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介護保険でお泊りデイサービスが始まるか?!

厚生労働省が、介護保険の高齢者デイサービスに、宿泊サービスをつける方向で検討しています。

「通いなれたデイサービスで、お泊りができたらいいのに」という声は、たしかに家族からよく聞きます。

環境の変化に弱い認知症の高齢者の場合は、通いなれたデイサービスとショートステイの場所が違うのは、確かに本人にとっても不安が強いだろうし、デイの続きでお泊りの方が、抵抗感が薄いかもしれないと思います。

では、デイサービスに宿泊サービスをプラスしようという厚生労働省の動きは、歓迎すべきものなのでしょうか。

この問題について、中日新聞が記事を掲載していたので、以下に転載します。

-----------------(ここから引用です)-----------------

『お泊まりデイサービス』の現状(上)  独居、低所得、認知症あり 生活困難で宿泊続く

 高齢者が日中に通う通所介護(デイサービス)事業所で、夜も高齢者を預かるところが増えている。夜間は介護保険が使えず、全額利用者の負担。認知症の高齢者を日常的に宿泊させる場合や、介護する家族の休息のため一時的に預かるケースなど、高齢社会のしわ寄せが及んだ格好だ。二回に分け、「お泊まりデイサービス」の現状を紹介する。 

 昭和初期の民家を活用した愛知県津島市の通所介護事業所「昭和の時代」。夕方以降も帰宅しない高齢者八人について、スタッフは「デイの利用者のうち、自宅での生活が難しい人たちです」と説明する。

 その一人、六十七歳の女性は、ここに来るまで独り暮らしだった。買い物の仕方も分からないほど認知症が進み、家の中は散らかり放題。「見守りが必要」。デイのスタッフがそう感じても、介護保険に見守りサービスはなく、地域や親族に頼るあてもなかった。

 「力になりたい」と、娘、本人の了解を得て、引っ越してもらったのは昨年十一月。女性の個室は約六畳。夜間は、デイのスタッフが泊まり込んで見守る。「親切にしてもらい、ありがたい」と女性は話す。

 別の六十四歳の男性も以前は独居。認知症で、作り方が分からなくなったカップ焼きそばのごみが、自宅の周りに散乱。配食サービスも手の付け方が分からず、配達された状態で放置されていた。重度の若年性認知症。デイのスタッフが「栄養も取れず危険」と、泊まりを勧めた。

 「行き場がない人や患者さんを預かってほしいと、役所や医療機関から頼まれることも多い」と、金子和敬施設長。「うちのようなところが預かれないと、住む場所がない人、あっても生活できない高齢者が地域で増える」と話す。

 泊まりの高齢者は生活保護受給者が多く、食費やデイの利用料、宿泊費の合計を保護費の範囲内にしなければならない。宿泊費を月二万五千円に抑えている同事業所では、夜間の利用部分は赤字だ。

      ◇

 低所得の独居高齢者が認知症になったら、安心できる住まいを探すのは大変だ。主な選択肢は(1)特別養護老人ホーム(特養)(2)認知症の人のグループホーム(GH)(3)有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅(高専賃)。

 ただ、特養は待機者が多い上、最近整備された個室型の特養は居住費が高く、入りにくい。生活保護の人の個室への入所を認めない自治体も多い。GHは一般に特養より料金が高く、低所得者向けの負担軽減の制度もないため、さらに難関。有料老人ホームや高専賃も、一般に料金が高い。低料金のホームでは、サービスが額相応になることがほとんど。料金にかかわらず「認知症お断り」のところも少なくない。

      ◇

 「自宅での生活に困る認知症の人が増えた」-。独居や高齢者だけの世帯の増加と、低所得者向けの安心できる住まいの少なさを背景に、多くのデイ関係者が感じている現実だ。介護保険のサービスと保険外サービスを組み合わせても困難が解消しきれない高齢者を、一部のデイが預かるという流れができている。「慣れ親しんだデイと同じスタッフが夜もかかわるから安心」とデイならではの強みを強調する関係者も多い。

 ただし、提供されるお泊まりサービスの質はさまざま。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の木間昭子理事は「高齢者を雑魚寝させている事業所、男女同じ部屋で泊まらせるところもある」と指摘。一部の事業所は、粗末な食事で食費を切り詰めている。

 こうしたサービスは、介護保険を使わない「自主事業」。行政がサービスをチェックし、サービス内容を是正させる仕組みがほとんどない。「基準を設けるなどして、不適切なサービスを排除する必要がある」と木間さんは訴える。

『お泊まりデイサービス』の現状(下) 狙いは在宅介護の支援 費用負担などが課題

 「じゃあ、パジャマに着替えますか」。東京都北区の認知症対応型通所介護事業所「あかり家」のスタッフが文枝さん(94)=仮名=に声をかける。文枝さんは要介護4。週二日、デイサービスに通い、うち月二日は夕方、家に帰らず、そのまま泊まる。

 なじみのスタッフに見守られ、八畳の静養室で床に就く。一泊の宿泊料四千二百円(別に朝夕食費千円)は、夜勤一人、宿直一人の体制にしては格安だ。泊まり事業は都の補助金で成り立っている。

