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2010年3月

「有料老人ホーム」としての届け出が必要なのは?

わたしが以前に書いた「無届け」施設についてのブログを読んで、コメント欄で問い合わせがありましたので、なにをもって「無届け」としているか、また、無届けはなにが問題かについて、再度書きたいと思います。

まず、確認しておきたいのは
有料老人ホームとは何か、ということ。
老人福祉法29条(平成18年4月1日改正)では
「老人を入居させ、入浴、排せつ、若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって厚生労働省令で定めるものの供与をする事業を行う施設であって、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないもの」
と定めています。

法的な用語ではわかりにくいので、もう少しかみ砕いて言うと
①高齢者が1人以上暮らしている
②「1.食事を提供している」、「2.介護(入浴、排せつ、食事介助)を提供している」、「3.洗濯、掃除などの家事、健康管理を提供している」の3つのうち、1つでも該当している
の両方を満たしている施設は、すべて有料老人ホームということになります。

ただし、例外があって
特別養護老人ホーム、認知症グループホーム、老人保健施設など、介護保険法で規定された高齢者施設と、高齢者専用賃貸住宅でも県に届けられた適合高齢者専用賃貸住宅のみは、有料老人ホームではないということになっています。

注意が必要なのは
高齢者向けの賃貸住宅(高齢者専用賃貸住宅)も、食事・介護・家事・健康管理のうち1つでも提供していれば、有料老人ホームとしての届け出が必要だということです。
例外は、上でも述べたように、県に届けられた適合高齢者専用賃貸住宅のみ。
適合高齢者専用賃貸住宅は、次の3つの条件を満たさなければ届け出できません。
①各戸25㎡以上(共有型は18㎡以上)
②必要な室内設備(洗面、風呂、ミニキッチン)を設置している
③前払い家賃の保全措置を行っている(徴収する場合のみ)

わたしが無届け施設と呼んでいるのは、有料老人ホームとしての届け出が必要なのに、県に有料老人ホームとして届け出がされていない施設のことです。
ブログに無届け施設と書いたメディカルスイートは、居室面積は25㎡以下で共有部分もなし、室内には洗面も風呂もなし、ですから、適合高齢者専用賃貸住宅としては届け出ができないと思われます。
ということは、有料老人ホームとしての定義から除外されないので、県へ有料老人ホームとしての届け出が必要だということになります。

有料老人ホームとは何かは、老人福祉法に定められています。
この定義に該当する高齢者施設は、すべて県への届け出が必要です。

では、なぜ無届けが問題なのかですが。
まず1つめは、無届けでは県の指導監査が行われないからです。
有料老人ホームとして県に届け出ると、県は有料老人ホーム設置運営指導指針に基づく指導・助言を行います。
具体的には、入居一時金を保全しているか、適切に情報開示をしているか、帳簿を保存しているか、消防法に定められた運営を行っているか、などを指導・助言しています。

2つめは、有料老人ホームとして届け出をしないと、スプリンクラーの設置のための助成金が受けられないことです。
厚生労働省は、たまゆらの火災事件を受けて、無届け施設に対しても、有料老人ホームとしての届け出を促し、スプリンクラー設置費助成を行うと決定しています。
補助額は、
施設延べ床面積275m2以上1,000m2未満⇒1m2当たり単価9千円
施設延べ床面積1,000m2以上⇒1m2当たり単価17千円

メディカルスイートの寝たきり高齢者専用賃貸住宅が、スプリンクラーを設置しているかについては、自分の目で確認していないため、わたしには設置の有無はわかりませんが、万が一、火災がおきたらと考えると、被害をおさえるためにはスプリンクラーは必須だと思います。
無届け施設の場合、資金面からスプリンクラーの設置が独自では難しいケースもあると聞いています。
法令遵守の意味でも、義務づけられた有料老人ホームとしての届け出を行い、必要な補助を受けた方がいいのではと考えます。

最後に、ひとつだけ。
高齢者施設の善し悪しは、無届けかどうかだけでは判断できません。
無届けであっても、良い介護を行おうとがんばっている施設はありますし、反対に公的な補助金を使って建てられた特別養護老人ホームでも、あまり質の高くない施設はあります。

多くの介護施設を訪問して、良い施設だと感じるところは、どこも外部の目を積極的に入れていました。
無届けの問題は、県の指導・監査が入らない、情報が公表されていないために一般の人が入って中を見ることがないという閉鎖性にあります。
閉鎖している、他者の目が入らない場所では、なにか問題がおこっていても外からはわかりません。
入居者は介護が必要で、自ら外に連絡して問題を訴えられない。それが怖いと思います。

情報公開と外部からの目。
介護施設の質を担保するには、この2つが欠かせません。

無届けのままでも、介護の中身が変わるわけではないかもしれませんが、老人福祉法で決められている以上、ぜひとも県に有料老人ホームとして届け出をしてほしい。
そうお願いしたいと思います。

