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特別養護老人ホームの利用料を軽くするには

全室個室のユニット型特別養護老人ホームは、利用料が高くて、お金がないと入れない。
こうした話が、あちこちで聞こえてきます。

でも
お金がなくても、公的に負担を軽減して、個室特養に入ることができる手段があるんです。

それは、境界層措置 という制度。
年金など、月々の所得が少なくて、食費やホテルコスト(部屋代)に介護保険の自己負担分などを支払うことができない場合に、高額介護サービス費や負担限度額の段階を引き下げることができる制度です。
(特養の食費や部屋代は、所得に応じて4段階に分かれています。この段階のどこに該当するかで、支払う金額が決まるのですが、支払える段階まで引き下げるということですね)

この境界層措置という制度は、介護保険の利用者負担の軽減をすることで、生活保護をうけずにすむようにしようという制度。
ですから、相談先は生活保護担当の部署で、そこから「境界層該当証明書」を発行してもらい、介護保険の部署が、この証明書を確認して手続きするという流れになります。

あまり知られている制度ではないのですが、市町村民税の課税状況にかかわりなく、生活状況にあわせて適用できるという利点があります。
市町村によっては、インターネットでこの制度を知らせているところもあったので、公的機関による説明を以下に転載しますねね。

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介護サービスを利用する際に、居住費や食費等の自己負担額等が規定どおりに適用されると生活保護の最低生活費を下回るが、利用者負担段階を下げることによって自己負担額が下がれば、生活保護を受けなくてすむ場合は、その利用者負担段階を下げる制度があります。(境界層措置といいます)

自己負担が軽減されるものの順番は、次のとおりです。
①保険料滞納者に対する給付額減額措置の免除
②居住費(滞在費)の負担限度額の減額又は免除
③食費の負担限度額の減額
④高額介護サービス費等の上限額の減額
⑤保険料負担額の減額

境界層の適用については、お住まいの区の区役所生活保護担当が調査します。そこで食費・居住費等の自己負担額を(さらに)減額すれば生活保護該当とならないと判定された場合は、証明となる「境界層該当証明書」が交付されます。
「境界層該当証明書」をお住まいの区の区役所保険年金課窓口で、負担限度額認定申請とともに提示していただければければ、負担限度額認定の対象となる、又は利用者負担段階を下げることができます。
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石川県で、特別養護老人ホームの利用料が年収によって差が出る関係で、本来受け取ることができる年金の一部をあえて返上しようとする事例が報道されましたが、上記の制度を使えば、年金をあえて受け取らないという裏技を使う必要はなくなります。

※特養の利用料軽減のために、年金受け取りを一部やめるという件については、以下の記事を参照ください。
 ↓
----------------------(ここから引用です)---------------------
年金返上、逆にお得 特養利用料を軽減へ

 特別養護老人ホームの利用料が年収によって差が出る関係で、本来受け取ることができる年金の一部をあえて返上しようとする事例が22日までに、石川県内で初めて確認された。2007(平成19)年創設の「公的年金支給停止制度」に基づき、金沢市内の無職 男性(80)の家族が金沢北年金事務所に申請する。返上により、利用負担額が年50万 円以上軽減される計算。老後の生活を考え、同様のケースが今後増える可能性もある。
 男性は認知症で要介護4と判定され、今月上旬から金沢市南部の特別養護老人ホーム( ユニット型個室)に入居している。

 本来、男性は国民年金79万2千円と厚生年金8万4千円の計87万6千円を1年間に受け取ることができる。このうち、国民年金11、12月分の受給を辞退。さらに来年1月から厚生年金を受け取らない手続きを取る予定だという。

 辞退する理由は、ホーム利用料の負担が、年金とその他の収入の総額が年80万円を超えるか超えないかで、大きく違うため。県長寿社会課によると、80万円以下の場合、ユ ニット型個室の負担額は「高額介護サービス費」が支給されて月5万1300円(月30 日で計算)で済む一方、超えた場合は9万5130円となり、月4万3830円の差が出 る。

 男性の家族から相談を受けた金沢市内のケアマネジャーは、「男性の場合、利用料だけで年金を使い切ってしまう。制度を活用した方が有利と分かり助言した」と説明する。

 特別養護老人ホームについては、厚生労働省が「全室個室(ユニット型個室)化」を推進しているが、多床室(相部屋)と比べて利用者負担が大きい。このケアマネジャーは「 年金を多くもらっても、日々の生活をトータルで考えると逆に生活が厳しくなるケースが ある」と指摘する。

 金沢北、金沢南、小松、七尾の県内四つの年金事務所はいずれも「これまで同様の例はない」としている。

 日本年金機構の担当者は「男性のケースは全国的にも珍しいのではないか。制度の本来の趣旨からは外れているが、活用しないでとは言えない」としている。

●公的年金支給停止制度 年金改革に基づいて創設された。以前は公的年金を1回でも受 給すれば、受給を停止することができなかったが、月単位で受給を拒否することができる ようになった。日本年金機構によると、制度利用数は年間100件程度という。

http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20100923101.htm
北國・富山新聞【9月23日04時26分更新】
----------------------(引用ここまでです)---------------------

高齢者のセーフティネットである特別養護老人ホーム。
お金がないから入れない、などという事態が起こらぬよう、さまざまな制度がつくられています。

お金があるなしにかかわらず、自らの尊厳を守るために、個室に入る選択肢は、あらゆる人に保障されるべきだし、そのための方法はある。
問題は、それを積極的に周知しようとしない行政にありそうです。

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