは
その人が好きなことを、のびのびと楽しくやる → 自己効力感を高める
ということ。
認知症予防は何年も続けられることが大切なので、病院や介護施設だけが取り組むのでなく、地域の中にさまざまな居場所があり、そこで認知症の人も地域の人と一緒に楽しむことが大事。
だからこそ、「認知症予防はまちづくり」という発想で取り組まなければいけないとのお話でした。

認知症になっても、まちの中で、人として支えられる。
そんなまちづくりが必要なのだと実感しました。

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成年後見人に市民の力を〜東大と筑波大学で始まった「市民後見人養成プログラム」

認知症などで判断力がおちてきた時に、本人に代わって権利や尊厳を守る「成年後見人」。

親族以外の第三者が、後見人になるケースが少しずつ増えていますが・・・。
そこで、問題になってくるのが
いままで成年後見人を担ってきた専門家の不足。
弁護士・司法書士・社会福祉士などが、おもに第三者の後見人として活動しているのですが、
高齢者の増加スピードを考えると、今後、足りなくなってくるのは必須のよう。
これを補うために、いま、注目されているのが
ボランティアの市民後見人 です。

市民後見人の養成は、これまで一部の自治体でそれぞれ自主的に行われてきました。
(プログラム内容は個々バラバラで、修了後に市民後見人として活動を始められるまでに育つかどうかも、いろいろだったと思います)

そんな状況の中、東大と筑波大学が、今年から「市民後見人養成プログラム」をスタートさせました。
これは、文部科学省の委託事業「社会人の学び直し」(2年間)として行われるもの。
これまでの市民養成講座と比べて、中身も規模もバージョンアップしており、125時間のプログラムを9ヶ月かけて学ぶという本格的な講座です。

目的としてオフィシャルホームページのトップに掲載されている文章を、紹介します。

------------------------(ここから引用)-------------------------
本事業では、金融・住宅・医療など後見業務に関連する業界を退職した元気シニア、介護や子育ての経験を持つ主婦を主な対象に、市民後見人養成講座を実施します。また、その流れを全国の大学等に訴求していきます。さらに、福祉型信託の概念を活用し、修了者の後見活動を総合的に支援する事業を試験的に行っていきます。

これにより、元気シニアや主婦の能力を社会化できる、福祉契約等に関する共助の仕組みができる、市民後見人の『眼』を通し高齢者や障害者に対するサービスの質が向上する、地域における大学等の具体的役割が継続的に創出される、という各種効果が期待されます。

市民後見人として活躍することをお考えの方、市民後見活動を応援することをお 考えの方は、是非、市民後見人養成講座を受講して下さい。そこにある“やりが い”は、他に代え難いものであることがお分かりになると思います。
--------------------------(引用ここまで)---------------------

すでに3月から1期生300人が学び始め、7月には2期生が、11月には3期生がスタートする予定。
2年間の講座が終わった後には、市民後見人の養成講座プログラムを標準化し、全国の大学で開講できるようにしたいという意向も。
修了生が実際に後見活動を行えるように、仕事の斡旋や相談業務を行う「市民後見センター(仮称)」の成立も目指しています。

市民後見人で不安材料とされる財産管理の適正化(不正防止)についても、被後見人の財産を一括管理する法人を設立して、福祉型信託事業を行い、市民後見人による財産侵害を防ぐ仕組みも検討しているとのこと。

成年後見制度を強力にすすめていく起爆剤として、今後の活動が注目されます。


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子どものいる空間が高齢者を元気にする

高齢者の施設を訪ねると、子どもの力を実感する時がある。
特に、年端もいかない幼児や赤ちゃんには、認知症のお年寄りを元気にする力があるようだ。
(子どもと高齢者が一緒に過ごす「富山型デイサービス」については、こちらを参照)

名古屋市には、保育園と特別養護老人ホームを併設した施設があって、園児がお年寄りにコーヒーを持ってきてあげたりという姿が日常風景になっている。
三重県にも認知症グループホームと学童保育が一緒になったところがある。

東京都小金井市の「地域の寄り合い所 また明日」は、認知症デイサービスと保育園が一緒になった地域のたまり場的存在とのこと。
ネットで紹介記事を見つけたので、以下に紹介する。

------------------------(ここから引用)----------------------

お年寄りと園児が「ひとつ屋根の下」
東京都小金井市の静かな住宅街。
セミの声がそこかしこから聞こえる中を歩いていくと、デイホームと保育園がひとつになった「地域の寄り合い所 また明日」の“長屋”が見えてくる。

また明日」は2階建てのアパートを改装し、1階部分、5世帯分の部屋の壁を取り払い、認知症対応型通所介護施設と認可外保育施設にしているほか、地域の交流スペースにもなっている。

長い部屋の奥では、お年寄りがゆっくりと体操をしている。
その傍らでは、揺りかごの中の赤ちゃんから就学前までの園児が、職員や、夏休みで遊びに立ち寄った小学生たちと元気に過ごす。

この“長屋”を切り盛りするのが、管理者で介護福祉士の森田和道さんとNPO法人代表で保育士の真希さんの夫婦だ。
森田和道さんは「幼稚園と同じ敷地内にある介護施設もあるが、仕切りがあるかどうかで違うのでは。ここの雰囲気は独特なのかもしれない」という。

デイサービスは1日に平均7人ほどが利用する。
保育所の定員は8人だったが、子どもが地域の保育園に入り切れなくて困っていたお母さんの要望もあって、12人に増やした。

お年寄りと小さな子がひとつの空間にいるが、一緒になってするのは、朝一番の「おはようございます!」のあいさつと、園児が散歩する時に、お年寄りが行きたいと思えば付き添いの職員と共に付いていくことくらいだという。
同じ空間にいるだけで十分だというのだ。
「ずっと一緒にいれば、お互いに疲れてしまう」。

お年寄りにも介助し過ぎることなく、なるべく自分でできるようにサポートする。
自宅で座りっぱなしのお年寄りが、子どものそばに寄っていって「何しているの?」と声を掛けることもある。
転倒しないように職員が見守るが、まずはお年寄りの心が動くことが大切なのだそうだ。

ベイブレード(べーごま)で子どもとお年寄りが遊ぶ。
お年寄りがうまくできないと、子どもが遊び方を教えて、お年寄りがその子をほめる。

子どもたちも、お年寄りがそばにいることが普通だと思っている。
一緒にいるとその子の動きも変わり、おばあちゃんがそばを通るときは、走り回っていても立ち止まったり、通り道を空けるなど、気遣うのだという。

時には、公園やサークルに居場所を見つけるのかちょっと難しい、子育て中のお母さんがやってくるという。
地域の交流スペースとしても機能しているのだ。

森田和道さんは言う。
「誰もが与えられるだけでなく、誰かに充足感を与えられる存在ではないか。そんな支え合いが地域社会に広がっていけばいい」。
「また明日」は、そんな地域社会の結節点なのかもしれない。

2009/08/21   キャリアブレイン
------------------------(引用ここまで)--------------------------

人はだれかとつながって生きている。
お年寄りだけを集めた生活空間より、時に、子どもの笑い声が聞こえたり、赤ちゃんの泣き声が聞こえる空間の方が豊かではないだろうか。

認知症の高齢者だけを集めて隔離したりしないで、いろんな人がつながりあう社会の中で、支えていきたい。


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認知症の人の「働きたい」という思いをかなえるデイサービス

「仕事をしたい」という認知症の人の思いに応える取り組みが、東京都のグループホームで行われている。
認知症の人が仕事をして社会に貢献する場をつくる、「就労デイ」。
東京都の「認知症支援拠点モデル事業」のひとつとして行われた取り組みを紹介する。

------------------------(ここから引用)--------------------------

認知症の人も働きたい!―グループホームでの「就労デイ」
団塊の世代が定年を迎え、急速に高齢化が進行している日本。65歳以上の高齢者のうち、10人に1人が認知症との調査結果もあり、今後ますます地域で認知症の人をどう支えるかが問われている。
こうした中、東京都日野市にある「グループホームきずな」では、地域に住む認知症の人が仕事をして社会に貢献する場をつくる「就労デイ」という取り組みを行っている。

モデル事業としての取り組み
グループホームきずなは、2007年度と08年度の2年間、東京都の「認知症支援拠点モデル事業」の事業者に採択され、多くの取り組みを行ってきた。
認知症の人を抱える家族に対する支援として、家族会をつくり、情報交換ができる場を設けた。
また、認知症サポーター養成講座を企業や団体、学校などで開催。
日野市が目標としていた1700人のサポーターのうち、626人を養成した。
このほか、地域の医療機関、ケアマネジャー、地域包括支援センター、行政の担当者などが集まり、「ネットワーク会議」を8回開催。
それぞれの分野の専門家が認知症の人を支えるための情報交換などを行った。

「あなたができることを仕事としてやってください」
就労デイは、このモデル事業の一環として、グループホームきずなで所長を務める本村雄一さん自らが企画を考えて取り組んだ。
地域や社会に貢献したいという思いを持つ認知症の高齢者ができることを仕事として行い、昼食や嗜好品といった対価を得られるというもので、07年8月から今年3月までの間に延べ59回行い、1回当たり10人弱が参加した。

就労デイの特徴は、地域に住む認知症の人を参加の対象にしたこと。
グループホームに入所している高齢者もいるが、参加者の多くは地域包括支援センターなどに広報を行って集めた地域住民だ。

仕事の内容は多岐にわたる。

ある時、ピザ店からチラシにクーポン券をホチキスで留める作業を受注した。
皆が力を合わせ、1日がかりで1000枚以上のチラシにクーポン券を留めた。
仕事が終わった後、対価としてピザを用意したのだが、施設側は「さすがにピザは食べないだろう」と考え、おにぎりも用意した。
すると、初めてピザを食べた80歳代、90歳代の高齢者が、「こんなおいしい物、初めて食べた」などと言い、平らげてしまったという。
「本当、われわれもびっくりしましたよ」と本村さん。

かつて和菓子職人だった参加者は、就労デイが終わった後に皆で食べるためのおはぎを作った。
仕事着を持参し、就労デイの始まる1時間前から準備するという熱の入れよう。
材料や作り方を基に、「このおはぎは1個いくらで売れるはず」などと原価計算までしてしまった。