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たまゆら火災事件から学ぶ〜認知症はだれにでもおこる

中日新聞に連載された「流老の果て〜たまゆら火災1年」。
これからの介護のあり方を考える上で、ぜひ多くの人に読んでもらいたいので、連載記事を以下に転記します。

もと記事は、中日新聞Web。
<流老の果て>(1) 幸せな老後、よもや 2010年3月19日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010031902000179.html
<流老の果て>(2) 繁盛店の評判夫婦 2010年3月20日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032002000197.html
<流老の果て>(3) 夫亡くし弱々しく 2010年3月21日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032102000166.html
<流老の果て>(4) 困窮、退去しかなく 2010年3月22日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032202000169.html
<流老の果て>(5) 脱走やけんか、日常に 2010年3月23日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032302000130.html
<流老の果て>(6) 計画なき受け入れ 2010年3月24日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032402000183.html
<流老の果て>(7) 無届け依存の行政 2010年3月25日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032502000201.html

------------------------(ここから引用です)----------------------

<流老の果て>(1) 幸せな老後、よもや
 とびきりの笑顔が2つ。
 宮城県富谷町の食堂「たらふくや」の従業員が居酒屋に集まり、にぎやかな忘年会が催された。誰からともなくあがった「無礼講でいこう」の掛け声で始まったダンス。経営者の山田忠雄さん、登美子さん夫婦は恥じらうことなく手を重ねた。
 それから約20年後、群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」の火災で亡くなる登美子さん=死亡時(84)=のその後を暗示させる影など、どこにも見当たらない。

 「いい夫婦の見本。あんなふうになりたいと思った」。以前近所に住んでいた千葉稔さん(80)は、おしどり夫婦の2人を思い起こす。富谷町の国道沿いで長距離トラックに人気の食堂を営んだ高齢の夫婦は15年ほど前、忠雄さんの胃がんの手術を機に店をたたんだ。
 「娘が東京にいるから」。2002年11月、山田さん夫婦は親しい友人たちに別れを告げ、墨田区のマンションに引っ越した。働きづめの毎日から静かな余生を願った生活は、3DKの部屋で家賃は月12万円。手元には10分な蓄えがあり、2人の年金もあてにできた。

 しかし、体力の衰えた忠雄さんは車いす生活に。「リハビリで廊下を歩くご主人と、それを見守る登美子さんをよく見かけた」(隣人)。やがて入院し、再び帰宅することなく世を去った。
 「優しい人だったのよ」。最愛の夫の死に、登美子さんは人前で涙をこぼした。平凡で幸せな暮らしは、忠雄さんとともに消えた。

 独りぼっちになった登美子さんを認知症が襲う。夫の年金がなくなり、いつの間にか蓄えも底をついた。生活保護に頼らざるを得なくなった。
 危うい生活を続ける登美子さんを、巨大団地の住民らは放置できなくなった。通報を受けた区は介護施設を探した。しかし、他人に触られることを極端に嫌がる強迫神経症のせいで、どこも受け入れを拒んだ。
 最後に頼ったのが、当時“行き場のない”人たちを快く受け入れていた「たまゆら」だった。

 「お父さん(忠雄さん)の所に帰りたい」。入所した登美子さんはたびたび駄々をこね、職員を困らせた。あてがわれた個室のテーブルには白黒写真を飾った。すらりとしたスーツ姿の男性。若き日の忠雄さんだ。
 09年3月19日夜。たまゆらの建物が激しい炎に包まれ、3棟計400平方メートルを全半焼した。翌日、登美子さんも遺体で見つかった。
 上州の空っ風が吹く山の中。登美子さんが大切にしていた写真も人知れず灰になった。

  ◇    ◇

 入所のお年寄りら10人が死亡し、業務上過失致死容疑で運営団体の理事長が逮捕、起訴された「たまゆら」火災から、19日で1年。墨田区が送り込んだ6人が犠牲になったことが明らかになり、惨事は「終(つい)の棲(す)み家(か)」を求めてさまよう高齢者の姿と、行政の無策をあぶり出した。夫と働きづめで老後を迎え、静かな余生を願った山田登美子さんは、なぜここで命を落とすことになったのか。悲劇への足跡をたどり、高齢化と孤独、貧困が生み出す“流老(るろう)”社会の現実を追う。


<流老の果て>(2) 繁盛店の評判夫婦
 「うまい・やすい・はやい」。大きくてカラフルなテント生地の看板は、関東と東北を行き来する長距離トラックが、ひっきりなしに訪れる人気店の目印だった。
 山田登美子さん=死亡時(84)=が、夫の忠雄さんと宮城県富谷町に食堂「たらふくや」を開いたのは、今から23年前。近くで10年ほど料理店を営んだ2人が、国道4号沿いの土地を借りて設けた。セルフサービスでハムエッグが200円、おかわり自由のご飯が150円。安さと味の良さが自慢だった。

 温和な忠雄さんは厨房(ちゅうぼう)を担当。接客とレジをしながら店を切り盛りしたのが登美子さんだった。店は繁盛した。毎年秋にはバスツアーで観光地をめぐり従業員たちをねぎらった。
 「1日10万円、20万円の売り上げがあった。しっかりした奥さん。店はあの人で持っていた」。元従業員の高橋節子さん(70)は当時を懐かしむ。

