終のすみかの探し方

もう特養ホームはいらない?! 必要なのは「特定住居」と外付けの24時間365日の介護・医療

もう、特別養護ホームはいらない!
この発言の主は、全国に先がけた全室個室の特養ホーム「風の村」をつくった、社会福祉法人生活クラブの池田徹さん。
10/11に参加した「在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク」主催の「全国の集いin名古屋」で行われたシンポジウムでの発言でした。

特養ホームをめぐって、このところ個室でなく従来の多床室に戻そうとするような発言や動きが出ていますが、これに対して池田さんは、「個室は人間の尊厳を守る最低条件」ときっぱり。
個室をやめようとか、個室の面積要件を緩和して狭くてもOKとするような提言の裏には、特養ホームに家賃(ホテルコスト)が自己負担となり、金銭的に個室の新型特養に入居できない人がいるという現状があります。
特養の入居費用は、所得別に4段階に分かれていて、3段階以下の人には、介護保険から補足給付という形で、実質的な家賃補助があります。
しかし、生活保護の人の場合、自治体によっては個室の新型特養への入所を禁止しているところがあるのです。
お金があるなしで、何年も暮らす住まいが他人との雑居になるかどうかが決まるのは、本当に問題。
こうした問題に対して、特養に補助を出して、お金がない人も個室特養に入れるシステムをとっている自治体も出てきています。

さて、現状を踏まえて、池田さんが指摘する問題点は、
「特養だけが、最後のセーフティネットになっている」
ということ。
補足給付という形で実質的な家賃補助がある高齢者の住まいは、特養ホームしかありません。
認知症の高齢者が暮らすグループホームも、介護付きの有料老人ホームも、家賃補助の仕組みがなく、お金が支払えなくなれば、退去になってしまいます。
だからこそ
お金がない人は、特養ホームへの入居を求める。
家賃補助を切り離し、高齢者の住まいで暮らす人には、必要度に応じて家賃補助を受けられる仕組みに変えることが必要!
というのが、池田さんの提言です。

そして、特養ホームや介護付き有料老人ホームなどの介護保険での入所施設と、国土交通省管轄の高齢者専用賃貸住宅をひっくるめて、
高齢者の住まいはすべて、「特定住居」に統一する
というのが、もう一つの提言でした。

特定住居というのは、「高齢者の住まいのあり方研究会」が発表した報告書にある概念で、研究会は、高齢者の住まいとして「特定住居」制度の新設を提案しています。

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「特定住居」の定義
(1)個室の最低基準面積を13.2㎡以上とする。
(2)個室にトイレ、風呂、キッチンを必置とする。但し、共用部分(生活単位(=ユニット)ごと)に整備されている場合は任意でも可。
(3)入居者15人に1人の24時間の見守り要員を配置する。賃貸借契約の他に見守り付き生活支援サービス契約を締結するものとする。
(4)生活単位は15名以下とする。
(5)住居の権利形態は一代限りの賃貸借・所有権とし、利用権は認めない。
(6)第三者評価の受審を義務付ける。
※制度サービスは、ケアマネジャーを含めてすべて外付けとする。
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研究会では
「現在の介護保険三施設、特定施設、高齢者住宅を一本化し、特定施設への統合」
を提案しています。
その理由としてあげているのは
・特養には在宅復帰機能も想定されている。
・老健には長期入所者も多く、両者の事業実態は大差ないように考えられる
・介護療養病床は在宅復帰を念頭に置かない『医療付き終の棲家』であり、最も『住まい化』が求められる
の3点。
また高齢者専用賃貸住宅については
「数は増えているものの、介護の実態は千差万別で、介護が必要な高齢者が安心して生活を続けられる場には必ずしもなっていない」と指摘しています。

特養も老健も介護療養病床も、中身はそんなに変わらないという実感は、わたしも持っています。
また、ケア付きケアハウス、介護付き有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅など、高齢者の住まいがさまざまに増えてきて、選ぶ側からすれば、違いがわかりにくいということもよくわかります。

高齢者の住まいとして、基準をひとつにする。
その上で、
・すべて個室で、13.2㎡以上
・トイレ、風呂、キッチンを個室内に完備
・15人を単位として、24時間の見守りスタッフが1人つく
・第三者評価の受審を義務付ける
などの条件を満たすことが必要になれば、いまある問題はずいぶん解決され、すっきりすると思います。

なにより、統一された基準で、高齢者の住まいすべてに「第三者評価」が義務づけられることが必要だと思っています。

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法改正で高齢者の住まい(高齢者専用賃貸住宅)が変わる?!

「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者居住安定確保法)」が改正されたのが、昨年の5月。
この改正によって、高齢者専用賃貸住宅は一定の水準に満たないと登録できないようになり、今年の5月19日から、新しい基準を満たした住まいだけが再登録されています。

高齢者居住安定確保法で、高齢者の住まいがどう変わるか。
少し古い記事になりますが、以下に紹介します。

--------------------------(ここから引用です)---------------------
https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=25750
高齢者の住まいの在り方はどう変わるか―高齢者居住安定確保法改正

 2009年5月、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者居住安定確保法)が改正、公布された。改正法では、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)などについて一定の水準を担保するため、基準やそれに伴う新たな登録制度などが設けられた。一方で、施設や住宅には供給の遅れを指摘する声もある。日本の高齢者に占める介護施設や高齢者住宅などの定員数の割合は約4%。デンマークやスウェーデン、英国、米国など欧米諸国と比較しても低い。また厚生労働省は12月22日、特別養護老人ホーム(特養)の待機者が約42万1000人に上ると発表。06年の前回調査時は約38万5000人で、約3万6000人増えたことになる。日本の高齢者は行き場を失ってはいないか―。今回の法改正を踏まえ、高齢者の「住まい」政策の在り方を考える。