和食の料理人だった参加者は、包丁研ぎを行った。
施設の職員が安い包丁を持って行くと、「そんなもの研げないよ」と一蹴された。
そこで、木の箱に入った高価な出刃包丁を持って行くと、「これはいい」と丁寧に研いだという。

ほかにも、施設や職員が所有する車を洗ったり、施設の外にあるベンチにニスを塗ったり、植木の剪定を行ったり、ぞうきんを作ったりと、参加者それぞれの能力を生かした仕事により、社会の中での役割を創出できたという。

労働に対する対価としては、喫茶店から出前を取ることもあれば、施設の近くにあるうどん店に行くこともあった。
メニューを見て自分が食べたいものを選ぶことが、多くの参加者にとっては貴重な機会であり、皆うれしがっていたという。

参加者の中には、就労デイに参加する以前、デイサービスの用意した「高齢者向けの」プログラムを受けたくないと引きこもっていた人もいた。
しかし、仕事ならばと就労デイに参加。
その後、デイサービスにも通うようになるなど、就労デイが介護保険サービスの利用につながった事例もあった。
また、既にデイサービスに週2回通っていたが、3回にすると自己負担が必要になるとして、就労デイに参加するようになった参加者もいるという。

モデル事業終了後も継続、課題は財源
モデル事業が終了した今年度も、これまでと同様、週に1回のペースで就労デイを継続している。
しかし、課題は財源だ。

昨年度までは都のモデル事業の一環として実施していたため、補助金を活用できた。
しかし、補助がなくなった今年度からは、母体の社会福祉法人が独自に資金を出して実施している。
このため、昨年度までは午前中に就労してもらい、その対価として昼食を提供していたが、時間を午後にずらし、対価をおやつに変更するなど、経費節減に努めている。

今後は、関連のNPO法人にこの事業の運営を移行させた上で、ボランティアの人を主体にしながら、人件費を抑えた形での継続を考えている。
本村さんは、「認知症の高齢者が世の中の役に立てる場を提供することで、高齢者が活性化し、意欲を示すことができた。ぜひ今後も継続していきたい」と意気込んでいる。

(2009/08/20   キャリアブレイン)
--------------------------(引用ここまで)------------------------

仕事をするということは、社会とつながるということだ。

認知症になって辛いのは、「わたしはもう、だれからも必要とされないんだ」「だめになってしまったんだ」という自己喪失感ゆえだ。
介護施設などの認知症ケアでは、「役割をもってもらいましょう」という取り組みを行うことが多いが、「働いて対価を得る」ということは、自信につながるし、必要とされていると感じることもできる。

「だれかの役に立ちたい。働きたい」という、だれもが持っている思いを、認知症になったからといって奪ってはいけないだろう。
認知症になっても働ける支援体制やシステムを作っていきたいと思う。

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鍵をかけないケアの実践

住み慣れたまちで、その人らしい生活を支えることを目的とする「地域密着型サービス」。
認知症の人が少人数で暮らすグループホームや、小規模多機能型居宅介護は、介護の質を高めるために、外部評価員による外部評価が義務づけられています。

わたしは、3年前から外部評価員として各地のグループホームを訪問しています。
先日、地域密着型サービスの事業者を対象に行う外部評価の研修があったのですが、そこで指導者の講師から明言されたのが、「鍵をかけないケアの実践」についてでした。

評価項目の中では、
「身体拘束をしないケアの実践」
という項目に整理されているのですが、ここでの基本指針として
玄関の施錠を含めて身体拘束をしないケアに取り組んでいる」
と明記されていました。

介護保険の事業所に対しては、指定基準で身体拘束を禁止しています。
禁止対象となる具体的な行為としては
○車椅子、ベッドに縛る(腰ベルト、車椅子テーブルも含む)
○手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける
○向精神薬を過剰に服用させる
などが挙げられていますが、その中に
自分の意志で開けることのできない居室等に隔離する
(居室等とは、グループホームや小規模多機能の玄関の施錠も対象となる)

と書いてありました。

外部評価での確認項目にも
「自分の意志で開けることのできない玄関等の手錠についても身体拘束であることを認識し、安全を確保しつつ自由な暮らしを支援するための工夫に取り組んでいるかを確認する」
と明記。
利用者の人権を守ることがケアの基本であり、「どんなことがあっても拘束は行わない
という姿勢が求められているのです。

認知症の方が利用するグループホームなどでは、「安全のため」という理由で、あたりまえのように玄関に鍵をかけて出られないようにしている施設がたくさんあります。
でも、自分が認知症になって、そこに入ったとしたら。
理由もわからないのに、玄関のドアが開かずに外に出られなかったら、どう感じるでしょう?
「閉じこめられた。たいへんだ。逃げなきゃ」
と、よけい不安感がつのり、落ち着かなくなるのではないでしょうか。
本当に利用者の安心・安全を実現するためには、なぜ外に出たいのかという理由を考え、その思いを支援する方法を考えるべきではないでしょうか。

身体拘束は、デイサービスの場でも行われています。

先日、訪問した三好町のあるデイサービスでは、胃ろうの利用者の手にミトンをはめていました。
「身体拘束ではないですか?」と聞いたのですが、
「胃ろうチューブを抜くといけないから」とのこと。
でも、ベッドに寝かされたままミトンをつけられ、だれからも話しかけられずに天井をみつめている姿は、“放置されている"ともとれる状態で、見ていて切ない気持ちになりました。
(もちろん、胃ろうで寝たきりの高齢者を預かるデイサービスは数が少なく、そういう意味では意欲的なデイサービスだと思うのですが)

一方で、認知症の利用者が外に自由に出て行けるように、玄関に鍵をかけないケアを実践しているデイサービスも、三好町にありました。
そこでは、外に出て行く利用者には、介護スタッフが一緒についていき、歩き疲れて困った様子が出てきた時に、別のスタッフが車で迎えに行き、「友人が通りかかったから、乗せてもらわない?疲れたから、お茶でも飲みに行きましょう」と誘って、デイに連れて戻っているそうです。

鍵をかけないケアの実践について、すべての介護事業所で真剣に考えていかなければと思います。

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「ピック病で万引き」の免職取り消しへ

さきの6月議会で、一般質問として取り上げた
「認知症に優しいお店(認知症について理解した店員さんがいる店)」の認定と普及。
その必要性が実感できる記事が、読売新聞のサイトに掲載されていたので紹介しますね。

------------------------(ここから引用です)---------------------

「ピック病で万引き」元課長の免職取り消し…茅ヶ崎市

スーパーで万引きしたとして懲戒免職となった神奈川県茅ヶ崎市の元文化推進課長、中村成信(しげのぶ)さん(59)について、同市は24日、免職処分を取り消し、停職6月の処分に修正したと発表した。

中村さんは、万引きは若年性認知症「ピック病」によるものだったとして、市に処分の取り消しを求めていた。

市の発表などによると、中村さんは2006年2月11日、同県寒川町のスーパーで、3300円相当のチョコレートなどを盗んだとして窃盗容疑で現行犯逮捕された。
代金を支払ったため、不起訴(起訴猶予)となったが、市は逮捕から6日後に懲戒免職処分とした。

中村さんは逮捕前から同じ商品を大量に買うなどの行動をとっており、06年3月に大学病院の脳神経科を受診。
ピック病と診断されたため、06年4月に市公平委員会に処分の取り消しを申し立てた。

同委員会は23日の裁決で「ピック病にかかっていたかどうかの判定は困難」とする一方、「盗んだ動機などが不明で、責任の度合いを判定することも不可能に近い」とし、停職6月が相当と判断した。
停職処分は06年8月27日で終了しており、市は未払いの給与を7月に支払う方針。市は復職時期について、中村さんと話し合いたいとしている。

中村さんは、兄の彰信さん(61)から裁決を知らされると、「懲戒免職が取り消されて良かったが、ピック病を裁決で認めてもらえないと、心の整理がつかない」と話したという。

服部信明市長は「この3年間、大変な心労があったと思う。当時の処分は適切だったが、委員会の判断は真摯(しんし)に受け止める」と話した。

 ◆ピック病=若年性認知症の一つで、脳の前頭葉と側頭葉が委縮する病気。40~50歳代で発症するケースが多い。判断力が低下し、自分の行動を抑制できなくなるため、同じ言動を繰り返したり、他人の物を盗んだりする症状が出る。

(2009年6月24日20時55分 読売新聞)
-------------------------(引用ここまで)---------------------------

以前、このブログでピック病について取り上げた時(新たな認知症「ピック病」って?)の記事を読み直してみたら、同じ中村さんについての記事でした。
(ピック病と認定して、障害年金が支給になったという記事)

障害年金の支給によって、金銭的にはある程度保障されたものの、やはり「万引きで懲戒免職」とされた名誉を回復するために、引き続き闘っていらしたのだなぁと、胸が熱くなりました。
復職できることになり、本当によかった!