 お金をため、2人は町内の住宅地に一軒家を買った。胃がんの手術で忠雄さんの体力が衰えたのを機に、スッパリと店を閉めた。「それでも手元には800万円ほど残ったと聞いた」(高橋さん)
 リタイア後、登美子さんは忠雄さんの通院に付き添う一方、趣味の民謡教室で仲間を増やしていった。友人の今野八千代さん(86)は「老人クラブで卓球をしながら歌ってた。愉快な人だった」と振り返る。
 忠雄さんの健康以外、何の不安もなかった。2002年の秋、夫婦は養女一家が暮らす東京へ引っ越すことを決めた。家を売り、墨田区の分譲マンションを借りた。「娘のとこへ行くから安心なんだー」。登美子さんは笑顔で周囲に話していた。

 その6年半後、元従業員の高橋さんは群馬県渋川市で10人が犠牲になった火災を伝えるテレビのニュースで、犠牲者の中に「山田登美子」の名前を見つけた。「同姓同名の別人でしょう」。皆とそう言い合った。
 社交的で裕福だった登美子さんと「施設での孤独な死」が、富谷の人たちには結び付かなかった。「仲間内では経済的に一番豊かな人だと思った。皆が年金暮らしの中、将来設計もきちんとしていたのに」。町内会役員の女性は、登美子さんが生活保護を受けていたと知って絶句した。
 「あなた、知らなかったの?」。ともに民謡教室に通った佐藤とき子さん(81)は、仲間から登美子さんの死を聞かされ、信じられなかった。
 「群馬にいたなんて全然知らなかった。お金の心配なんてない人だった。何で…」


<流老の果て>(3) 夫亡くし弱々しく
 お悔やみを告げる涙声。電話口で、山田登美子さん=死亡時(84)=の口調は別人のように弱々しく、独りぼっちの不安に満ちていた。
 山田さんが宮城県富谷町を出て3年後の2005年10月。富谷で仲の良かった隣人の訃報(ふほう)を知り、移転先の東京都墨田区から遺族に電話をかけてきた山田さんは、泣きながら漏らした。「私も頑張っているんだけど…。ちょっと厳しくなるんですよ」。最愛の夫、忠雄さんを亡くして間もなくのことだった。

 「お父さんがいればこその私」。それが口癖だった山田さんの暮らしは支えを失い、歯止めなく暗転していった。忠雄さんのみとりに、慣れない東京暮らしの寂しさが追い打ちを掛けた。認知症を発症した。

 同じ団地の別棟で暮らす養女の家族とは、認知症を発症した当時、すでに疎遠だったとマンションの隣人たちは言う。「区を交えて養女と話し合いをしようとしても、応じなかった」(マンション住民)。「養女の家族も経済的に苦しかったようだ。家賃の滞納があり、法律事務所が入った。それが理由で結局、たまゆらの火災後に退居した」(自治会役員)。

 「娘さんは今、いないんだよ」。養女の部屋を足しげく訪ねる山田さんに、近くの人が留守だと言っても理解できなくなっていた。不安そうな表情で、棟の下をただ歩き回っていた。団地で高齢者の見守り活動に取り組む男性は深夜、戸外でぼんやり腰掛ける山田さんをたびたび保護した。「おばあちゃん、帰りましょうよ」。なだめながら、部屋まで送った。
 住民同士のつながりは薄かった。それでも山田さんを知る人たちは、顔を見れば声を掛け、何度も聞いた昔話に耳を傾けながら、その身を案じていた。
 隣室には同世代の女性がいた。「お父さんが亡くなったからどうすればいい?」「料理の作り方を教えて」。1日に何度もチャイムを鳴らす山田さんの寂しさを受け止めた。

 しかし症状は進み、山田さんは大通りの交差点を昼夜かまわず赤信号を無視して渡るようになった。住民がたしなめると感情的に反応し、徘徊(はいかい)も日増しに激しくなっていった。
 住民が区役所に通報するようになり、配食や訪問介護のスタッフが入った。やがて「家で火を使わせるのは危ない」との声が出始めた。区はこれ以上、独居生活を続けさせられないと判断した。
 顔なじみの住民は打ち明ける。
 「最後のほうはカーテンもせず、部屋の明かりがいつまでもついていた。徘徊してるんだ、寝てないんだって思った。もうだめだって」


<流老の果て>(4) 困窮、退去しかなく
 「ここにいたいけど、区が『こんなに家賃が高い部屋には入れておけない』って言うから」
 東京都墨田区のマンションを退去する数日前、山田登美子さん=死亡時(84)=は隣人にそう漏らした。終(つい)の棲(す)み家(か)に選んだはずの場所を、山田さんはたった3年9カ月で去るよう迫られた。認知症の症状は進んでいたが、貯蓄も収入も細って退去せざるを得ないまでに追い込まれた状況を、はっきりと分かっていた。