契約書に問題のある事業者も
 高専賃などを手掛ける事業者に対してはこれまで、質の低い事業者が存在する「玉石混交」との指摘があった。例えば、契約書。高齢者向け賃貸住宅事業に参入してきた事業者の一部には、契約書に問題がある事例があるという。
 高専賃などを契約する場合、賃貸借契約と生活支援サービス契約が別に存在する。例えば、賃貸借契約では要介護度が重度化したからといって、居住者に対して部屋を移動するよう求めることはできない。しかし、有料老人ホームの経営などを手掛けてきた事業者の一部には、もともと施設の利用権契約に慣れているためか、「要介護度が重度化した場合に、移り住みがある」などという文言を契約書に記載し、賃貸借契約をすべきところが、実質的には利用権契約になっている事例もあるという。また、契約時の説明が不十分なため、居住者との間でトラブルになる事例もあるという。

高齢者住宅の水準向上を目指す
 09年5月、高齢者居住安定確保法が改正された。国土交通省住宅局住宅総合整備課住環境整備室の武井佐代里課長補佐は改正の背景について、単身高齢者の増加に伴い、生活支援サービスが受けられる住宅へのニーズが増えていることや、高齢者が安心して住むことができる一定の水準が担保された住宅を供給することなどを挙げる。
 法改正により、これまで国交省の所管だった高齢者居住安定確保法は、国交省と厚労省の共管となり、住宅政策と福祉政策の連携が促進される。また、▽床面積▽設備▽賃貸条件―といった一定の基準を満たす住宅のみを、高専賃や高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅)として都道府県に登録することが可能になる。登録可能な住宅の設備基準は、1戸当たりの床面積が原則25平方メートル以上(居間や食堂、台所などが、高齢者が共同して利用するために十分な面積がある場合は18平方メートル以上)とされた。一定以上の面積水準を確保することが求められる。設備については原則、各戸が水洗トイレや洗面設備などを備える必要がある。新たな登録制度は10年5月19日から施行される。施行日の6か月前となる09年11月19日以降は、事前申請が可能になった。施行日までに基準を満たし、都道府県に再登録の手続きを行わない限り、現在の高専賃、高円賃としての登録は抹消されることになる。高齢者住宅の開設支援コンサルティングなどを手掛ける「タムラプランニングアンドオペレーティング」代表取締役の田村明孝氏は、「現在登録されている約4万戸の高専賃のうち、約2割が登録基準からはみ出るのではないか」と話す。その上で、この新たな登録制度について「ハード面での質の向上につながるのではないか」と一定の評価をしている。
 このほか、都道府県による指導監督も強化。住宅の賃貸人に対し、管理の状況に関して報告を求めることもできるとされた。

自治体や事業者団体の対応策は
 法改正を受け、自治体にも動きがある。東京都は高齢者向け賃貸住宅を運営する事業者などに向け指針を策定。高齢者向け賃貸住宅での生活支援サービスについて、住宅事業者とサービス事業者の両者が協議した上で、生活支援サービスの提供主体を明確にすべきとした。また契約については、入居希望者などに対し、契約の締結や契約前の事前説明が適正に実施されるよう、モデルとなる契約書と重要事項説明書を作成した。トラブルの防止が狙いだ。こうした指針の水準を満たした事業者が都に届け出ると、都はその情報をホームページ上に公表する。都民はこの情報を基に、指針の水準を満たす適切な住宅を選ぶことができるようになるという。
 また、高専賃事業を手掛ける事業者で構成する「高齢者専用賃貸住宅事業者協会」(高専協)も、賃貸借契約書と生活支援サービス契約書などについて、解説を加えた標準モデル契約書などを作成し、ホームページ上で公表している。

都道府県が老人ホームなどの供給目標計画を策定
 また改正法では、都道府県の住宅部局と福祉部局が共同で、高齢者向け賃貸住宅や老人ホームの供給目標を記載した「高齢者居住安定確保計画」を策定するとされた。

 特養などの介護保険施設はこれまで、十分に整備されてきたとは言い難い。09年9月に発表された第3期(06-08年度)の介護保険施設などの整備率は、当初の計画を大きく下回っていた。例えば特養では、計画見込み数5万847床に対し実績3万7232床で、整備率は約73%にとどまった。
 田村氏はこうした整備の遅れを「行政の不作為」と語る。その上で、「施設整備を促進するため、低利での融資制度を充実させることが重要」と指摘。また、「施設整備を促進するとともに、希望者が入居しやすい環境をつくるため、低所得者が入居できるような家賃の補助があるべき」とも語る。
 国は現在、要介護2-5の人に占める介護保険施設や居住系サービスの利用者の割合を37%以下とする目標、いわゆる参酌標準を掲げている。これについては、「介護保険制度をつくる上で、財政を圧迫しないための数字」と田村氏は話す。その上で、「厚労省や国交省は、国としての供給ビジョンを定めるべき。改正法に都道府県が供給目標の計画を策定する点が盛り込まれたことは、国が本当に必要な施設の供給目標を策定することへの『一歩前進』になるのではないか」と話している。

今後の課題は?
 国立保健医療科学院施設科学部施設環境評価室長の井上由起子氏は、高齢者住宅の家賃を問題視している。井上氏らの調査によると、都にある高専賃の平均的な家賃は共益費や基礎サービス費を含め、約12万円だった。これに食費や介護保険サービスに掛かる費用などを加えると、厚生年金の平均受給額である約17万円を上回り、約20万円に上ることもあるという。井上氏はこうした状況を踏まえ、「高専賃の供給に当たっては、それぞれの地域の所得に応じた家賃設定ができるかどうかが重要」と話す。
 また田村氏は、「高専賃などに『高齢者』と冠が付いている限り、何らかのサービスやケアが付いていると期待する人が多い。認識の食い違いによるトラブルは今後も続くだろう」と懸念する。

