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もう特養ホームはいらない?! 必要なのは「特定住居」と外付けの24時間365日の介護・医療

もう、特別養護ホームはいらない!
この発言の主は、全国に先がけた全室個室の特養ホーム「風の村」をつくった、社会福祉法人生活クラブの池田徹さん。
10/11に参加した「在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク」主催の「全国の集いin名古屋」で行われたシンポジウムでの発言でした。

特養ホームをめぐって、このところ個室でなく従来の多床室に戻そうとするような発言や動きが出ていますが、これに対して池田さんは、「個室は人間の尊厳を守る最低条件」ときっぱり。
個室をやめようとか、個室の面積要件を緩和して狭くてもOKとするような提言の裏には、特養ホームに家賃(ホテルコスト)が自己負担となり、金銭的に個室の新型特養に入居できない人がいるという現状があります。
特養の入居費用は、所得別に4段階に分かれていて、3段階以下の人には、介護保険から補足給付という形で、実質的な家賃補助があります。
しかし、生活保護の人の場合、自治体によっては個室の新型特養への入所を禁止しているところがあるのです。
お金があるなしで、何年も暮らす住まいが他人との雑居になるかどうかが決まるのは、本当に問題。
こうした問題に対して、特養に補助を出して、お金がない人も個室特養に入れるシステムをとっている自治体も出てきています。

さて、現状を踏まえて、池田さんが指摘する問題点は、
「特養だけが、最後のセーフティネットになっている」
ということ。
補足給付という形で実質的な家賃補助がある高齢者の住まいは、特養ホームしかありません。
認知症の高齢者が暮らすグループホームも、介護付きの有料老人ホームも、家賃補助の仕組みがなく、お金が支払えなくなれば、退去になってしまいます。
だからこそ
お金がない人は、特養ホームへの入居を求める。
家賃補助を切り離し、高齢者の住まいで暮らす人には、必要度に応じて家賃補助を受けられる仕組みに変えることが必要!
というのが、池田さんの提言です。

そして、特養ホームや介護付き有料老人ホームなどの介護保険での入所施設と、国土交通省管轄の高齢者専用賃貸住宅をひっくるめて、
高齢者の住まいはすべて、「特定住居」に統一する
というのが、もう一つの提言でした。

特定住居というのは、「高齢者の住まいのあり方研究会」が発表した報告書にある概念で、研究会は、高齢者の住まいとして「特定住居」制度の新設を提案しています。

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「特定住居」の定義
(1)個室の最低基準面積を13.2㎡以上とする。
(2)個室にトイレ、風呂、キッチンを必置とする。但し、共用部分(生活単位(=ユニット)ごと)に整備されている場合は任意でも可。
(3)入居者15人に1人の24時間の見守り要員を配置する。賃貸借契約の他に見守り付き生活支援サービス契約を締結するものとする。
(4)生活単位は15名以下とする。
(5)住居の権利形態は一代限りの賃貸借・所有権とし、利用権は認めない。
(6)第三者評価の受審を義務付ける。
※制度サービスは、ケアマネジャーを含めてすべて外付けとする。
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研究会では
「現在の介護保険三施設、特定施設、高齢者住宅を一本化し、特定施設への統合」
を提案しています。
その理由としてあげているのは
・特養には在宅復帰機能も想定されている。
・老健には長期入所者も多く、両者の事業実態は大差ないように考えられる
・介護療養病床は在宅復帰を念頭に置かない『医療付き終の棲家』であり、最も『住まい化』が求められる
の3点。
また高齢者専用賃貸住宅については
「数は増えているものの、介護の実態は千差万別で、介護が必要な高齢者が安心して生活を続けられる場には必ずしもなっていない」と指摘しています。

特養も老健も介護療養病床も、中身はそんなに変わらないという実感は、わたしも持っています。
また、ケア付きケアハウス、介護付き有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅など、高齢者の住まいがさまざまに増えてきて、選ぶ側からすれば、違いがわかりにくいということもよくわかります。

高齢者の住まいとして、基準をひとつにする。
その上で、
・すべて個室で、13.2㎡以上
・トイレ、風呂、キッチンを個室内に完備
・15人を単位として、24時間の見守りスタッフが1人つく
・第三者評価の受審を義務付ける
などの条件を満たすことが必要になれば、いまある問題はずいぶん解決され、すっきりすると思います。

なにより、統一された基準で、高齢者の住まいすべてに「第三者評価」が義務づけられることが必要だと思っています。

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