若くして認知症になった場合、仕事をとりあげられる結果につながりやすく、金銭面はもちろん、ご本人の誇りや仕事への思いまで傷つける危険性があります。
認知症になっても、仕事を続けられる支援が、今後は求められると思います。


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こんなのありえないと言われたグループホーム〜グループホーム円頓寺

昨日のブログの続き。
全国認知症グループホーム大会の報告です。

大会では、全国のグループホームからの実践報告(分科会での発表)があるのですが、今回は93の演題発表が行われました。
残念ながら、わたしは直接の発表は聞けなかったのですが、演題のレジメが冊子にまとめて配布されたので、その中で一番興味深かった事例を紹介します。
(この実践報告は、昨日紹介した和田さんも「これこそグループホーム」と褒めていました)

-----------------------(以下、抜粋引用です)-----------------------

こんなのありえないと言われたグループホーム
 〜グループホーム円頓寺(愛知県名古屋市)

我々のグループホーム(以下GM)の無謀な挑戦は開設準備からはじまった。
従来の老人ホームと言えば…空気がきれいな郊外の広々とした土地で、自然に囲まれた場所…。
しかし、我々の目指すGMはそうではなかった。

「名古屋に昔から住んでいるじーばーはそんな田舎ではなく、電車やバスに気軽に乗って買い物へ出かけたり、都会的な生活こそが馴染みである。」
そう信じ、円頓寺(えんどうじ)商店街に立地を決めた。
しかし、商店街への建設となると、間口も狭く1ユニットであるにもかかわらず4階建てのGMとなった。行政の職員からは口々に「ウナギの寝床」と称され、相談に出向いた教授には「こんなGMはあり得ない」と言われてしまった。

そして迎えた平成16年1月。
地域住民対象に行った開設説明会で2つ目の波乱が起きた。
ホッとした我々を待っていたのは衝撃的な反応だった。
「そんな呆け老人が商店街に来て、ガラス割られへんか〜?」
「なんか壊されたりせえへんか〜。」
「家に火つけられたりせえへんか〜。」
投げかけられた言葉は不信と不安ばかりであった。
いや、これこそが正直な反応だったのかもしれない。
とにかく、我々の信念とは裏腹に、全てがマイナスからの始まりだった。
“おかしな人達がやってくる"という印象から始まったG円頓寺は、地域密着型サービスとしては重大な問題である『地域との壁』を抱えていた。

開設当初から取り組んだ事は「とことん地域資源を使うこと!」。
買い物1つするにも、じーばーと一緒に商店街のスーパーやお菓子屋さんへ歩いて出かけていった。
我々にとってGMへの食材配達などの利便性、郊外の大型スーパーの安売りは必要ではなかったのだ。
まずは、GMのじーばーが内にこもらず、自ら地域へ出て行く。
GMのじーばーのありのままの姿を知ってほしかった。
そういった取組を続けるうちに、“おかしな人達"という印象を抱かれていたじーばーと地域の人達が何気ない言葉を交わしていく様になった。

そして、「あのお店の人」「GMに住んでいる人」という名前は知らなくても顔馴染みの関係が出来始めたそんなある日。
じーばーから「商店街の為にわしらが出来る事はないんか〜?」と声が上がった。
その声を運営推進会議の場で地域の方へ相談し、何かできないかを考えた。
そして始めた取組が、毎月2回の地域の公園の掃除、七夕祭りの張りぼて作り、毎月の縁日へのみたらし団子出店などである。

それから地域の人に交じって公園の掃除へ参加したり、七夕祭りの張りぼて作りには近所の方にじーばーとスタッフが直接アドバイスを受けて作成した。
そして、毎月出店しているみたらし団子は、じーばーの焼き上げるみたらし団子が好評を得て、商店街のイベントのたびにお声をかけていただけるようになった。
始めは、何度も同じ事を話すじーばーをみて困惑気味だった地域の人たちも、商店街の中で、地域の一員としてありのままに暮らすじーばーの姿を見て、何となく理解してくれるようになったようだ。

-----------------------(引用ここまで)---------------------

グループホームは収容施設ではなく、生活の場。
地域の一員として、どんどんまちに出て行けば、まちの人の意識も変わる。
そんな実践例だと思います。

認知症になっても、まちの一員として暮らし続ける。
そんな支援ができるのが、グループホームならではの特徴です。
グループホーム円頓寺のようなGMが増えるよう、応援していきたいです。

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グループホームで大事なことは

グループホームで大事なことは
「全国認知症グループホーム大会 2009年フォーラムin愛知」が名古屋国際会議場で開かれました。
写真は、「認知症と〜しや〜す?生活支援」と題して行われたシンポジウム。

シンポジストとして、元厚生労働省大臣官房審議官 御園慎一郎氏
          NHKエグゼクティブ・アナウンサー 町永俊雄氏
          東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会代表 和田行男氏
コメンテーターは、厚生労働省老健局計画課認知症・虐待防止対策推進室室長 井内雅明氏
コーディネーターは、NPO法人ミニケアホームきみさんち代表 林田俊弘氏
という、そうそうたる面々での対談でした。

なかでも和田行男さんは、 『大逆転の痴呆ケア(中央法規出版)』という本で、一躍有名になった認知症ケアのパイオニア。
認知症になっても、何を食べるかは自分で決める。認知症のばあちゃんたちが、商店街に自分たちで買い物に行って、毎食作って食べるという、今聞いてもびっくりするようなグループホームでの生活支援を実践してきた方です。

和田さんが、なぜ「食べる」ことにこだわるのか。それがわかる文章を、和田さんの講演録から抜粋しますね。
------------------------(ここから引用)-----------------------

 大人の世界で、
 決められた時間に決められたものしか食べられないって
 おかしな話でしょ。刑務所、病院がそうやけど、
 残念ながら高齢者施設もそう。
 そこで働いている人は好きなもん食べてるわけやけど、
 認知症になったら自分の好きなもんが食べられんって、
 それっておかしい、って思えるかどうかが大事なこと。
 食事とは本来獲得するものであって、
 黙ってても出てくるもんとちゃうでしょう。
 食べるという行為の前に、食べることに向かっていく姿から
 食事はすでに始まってるんや。
 だから、「今日何食べよっか」という語りかけ、
 「○○も美味しいけど××もおいしいやんなぁ」
 というイメージの膨らまし、といった
 僕らから婆さんたちへの仕掛けが大事やねん

-----------------------(引用ここまで)------------------

シンポジウムでは、認知症の方の生活を支えるとはどういうことか。
認知症になって失ってしまった「自分が主体的に生きるということ」を、ケアスタッフがかかわることでどう支えていくのか。
つまり「生活支援の専門性」がテーマとして示されました。

介護職は、家族の代行なのか?
家族は、「もう、これ以上は耐えられない」と、グループホームに放り込む。
でも、グループホームの職員は、9人の認知症の方を、限られた人数で見るしかない。
基本、1対1で24時間対応している家族と、まったく同じことを望まれても、物理的に不可能なことだとわかってほしい。

限られた時間と人数で。
しかも、介護職としてはどこよりも安い賃金で。
専門性を発揮しなければいけないのが、グループホームのスタッフ。
情緒的に「この人によりそう介護」というだけでは意味がない。

何人も奴隷的拘束を受けない。
これは法律で定められおり、認知症になっても保障された、国民としての権利。
それなのに
認知症になったら、施設に収容して保護する。
ということは、
「箱に閉じこめとけば、安心でしょう。何にもせんでも、時間になったら餌だけやるから」ということじゃないの?

などなど、刺激的な論争が繰り広げられました。

最後に結論として、
グループホームで大事なことって何?
という問いに対して、シンポジストから出てきた答えを以下に記します。

まず、大事なのは
「選ぶ」ことができるかどうか
こうしたい、ああしたいという選択権を、きちんと保障しているかどうかが、一番の基本。
居室に入る時は、ノックしよう。
カギをかけて閉じこめるのはやめよう。
「生きる」ということは、「主役は自分」ということ。
生活を取り戻すのが、グループホームの職員の役割。

和田さんが、シンポジウムの最後に言った言葉が、心に深く残りました。
メモにとりながら、思わず涙が出てきた。
その言葉を最後に記します。

---------------------------------------------------
 ぼくがグループホームを始めた時に、最初に入ってきた まさこさん。
 10年たって、「どうしてる?」って、職員に聞きました。

 「なに食べる?」って聞いたら、
 テーブルの上にあった時計を持って、
 「今日はこれ食べるから、大丈夫」って、答える。
 「トイレに行こか?」って聞いたら
 トイレに行って、一生懸命、トイレの水で手を洗ってる。
 「部屋でなにしてるかな?」って、そっとのぞいたら
 必死になって、おっぱいに、くつした はかせてる。

 だけど。そんなまさこさんにも、
 職員は「今日、なに食べる?」って、毎日かならず聞く。
 買い物に町に出て行けば、「元気かい」と町の人に声をかけられる。

 最後まで。
 日を浴びて。
 風を受けて。
 人から声をかけられる。

 最低限、そんな支援なら、なんとか頑張ってできるんじゃないか。
 それぐらいはできるかな、と思います。
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高齢者を地域で支えるとは

高齢者を地域で支えるとは
高齢者を地域で支えるとは
豊田市協働事業による市民講座「あきらめない老後のための特別講座」に参加しました。
タイトルは、ずばり!
「高齢者を地域で支えるとは〜すごい!介護・地域福祉の先進地を知ろう」

下の写真は、介護施設の超プロ。
新潟県長岡市の「高齢者総合ケアセンターこぶし園」総合施設長 小山剛さんです。

こぶし園は4人部屋の特別養護老人ホームとしてオープンしたのですが、「できる限り、いまの生活を継続したい」という高齢者の思いをかなえるため、地域に小規模な介護拠点であるサポートセンターを作り、サポートセンターに併設したバリアフリー住宅へ特養ホームの入居者を住み替えてもらうことで、施設の高齢者を地域に帰すことに成功しています。

講演の中で、強調されていたのが、
これからの高齢者介護として、「暮らしなれた地域社会の中で、病室や居室ではなく、普通の住まいを提供すること」をめざし、そのための方法として「24時間365日連続するケア(定額制)と3食365日の食事の提供」をすでに実行に移しているということです。

長岡市では、すでに9カ所のサポートセンターができており、それぞれのサポートセンターが、在宅で暮らす高齢者に、年中無休・24時間で介護サービスと、毎日3食の配食サービスを提供しています。
☆サポートセンターの詳細については、以下のホームページをご覧ください。
 暮らし慣れた地域社会での生活を支えるサポートセンター構想2004

今、日本の多くの市町村では、在宅介護サービスの量が足りず、結果的に「要介護3以上になれば施設へ」という流れができています。
でも、介護施設に入る高齢者は、本人が望んで入るわけではありません。
本当は、住み慣れた地域の中で、なじみの店や友人がいる中で、最後まで暮らしたいと望んでいるのです。

小山さんは、こうした願いが叶わない原因を
○家族介護にたよった切れ切れの介護サービス
○バリアフリー住宅の不備
にあると看過しています。

あまり知られていない事実ですが、
ユニットケア・個室の新型特養ホーム(定員100人)を建てるためには、約25億かかります。
これだけのコストをかけて、できあがるのは、約13㎡のベッドしかない個室(個室の中に、ミニキッチンや浴室、トイレはないのが通常です)。
つまり、単純に割ると、1つの個室あたり、2300万円かかるわけです。
「2300万円あれば、4LDKの一軒家が建てられる。こんなに高額で入居者の満足感が低い施設を、これからもどんどん作るべきだと、本当に思いますか?」
というのが、小山さんの主張。

もう1つ、わかりやすいたとえ話として出されたのが、「富士登山論」です。
こぶし園のホームページにも載っていましたので、以下に転載しますね。

----------------------(以下、引用です)---------------------

元日に御来光を見たいと富士山頂を目指して登山される方が大勢おられることをご存知かと思いますが、この時に悪天候で8合目付近で登山道が崩れてしまったとします。
 
そうしますと近くの山小屋に一時的に避難して、登山道の復旧を待つことになるのですが、待てども待てども、道を直してもらえません。

山麓からは御来光を求めて、次から次へと登山客が登ってきますので、山小屋の前には大勢の待機者が並びますし、雑居部屋の山小屋生活も長くなってしまいます。

すると誰かが「待機者がいるのだからもっと山小屋を作るべきだ」「8人部屋や4人部屋ではプライバシーが守れないからユニットケア・個室にすべきだ」と言うのですが、何かが違うのではないでしょうか?
     