 それでは今後、高齢者の住まいはどのように整備されるべきなのか。井上氏は、「地域社会とのコミュニティーを創造する必要がある」と指摘。「『地域包括ケア』の理念に立った時、高齢者向け賃貸住宅は『多世代型』であるべき」と語る。いろいろな世代で、地域の人間関係をつくり出す。そのためには、高齢者住宅はケアの拠点であり、交流の拠点であるべきなのだが、こうした住宅はまだ日本には少ないのだという。また井上氏は、「日本の空き家率は約13%にも上る。構造補強などにより、建物の安全を確保した上で、空き家など既存のストックを活用すべき」とも語る。
 一方、田村氏は「高齢者の生活が施設での受動的な生活から、自立した能動的な生活に変わることで、介護コストが軽減される効果がある」と指摘。「団塊の世代が75歳以上を迎える25年までに、特養などの施設が自立した生活を営める『住宅型』に変わっていくことが求められる」とも話している。

( 2009年12月31日 14:00 キャリアブレイン )
--------------------------(引用ここまでです)---------------------

高齢者専用賃貸住宅の新しい基準は
①一戸あたりの床面積は、原則25㎡以上
 (居間、食堂、台所など、共同部分に十分な面積があれば、18㎡以上)
②各戸に、台所、水洗トイレ、収納設備、洗面設備および浴室がある
 (共用部分に適切な台所、収納設備または浴室を備えていた場合は、各戸に水洗トイレと洗面設備を備えていればOK)
などがあげられています。

で、この新しい基準を満たしたとして、愛知県で現在、19件登録されています。
※登録物件は、以下のホームページで一覧を見ることができます。
http://www.senpis-koujuuzai.jp/special/list.aspx?pref_id=23

明日の午前中、さっそく登録してある高専賃を見に行ってきます。
報告はまた明日しますね。


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住宅型有料老人ホームの調査について新聞で掲載されました

市民ボランティア団体「介護施設と地域を結ぶ市民の会」で行った、愛知県内の住宅型有料老人ホームの訪問調査。
先月の29日、公開報告会を行ったのですが、その時に中日新聞の佐橋記者が取材に来てくれました。

で、今日の中日新聞の朝刊に、記事が掲載されたので、以下に転載します。

--------------------(ここから引用です)----------------------

有料老人ホーム
住宅型 サービスに大差

 介護サービスを外部の事業者が提供する「住宅型有料老人ホーム」では、サービス内容に大きな差があることが、愛知県東郷町の市民団体「介護施設と地域を結ぶ市民の会」の調査で分かった。入居前には、現場を見て、契約内容をよく確かめる必要がありそうだ。

料金や食事、入居条件…「内容吟味し契約を」

 有料老人ホームのうち、「介護付き」には情報公開の義務があり、介護サービス情報公表支援センターのホームページで、各施設のサービス内容や料金を閲覧できる。その一方、「住宅型」には情報公表の義務がなく、入居の可否を判断する情報が乏しい。

 同会は昨年6月、愛知県に登録された68カ所の住宅型有料老人ホームを対象に、サービス内容や料金、情報公開の程度などを調べた。(回答率42.6%)
 調査をもとに、会がまとめた報告書によると、入居時に払う一時金は、4千万円台から無料までと、さまざま。個室がほとんどだが、生活保護受給者でも入れるよう、低い料金設定で、1つの部屋に複数のベッドを置いた雑居部屋もあった。
 食事が選べないホーム、飲酒禁止のホームがそれぞれ約3割。通院するときの職員付き添いは、無料25%、有料61%、不可7%と対応が分かれている。指定の介護事業所のサービスしか受けられない施設も多かった。
 入居条件では、「医療行為が必要な人はすべて受け入れ不可」が2割。「認知症の人お断り」のところがある一方、要介護4、5の重度の人限定のホームもある。
 「ホームによって差があることを前提に、契約内容を吟味しないと、入居後、『こんなはずじゃなかった』となりかねない」。同会代表の山下律子さんはこう話し、入居希望者に、判断材料になる情報を見せようとしない施設が多いことに苦言を呈した。
 県は指導指針で、重要事項説明書について「入居相談があったときや求めに応じて交付する」としている。しかし、請求があった場合に「送付できる」と答えたホームは約4割にとどまった。
 山下さんによると、ほかに入居希望者がチェックすべき点は、管理費に含まれない独自サービスとその費用、前払い金の保全措置の有無、退去を求められる条件など。契約に『他の人に迷惑や害を及ぼす場合は退去』とある場合も、「認知症だから出て行って」と言われる可能性があるという。事前に、退去を迫られる具体例や、退去後の入居先も確認した方が良さそうだ。

 各ホームページのサービス内容の報告書は、同会のホームページ(会の名で検索)で閲覧できる。
介護施設と地域を結ぶ市民の会
http://kaigo-shimin.her.jp/

【有料老人ホーム】
高齢者を入居させ、食事などのサービスを提供する施設。特別養護老人ホームなど、別のサービスに分類される施設は除く。要介護度ごとに決められた金額を払えば介護サービスを受けられる「介護付き」と、ホームは食事などを提供するだけで、介護サービスは外部の事業者が提供する「住宅型」がある。住宅型では、重度になると、介護にかかる費用がかさむ傾向がある。

(中日新聞/2010年6月9日・朝刊)
-------------------------(引用ここまでです)----------------------

報告会での内容を、簡潔によくまとめていただいていると感謝しています。

自分の老後をどこで過ごすのか。
介護が必要になったら、だれに介護を受けるのか。
いずれ、選ぶ時がやってきます。

いざとなってから、あわてないように。
老いの住まいについて、情報を集め、自分なりの方向を決めておくことが大切ではないでしょうか。

5/29に行った住宅型有料老人ホームの報告会は、120人以上がつめかけ、部屋が満員になるほどの盛況となりました。
自分の老後をきちんと考えようという方が、増えていると実感しています。

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「たまゆら」火災から1年〜東京都は低所得でも入れる支援付き住宅を整備する方針

今日から、議会が3日間続きます。
一般質問、初日。午前9時から1番で、わたしは4項目について一般質問を行いました。

わたしの一般質問についての報告は、後日ゆっくりしますが
今日の議会で一番のニュースは、川瀬町長が2期目も続投の意向を示したこと。
菱川議員の質問に答え、「まだ取りかかった課題が残っており、来期も立候補する」と明確に出馬表明を行いました。