 通所する人の泊まりの受け入れは昨年九月から。一日二人が上限。実際には、月六、七件ほどで、家から通うという基本線を守っている。狙いは、家で介護する家族の支援だ。

      ◇

 在宅介護では、日中は通所介護や訪問介護を利用し、夜間は家族で介護するのが一般的。認知症の高齢者では、夜に出歩こうとする人や、頻繁な排せつ介助が必要な人もいて、家族は気が休まらない。

 家族が日ごろの疲れを取れるようにと、介護保険サービスのショートステイでは、特別養護老人ホーム(特養)など入所施設が高齢者を泊まりで預かってくれるものの、都市部ではサービス自体が不足気味。何カ月も前に予約しないと使えない地域もあり「思ったほどショートが使えず、介護する側が倒れそうになって親を施設に入れた」という話も珍しくない。

 通所施設での宿泊が進めば、在宅介護が続けやすくなるほか、慣れた施設での夜間預かりは、認知症の人にもなじみやすいとして、厚生労働省も、あかり家のような通所介護事業所が介護保険外で提供しているお泊まり機能に着目。早ければ来年度から、通所施設での宿泊サービスを介護保険の対象にし、ショートステイ同様、一割の負担で使えるようにする方向だ。

 厚労省は、通所施設を、保険で宿泊サービスを提供するのにふさわしい場に改修してもらうため、来年度予算の概算要求に改修の補助金として百億円(八千床分)を盛り込んだ。間仕切りやスプリンクラーの設置費用を想定している。

      ◇

 もっとも、デイサービスは本来、昼間限定。夜勤を嫌って通所施設で働く職員も多く、泊まりに対応する職員が確保できるかどうかは不透明だ。

 「本当に困っている人が介護保険を使えないのでは」。通所施設での泊まりが保険適用になっても、要介護度ごとに定められた介護保険の利用枠を日中の介護で使い切り、負担が減らない利用者が出てくる可能性も指摘されている。

 愛知県内の通所施設を週六日利用する要介護4の女性(67)も、そんな一人だ。女性は対応が難しい認知症で、夫は介護うつ。疲れ果てた夫を助けようと、施設は夜間も週一度、一泊九千円(朝夕食込み)で女性を預かってきた。介護保険で泊まれるようになっても、介護保険の利用限度額を引き上げない限り、宿泊の全額負担は変わらない。「ある程度の限度額引き上げも必要では」とこの施設の管理者は提案している。

 「規制が目的では」-。厚労省が「家族支援のため」と説明している「お泊まりデイサービス」への介護保険適用の目的を、こうみている施設関係者は多い。泊まりサービスが保険外の現在は、問題あるサービスを提供しているとの情報が役所に寄せられても、ほとんど規制の手段はない。保険適用になれば、規制しやすくなるとの見方だ。

 「ショートが希望通り使えず困っている家族のために、利用者を時々泊めている」という愛知県内の別の通所施設の管理者は「いい方向に向かえばいいが、現場が動きにくくなる規制では困る」と訴える。

  (佐橋大)

中日新聞 2010年9月30日

-----------------(引用ここまでです)--------------

お泊りは実費という形ですでに実施しているデイサービスは、東郷町近隣でも複数あります。

全国でチェーン展開している「茶話本舗」は、宿泊を800円で実施しています。

介護で疲れ果てている家族には、本当にありがたいサービス。

だけど・・・

介護の質はどうやって担保するのでしょう。

そう考えると、介護保険のサービスに組み込んで、行政が指導監査できるようにしようという厚生労働省の狙いは理解できるように思います。

とはいえ、本来は有料老人ホームの届け出が必要なのに、無届で営業する事業者がいくつもあるのも現実。

お泊りデイサービスも、規制を嫌って、介護保険の届け出をしない事業者が数多く出るかもしれません。

届け出があろうがなかろうが、介護サービスを使う利用者の権利が守られるような仕組みの構築が、なにより必要だと思います。

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コメント

こんにちは(^O^)

中日新聞の記事は読みました。

なぜ、お泊まりデイなのか?

小規模多機能居宅介護については触れられていませんよね。

実際に、うまく活用されていないのが現実です。

行き当たりばったりの対応にみえるのは、私だけでしょうか?

結局は、ショートステイが満床で利用できない・認知症やその他の理由で利用拒否されるのが原因なので、根本的な問題解決にはなっていません。

厚生労働省は、高専賃や有料老人ホームの利用を推奨していく動きですよね。

いかに、在宅扱いにして介護保険の利用を最小限にするかを考えているような気がするのは私だけでしょうか?

投稿: 東京ばなな | 2010年10月 9日 (土) 08時24分

東京ばなな さま

コメントお寄せいただき、ありがとうございました。
お返事が遅くなりまして、失礼しました。

お泊まりデイだけを、特別扱いするかのような、今回の厚生労働省の動きには、わたしも疑問をもっています。
少しずつ増えかけている小規模多機能居宅介護に、悪い影響が出るようにも思いますし。
ほんとうに在宅支援になるのかどうか、難しいですね。

厚生労働省は、特養も有料老人ホームも高齢者専用賃貸住宅も、まとめて、高齢者の居住場所として一括管理するような方向に動いているように思います。
特に、特養だけが「補足給付」という形で、介護保険から実質的な家賃補助を受けていることを、問題視しているようです。

高齢者の多くが、在宅で暮らし続け、家で死ぬことを望むのであれば、「おひとりさま」でも安心して支えられる在宅介護システムを作る必要があると思っています。

投稿: 山下りつこ | 2010年10月16日 (土) 01時22分

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