 山田さん夫婦は、長年の飲食店経営でつくった貯蓄と、宮城県富谷町の家を売ったお金を手にここへ来た。「来た当時、このマンションを買えるくらいのお金を持っていたと、本人が言っていた」。顔なじみの住民も証言する。
 しかし、山田さんは夫の忠雄さんの死後、認知症によるトラブルを起こし続けた。問題視した区が資産を調べてみたところ、預金は短期間にみるみる減っていた。経済的に頼れる身内はおらず、生活保護を受けさせた。
 東京23区の場合、生活保護で支給される単身者の家賃の上限は5万3700円。山田さんの部屋の家賃は12万円。退去するしかなかった。

 山田さんは強迫神経症という、別の問題も抱えていた。「肩をポンとたたいたら『触んないで!』って。押し車を持ってあげようとしても、そう」(マンション住民)。他人に触れられることを極端に嫌がり、共用のトイレも風呂も、使うことを拒んだ。
 区は認知症のグループホームに入れようとしたが、面接で断られた。「法的にきちんとした施設ほど、入所者を選ぶ傾向がある」。墨田区保護課の担当者は、一般論と前置きした上で説明する。「手がかかる人は採算が合わないため、施設は入所を拒む」「1カ所に断られれば、どこへ頼んでも同じ」。特別養護老人ホームの待機者が40万人を超える、それがこの国の現実だという。

 困った区が最後に頼ったのが、東京の生活保護受給者を積極的に受け入れていた、群馬県渋川市の無届け施設「静養ホームたまゆら」だった。「分け隔てなく『うちならばいいですよ』と受け入れてくれたのが、たまゆらだった。うちとしてもぎりぎりの判断だった」。区の担当者は釈明する。

 「前日に山田さんの妹が手土産を持ってあいさつに来た。『お世話になりました』って。その後のことは分からない」。隣人は振り返る。
 山田さんは関東に住む妹夫婦の車に乗せられ、マンションをひっそり引き揚げたという。社交的で裕福なころの姿しか知らない富谷の人たちに、その行き先が想像できるはずもなかった。


<流老の果て>(5) 脱走やけんか、日常に
 「ウイルス予防用クレゾールを飲んで自室で倒れ緊急入院」
 「自室の高窓からベッドを足場に飛び降り、山中をさまよい渋川警察に保護」
 「体力が衰え言語がはっきりしない。要注意」
 認知症や寝たきりの人が増え続け、人手が回らない。行政の目が届かない無届け施設の、これが日常だった。

 火災で10人が死亡し、運営する「彩経会」理事長の高桑五郎被告(85)らが業務上過失致死罪で起訴された、群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」。本紙の求めに応じ、高桑被告が職員らのメモや記憶をもとに、焼失した日報の主な部分を再現した内容。火災直前を含む計5カ月分がA4判7枚にまとめてある。
 徘徊(はいかい)や重症者の入退院、飲酒やけんかの後始末…。並ぶのは深刻なトラブルばかり。記された人のほとんどが、火災の犠牲になった。

 地元住民の証言が、混乱ぶりを裏付ける。
 高窓を飛び降りて山中に逃げた女性は認知症で、たびたび脱走。火災で死亡する2カ月ほど前には「人身売買で連れてこられた。助けて」と、パジャマ姿で民家に駆け込んでいた。入所者の男性が、路上で泡を吹いて倒れていたことも。住民が救急車を呼んで施設へ連絡したところ、職員は「食事の準備が忙しくて行けない」と答えたという。

 たまゆらは、木造平屋の本館と2棟の別館、50メートルほど離れて別棟がある。県の資料によると、火災2カ月前の時点で、生活保護を受ける高齢者や障害者ら計24人が入所し、日中は施設長のほか事務と調理の職員が3人。火災は職員が1人になる夜中に起きた。
 被害が集中したのは、食堂などがあり、ベニヤ板で細かく仕切られていた別館で、寝ていた7人全員が死亡した。高桑被告が日曜大工で違法な増改築を繰り返した建物だった。

 防火や管理態勢の不備を認めた高桑被告は本紙の取材に「もともと貧しい人を助ける『救護ホーム』で、本来は介護するための施設ではなかった」と明かした。要介護者は想定外だったのが、いつの間にか都会から厄介払いされた「処遇困難ケース」の高齢者たちの終(つい)の棲(す)み家(か)にされてしまい、管理態勢が後手に回った、というのだ。

 東京都墨田区から送られ、火災で亡くなった山田登美子さん=死亡時(84)=も7人が犠牲になった別館で暮らしていた。車いす生活になり持病の強迫神経症も治らなかったが、メモに山田さんがトラブルを起こしたとの記述はない。かつて周囲がまゆをひそめた問題行動も、たまゆらでは“普通”とみなされた。
■火災直前の主なトラブル
(原本は実名、いずれも死亡、年齢は当時)
2009年1月3日 男性(88) 留守中の隣家に入り、帰宅した家族が送り届けてくれる。
       5日 女性(83) 食堂を通って柵をくぐり徘徊。赤城山中にて保護。
       14日 男性(77) 本館の窓を割り道路に出る。応急処置をする。
     2月22日 女性(84) 他の入所者の部屋のドアをたたき争いとなる。
     3月 1日 女性(71) 容体が悪い。注意するようヘルパーに伝える。
        3日 男性(72) めっきり体力が衰えている。要注意。


