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臓器提供の意思表明を自らする時代に

臓器提供の意思表明を
今日、新しい国民健康保険証が、手元に届きました。

ちょっと驚いたのが、今回から保険証の裏面に、臓器提供の意思表明をする欄ができていたこと。
一緒に入っていた「国民健康保険証の更新のお知らせ」によると
「今回から保険証の裏面に、臓器提供の意思表示を目的とした欄を設けることが義務づけられました。」
とのこと。
臓器提供について、自分の意思はどうなのか。
医療を受ける際に必ず提出する「健康保険証」に記載することになったんですね。

7月17日に、改正臓器移植法が全面施行されたことに伴い、臓器移植の年齢制限や意思表示などが大幅に変更されました。

大きく変わったのは
①親族に対して、臓器を優先的に提供する意思を示せるようになった
②本人の臓器提供の意思が不明でも、家族の承諾があれば臓器提供できるようになった
③15歳未満からの脳死下での臓器提供も可能になった

の3点。

改正前は、「臓器提供を行います」という書面での意思表示があることが、移植の大前提だったのが、「本人の意思がわからない場合は家族が承諾すればできる」と変わったのが、最も大きな変化だと思います。

つまり
これまでは「臓器提供します」と書面に残さなければ、臓器移植はできなかった。
それが、「どちらかわからない」と本人の意思があいまいでも、家族が承諾すればできる。
と変わったわけです。
(もちろん、「臓器提供はしません」と拒否の意思を書面に残しておけば、臓器移植できません)

終末期医療の意思表明を!
という主張は、このブログでも何度もしてきましたが
脳死を認めて「脳死状態で臓器提供を行う」のか
「心臓死で臓器提供を行う」のか
「臓器提供そのものを行わない」のか。
自ら考え、意思表明を行うことを求められています。

改正臓器移植法について、背景や問題点を整理した記事を見つけたので、以下に貼り付けます。

-------------------------(ここから引用です)-------------------------
毎日jp
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100716k0000m070152000c.html

記者の目:改正臓器移植法=藤野基文(東京科学環境部)

 改正臓器移植法が17日に全面施行される。慢性的な提供臓器不足の解消を図り、15歳未満の移植医療に道を開くことが柱だ。臓器移植の担当記者として臓器提供を担う全国の医療機関にアンケートや取材をしてきたが、このままでは法は変わっても実態はほとんど何も変わらないのではないかとの印象を強く持っている。臓器を提供する病院の多くは救急医療機関で、医師不足や過酷な勤務で疲弊しているため、さらに負担を背負い込むことが難しい。法改正に伴って体制整備が必要だが、国は各提供病院任せにせず、病院側が抱える根本的な問題解決に取り組むべきだ。

◇小児脳死の判定 現場に重い負担
 日本臓器移植ネットワークによると、6月30日現在で臓器の移植を希望している患者は計1万2163人いる。
 現行法では、臓器提供意思表示カードなどで提供意思を示している15歳以上だけが提供できた。改正法で、本人の意思が不明でも、生前に拒否していない限り、家族の同意があれば15歳未満も含め提供できるようになる。
 臓器の提供数を増やすためには、病院側の協力が不可欠だ。しかし、厚生労働省が臓器提供に対応できると認定した全国の医療機関348施設を対象に、毎日新聞が5月下旬から6月下旬に実施したアンケートで、約85%が法施行後の臓器提供は「業務の負担になる」と回答。小児の臓器提供に「対応する」との回答は36.8%にとどまった。
 脳死臓器提供には、脳死判定を6時間以上間隔を空けて2回実施する必要があり、臓器摘出手術などを含め、6歳以上は約45時間前後かかる。蘇生力の高い6歳未満は脳死判定の間隔を24時間以上空けるため、さらに18時間長くかかる。施設の規模によっても異なるが、日常の救急医療業務の一部またはすべてを止めなくてはならない。
 このため、アンケートでは「手術室、スタッフに余裕がない。これ以上負担が増えれば、救急医療が崩壊する」「脳死下での臓器提供により現場は48時間以上にわたって救急医、麻酔科医、主治医がかかわり、ICU(集中治療室)、手術室の機能が止まる」「現在の過重労働下の脳外科施設では協力は困難」など苦渋に満ちた声が寄せられた。
 岡山赤十字病院の實金(みかね)健・救命救急センター長は「目の前に助けを必要としている患者がいるのに、どこか遠くにいる臓器移植を必要とする患者のために、日常業務を止めることは難しい」と話した。医療現場の本音だろう。同病院は改正法施行後も小児の臓器提供をする予定はない。
 また、ある麻酔科医は、脳死判定とその後のドナー(臓器提供者)管理がどれほど大変かを切々と語った。日常業務とかけ離れた脳死判定を間違いなく進めなくてはならないプレッシャー。脳死判定から臓器摘出までのドナー管理は、心臓が止まってしまえばすべてが無駄になるため、想像以上のストレスの中で続けざるを得ない。
 本人意思が不明な場合の家族への臓器提供の説明も病院には大きな負担だ。
 家族への説明は主に主治医が担当する。ドナー候補となる患者は、ほとんどが急患だ。朝、元気に出ていった人が突然の不幸に見舞われ、家族が病院に呼ばれる。實金センター長は「家族は最後まで命を救ってほしいと願っている。直前まで回復させようとしていた医師が、『もうダメなので臓器提供について考えてください』なんて言えるでしょうか」と語った。
 毎日新聞のアンケートでは、本人意思が不明の場合、提供に同意する家族がどれぐらいの割合になるかの予測も聞いたが、「3割程度」~「ほとんどない」が、小児で85.2%、成人で74.4%を占めた。厚労省によると、脳死臓器提供について家族が説明を受けるかどうかの確認は、各病院に任せられるという。

◇家族へ説明など専門職員配置を
 こうした現状を見れば、「意思不明の患者の家族に臓器提供の話を持ち出して、あえて負担を抱え込むことはできない」との現場の意見にもうなずける。アンケートの記述を読むと、提供病院の多くは移植医療に理解を示し、協力したいと思っている。しかし、「協力したくても協力できない」のが現実なのだ。
 法改正を意味あるものにするために必要なことは何か。アンケートでは、多くの提供施設が二つのポイントを挙げた。「脳死判定とその後のドナー管理を行う公的チームの設置」「家族に対して、臓器提供についての説明やケアを行う専門職員の育成と配置」だ。国は提供病院の声に真摯(しんし)に耳を傾け、支援体制の整備を急ぐ必要がある。

(毎日新聞 2010年7月16日 0時00分)
-------------------------(引用ここまでです)-------------------------

15歳未満の子どもの臓器移植については、本人の意思の表明の問題や、虐待の問題、脳死判定の問題など、解決しなければいけないことが多いと思っています。
臓器移植ありき、という法改正には疑問があるのですが、ともあれ、法改正された以上は、その内容を知り対応していかざるをえない、というのも現実。

わたしは、臓器提供は本人の意思に基づくものでなければ、と思っています。
今、個人としてできることは、臓器提供についてどう考えるか、家族で話をすることと、保険証に意思を記入しておくこと。
新しい保険証に、わたしの意思を記入することから始めたいと思います。

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