登山客は山小屋(例えば施設)で暮らしたくて登山したのではありません。山頂に登って御来光が見たい(今の暮らしを続けたい)のです。

だとすれば一時的な避難場所として山小屋が必要なことは当たり前のことですが、平行して登山道(在宅支援サービス)を整備しなければいつまでたっても登山客のニーズが解消されることはありません。
     
私たちがサポートセンター構想を展開している理由はまさにこのことにあり、出来る限り暮らし慣れた地域社会の中で、高齢者と共に介護者の負担や地域社会の負担を減らした上で、その人らしい暮らしを支えたいと思っています。

------------------------(引用おわり)--------------------

介護施設を作るのは、「住み慣れた地域で自分らしく暮らしたい」という高齢者の願いをかなえることにはなりません。なぜなら、高齢者は「施設には入りたくない。できれば自宅で暮らしたい」と口々にいいますから。

では、在宅を支えるための「在宅支援サービス」とは、何でしょうか。
小山さんが主張するのが
定額制 & 356日24時間のサービス です。 
そして、これが介護保険制度の中で実現できるのが
小規模多機能型居宅介護 だというのです。
(こぶし園では、小規模多機能型居宅介護を提供するサポートセンターを、長岡市の各地に作ってきました)

たしかに、こうしたサポートセンターが、小学校区に1つあれば、住み慣れた地域の中で、暮らせるでしょう。
また、こぶし園では小規模多機能型居宅介護に加えて、夜間対応型訪問介護に、テレビ電話を採り入れて、自宅での暮らしを支えています。

小山さんの講演を聴いて、
サポートセンターが実際にどう運営されているのか。
本当に、長岡市の住民は、家族介護に頼らず、住み慣れた地域で暮らすことができているのか。
ぜひとも、実際に見てみたくなりました。

7月3、4日にこぶし園に訪問してきます。
報告は、またブログに載せますので、楽しみにお待ちください。


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わたしがグループホームに望むこと

3週間ほど前に書いたブログ(名古屋市緑区にグループホーム「白土の家」がオープン)に、コメントがつきました。

コメント欄でやりとりしていたのですが、わたしの基本的な姿勢を知っていただくために、こちらで論じることにしたいと思います。

コメントを書き込んだ方は、私がブログで紹介した記事について、
「正しい個人経営の足を引っ張る行為」 と、批判しておいでです。

では、どの部分について、「個人経営の足を引っ張る」と主張していらっしゃるかということですが、
どうやら、施設内のトイレについての記述についてのようです。
コメントを受けて、誤解がないように訂正しましたので、訂正前と訂正後の記事を以下に示します。

-----------------------------------------------
【訂正前】
キッチンがオープンキッチンではなく、入居者みんなで食事を作るような形になっていないことや、キッチンからすぐのトイレが、個室でなくカーテンで仕切られていることは、少し気になりました。
トイレについては、名古屋市からも指導を受けたそうですが、トイレが個室でないのは問題
カーテンで仕切られているだけなら、2人を1度にトイレに誘導して、1人で排泄介助するには便利かもしれませんが、入居者にしてみれば、においも音も筒抜けで、落ち着かないのではないかと感じました。

【訂正後】(上記の傍線部分を変えています)
トイレについては、名古屋市からも指導を受けたそうですが、
トイレが個室でないのは問題だと思います。
(「問題だ」というのは、あくまで、私の個人的な意見ですが)。
たしかに、カーテンで仕切ってトイレが2つ並んでいれば、2人を1度にトイレに誘導して、1人で排泄介助するには便利かもしれません。(「便利」というのは、「介護職員の介護の手間を省くためには」という意味です)
しかし、入居者にしてみれば、においも音も筒抜けで、落ち着かないのではないでしょうか。
わたしが入居者だったら、自分の排せつの様子(においやら音やら)をほかの入居者に知られるのは、耐え難いです。
------------------------------------------

基本的には、重要事項説明書に記載してあったことと、目で見て分かった事実のみを記載しているのですが、若干、わたしの個人的な感想が混じっていました。
「トイレが個室でないのは問題」と言い切ってあると、それが客観的な事実なのか、私の個人的な意見かまぎらわしいという指摘には納得しましたので、私の意見部分を分け、なぜそう思うのかという理由も示しました。

なお、前の記事には入っていた
「(にしては、看取り介護加算がついているのが不思議ですが)」
というわたしの感想部分は、削除しました。

ですが
コメントでご指摘の「一方的な個人の感想は、載せるべきではない」
というご批判については、あたらないのではないかと思います。
もちろん、誤解や偏見に基づいた感想の表明は、良くないことだと思いますが、今回の場合、グループホーム内に個室でないトイレがあるというのは、事実です。
その事実に対して、理由を示した上で感想や意見を述べるのは、必要なことだと考えているからです。

認知症で苦しんでいるお年寄りや家族が、より良い介護や生活を送るための選択肢としてあるのが、グループホームへの入居です。
入居を決めるにあたり、できるだけ多くの情報や、選ぶための基準があることが大切だと思います。
(選択の自由が、介護保険制度の根幹です)
わたしのブログで介護施設の紹介記事を書く時には、利用者への情報提供に、少しでも役に立てればという思いが根底にあります。
なるべく客観的な事実を書くこと。その事実に対して理由を示して意見を述べること。
この2つは譲ることのできない、わたしの基本姿勢です。

認知症の方が少人数で共同生活をするグループホームは、営利企業も参入でき、介護の質も内容もさまざまです。
数年前に愛知県内のグループホーム調査で訪問に回った時には
食事は外からお弁当をとり、ミキサー食の入居者が食べるものを作るのに、お弁当内のすべてのもの(ご飯も、揚げ物も、酢の物も、煮物もすべて)をミキサーに入れ、ガッーと回して、なんともいえない灰色のどろどろ状のものを作って、平気で出していたグループホームもありました。

認知症の人は、どうせ何もわからないでしょう?
認知症の人は、どうせ何も感じないでしょう?
という誤解や偏見からくる、人権を無視するかのような介護がまかりとおっていました。

認知症になったからといって、感情がなくなるわけではありません。
いえ、むしろ、感覚はより鋭敏となり、人の気持ちを鋭く察知し、ばかにされたら悲しみの涙を流すのが、認知症で苦しむ方々です。

トイレが個室でなく、カーテンで仕切られているだけ。
という事実に対して、なぜ問題だとわたしがブログで訴えるかというと
ふつう、高齢者が利用する新しい老人ホームには、個室でないトイレはまずないからです。
(もちろん、設置基準が昔の古い特養ホームにはカーテンで仕切っただけのトイレはありますが、プライバシー保護のために、トイレのカーテンは認めず個室にしなさいという指導があります)

認知症の介護は高い専門性が求められます。
認知症で苦しむ方に、ひとりの人間として向き合い、個性や尊厳をどう尊重するかが問われます。
介護する人は、「自分だったら、どう感じる?」と認知症の方の立場や思いにたって、支援することが何よりも大切になります。

そんな認知症の人を支えるべきグループホームが、排せつの時のプライバシーや尊厳の確保よりも、介護する側の効率性や便利さを優先した結果できたのが、個室でないトイレです。
介護職の人員不足や、介護する側の大変さを理由に、入居者の思いを踏みにじらないで欲しい。
それが、わたしがグループホームに望むことです。


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認知症の方の交通事故を防ぐ

今年の6月から、75歳以上のドライバーに「認知機能検査」が実施されることになりました。

これは、高速道路上での逆走など、認知機能の低下に伴う高齢者の事故が増えているのを受けてのこと。
3/16の新聞には、
「高速道路上で進行方向とは逆に走行する逆走が3年連続で900件を超え、毎年数十件が人身事故に至っていることが、高速道路6社や警察庁の集計で分かった。逆走したうえ事故を起こす運転者の4割前後が65歳以上の高齢者だ。高速道路各社は防止策を模索しているが、決定打はまだない」
との記事が載っていました。

防止策として、記事の中には、
○逆走防止装置の開発/逆走を感知すると「逆走禁止」「危険戻れ」と点滅する看板などを開発。
(昨年7月以降、全国24カ所で有効性を検証中)
○カーナビで警告するシステムを開発
(西日本高速が日産自動車と共同開発中。2011年中の実用化を目指す)
とありました。

認知症は自分がどこにいるかという場所や位置の把握が難しくなる病気ですので
車で外出すると、交差点で曲がるべきかまっすぐ行くべきかわからなくなったり、途中で道が分からなくなることが指摘されています。
こんな場合は、カーナビが大きな効果を発揮。
ポイントで行く先を音声で指示してくれるので、認知症の方が運転する時には、カーナビを進める医師もあると聞きます。
逆走もカーナビが注意してくれるシステムができれば、威力を発揮すると思うのですが。
早く実用化されることを望みます。

さて、75歳以上のドライバーに義務づけとなった「認知機能検査」ですが
どんなものなのか、以下に記事を転載します。

元記事はこちら(asahi.com)。

--------------------------- (ここから引用です)---------------------

「今日は何月何日?」高齢ドライバー、6月から認知検査

75歳以上の全運転者に義務づけられる6月からの認知機能検査について、警察庁は26日、検査の具体的な実施方法などを定めた道路交通法施行規則の改正案をまとめた。
検査の内容や採点方式は同庁ホームページで公表し、5月の施行を目指す。

対象は今年12月1日以降に運転免許の更新期間満了日(誕生日の1カ月後)を迎える75歳以上のお年寄り。
検査はその6カ月前から受けられる。
指定自動車教習所に予約し、検査は30分間ですぐに結果が出る。
手数料650円。