<流老の果て>(6) 計画なき受け入れ
 金もうけのために、要介護のお年寄りをあえて受け入れていたのではないか。昨年3月の火災後、報道陣のそんな質問に、たまゆら(群馬県渋川市)を経営していた「彩経会」理事長の高桑五郎被告(85)は答えた。
 「障害の重い方を受け入れると収支は赤字。手がかかるだけで、うちには何のメリットもないんです」
 亡くなった10人のうち、70歳以上が9人。不十分なスタッフ態勢で介護に手が回らない実態が明らかになると、高齢者を受け入れ続けた点に質問が集中した。

 介護保険制度に沿った態勢を整え、介護サービスを提供する有料老人ホームなら、事業者は渋川市などから入所者1人に最大月額約25万円の介護報酬を受けられる。
 しかし、たまゆらは制度を利用せず、有料老人ホームの届け出もしていない無届け施設。重度の要介護者を何人抱えようと、介護報酬はゼロ。費用も人手もかかる重荷でしかなかった。

 「自分には、介護ビジネスをする能力がないことだけは分かっていた」
 会見で、報道陣をあぜんとさせる告白が続いた。たまゆらの成り立ちの背景には、介護ビジネスで失敗を重ねた高桑被告の歴史があった。

 前橋市内の名家の呉服店に生まれ、20年ほど前、端切れを使って小物を作る障害者向けの授産施設をつくった。夢を膨らませ、北橘村(現渋川市)を「福祉の里」にしようと、私財を投じて土地開発を進めたが頓挫。再起をかけ、2000年秋に高齢者用の静養施設を開業し、翌年デイサービスセンターも設置した。しかし採算が合わず、主な建物も人手に渡った。
 度重なる失敗で方針を変え、高桑被告は05年、増え続ける生活保護受給者のための「救護ホーム」を立ち上げる。それが、焼失したたまゆらだった。生活保護費は自治体から確実に下り、介護の負担もない。「今度こそ」の思いがあった。

 だが、高齢の入所者なら年を取り、いずれは介護が必要になる。その穴を埋めようと、高齢で生活保護を受けている人をやみくもに受け入れ、借金で火の車になった。80すぎの老人が、日曜大工で安普請の建物を増築するようになる、それがいきさつだった。
 「要介護度が高くなれば、他の施設に引き取ってもらうつもりだったが、できなかった。どこにも受け入れてもらえなかった。救急車でも呼ばない限りは…」
 逮捕前、高桑被告は本紙の取材に力なく打ち明けた。救急車は頻繁に呼んだが、入院の長期化を恐れる地元の病院には「退院後は引き取る」という約束をさせられた、という。


<流老の果て>(7) 無届け依存の行政
 「墨田区担当より、『ほうぼう探しましたが引き取り手がなく、申しわけありませんが、ぜひもう一度面倒をみてください』と電話連絡高桑にあり、再度引き受けることにする」。たまゆら(群馬県渋川市)を運営していた高桑五郎被告(85)のメモには、この無届け施設に頼り切っていた、東京都墨田区の姿を象徴するような記述があった。

 2007年10月、墨田区の生活保護を受ける50代の男性が、たまゆらへ送り込まれた。施設内や酒店の自販機の前で酒を飲んでは倒れ、救急車で運ばれた。トラブルに手を焼いた高桑被告は、1年を待たず区に引き取らせた。
 3カ月後、男性は区が仲介した東京の宿泊所から姿を消した。再び保護されたが行き場はなかった。区は男性と連名の念書をしたため、たまゆらは仕方なく男性を受け入れた。
 高桑被告が提供したたまゆらの入所者一覧表によると、入所者50人のうち、33人が東京都内から送られてきた。その8割が生活保護受給者だった。無届け施設とは思えないほど、行政はたまゆらに依存していた。

 「最初から不安だった。いかにも火事でやられそうな建物だと思った。でもここで我慢しなきゃ、行くとこねえんだって自分を納得させたよ」
 生き残った元入所者の鈴木久雄さん(65)は墨田区で生まれ育ち、革製品加工の仕事に就いた。30代で脳卒中を発症し、病院や福祉施設を転々として、最後にたまゆらへ行き着いた。
 現在は前橋市内の施設に暮らす。ふるさとでは高さ世界一を目指す電波塔・東京スカイツリーの建設が進む。「そばで見てみたい」。望郷の念は消えないが、東京に居場所がないことも分かっている。

 墨田区から送られ、犠牲者となった山田登美子さん=死亡時(84)=は、静かな老後を送るために宮城県富谷町から引っ越した同区のマンションで夫を亡くし、認知症になって蓄えも失い、東京を追われた。
 鈴木さんは山田さんのことをよく覚えていた。「明るくて、時々面白いことを言っては周囲を笑わせてた」。跡地近くのデイサービスセンターには、誕生日のケーキを前に笑顔を見せる山田さんの写真が残る。「明日もね」。火災の日も、他の通所者や職員らと再会を約束して別れたという。