で、やっと今日のブログ。
火災で10人の高齢者が亡くなった、群馬県の「たまゆら」事件から、1年がたちました。
中日新聞の生活面では、大きくその後の取り組みについて取り上げています。

-----------------------(ここから引用です)----------------------

「たまゆら」火災から1年
低所得者の救済なるか

入居者10人が死亡した群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災から1年。
火災は、都市から追われる高齢者の実態を浮き彫りにした。
低所得高齢者の受け皿に「都市型軽費老人ホーム(ケアハウス)」制度が新年度から動きだす。
解決策となるのか。

小規模も設置可能 
新制度 都市型ケアハウス

「ここでの生活も落ち着いた。あんな怖いことは1回でいい」。
「たまゆら」で被災した男性(80)は、やっと安住の地を見つけた。
以前住んでいた東京都墨田区に帰り、NPO法人「ふるさとの会」が運営する支援付き住宅「ふるさと晃荘」で暮らす。
生活保護費の範囲で住め、生活は職員が支援。
訪問介護などを利用する。

たまゆらの入居者には、墨田区などから生活保護を受けていた人も含まれた。
特別養護老人ホームに空きがなく、費用が高い有料老人ホームにも入居できず、入居した認知症高齢者もいた。

実態を受け、国は老人福祉施設の1つ、「軽費老人ホーム」の設置が都市部でも進むよう設置基準を緩和した「都市型」を創設した。
同ホームは低料金で低所得者でも入居できる施設。
「身体機能低下などで自立生活に不安があり、家族の援助が困難な人」が対象となる。
都市型は、設備・運営基準で定める定員や居室面積などを緩和。
地価が高い都市部でも整備しやすくした。
都市型が該当するのは、首都圏の中心地域、大阪市とその周辺、名古屋市中心部。
新基準施行は来月からだ。

国は、併せて施設の新設・改修に、定員1人あたり150万円を上乗せ。
新年度から3年間で無届け施設や無料定額宿泊所の入居者2400人分を整備する。

認知症などの敬遠 危惧

先月下旬、都が開いた事業者向け説明会には、社会福祉法人、民間事業者ら400人以上が参加。
こうした動きを、「ふるさとの会」の滝脇憲理事は歓迎しつつも、「そんなに新設できる土地が都市にあるだろうか」と懐疑的だ。
「アパートなども活用し、生活支援のサポートセンターと組み合わせることで、地域自体を支援付き住宅にする仕組みも必要」と、実情に合わせた支援のネットワーク化を提言する。

軽費老人ホームは原則、要介護度が軽度の人が対象。
認知症など要介護度の重い人は敬遠される可能性もあり、滝脇さんは「本当に困っている人が取り残される恐れがある」とも懸念する。

一方、「在宅で暮らせる支援が十分ではないのに、施設が足りないという議論は納得できない」と話すのは、「いけだ後見支援ネット」の池田恵里子代表だ。
認知症高齢者の在宅生活を成年後見人として支える経験から、福祉サービスと後見制度の連携強化で在宅生活を支える環境づくりを切望。
「在宅で住み続けたい意思を支える制度をきちんと考えるべき時期だ」と訴える。

【都市型軽費老人ホーム】
老人福祉法に基づく老人福祉施設で、自治体や社会福祉法人、民間事業者が設置。無料や低料金で入居でき、食事や入浴などのサービスを受けられる。都市型は大都市限定で設備・運営基準を緩和。定員は20人以下(現行20人以上)、居室床面積は4畳半程度の7.43㎡以上(同21.6㎡以上)、現行で必置の談話室は不要など小規模でも設置できる。

(中日新聞/2010年3月9日火曜日・朝刊)
-------------------------(引用ここまでです)----------------------

記事の最後でコメントしていた、池田さんの「在宅で住み続けたい意思を支える制度を」という訴えが、一番胸に落ちました。
在宅で暮らしたくても暮らせない。
そうした人たちをどう支援したら住み続けることができるのかを考え、在宅を支えるシステムを作らなければと思います。

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有料老人ホームが倒産したら?

市民ボランティアで行っている、愛知県内の住宅型有料老人ホーム調査。
わたしも、ここ数ヶ月、訪問調査に回っていますが、施設長に聞き取りをしていて、
「実は最近、経営者が変わったところなんです」
という施設が2カ所ありました。

経営者が変わったというのは
事実上、前の有料老人ホームは倒産したということ。
ある施設では、かなり生々しい話も聞きました。

その施設では、倒産のきっかけがなんと、介護報酬を不正請求していたことが明るみに出て、県から介護保険の事業者としての認可を取り消されたことだったのだとか。
しかも、ある日、急に介護スタッフが全員こなくなり、取り残された入居者は途方に暮れてしまったというのです。
今の施設長は、そのつぶれた有料老人ホームの借金の保証人になっていたことから、行政の職員から電話が入り、とるものもとりあえず、静岡県から駆けつけたのだとか。

来てみると、介護スタッフは1人もいない。
介護をするどころか、食事を用意する人もいない状況に、とにかく無我夢中で元気な入居者に頭を下げて協力を呼びかけ、手分けして食事をつくり、入居者のおむつをとり換えたのだと、聞きました。

それから1年ほどたって、今は介護スタッフも充実して黒字になったそうですが、有料老人ホームが倒産したら、ある日、突然、スタッフがいなくなるという現実が実際にあったのだと思うと、ぞっとしました。

有料老人ホームについて、読売新聞が独自調査をしているのですが、その結果、閉鎖や事業主体の交代がめずらしくないという有料老人ホームの現状があきらかになったそうです。
以下に記事を転載します。

------------------------(ここから引用です)----------------------

「終の棲み処」広がる不安…有料老人ホーム経営難

読売新聞社の調査で、閉鎖や事業主体の交代が珍しくないことが明らかになった有料老人ホーム。
「終(つい)の棲(す)み処(か)」として入居した高齢者が退去を迫られるなどの問題が生じている。