検査はまず、受検日について「何年」「何月何日」「何曜日」「何時何分」を書いてもらう。
腕時計などは見られない。時刻は検査開始から何分たったかを推測して答える。

続いてライオンやオートバイ、ブドウなど16種類のイラストを見て記憶してもらい、順番に書いてもらう。
最初はヒントなしだが、次にライオンなら「動物」、オートバイなら「乗り物」といったヒントが出される。

最後に時計の文字盤を描いてもらって、指定した時刻を示す時計の針を書き込んでもらう。
総合点が低いほどよく、認知症のおそれがあるのは「36点以上」だ。
点数に応じた高齢者講習を受ければ、36点以上であっても免許が更新できる。

ただし、36点以上の人は、免許の更新前後に、認知機能の低下した人が犯しやすい信号無視や一時不停止、進路変更禁止違反など15行為で違反があった場合、専門医の診断を原則受けなければならない。
ここで認知症と診断されれば免許取り消しとなる。

認知機能検査は75歳以上が過失の重い当事者となる死亡事故が目立つことから導入された。
75歳以上の免許保有者数は約304万人(昨年末)で、同庁は2千〜3千人が専門医の診断を受ける可能性があると推定している。

(2009年3月26日16時50分 アサヒコム)
--------------------------(引用ここまで)--------------------

それにしても、認知機能検査を義務づけするなら、
その後のフォロー体制を自治体と連携してきちんと行う必要があります。
そうした準備態勢を作らないまま
「36点以上で、認知症の疑いあり」という結果が出た場合
高齢者に不安だけを与えることになりはしないかと心配です。

認知症は早期発見すれば、薬もありますし、周囲の支え方で、その後の経過がずいぶん違ってきます。
認知症になっても、大丈夫!
と、みんなが思える体制が地域にできれば、早期発見への理解も深まると思います。

ドライバーへの認知機能検査は、道路交通法施行規則の変更で義務づけられるようですが
その後のフォローについて、きちんと取り組んでいかなければならないと思います。

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権利擁護として、保証人について考える

権利擁護として、保証人について考える
伊賀市社会福祉協議会の主催で、「地域福祉の推進と『保証機能』のあり方を考える」権利擁護研修会が開催されました。

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支え合いマップづくり全国ネットワークが発足しました

認知症になっても、安心して住み慣れたまちで暮らし続けるためには
地域での支え合う仕組み作りが必要です。

そんな地域の支え合いのために、今、注目されているのが「マップづくり」
地域にある課題を拾い出し、みんなで解決すべきものとして見える形にしていくためのツールとして、地域で支え合いマップづくりに取り組む市町村が増えてきています。

この「マップづくり」ですが、
厚生労働省も、来年度の予算要求の中で、新たに加えられた「地域福祉推進緊急支援事業」の中で、地域の生活課題発見の手法の一つとして「マップづくり」を取り上げています。

1月31日、2月1日に岡崎市で行われた「マップづくり&ご近所福祉研究集会」では、こうしたマップづくりの手法を学ぼうと600人をこえる人が集まりました。
集会後には、「支え合いマップづくり全国ネットワーク」も発足。
マップづくりに関心のある人たちが、情報交換を行うことを目的に、メーリングリストが開設されました。
以下に案内文を紹介しますね。

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「支え合いマップづくりネットワーク」へあなたもどうぞ!
~会員の情報交換用メーリングリスト開設のお知らせ~

支え合いマップづくりが全国に広がっています。
国や都道府県も、住民の福祉・生活課題やそれを助け合いによってどのように克服しているのかを把握するためのツールとして、補助事業の一つに取り上げるに至りました。

しかし、今のように、さまざまな機関が個々バラバラにマップづくりをすすめていくのは非効率的です。
マップづくりは、まだ未開の荒野。
より効果的な手法を編み出していかねばならないこの時期、開拓者同士が連絡を取り合い、教え合っていく必要があるのです。

1月31日、2月1日に支え合いマップの全国集会が愛知県岡崎市で開かれ、この集会後に、有志で「支え合いマップつくり全国ネットワーク」が設立されました。
全国で開拓的にマップづくりに取り組んでいる人、またこれから取り組もうとしている人同士が相互支援し、連携して、「支え合いマップづくり」の技術向上を図ること。
そして「支え合いマップづくり」実践による成果物等の情報交換、研修・研鑽の場づくりを行い、「地域福祉」の推進の輪を広げていくことが目的です。

このたび、「支え合いマップつくり全国ネットワーク」会員の情報交換のために、メーリングリストを開設しました。
http://groups.yahoo.co.jp/group/sasaeai-map/

メーリングリストへの参加ご希望の方は、氏名、住所、電話、メールアドレスを明記して下記へお申し込み下さい。
お申し込みは、なるべくメールでお願い致します。

             住民流福祉総合研究所 所長 木原孝久
           <メールアドレス> kiharas@msh.biglobe.ne.jp
            〒350-0451 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷1476-1
            TEL/049-294-8284 FAX/049-294-8283
           ホームページ http://www5a.biglobe.ne.jp/~wakaru/

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東郷町でも、地域で安心して暮らせるまちづくりの一つの手法として、マップ作りに取り組んでいけたらと思っています。

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田原市成年後見センターに行ってきました

田原市成年後見センターに行ってきました

認知症などで判断能力に影響がでてきた場合などに、本人の権利を守る「成年後見制度」。
消費者被害を防いだり、施設入居の契約などでも威力を発揮する成年後見制度ですが、なかなか一般には普及していないのが現状です。

弁護士や司法書士、社会福祉士などの、専門職の人に頼む第三者後見人は、費用が高いなどの壁があり、必要な人がだれでも気軽に使える。という所までは行っていない状況。
そんな中、お金がなくても必要な人が成年後見制度を使えるように、市と社会福祉協議会が単独で「成年後見センター」を立ち上げる例が出てきています。

愛知県では、渥美半島にある田原市社会福祉協議会が、「田原市成年後見センター」を設立したということを聞き、くわしい経緯などのお話をうかがおうと行ってきました。
(写真は、田原市成年後見センターがある田原福祉センターです)

田原市成年後見センターが設立されたのは、平成20年2月。
ちょうど1年前になります。
準備は平成18年に市から予算が出たのを機に、設立準備会を開催して行ってきたとのこと。
問い合わせや相談は多いそうですが、成年後見センターで後見人を引き受けている(実務的には田原市社会福祉協議会が法人後見を行っている)人数は、4人というお話でした。

設立までの経緯ですが。
田原市の場合
①身よりのない認知症高齢者がいたこと
②親が亡くなったり、要介護状態になったりして、支援者不在となった知的・精神障がい者がいたこと
③点検商法や催眠商法など、判断能力が低下した人が悪質商法などの被害にあうケースが増加したこと
この3点の課題を解決する方法として、「成年後見センターが必要である」と、つねづね行政も社協も感じていたことから、設立に向けて動き出したそうです。

だれも支援する人がいない認知症の高齢者や、知的・精神障がい者は、税金や社会保険料、公共料金を滞納することも多く、その解決のためにも成年後見制度を利用することが必要となります。

また、田原市独特の問題として
市内に、弁護士・司法書士がほとんどおらず、第三者後見人のニーズはあっても、引き受ける専門家がいなくて対応できなかったということがあります。
行政や地域包括支援センターに相談があっても、委託する先がなく、対応に苦慮していたのだとか。

田原市成年後見センターを開設する準備として、まず行ったのは
アンケート調査によるニーズ把握 です。
地域包括や居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)、障がい者の相談支援事業所などに、アンケートを依頼。
「①判断能力が不十分。②親族がいない。③第三者後見人を頼めるほどの財力がない」
という3つの条件を満たす人の実人数を上げてもらったところ、
37人が対象者 という結果が出たそうです。(平成19年)

そこで、行政、県社協と協議し、成年後見センター開設のために、財政支援を受けることが決まりました。(県社協からは市社協が法人後見を行うモデル事業として、年50万ずつ、2年間、費用が出ることになったそうです)
平成19年・・・田原市から611万2千円、愛知県社協から50万円

こうした費用で、三重県の菰野町社協や知多成年後見センターなど、先進地の研究を行いながら、成年後見センター設置準備会を起き、協議を重ねました。
また市民向けに、成年後見制度に関する講演会を年2回実施。
翌年(平成20年)の2月に、田原市成年後見センターが開設されました。

後見センターでの実施事業は
○成年後見制度や福祉サービス利用支援事業の利用に関する相談及び手続き支援
○市長申立の事務支援
○法人後見人、法人後見監督人等の受任
○成年後見制度等の普及、啓発
○その他センターの運営に関し必要な事業

社会福祉協議会が法人後見を行うメリットは
・永続的な支援が可能(個人の場合、死亡する可能性があるのに対して)
・複数の目がある安心感
・担当者の交代ができる
・支援困難事例の対応ができる(顧問弁護士や他職種連携などにより、多様な専門性が期待できるため)
・広域で活動ができる

一方で、社協はデイサービスやヘルパー派遣などの介護事業も行っているため、「利益相反」になることがあるというデメリットも聞きました。
現在は、成年後見センターで受任した人には、社協以外のサービス事業者を利用してもらうようにしているそうですが、田原市は介護事業者も少なく、どうしても代替ができない場合は、裁判所に事情を訴えて判断してもらうしかないというお話でした。

成年後見センター設立の必要性については、25日から始まる3月議会の一般質問で、とりあげる予定です。
東郷町でも、必要な人がだれでも成年後見制度を利用することができるよう、町社協が成年後見センターを開設する方向で考えていく必要があるのではないかと思います。

認知症になっても、安心して東郷町で暮らし続けることができるように。
東郷町成年後見センターの開設を提言していこうと思っています。


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ご近所福祉&支え合いマップ

ご近所福祉&支え合いマップ
岡崎で開催された「全国“支え合いマップ”&“ご近所福祉”研究集会」に参加してきました。

私は、二日目の2月1日しか出られなかったのですが、
この日は
【実践レポート報告】
1. 長野県 須坂市
 テーマを「助けあいおこし」とした、住民による地域福祉計画づくりと、助け合い推進会議の活動報告