 戦後の日本を生き、年老いて家族のきずなと健康を失った人々が都会で居場所を失い、流れ着いた終(つい)の棲(す)み家(か)の焼け跡に、孤独で悲しい晩年のものがたりが残された。
 火災後の記者会見で、高桑被告は頭を下げ、自らの責任を認めた。その姿をテレビで見ていたという鈴木さんはつぶやく。
 「たまゆらがなければ、私たちは野垂れ死んでいた。高桑さんが悪いんじゃないよ」

------------------------(引用ここまでです)---------------------

対応が難しい認知症の場合、なかなか入居できる介護施設がない。
とりわけ、認知症対応のグループホームの数が少ない東京都では、グループホームへの入居も難しかったことが、無届け施設に頼らざるを得ない状況を生んだのでしょう。

たまゆら火災の反省から、東京都は低価格のケアハウスをつくることを決めましたが、周辺症状が激しく、他者とトラブルになりやすい認知症の方の場合、ケアハウスでも生活が難しいと思います。

認知症は、年を取れば発症リスクが高まります。
80歳以上の方の4分の1が、90歳以上なら半分が認知症になるのです。
認知症になっても安心な体制を整えなければ、明日のあなたが、流老の悲劇の当事者になるかもしれません。

一刻も早く、地域全体で認知症を支える体制をつくらなければと、この連載記事を読んで強く思いました。


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たまゆら火災事件から学ぶ〜流老(るろう)の悲劇を防ぐために

無届け老人施設「たまゆら」の火災事件から1年。
中日新聞の社会面で、『流老(るろう)の果て たまゆら火災1年』と題した連載記事が、3/19〜28まで掲載されました。

最終回の今日は、「番外編〜事件から学ぶ(下)」。
この記事の中で、わたしが記者に取材されて話したコメントが掲載されています。

本編の記事では、たまゆら火災で亡くなった山田登美子さんという女性に焦点をあて、どうして彼女がたまゆらに来ることになり、なぜ火事で命をおとすことになったのかが、描かれています。
そこで明らかになったのが、夫を亡くして1人暮らしになり、認知症を発症した女性の流老(るろう)の悲劇。
おしどり夫婦で食堂を切り盛りし、老後の蓄えをして明るく幸せに暮らしていた山田さんが、夫の病気を機に東京へ引っ越し、夫の死をきっかけに認知症になり、蓄えを使い果たして、生活保護にたよる生活におちこみ、住んでいた賃貸住宅を出て、認知症の症状から住む場所を失いたらい回しにあい、最後に無届けの「たまゆら」に移るまでが、記事にまとめられています。

どうしたら、こうした流老(るろう)の悲劇を防げるのか。
番外編では、「事件から学ぶ」と題して、さまざまな提言を載せていますので、以下に紹介します。
(上、中、下の3回連載で長いのですが、Web上の新聞記事は一定期間で読めなくなるので、すべて転記します)

※もと記事は、中日新聞Web
<流老の果て>番外編(上) 取り残される女性 2010年3月26日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032602000143.html

<流老の果て>番外編(中) 支援阻む“縦割り” 2010年3月27日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032702000140.html

<流老の果て>番外編(下) 地域を安住施設に 2010年3月28日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/kaigo/list/201003/CK2010032802000155.html

------------------------(ここから引用です)----------------------

<流老の果て>番外編(上) 取り残される女性

群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」で入所者10人が死亡し、運営するNPO法人理事長らが逮捕、起訴された火災から1年。
犠牲者の山田登美子さん=死亡時(84)=の生活が暗転し、入所に至ったきっかけは夫の死だった。
認知症が進む一方で蓄えをみるみる減らし困窮。
賃貸マンションを追われた。
山田さんの事例は、高齢の女性であれば誰にでも起こり得る「転落の軌跡」を示す。
専門家に対策への意見を聞いた。

厚生労働省が発表した2008年の平均寿命は男性79・29歳、女性86・05歳。
妻が夫より長生きするのが一般的だ。
配偶者の死は、認知症のきっかけになりやすいといわれる。
記憶力や判断力が低下していても、長年連れ添う夫や妻がいれば、日常生活をカバーできる。それが発症の歯止めになっているからだ。

認知症は脳疾患で認知機能が衰え、日常生活に支障が出る状態を指す。
裏を返せば、日常生活に支障がなければ認知症ではない。
「物忘れの激しいお年寄りと認知症患者に差はない。周囲のサポートの有無が大きく影響する」。
東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一・医学博士は説明する。
粟田博士によれば、こうした環境的な要素に加え、認知症の原因として最も多いアルツハイマー病は、医学的にも女性の発症率が高いという。

1人になった高齢の女性は、経済的にも追い詰められやすい。
厚労省の08年のデータでは、全国の生活保護受給者数は70代前半で女性(9万4000人)が男性(8万6000人)を上回る。
以後差は広がり、80歳以上では女性(11万1000人)が男性(3万6000人)の3倍以上に。
それらの女性の8割は単身世帯だ。