昨年来の経済不安により、経営に行き詰まるホームは今後も増えると見られ、入居者保護が大きな課題だ。

今年8月、山形県鶴岡市の有料老人ホーム「出羽の郷(さと)レインボー」が閉鎖された。
13人の入居者は退去を強いられ、20人いた従業員も解雇された。

山形市内の建設会社の関連会社が2002年に運営を始めたが、介護のノウハウが乏しく、同じ年の暮れに早くも休止。
埼玉県の介護機器会社の支援を受けて昨年4月に再開したものの、PR不足もあって定員30人の半分しか集まらず、今年5月以降は賃金支払いもストップした。
元従業員の20歳代の男性は、「入居者を放り出すわけにはいかず、給料なしでも精いっぱいのケアを続けた。いいかげんな経営で閉鎖に追い込まれ、残念」と悔しがる。

胃に穴を開け、栄養をチューブで送る「胃ろう」の手術を受けた認知症男性(79)は、今年1月に入居した。
特別養護老人ホームにも申し込んでいたが、待機者が多く、いつ入れるかわからず、老人保健施設には胃ろうを理由に断られた。
男性の長女(53)は、「私は仕事があるし、高齢の母に介護は無理。閉鎖を知った時は途方に暮れた」と振り返る。

男性を含む入居者の大半は、鶴岡市が、市内の特養に、待機者を飛び越えて緊急入所させた。
長女は、「介護が必要な高齢者にとって、有料老人ホームは最後の砦(とりで)。
そこで安心して住めなければ、何を頼りにすればいいのか」と憤る。

閉鎖は免れたものの、事業主体が何度も変わっているケースもある。
1990年にオープンした関東地方のあるホームは、経営が行き詰まり、数年前に医療法人が作った企業に引き継がれた。
07年には、別の不動産コンサルティングの子会社に買い取られ、現在は、投資ファンドが株主となった企業が運営にあたっている。

開設当初の入居金は3000万円。
週5日、隣接の診療所で外来診療が受けられたが、2社目に経営が移った際、週1回程度に減った。
建物の老朽化も進み、入居者は、事業主体が次々に変わることへの不安が強い。

ノウハウなく、甘い見通し

入居者の生活を一変させる経営悪化がなぜ多発しているのか。
長谷工総合研究所(東京)の吉村直子主任研究員は、「2000年に介護保険が始まって以降、建設業や不動産デベロッパーなど異業種からの参入が相次ぎ、特に04~06年に急増した。
競争激化が一つの要因」と指摘する。

元々、介護関係者が始めるケースが多かったが、介護報酬が入るからと、介護に関心のなかった事業者も参入した。
「その多くはノウハウがなく、経営の見通しも甘い。安易参入のツケが07年ごろから経営譲渡や破綻(はたん)の形で表れるようになった」と説明する。

近年は、ファンド会社がホームを投資の対象にするケースも増えている。
自己資金の乏しい事業者が、ファンドから資金を得てホームを開き、土地や建物の賃料をファンドに支払う。
経済不安で入居者が集まらず、高い賃料で経営が悪化している事例もある。

有料老人ホームの事業承継のアドバイザリー業務などを行う「リエゾン・パートナーズ」(東京)の秋元二郎代表は、「賃料の不払いは表面化しないので行政もわからない。
経営が悪化したところは、入居一時金を使い切っていることが多い。
今後、破綻が増加する可能性もある」と警鐘を鳴らす。

一時金の保全 強化必要

事業主体が交代する際、新しい事業主体は入居者と改めて契約を結ぶか、入居者の同意を得て当初の契約を引き継ぐ。
ただし、住み続けようと思えば、現実には、新しい事業主体が示す条件に従うしかない。
転居しようにも、入居時に多額の一時金を支払ったため、資金がない高齢者も少なくない。

行政のチェックも期待しにくい。
「レインボー」の場合、再開時に山形県が埼玉の会社の財務諸表を確認したが、問題は見つからなかった。
担当課は、「財務の専門家ではない。経営状況を読み取るのは困難」と話す。

倒産を想定して、500万円を上限に、入居者に返還するための一時金の保全が法律で義務づけられたが、対象となるのは、06年度以降開設のホームだけ。

入居相談などを行う「コミュニティネットワーク協会」(東京)の高橋英与副理事長は、「規制を強めるだけでは、経営が厳しくなる。行政は、優良事業者を認定する仕組みづくりを支援するとともに、入居一時金の保全策の強化なども検討すべきだ」と話している。

◇入居率、保有者の確認を
「安全」なホームを選ぶにはどうすればよいか

「経営の健全度を見る指標となるのが入居率。また、土地・建物は誰が保有しているのか、抵当権がついているのかなどもチェックしてほしい」と、元国民生活センター調査室長の木間(このま)昭子さんは指摘する。

これらの情報を得るのに、木間さんが勧めるのが、介護サービス情報公表制度(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)の活用だ。
都道府県ごとに、ホームの個別の情報がアップされている。
入居率は、運営年数にもよるが、100%近いところを選びたい。

併せて確認したいのが、入居期間や退去者数、退去者の行き先など。
経営が厳しいところはサービスの質が落ち、入居期間が短くなり、退去者も増える傾向がある。
「焦らずに、必ず体験入居後に決定を」と木間さんはアドバイスしている。

(2009年12月18日 読売新聞)
-----------------------(引用ここまでです)----------------------


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病院でなく在宅で死ねるか

病院でなく在宅で死ねるか
11月15日に開催された「新たな在宅療養支援〜地域介護の再生のために〜」に参加しました。

在宅療養支援診療所で、在宅医療を支える医師たちなどが主催したシンポジウム。
国立長寿医療センター総長の大島伸一氏による講演「なぜ在宅医療なのか」や、在宅を支えるネットワークを作っている現場の人たちがパネラーをつとめてのパネルディスカッションなどが行われました。

中でも、一番印象に残ったのが、パネルディスカッションで会場から手を挙げて発言された、医師の小笠原文先生。岐阜市にある小笠原内科の医師で、在宅医療のパイオニア的存在のような方だそうです。