2. 宮崎県 小林市社会福祉協議会
 限界集落での助け合い活動の再構築。支え合いマップでご近所福祉に取り組み

3. 愛知県 安城市社会福祉協議会
 平成9年から、中学校区単位で地区福祉協議会(地区社協)をおき、79ある町内会単位で町内福祉委員会を立ち上げ。町内福祉委員会で地域福祉計画・地域福祉活動計画を策定

4. 長野県 中川村社会福祉協議会
 ふれあいサロン(住民によるミニデイサービス)で支え合いマップを作成し、ご近所福祉をすすめた活動報告

5. 神奈川県 川崎市 すずの会
 「自宅開放型・ご近所ミニデイ」をポストの数だけ

【シンポジウム】
改めて“ご近所福祉”から小地域福祉を作り直すために
〜校区地域福祉活動の実態調査及び普及啓発事業」に携わって〜

という盛りだくさんな内容でした。

中でも一番印象に残ったのが
すずの会 の活動です。

実践報告を、代表の鈴木恵子さんが行ったのですが
介護度5の人も受け入れるミニデイ「リングリングクラブ」(参加費/食事込み500円)を、介護事業者でなく、住民ボランティアの手で行い、参加者の夢を叶えるため、どんなに介護度が重い人でも一緒に旅行に出かけるなど、枠とか規制をとりはらった活動は、感動的ですらありました。

鈴木恵子さんのことは、新聞でも紹介されていますので参考につけておきます。
読売新聞 2008年6月25日掲載
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20080625ok03.htm

--------------------------(ここから引用)------------------------
日本地域福祉学会の優秀実践賞に選ばれた「すずの会」代表 鈴木恵子さん

13年前、川崎市で主婦仲間と始めた在宅介護支援のボランティア活動が、全国屈指の「ご近所力」で注目を集める。
学会からも「都市における地縁再生のモデル」として認められた。

孤立しがちな高齢者が集えるデイサービスの開催、外出の介助など、活動は多彩。
59人のボランティア会員を束ね、近隣住民の抱える問題を、行政を巻き込みながら解決していく。
その仕事ぶりから、「スーパー世話焼きさん」と呼ばれることも。
「ちょっと助けて」という住民の求めに、会員が出向いた回数は、年間600回を超える。

活動の原点は、39歳から10年続いた母親の介護体験。
母親が倒れた時、夫は単身赴任中で、子供は小学生。
24時間看護が必要な母の介護に悩んだ。
専門知識を得るため、社会福祉士の資格も取った。

母の死後、「あなたの体験を地域で生かそう」と背中を押したのは、介護を助けてくれたPTAの仲間たちだった。

「近所の気になる人に声をかけ、少し手を貸す。そんな関係が地域を住みやすくする。行政ばかりに頼る時代ではありません」
(生活情報部 榊原智子)

------------------------(引用ここまで)-----------------------

介護保険や行政に頼らず、自分たちの老後の安心のために必要なものは、自分たちで作りだそうという姿勢は、学ぶところが大きいと思います。

「ご近所福祉」は、最後まで自宅で暮らしたい。認知症になっても住み慣れたまちで暮らしたい。という思いを実現するために、今後はキーワードになってくるもの。
研究集会で得たものは、もう少し私の中できちんとまとめなおしてから、みなさんに報告したいと思います。

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どんな介護を受けたいですか?今日から2/4まで、パブリックコメント募集

東郷町の第4期高齢者保健福祉計画(案)について、今日から来月の4日まで、住民の意見を聞くためのパブリックコメントを募集しています。

第4期高齢者保健福祉計画は、来年度から3年間の、東郷町の福祉や介護サービスの量や内容を決めるものです。
この計画によって、来年度からの介護保険料が決まります。
また計画に入っている介護サービスが提供されることになります。

逆にいくら住民が望んでいても、この計画に入っていない介護サービスは、東郷町では供給されません。
たとえば
認知症になっても自宅で住み続けたいという希望をかなえるためには
地域密着型サービスの小規模多機能居宅介護や認知症対応のデイサービスなどが必要になりますが
東郷町が提示している計画の原案には、どちらも明記されていません。

24時間安心して暮らせる介護施設の充実をと望む声もありますが
現在でも待機者がいる認知症グループホームを、今後3年間で増やしていく計画も、入っていません。

介護保険制度は、3年ごとに計画を住民参加でつくることと決められています。
「住民が自分の住むまちで、どんな介護を受け、いくら介護保険料を払うのかを決める」のが、介護保険の基本的な姿勢だからです。

そして、この第4期高齢者保健福祉計画が、その計画にあたります。
パブリックコメントで住民が声をあげなければ、「これでいいのだ」と承認したことになります。

町の計画案は、以下のホームページでダウンロードできます。
(インターネットが見られなくても、町の長寿介護課窓口と3階・町政資料コーナーで、閲覧することができます)
第4期高齢者保健福祉計画(案)についての意見募集

また、下記の日時で、第4期高齢者保健福祉計画についての勉強会を開きます。
そこで、計画案のコピーを配布して、内容について簡単に説明しますので、興味のある方はぜひお越しください。

東郷町でどんな介護を受けたいですか?
 〜第4期高齢者保健福祉計画に、ぜひあなたの意見を!

日時/1月21日(水) 午後1時半〜3時半
場所/いこまい館2階研修室A

どなたでも、気軽にご参加ください。

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認知症になっても安心して暮らせるまち」のパネルディスカッション終了

三好町のサンアートで、「認知症になっても安心して暮らせるまちに」というテーマで、パネルディスカッションが行われました。

三好町制施行50周年記念事業として行われた
ずっと笑顔で このまちで暮らしたい!
と題した講演会&パネルディスカッション

コーディネーターをつとめた岡久美子さんの適切な仕切りもあって、後半には会場からの発言も活発に出るなど、認知症の人をみんなで支えたいという熱意と、これからの可能性を感じさせる良い会になりました。

パネリストとして、認知症の実母を家に引き取って介護している方が参加。
実際に介護をしている立場からの発言は、やはり当事者としての重みがありました。
認知症であることをオープンにして、いろいろな場所に認知症のお母さんを一緒に連れて行っているというお話でしたが、「地域の人がなにかと気に掛けて声を掛けてくださるのが、本当に支えになっている」という笑顔での発言に、胸をうたれました。

三好町では、町内の4つの地域で「認知症サポーター養成講座」を開催し、すでに250人のサポーターが誕生しているとのこと。
認知症サポーターになったという方から、「一度、講座を受けただけでは、実際にどう接して良いのかとまどう部分も残る。もっと継続的な講座があれば、地域でも支えやすくなる」という声が上がり、住民の意識の高さを感じました。

また、ちょっとおかしいと感じた時に、どう接したらいいだろうという討論を受けて、会場から看護師の方が、「おかしいと感じたことをすぐに言うのでなく、まず、その方の良いところ、服のセンスがいいですねとか、持ち物をほめるなどして一呼吸おいてから。笑顔でゆっくり、話すといいのでは」と発言。笑顔で接する大切さを指摘する話に、拍手がおきるなど、会場のみんなで考え支え合う空気が流れるのを感じました。

さて、
パネリストとして、1人10分程度の話を最初にしたのですが、予定していた原稿の半分くらいしか話せなかったので、おまけとして下記に掲載しますね。

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(以下、パネリスト 山下律子の発言です)

こんにちは。「介護施設と地域を結ぶ市民の会」の山下律子です。
みなさまのお手元にある介護情報誌「ぬくぬく」の発行・編集・取材も行っています。
今日は、長年、介護の現場を取材してきたライターとして、また市民ボランティアとして、県内の介護施設を訪問調査してきた経験を踏まえて、お話しようと思います。

実際に介護施設に出かけて、一番問題だと感じたのが、認知症で苦しむ入居者の方へのケアでした。

介護保険が始まる年に、介護施設での拘束禁止が法令化されました。
入居しているお年寄りを、縛ったり、鍵をかけて閉じこめたりしてはいけないということになったのです。
でも実際に施設に出かけてみると、多くの介護施設には、認知症のお年寄りを集めたフロアがあって、出入り口には鍵がかかっています。
エレベーターも暗証番号を入力したり鍵をつかわないと、押してもこないようになっています。
認知症になって施設に入ったら、ずっと施設の中に閉じこめられて、死ぬまで自由に外にでることができない。
これでは、認知症になったら怖い、大変だと、みなさんが思うはずです。

認知症の方が集められているフロアでは、床に寝ころんでいるお年寄りを見ました。
昼夜逆転を防止する、つまり昼間寝てしまって夜動き回るといけないからという理由で、その方のベッドがある居室に鍵がかけられていて、中に入ってベッドで横になれないようにしていたからです。
廊下の冷たい床で寝るのは良くて、自分のベッドで寝るのはダメ? なんて、へんですよね。
認知症の人は閉じこめるだけで、職員がかかわったりはしないため、ほとんどの方がじっと椅子に座って、ただぼんやり座っているだけ。
座り込んで居眠りしている人もいて、これなら自室のベッドで昼寝をさせてあげる方がいいのではと感じました。

おむつを自分ではずせないように考えられた、つなぎ服というものがあります。
ファスナーがあって、ピッーとファスナーをあげて、鍵をかうようになっています。
鍵を使わないと脱ぐことはできませんから、もちろん着せられた人が自分で脱ぎ着できるわけはない。なにせ自分で脱げないようにするための拘束服なのですから。

つなぎ服も、拘束禁止の項目に入っていますが、認知症のお年寄りにつなぎ服を着せている施設はいまだにあります。
おむつをはずすのは、おしっこが出て濡れてしまって気持ちが悪いからです。
うんちが出てしまって気持ちが悪いから、はずしてしまう。
だけど、それって当然ですよね。
プロの介護士なら、出てしまう前に様子を見てトイレにつれていったり、もぞもぞ気持ち悪そうなら、すぐにおむつを交換します。
実際、そうやっている施設もあります。
ですが、1人1人の排泄のリズムをつかんでトイレ誘導をしたり、出てもすぐにおつむを交換する手間をかける代わりに、おむつをはずせないように拘束服を着せてしまおうという施設もあるのです。