立教大コミュニティ福祉学部の服部万里子教授は、団塊の世代より高齢の女性について「会社勤めなどをして10分な年金がある人はまれ。夫の死後蓄えを崩すか、子の仕送りに頼るのが一般的だ」と指摘する。
山田さん夫婦は自営業で、それぞれが国民年金に加入していたとみられる。

厚労省の調査(07年度)では、1カ月の平均支給額は国民年金が5万3000円、厚生年金が16万1000円。
厚生年金なら、残された妻にも平均8万9000円の遺族年金が出るが、国民年金は18歳以下の子どもがいる場合などに限られ、その差は歴然としている。

服部教授は自衛手段として「とにかく信頼できる相談相手を見つけて」と助言する。
介護保険などの福祉制度は複雑で変化が激しく、お年寄りが十分理解するのは困難だ。
家族や友人、近所付き合いを大切にすることはもちろん、介護サービスの窓口役で専門知識を持つケアマネジャーを頼ることも勧める。

ただし相談相手はあくまでサポート役。
「転落」を防ぎたいのなら、人生の終幕を決して人任せにしてはいけないと服部教授は訴える。
「どこでどう死にたいかも含め、判断力があるうちに自分の生き方を決めて」

※写真は、「地元の新年祝賀会で民謡を披露する、元気なころの山田登美子さん(右から2人目)=宮城県富谷町で」


<流老の果て>番外編(中) 支援阻む“縦割り”

群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」で亡くなった山田登美子さん=死亡時(84)=は、東京都墨田区の団地に住んでいた。
住民間のつながりは希薄で、当時の自治会長は「山田さんのことは全然知らなかった」と明かす。

孤立する高齢者を見守りながら支える動きが各地で広がり、山田さんが住んでいた団地でも根付きつつある。
しかし行政が「個人情報保護」を理由に協力を拒み、せっかくの活動を妨げているのが現状だ。

山田さんのマンションとは別棟の都営住宅にある白鬚東第一自治会は5年前、高齢者を見守る有志の「サポート隊」を結成した。
年に数回独居の高齢者宅を巡回し、困ったことがないか声掛けをしている。
電球交換など介護保険でカバーできない生活支援にも取り組み、今ではすっかり定着した。
しかし、初めは苦労の連続だった。

支援活動にはどこに、誰が、どんな状態で住んでいるかの情報が不可欠だ。
しかし区役所や民生委員を頼っても「プライバシー」「個人情報保護」を盾に一切情報はもらえなかった。
結局自分たちで回覧板を回し、住民への説明を重ね、緊急時の連絡先などを記した名簿を作った。
その後も情報は一方通行。
「あのおばあちゃんに介護が必要」と区側に通報しても、結果がどうなったかは全く知らされない。
田村智昭会長(71)は「社会の要請に基づいた活動。行政がもっと協力してほしい」と訴える。

65歳以上の住民の割合(高齢化率)が55%を超え「都会の限界集落」と呼ばれる都営戸山団地(東京都新宿区)も同じ悩みを抱えていた。
同団地連絡会会長の吉田君子さん(73)は「棟の住民に緊急連絡先を書いた文書を出してもらっているが、回収率は7割くらい」と明かす。
吉田さんは行政と地域のパイプ役となる民生委員も長年務めているが「介護保険制度以降は情報把握がさらに難しくなった」と指摘する。

以前は行政が直接介護サービスを提供しており、情報交換は容易だった。
しかし介護保険のサービスは利用者と事業者の個人契約。
一本化された窓口が無く、事業者やサービス内容が民生委員に伝わらなくなった。「どの事業者を利用しているか分からないから緊急時に連絡できない。本人との会話でそれとなく聞き出すしかない」とため息をつく。
山田さんを担当していた団地の民生委員も、認知症の山田さんへ献身的にかかわったが、どんな介護を受けているかは教えてもらえなかった。
「縦割り行政のおかしさを感じた」と不満をぶつける。

防災の分野では災害弱者の名簿を行政と地域で共有する動きが進む。
老老介護や孤独死の問題を抱える福祉の現場で、なぜ同じことができないのか。
墨田区高齢者福祉課の担当者は、個人情報保護法の弊害を認めた上で「厚生労働省の腰が重い。高齢者支援でも個人情報が活用できるよう国レベルで道筋をつけてほしい」と訴える。

※写真は「高齢者の自宅を回り、話を聞く白鬚東第一自治会のサポート隊=東京都墨田区で」


<流老の果て>番外編(下) 地域を安住施設に

「対策の遅れの間隙(かんげき)をつかれた。猛省を強いられる事態と受け止めなければなりません」
「静養ホームたまゆら」(群馬県渋川市)の火災は、生活保護を受ける東京都内の高齢者が都外の無認可施設へ多く送り込まれている実態を明らかにした。