在宅で1人暮らしのがん患者の看取りを実践しているというお話だったのですが、最後に言われた言葉が胸に残りました。

「ぼくは、在宅医療が楽しいから、在宅医療で患者さんが幸せになるから、在宅医療をやっている。決して、医療費削減のためにやっているわけではない。がんの患者は、緩和医療の病院に入院して、痛い、辛い、苦しいといっている。でも、家に帰ってくると安心して、痛みもとれてしまう。在宅緩和ケアは、やすらか、おおらかは当たり前。おおらかに過ごされ、最後は清らかに旅たたれる」

日本では患者の81%が病院で最後を迎えます。
そんな中で、小笠原先生は、自宅での看取りが9割を超えるという、びっくりするような実績を出されています。

小笠原先生の在宅医療(看取り)については、上野千鶴子さんが最新刊「男おひとりさま道」のP252〜257で書いています。
シンポジウムで小笠原先生にお会いしたのは、本当にたまたまでしたが、こんな医療を実践している医師もいるのだなと驚きました。

制度的には、独居で自宅で死を迎えるには、介護も医療も足りないというのが現実ですが、一部でも在宅死を実践しているという事実には勇気づけられます。
どこで、だれに看取られて死ぬか。
少しでも本人の希望がかなう支援を考えていきたいと思いました。

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コーポラティブ住宅で「老いても安心して暮らせる」地域づくり

昨日の夕刊で見かけた記事に、多摩ニュータウンにできたコーポラティブ住宅のことが紹介されていました。
まずは、その記事の紹介から。

------------------(ここから引用です)-------------------

窓 論説委員室から
 美しき村

東京西部の丘陵に建設されて約40年たつ多摩ニュータウン。
その一角に、この夏完成した6階建てマンションは、子育て世代から高齢の夫婦、単身者まで23世帯の入居者に合わせ、部屋の広さや間取り、内装のイメージが全く異なる。

まず住む人を募り、共同で1千平方メートルの敷地を買い、話し合いながら設計したコーポラティブ住宅だ。
6年かかった。

「現代の長屋です」。
企画したNPO多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議の理事長、秋元孝夫さん(60)はいう。
20年余り前に家族4人でこの街に移り住んだ。
子どもは独立。
高齢化が進むまちで、様々な世代の人が緩やかにつながる仕組みをつくりたかった。

1階の集会室わきには、絵本や昔のおもちゃを置いた小さなギャラリー。
元保育園長の女性が常駐し、近所の子どもたちも出入りする遊びと学びの場にする。

商業テナントは2軒。
クリニックは、午前中だけ開く。
院長の女性医師は平日午後は、お年寄り宅を往診するためだ。
レストランは、元教員の女性が退職金で開業。
産地直送の食材が自慢だ。
料理教室を開いて、住民交流の場にする。
将来は配食サービスも手がけたいという。

住民も経営者も、老いても安心して暮らせる地域にしたいと集まった。

「美しい村など、はじめからあったわけでない。そこに住んでいる人が美しく住もうと思って初めて、美しい村ができるのである」。
柳田国男の言葉を原点に、共生の道を探る。

(2009年9月14日 朝日新聞・夕刊)
--------------------(引用ここまで)---------------------

記事で紹介されているのは、多摩ニュータウンの「永山ハウス(仮称)」のことのようです。
ホームページがありましたので、詳しくはこちらをご覧下さい。
永山ハウス
みんなでつくる・安心の住まいづくりプロジェクト
http://www.machisen.net/nagayama/index.html

ホームページで紹介されていた、永山ハウスのコンセプトは
○コミュニティを支える循環
 様々な世帯と世代のコミュニティの形成
 多様な居住世帯同士の助け合いの育成 など
○建物を支える循環
 NPOなどの協力・支援による建物管理
 月々の維持管理費用の補填・軽減 など
○食を支える循環
 入居者のための食事サービスの提供
 地域の配食サービス拠点としての活用 など
○生活を支える循環
 安否確認や介助などサポート支援
 就労スペースでの職住近接生活の実現 など

老いても安心して暮らせる地域の拠点にという考えが、うかがえます。

そもそも、コーポラティブ住宅とは
そこに住みたい人々が集まって、建設組合をつくり、土地購入に関する契約をし、設計・工事を発注する。「手づくり」の住宅建設の手法をとった住宅のことをいいます。
住まい手が建設段階から主体的にかかわることで、希望にあった設計や間取りの住宅ができ、販売経費が抑えられる利点があります。

終のすみかとして、住み替えを考えた時に、永山ハウスのような老いを支える仕組みを組み入れたコーポラティブ住宅が選べれば、理想的だなと思います。

東郷町にもバリアフリーの賃貸住宅が必要になります。
そして、どんな住宅か、中身が問われます。
各地で模索されている先進事例を学びながら、良い方法を考えていきたいと思います。

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高齢者の居住の安定確保に関する国の方針

高齢者の「終のすみか」を確保するために、国が法律を改正しました。

高齢者の居住の安定確保に関する法律
この第3条第1項の規定に基づき、「高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針」が改正されたと、今日(平成21年8月19日)付の官報に掲載されていました。