私がヘルパー2級の実習で、特別養護老人ホームに行った時のこと。
認知症の方への食事介助で、先輩職員は、おかゆの器に他のおかずを全部入れて混ぜ混ぜし、その上に粉薬を振りかけて、「はい、どうぞ」と渡しました。
グループホームを訪問調査した時には、もっと怖い光景も目にしました。
グループホームでは、認知症のお年寄りが自分たちで食事を作るところも多いのですが、そこは外から宅配のお弁当をとるという方針の施設。
届いた弁当箱から、食器に移し替えていたのですが、飲み込みが悪い入居者用の食事ということで、ミキサーに弁当箱の中身をすべて入れて、ガアッーとかき回したのです。
フライも添えてあるキャベツも、酢の物も、煮物も全部。
出来上がったのは、灰色のドロドロの物体。
「いったいどんな味がするのか、想像することはないのだろうか」「自分だったら、食べられるの?」と、怒りさえ感じました。

こうした認知症のお年寄りへの施設の姿勢は、認知症についての正確な知識がないためです。
認知症の方をどうケアしたらいいのかわかってきたのは、実は最近のことなのです。
認知症の方本人が、自分の思いや苦しみ、困っていることを発言しはじめたのです。
その先駆けが、オーストラリアのクリスティーン・ブライデンさんという女性で、アルツハイマー病と診断されてから、『私は誰になっていくの?-アルツハイマー病者からみた世界』(クリエイツかもがわ)
『私は私になっていく-痴呆とダンスを』という2冊の本を書き、認知症になってどんなことが大変か、困っているのか、どう接して欲しいのかを、当事者として発言しました。

「認知症になったら、家族は大変だけど、本人はいいよね。どうせなにもわからないんだから」という言葉をよく聞きますが、これは大間違い。
実は、自分がなんだかおかしくなっているということを、本人が一番よくわかっていて、苦しんでいるのです。

私の祖母は認知症になり、グループホームで亡くなりました。
よく認知症になると、「財布をとられた」「泥棒がいる」と言うといいますね。
祖母は反対で、私の顔を見るたびに「お年玉はもうあげた?」と何回もお金を渡そうとしました。
祖母は豊明に住んでいたのですが、けっこう大きな地震が起こった時に、孫の私を心配して「大丈夫だったかい?」と電話をかけてきました。
その時には認知症だとわかっていましたので、祖母が心配ですぐに豊明に行ってみると、祖母はけろっと地震があったことも、電話してきたことも忘れていました。
居間に座っておしゃべりをしていたのですが、ふと祖母が真顔になって、「このごろ、よくもの忘れするみたい。いったいどうしたらいいんだろうねえ。みんなに迷惑かけたくないんだけどねえ」というのです。
祖母には認知症になったことは伝えていませんでしたが、自分でも何か変だ。家族の迷惑になっていると感じていたようです。

認知症は記憶と認知の障害がおこります。近い記憶から忘れてしまう、時間や場所、ものの名前がわからなくなる。それが認知症の特徴です。

ですから、認知症の方は、いつも不安です。
介護施設に入っていても、自分はどこにいるのか、なぜここにいるのか、親しげに話しかけてくる人はだれなのか、わからないのです。
新しいことは覚えられないのですから、これは当然ですね。
でも、人間の不思議なところというか、記憶はなくしても、その時感じた思いはなくさないのです。
いつもかかわってくれる介護職員は、名前は覚えられません。
でも、なんとなく親しい感じは残ります。いやな思いをすれば、「この人嫌い!」という形で、ちゃんと残りますし、優しくされれば、「この人はいい人」という思いは残ります。
外へ出かけてきれいな花を見たり、おいしいものを食べれば、何をしたかの記憶には残らなくても、その幸せな思いは心に積み重なっていきます。

周囲の環境やケアが大事なのは、そのためです。
「どうせ何もわからないだろう」「何しても忘れちゃうし」と、邪険に扱ってはだめだということですね。
認知症の方は感性が鋭い分、普通の人よりも、ちゃ〜んとわかっているんですよ。

認知症になっても安心なまちを作るためには、認知症という病気について、正確に知ること、認知症になった人が安心して暮らせるようにどう周りがかかわればいいかを知ることが大切です。

認知症になっても安心といえるようになるには、私たち1人1人が、これからどう行動していくかにかかっていると思います。

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「認知症になっても安心して暮らせるまち」をつくるために

10月26日のパネルディスカッション「認知症になっても安心して暮らせるまちに」で配る資料を作りました。

参加できない人のために、ブログにも掲載しておきます。

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「認知症になっても安心して暮らせるまち」をつくるために

【認知症はひとごとではない】
長寿世界一の日本は、世界でも類を見ない「超高齢社会」を迎えようとしています。
厚生労働省の推計によれば、2025年には「何らかの介護・支援を必要とする認知症の高齢者」は323万人に。
2035年には、65歳以上の10人に1人が認知症になるとされています。

認知症の中で、最も多いアルツハイマー病は、なぜ発症するのかという原因がわかっておらず、根本的な治療薬はまだ開発されていません。
認知症の予防法はいろいろ話題になってはいますが、確実にこれをすれば防げるという決定打はないのが実情。
だからこそ、自分や家族が認知症になった時に備えて、「認知症になっても地域で安心して暮らせる仕組み」をつくることが大切なのです。

【介護の現状と問題点】
2000年に介護保険がスタートし、介護は社会で支えるものということになりました。
ですが、介護が必要になる人が最期まで暮らせる「特別養護老人ホーム」は待機者が多く、要介護4・5の重度になるか、身寄りがなく介護する人がいない場合でないと、なかなか入れないのが実情です。
認知症の方が少人数で暮らす「グループホーム」はまだ数が少なく、重度になると出なくてはいけなくなるなど、利用しにくい側面があります。
では、民間企業がつくる「介護付き有料老人ホーム」はといえば、入居一時金が数十万円、月額利用料が15〜20万円と、金額こそ利用しやすくなりましたが、認知症でほかの入居者とトラブルになると退去を求められたり、身体拘束されるなど、認知症の人が尊厳を持って暮らす場としては不適切な施設もあります。
認知症になっても最後まで笑顔で暮らせる介護施設は、まだまだ少ないのです。

そんな現状もあって、施設に入っている認知症の方より、在宅で暮らしている方の割合が高いのが実情です。
では、在宅介護は介護保険だけで支えられるのでしょうか?

残念ながら、今の介護保険制度では、在宅サービスは限度額が低く、家族が介護をするのを補完するだけ。
自宅で一人で暮らす認知症の方を、介護保険だけで支えるのは難しく、地域の支えがあれば自宅で暮らせる場合でも、本人が望まないまま介護施設へ入るという現実があります。

【在宅での暮らしを支えるために】
認知症は記憶障害と認知障害(時間や場所、ものの名前などがわからない)が進行する病気です。
環境の変化に適応することが難しく、環境が変わると、そのストレスから症状が悪化することもあります。
認知症を悪化させないために、なじみの環境で365日・24時間、適切な介護を受けるシステムが必要です。

そこで、2005年の介護保険の改正で、新しくできたサービスが、「小規模・多機能サービス」です。
日中の通い、一時的な宿泊、緊急時や夜間の訪問サービス、つまり「通って、泊まって、来てくれる」介護サービスを歩いていける範囲に整備し、本人や家族の状態に応じて、在宅に365日・24時間の安心を届けようというのが、「地域密着型サービス」です。
許認可・監査権限は各市町村にあり、どんなサービスをどれだけつくるかも市町村ごとに決められます。

また介護保険以外の支え合う仕組みを、まちでどう作っていくかも求められています。
認知症になると、日常生活にあれこれ支障が出てきます。
たとえば、ごみの分別ができなくなったり、決められた集積場所にごみを出せなくなることから、在宅での暮らしが難しくなったりします。
家族が認知症の方の介護をしている場合は、切れ間のない介護に疲れ果てる家族を支える仕組みが欠かせません。

こうしたニーズに対して、介護が必要な家庭にごみの個別収集を行っている春日井市、ごみ出し支援を「エコサポート」として制度化した日進市、認知症見守りボランティアを育てて家族負担を軽減している三重県伊賀市など、まちで独自のサービスをつくっている市町村も増えています。

【認知症サポーターを増やし、安心して暮らせるまちに】
平成17年度から厚生労働省では、「認知症を知り地域をつくる10カ年」キャンペーンを始めています。
「認知症サポーター100万人キャラバン」は、このキャンペーンの一環。
認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を見守り、支援する「認知症サポーター」を多数育成し、認知症になっても安心して暮らせるまちを市民の手によってつくっていこうという試みです。

「認知症になると何もわからなくなる。家族は大変だけど、本人はわからないんだから」という思いこみは、実は間違いです。
認知症になっても、感情やプライドはありますし、「なんだかおかしい。自分は家族の迷惑になっているのでは」と悲しんだり、心配したり、不安になったりして、一番苦しんでいるのは認知症になった本人です。

介護施設に行くと、認知症の人が外へ出られないように鍵をかけて閉じこめている場合が多いのですが、「なぜ閉じこめるのですか」という質問すると、施設から「認知症の入居者が施設の外に出ると、地域の人からどうして閉じこめておかないんだと苦情がくるから」という答えが返ってくることがあります。

でも、認知症になったら、死ぬまで施設に閉じこめられなければいけないのでしょうか?
地域の人たちが認知症のことを理解して、外で迷っている認知症の方を見つけて助けられる仕組みがあれば、認知症になっても自由に外を歩き、なじみの店で買い物したり、知り合いに会って立ち話をしたりできるのです。

「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を進めるために、厚生労働省はモデル事業を行っています。
愛知県では、昨年は北名古屋市が、今年は東郷町がモデル事業に選ばれました。

東郷町では部田地区をモデル地区に指定し、地域の介護資源を利用するための「地域資源マップ」作成や、認知症の人が行方不明になった時に町の人たちで探せるよう「徘徊SOSネットワーク」づくりと「模擬訓練」を行う予定です。
また地域で認知症について正しく理解し、偏見を持たずに認知症の人や家族に温かい目で見守ることができるよう、認知症サポーターの養成にも取り組んでいます。
(平成20年9月現在で、約150人のサポーターが誕生)

認知症は病気です。
40代の働き盛りでなる若年性認知症もあり、だれもが、いつ認知症になるかわかりません。
「もしも認知症になったら」と考え、いま行動することは、将来の自分のためでもあるのです。

認知症になっても安心して暮らせるまちをつくるために、いま、あなたにできることは何ですか。

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三好町で認知症をテーマにしたパネルディスカッション

「認知症になっても安心して暮らせるまちに」というテーマで、パネルディスカッションが行われます。

主催は「女(ひと)と男(ひと)で輝くまちみよし実行委員会」
共催は、だれもが笑顔で安心して暮らせるまちづくりを考える会「さんかく・おむすび」
10月26日に、三好町制施行50周年記念事業として行われる
ずっと笑顔で このまちで暮らしたい!
と題された講演会&パネルディスカッションでの企画です。

私は、介護現場を長年、取材・調査してきた立場として、パネリストで参加。
ほかに、介護職や介護家族の方がパネリストになり、「認知症になっても安心して暮らせるまち」について語ります。

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三好町制施行50周年記念事業
〈女(ひと)と男(ひと)で輝くまちみよし〉
ずっと笑顔で このまちで暮らしたい!