長いので、抜粋で紹介しますね。

-------------------------(ここから引用)---------------------
厚生労働省・国土交通省告示第1号

高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針

 我が国においては、高齢化が急速に進行している。現在、高齢者が大幅かつ急速に増加することが見込まれている。これに伴い、介護が必要な高齢者や高齢者単身及び高齢者夫婦のみの世帯等が、今後一層増加していくことが見込まれている。
 住まいは生活の基盤であり、誰にでも訪れる高齢期を安心して迎え、過ごすことができる環境を整備するためには、高齢期に適した住まいの確保が国民的な課題である
 この課題の解決に向けては、高齢社会を、高齢者が豊かな気持ちで生き甲斐を感じつつ暮らせるものとすることがとりわけ重要であり、住み慣れた自宅や地域で暮らし続けたいという高齢者の意思が尊重され、実現できるようにする必要がある
 このため、高齢者の多用なニーズに叶った住宅やサービスを選択できるようにするとともに、高齢者が地域とのつながりをもって生活できる住環境を形成することが求められている。
 これまでも住宅政策においては、住生活基本法に基づき、住宅セーフティネットの構築や住宅のバリアフリー化に係わる施策を展開している。一方、福祉施策においては、老人福祉法に基づく老人ホームの整備や、介護保険法に基づく介護サービス基盤の整備等の施策を展開している。
 しかしながら、高齢者の住まいの問題は、両政策にまたがるものであり、建物という「ハード」とサービスという「ソフト」を一体的にとらえて、国民本位・住民本位の立場から、住宅施策と福祉施策の緊密な連携のもとに取り組む必要がある。
 高齢者世帯は、市場を通じた住宅確保が困難な場合が多いことから、公的な支援により高齢者の居住の安定を確保するとともに、民間の賃貸住宅の一部に見られる入居者拒否等の高齢者の円滑な入居を阻害する要因を解消することにより、住宅セーフティネットを構築していくことが求められている。
 また、持家・借家を問わず、住宅のバリアフリー化は不十分であり、身体機能の低下により、住宅内での事故が増加したり、住宅内での生活が継続できなくなる場合がある。高齢化が進行する中で、高齢者が在宅で安全に日常生活を送ることができるよう、住宅のみならず住環境も含めた地域全体のユニバーサルデザイン化が求められている。
 さらに、介護を必要とする高齢者や単身の高齢者等が安心して日常生活を営むためには、保健医療サービスや福祉サービスを円滑に利用できる環境を整備することが必要であり、要介護者の増大に対応した一定量の施設整備や居住系サービスの充実に加え、在宅サービスの拡充に重点的に力を入れていくことが必要である。このため、住宅政策と福祉政策が連続して、高齢者が身体状況等に応じた望ましい日常生活を営むために必要な保健医療サービスや福祉サービスが付いている高齢者の住まいの整備を進めることが求められている
 在宅で生活し続けたいという高齢者の意思を尊重しつつ、高齢者が安心して暮らし続けることができる社会を実現するためには、以上の課題に対応し、高齢者がその心身の状況に応じて適切な住まいを選択し、必要に応じて住み替えを実現できる環境の整備が求められている。
 このような認識のもと、今後の高齢化の進展に対応した取組みを進めるために、高齢者の居住の安定確保に関する基本的な方針を定める。
(※太字は山下が付けました)

○1.高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標設定を
 地方公共団体は、住宅施策と福祉施策が連携し、医療・福祉サービスの付いている住まいの現状や介護保険の要介護・要支援・特定高齢者の住まいの状況等を把握した上で、高齢者居住生活支援体制の確保された賃貸住宅の供給と老人ホームの供給の目標を設定すること。

○2.高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の促進を
 国及び地方公共団体は、高齢者の居住の安定の確保を図るため、バリアフリー住宅の普及に努め、特に高齢者単身及び高齢者夫婦のみの世帯が居住できるバリアフリー賃貸住宅の戸数拡大を図るために必要な施策を講ずる。

○3.高齢者が入居する賃貸住宅の管理の適正化を
 当該賃貸住宅において高齢者居住生活支援サービスの提供が行われる場合には、当該賃貸住宅に係わる賃貸借契約と当該サービスの提供に係わる契約とを、別個の契約として明確に区分するよう努めるとともに、当該サービスの内容についてあらかじめ明示すること。
 都道府県知事は、登録住宅に関する情報を住宅部局と福祉部局で共有するとともに、有料老人ホームに該当する登録住宅について、有料老人ホームの届出の徹底を図るとともに、適切な運営が確保されるよう指導すること。
 高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢者居宅生活支援サービスのうち、例えば介護保険の居宅サービス事業、地域密着型サービス事業などについて、そのサービスの提供を賃貸借契約の条件としないこと。

○市町村の役割
 高齢者の居住の安定確保を図るため、市町村においても、当該市町村の区域内における高齢者の居住の安定の確保に関する計画(市町村の定める高齢者居住安定確保計画)を定めること

------------------------(引用ここまで)--------------------

9月1日から開会する9月議会で、高齢者のバリアフリー住宅推進のために、東郷町でも高齢者居住安定確保計画を策定するように質疑する予定です。
(質疑の下調べのために、国土交通省住宅局住環境整備室に電話で問い合わせて、上で紹介した官報を送ってもらいました)

ともあれ、「住まいの整備」と「医療・福祉」の両方から、高齢者の終のすみかを確保しようという法律ができたのは評価すべきだと思います。
家で暮らせなくなれば介護施設へ、という流れを変えていくためにも、高齢者のすまいの確保について行政が責任を持とうというのは重要なこと。東郷町でも「高齢者のすまいの確保」を考えて計画にとり入れていけるように、9月議会で頑張って質疑します。

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有料老人ホームのボランティア調査スタッフを募集します!

老後の安心のために、「有料老人ホーム」への住み替えを考える人が増えています。

有料老人ホームには介護付きと住宅型があります。
有料老人ホームの名簿は、愛知県高齢福祉課のホームページから、ダウンロードできます。
(現在、公開されているのは、平成21年8月1日現在の一覧表)

もう少し詳しい内容が知りたい場合
介護付き有料老人ホームについては、介護保険法で介護情報の公表が義務づけられていますから。
愛知県 介護サービス情報公表システム のホームページ
http://www.kaigo-kouhyou-aichi.jp/kaigosip/Top.do
 から検索できます。

ですが、住宅型の有料老人ホームは、情報公開が義務づけられていません。
そのため、具体的な情報はなかなか手に入りづらく、内容もわかりにくいのが実情です。

いざという時に備えて、安心して入れる有料老人ホームの情報がほしいという利用者側の思いとは裏腹に、まだまだ施設に関する情報が少なく、何を基準にして選べば良いのかよくわからないという声が多いのです。

そこで「介護施設と地域を結ぶ市民の会」では、有料老人ホームを選ぶための施設情報を集めるため、今年の9月〜来年2月(予定)の半年間で、愛知県にある住宅型有料老人ホームを調査することを計画しています。

調査スタッフ希望者はもちろん、こういう活動を応援したい人、情報が欲しい人、住宅型有料老人ホームがどんなところか興味がある人など、どなたでも歓迎します。
ぜひ、ご参加ください。

介護施設と地域を結ぶ市民の会」は、愛知県内の介護施設を調査し、広く情報を共有することで、施設と地域の人の距離を縮め、年老いても安心して幸せに過ごせる社会を作ってゆくことができればと願っています。

ボランティア調査スタッフについてのお問い合わせ、申し込みは、「介護施設と地域を結ぶ市民の会」ホームページ(http://www.kaigo-shimin.net/)の「お問い合わせメール」から。
または、このブログ右上の「メール送信」から、メールをお寄せ下さい。

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今の高齢者専用賃貸住宅は「玉石混交」

介護施設ではない、高齢者の住み替えの場として、このところ注目を集めている「高齢者専門賃貸住宅(高専賃)」。
総量規制がかかって、建てたくても建てられない特養ホームや介護付き有料老人ホームに代わる、要介護高齢者の受け皿として、近年、あちこちで増えてきています。

高専賃の事業者がつくる「高齢者専用賃貸住宅事業者協会(高専協)」が開いたセミナーの記事をキャリアブレインで見つけたので、以下に紹介します。

-------------------------(ここから引用)-----------------------

高専賃、事業者の「レベルアップを」―高専協
高齢者専用賃貸住宅では、事業者自身のレベルアップが必要―。
都市再生機構が7月10日に開いた事業者向けセミナーで、高齢者専用賃貸住宅事業者協会(高専協)の奥村孝行事務局長が講演し、こう指摘した。
奥村事務局長は、高専賃では特別養護老人ホームなどの介護施設と比べ、高齢者自身がより自由に生活できるなどの特徴がある一方、事業者には「玉石混交」の実態もあるとして、事業者のレベルアップが重要との認識を示した。

奥村事務局長は、特養や老健、有料老人ホームなどの介護施設と、ケアハウスや高専賃などの高齢者住宅の違いについて説明。
介護施設では、自由に外出することが難しいなど、入居者の生活が管理されており、介護サービスを自由に選択できないと述べた。
一方、高齢者住宅はあくまで「住まい」であり、高齢者はケアプランに基づいて自由にサービスを選ぶことができると指摘
消灯時間がなく、外出したりお酒を飲んだりすることもできるなど、生活の自由度がより高いと述べた。

また、高齢化しつつある団塊の世代はこれまでの世代と比べ、より自由なライフスタイルを好む傾向があると指摘。
介護施設での集団生活に「なじむだろうか」と述べ、高専賃が今後果たす役割の重要性を強調した。

一方、高専賃の制度が発足してから約3年半が経過したが、その中で「問題点も出てきた」と指摘。
中には、
▽有料老人ホームのような利用権方式の入居契約を結ぶ
▽高額な一時金を取っている
▽住宅の居室面積があまりに狭い
▽契約期間が短過ぎる
▽入居者に部屋の住み替えを求める
▽介護保険サービスと生活支援サービスを混同して提供している
―ところもあり、「有料老人ホームの指定逃れのようなものもある」と述べた。

その上で、高専賃の事業者の「レベルアップが必要」と指摘。
介護保険でのサービスとその他のサービスをきちんと区別することや、高齢者の借家権を尊重した入居契約、医療や介護のサービス利用者の選択権の尊重などが必要だとした。
また、「高齢者に必要な基本サービス」として、食事や緊急通報、健康管理などを挙げ、こうしたサービスは高専賃でも「あった方がいい」との見方を示した。
(太字は山下が付けました)
-------------------------(引用ここまで)---------------------

ブログで何度か取り上げている「寝たきり高齢者専門賃貸住宅」について、
「高齢者専門賃貸住宅」の一種なの? という質問を受けたのですが。
あきらかに、違います。
(そもそも、居室内に、洗面所やトイレ、調理ができる設備、風呂がないのに、“住宅"とは呼べません)
上の記事の太字にあるように、
高齢者住宅はあくまで「住まい」であり、高齢者はケアプランに基づいて自由にサービスを選ぶことができるのが基本です。

また、今年の5月13日に、ケア付き住宅の供給促進を目的とした改正高齢者居住安定確保法が、参院本会議で可決・成立し、20日に交付されました。
8月下旬には、施行の予定です。

改正法は、高齢者が介護を受けながら安心して暮らせる良質な住まいを確保するために、厚生労働省と国土交通省の共管法とされたのが、大きな特徴。
高齢者向け賃貸住宅や老人ホーム供給に関する基本方針のほか、都道府県による「高齢者居住安定確保法」の策定、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録基準の設定、合築型の高齢者優良賃貸住宅の一部の社会福祉法人への賃貸などが、盛り込まれています。

これに伴って、高齢者専門賃貸住宅(高専賃)の登録制度も変わります。
○一戸あたりの広さが、25㎡以上
○トイレ、洗面、キッチン、浴室などの設備がある
○前払い金の保全措置がある
などの要件を満たさない場合は、登録ができなくなります。
1年の準備期間の後、来年5月から、上記の条件を満たした、ある程度の質が確保された賃貸住宅が登録され、情報が公開されることになります。

また、都道府県の指導監督権限を強化。
○必要に応じ管理状況の報告を求めることができ、助言や指導も可能に
○基準に適合していない高専賃(高円賃)に対して、基準を満たすように指示することが可能に
○都道府県から求められた報告をしなかった、虚偽の報告をした場合は、10万円以下の罰金
などが明記されました。

「玉石混交」の高齢者専門賃貸住宅。
国が法改正をしたことで、施行予定の8月からは、国が決めた最低限の要件に基づいて都道府県が指導監督できるようになります。
「賃貸住宅だから・・・」という言い逃れができないように、住民としても注視していかなければと思っています。

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