あなたにとって、このまちは住みやすいですか?
困りごと、悩みごとを支えあう人はいますか?
子育て中のあなた、老い支度を始めたあなた
さまざまな障がいがあっても、笑顔で暮らせるまちづくり・・・
さあ、はじめましょう!

日時 10月26日(日) 13:30〜16:00

第1部 13:30〜14:30
講演 「じぶん育て☆まち育て〜ステキな歳の重ね方〜」
   講師 岡久美子さん(シニアライフ研究所りあもでんな代表)

第2部 14:50〜16:00
パネルディスカッション 「認知症になっても安心して暮らせるまちに」
   コーディネーター 岡久美子さん
   パネリスト    伊藤聖子さん(介護職)、松尾佳枝さん(介護家族)、山下律子さん(介護ライター)

会場 三好町文化センター
   サンアート レセプションホール

参加費 500円
定員  200名

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定員は、まだ空きがあるそうです。
興味のある方は、右上の「メール送信」から、問い合わせ下さい。


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昭和の思い出が持つ力

“昭和レトロ”が人と街を救う
と題した番組が、放送されましたが、見た人はいるでしょうか?
テレビ愛知で8月5日の夜10時から放送された「ガイアの夜明け〜昭和レトロで救え」です。
(番組の案内は以下のホームページで見られます)
         ↓
日経スペシャル ガイアの夜明け
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview080805.html

団地の高齢化、商店街の衰退
こういった問題に対処するために、団地の商店街に懐かしい昭和の町並みを再現しようという試みが行われます。
「お年寄りが、自分たちが主役だと感じられるもの。家にこもりがちの高齢者がわざわざ足を運びたくなる場所をつくろう」というコンセプトで、出来上がったのは・・・。

昔懐かしい駄菓子屋。店の中には鉄板焼きができる席もあり、番組内では、おばあちゃんと子ども達がもんじゃ焼きを楽しんでいました。

このおばあちゃま、いつもは食事はひとりでとっているとのこと。
もんじゃ焼きを囲む子ども達とは、初めて会ったのだけれど、昔懐かしい雰囲気のためか、世代を超えて話がはずみ、「だれかとおしゃべりしながら食べる食事はいいねぇ」と、感想を話していました。

昭和のお店を商店街につくったことで、お年寄りや子どもが自然に集まり、ベイゴマなどの昔の遊びも復活したとのこと。
昔懐かしい空間が、地域の人をつなげ、出会いをうんでいます。

15年後には300万人を超すと、予想されている認知症の患者。
この認知症の治療にも、昭和レトロが生かされています。

認知症の治療で定評があるという、千葉県の総泉病院。
現在、認知症で入院中の患者は、90人。
昭和20〜30年代の町並みが病院内に再現された「思い出ミュージアム」で、認知症の治療が行われています。
懐かしい生活用具などに触れることで、記憶(脳)が活性化されるという治療法、「回想療法」です。
「手にとって触れることで、脳の中に眠っていた記憶が引き出されます」とのこと。
総泉病院では、病院内に昭和の町並みをつくり、常に触れることができる環境をつくること(思い出療法)で、認知症の治療に役立てています。

認知症の患者12人に、「思い出療法」を施したところ、半数に効果が見られたとのこと。
意識がはっきりせず会話ができなかった女性が、家族と会話できるまでに回復したりという例がみられたそうです。

認知症の人が集まる施設の中に、昭和の町並みを再現するという試みは、
愛知県高浜市の特別養護老人ホーム「高浜安立荘」でも行っています。
これは、以前にブログで紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
回想法に取り組む「高浜安立荘」

また認知症予防に回想法を行っている自治体ということで、私が前にブログで紹介した「北名古屋市の回想センター」の紹介もしていました。

番組内では、こじんまりした古民家といった感じの回想センターに集まったお年寄りが、おこしもの(むかしのお菓子)作りを楽しんでいましたが、そこでの男性の言葉が印象に残りました。

「いまの家は新しくて、家に帰ったという気がしない。ここだと昔の家と一緒で、帰ってきたという気持ちになれて、落ち着く」

新しくて快適な建物より、すきま風が入っても昔の民家の方が心安らぐ。
鉄筋コンクリートの特養や有料老人ホームよりも、民家を改造した宅老所の方が、やはりお年寄りには向いているのかなと思いました。

昭和の町並みを集客に利用するスポットも増えているそうです。
これについては、以下のホームページをどうぞ。
          ↓
若者も惹きつける昭和の町並み“郷愁消費”
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/227/227542.html

さて、昭和の思い出は、平成のいまを打開する“助け”となるのでしょうか。

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新たな認知症「ピック病」って?

「認知症ってどんな病気?〜知ればわかる!「認知症はこわくない」って本当なの?!」
と題した認知症の勉強会は、昨日、無事に終了。
くわしい内容は、また追ってお知らせしますね。

今日は、新しい認知症として、最近報道されるようになってきた「ピック病」について。
昨日の朝日新聞に、次のような記事が出ていました。

--------------------------(ここから引用)----------------------------

「ピック病」認定 障害年金支給へ
万引きで懲戒免職 元茅ヶ崎市課長

スーパーで万引きをしたとして懲戒免職になった神奈川県茅ヶ崎市の元文化推進課長、中村成信さん(58)に対し、神奈川県市町村職員共済組合は10日までに、若年性認知症の「ピック病」による障害を認定し、近く障害年金を支給する。
働き盛りでピック病などを発病し、万引きなどで失職する例は各地で起きている。
今回の決定は、同様の事例の救済策となりそうだ。

中村さんは要介護2と認定されている。
公務員共済制度の一つ「障害共済年金」に加入していたため、家族らが昨年、診断書などを提出。
上部団体の「全国市町村職員共済組合連合会」の専門医が審査した結果、ピック病による障害が認定された。
同連合会は「病名別の統計はないが、ピック病での認定例は聞いたことがない」としている。

中村さんは06年2月、自宅近くのスーパーでチョコレート4個とカップ麺3個を盗んだとして現行犯逮捕され、16日後に懲戒免職となった。
その前から同じものを繰り返し買って帰るなどの行動があったため、家族が大学病院などで診察を受けされたところ、若年性認知症の前頭側頭型認知症(ピック病)と診断された。

中村さんは茅ヶ崎市に懲戒免職処分の撤回を申し立て、市公平委員会で審議中だ。

(朝日新聞 2008年7月12日)
----------------------------------(引用ここまで)---------------------------

昨日の勉強会の中でも、認知症を引きおこす原因疾患のひとつとして紹介されましたが、ピック病は若年性認知症のひとつ。
前頭葉などおもに脳の前部分がダメージを受けるため、性格の変化や理解不能な行動を特徴とする病気です。

ピック病の問題は、アルツハイマー型認知症と違い、記憶の障害がゆっくり出てくるため、なかなか認知症だと認識されないことです。
怒りっぽくなったり、同じことを繰り返す(こだわりが強くなる)。
大声を出したり、手が出るなど、周りの人から見て「こんなことをするなんて!」という行動が起こるため、日常生活をあたりまえに送ることが難しくなることも。
新聞記事のように、ピック病の症状のせいで、何の悪気もなくスーパーの棚のものをお金を払わず持ってきてしまうこともあるため、万引きに間違われ、最悪の場合、仕事先を首になることもあるのです。

ピック病の診断をつけることが難しかったため、他の病気に間違われたり、施設で問題ばかりおこす困った人と誤解されたり、本人も家族もつらい思いをすることが多かったといいます。

ピック病という認知症があるということ。
そのために、理解しにくい行動をとることもあること。
こうした点を皆が理解し、「おかしな人」という色眼鏡で見ないことが大切だと思います。

ピック病について解説しているサイトから、ピック病のチェックリストを引用します。
こんな症状がでるのだなという、理解の助けとしてみてください。

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○状況に合わない行動
場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや配慮を欠いた行動をする。
周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為をする。

○意欲減退 
引きこもりや何もしないなどの状態が持続し、改善しない。
思い当たる原因は特になく、本人の葛藤(かっとう)もない。

○無関心
身だしなみに無関心になり、不潔になる。周囲の出来事にも無関心になる。

○逸脱行動
万引きなどの軽犯罪を犯すが、反省したり説明したりできず、同じ違法行為を繰り返す場合が多い。

○時刻表的行動
散歩や食事、入浴などの日常生活の様々な行為を時刻表のように毎日決まった時間に行う。
この際、やめさせたり、待たせたりすると怒る。

○食べ物へのこだわり
毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない。際限なく食べる場合がある。

○言葉の繰り返し
同じ言葉を繰り返したり、他人の言葉をオオム返ししたりする。

○好みの変化
突然甘いものが好きになるなど、食べ物の好みが大きく変わる。
アルコールやたばこなどは毎日大量に摂取するようになる。

○発語、意味の障害
無口になったり、語彙(ごい)が少なくなったりする。
物の意味が分からなくなる。

○短期記憶の維持
最近の出来事など、短期記憶は保たれる。また、日時も間違えない。外出しても道に迷わない。

40歳以上の方で、上のチェックリストで3項目以上当てはまると、ピック病の疑いがあるそうですが、ピック病かどうかの最終判定はこのテストだけではできません。
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ピック病について、もっと知りたい人は、ぜひ下のサイトをご覧ください。
教えて!認知症予防 働き盛りを襲う“ピック病”
http://www.ninchisho.jp/kind/04.html

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