都は猪瀬直樹副知事を座長とするプロジェクトチームで対策を検討。
昨年11月にまとめた報告書には、猪瀬副知事が自ら反省の言葉を記した。
都は低所得者向けに居室面積などの基準を引き下げた「都市型ケアハウス」の整備促進を決めた。
5年間で計33億円の補助金を民間事業者に投じる。
国は特別養護老人ホームで個室式のユニット型を推進してきたが、低所得者対策として相部屋式の多床型も認める方針に変わった。
いずれもたまゆら火災が大きなきっかけになった。

たまゆら火災の背景には圧倒的な要介護者の受け皿不足がある。
特別養護老人ホームの待機者は全国で約42万人。
現在の入所者数とほぼ同じだ。
都の報告書には「都内で特養を建設するコストは入所者1人あたり2000万円」とも書かれていた。
従来型の施設整備の限界を、数字は訴える。

行き場のない高齢者の問題に取り組むNPOや福祉関係者は、重い腰を上げた都の姿勢を歓迎しながらも、声を上げる。「『ハコ』ではなく、もっと『人』への支援を」

2月中旬、単身で低所得の高齢者支援を目指す民間ネットワーク「地域ケア連携をすすめる会」の初総会とシンポジウムが東京都台東区で開かれた。
合言葉は「たまゆらの悲劇を繰り返すな」だ。
NPOのメンバー、医師、ヘルパー、ソーシャルワーカーなど多彩な顔触れが参加。
「連携」をテーマに、どうすれば高齢者が住み慣れた地域で最期を迎えられるか意見を交わし、将来像を探った。

医師とNPOが協力し、できる限り在宅医療を行う。
ヘルパーの介護報酬が出ない部分をNPOがカバーする…。
NPO法人すまい・まちづくり支援機構の水田恵代表理事は「家族に代わる生活支援サービスをきっちりと制度化すべきだ。この運動は大きなうねりになる」と力を込めた。

「介護施設と地域を結ぶ市民の会」の山下律子代表は愛知県内の介護施設を数多く調査してきた。不自由さを口に出せない入所者の姿を見て「より良い施設を」との思いは次第に変化していった。
「自宅で十分なサービスを受けられるのなら、それが一番いい」
一方で、介護保険だけでは在宅の高齢者をとても支えきれない現実がある。
今は「『自宅か施設か』ではなく、支援の態勢を整え、安心して暮らせる『第2の住まい』」の実現を目標に掲げる。

同じく愛知県内の施設調査に取り組むNPO「サークル・福寿草」の富田捷治副理事長の主張はシンプルだ。
「大きな施設はいらない。地域をまるごと施設に変え、高齢者を支えていくのが理想だ」

※写真は「たまゆらの入居者と交流のあった地元の住民が、犠牲者をしのんで描いた似顔絵=群馬県渋川市で」

 (第6部 取材・岡村淳司、後藤厚三、写真・朝倉豊、淡路久喜)

(注)文中の太字は、山下がつけました。
----------------------------(引用ここまでです)-------------------

だれにでもおこりうる悲劇。
ですが、実際に介護の相談にあたったきた生活相談員の方の話では
介護が必要になって相談にみえた方のほぼ全員が、「自分がまさか介護が必要になるとは考えたことがなかった」と話すそうです。

最後はだれもが、だれかの手助けが必要になる。
そう自覚し、介護の現状や今後について、みんなが自分の問題として考えていくことが、なにより大切だと思います。
そうした機会を作っていくよう、努力したいと思います。

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図書館協議会を傍聴〜指定管理者制度は導入の結論には至らず

今日の午後、東郷町町民会館の会議室で行われた「第3回図書館協議会」に、傍聴者として出席しました。

議題は、
①開館開始延長アンケートの実施報告について
②県下の指定管理制度導入経緯調査報告について
の2つ。

東郷町の町立図書館は、図書館協議会委員からの要望に応えて、昨年の11月〜今年の3月まで、毎週金曜日に1時間の開館時間延長を試行しました。
(通常は夕方5時閉館のところ、金曜のみ6時までに延長)
延長実施による来館者数と、来館者へのアンケート結果の報告が、最初の議題でした。

夕方5時以降に来館した数は、だいたい平均して、1日12人くらい。
多い日で、24人(3月第2週)。少ない日で、5人(11月第1週)
アンケートの集計結果を見ると、開館時間の試行延長のことを知っていた人が19人、知らなかった人が33人ですから、まだ住民への周知が少なく、金曜日だけは夕方6時まで図書館が開いていると知らない人が多いようです。
開館時間の延長を希望する声は多く、「夕方5時まででは、働いている人は利用できない。週1でいいので、開館時間を午後7時か8時までくらい延長してほしい」という意見がありました。

試行期間は冬場だったため、夏の状況も見るために、試行期間を延長し、今年度も金曜日の夕方6時まで開館されます。

協議会委員からは、「住民が少しでも利用しやすい図書館になってほしい」という意見が出され、開館時間の延長は、働いている人が図書館で本を探すために必要という委員会の考え方が、傍聴していてよくわかりました。
今後は、家から外出することが難しい障がいのある人や高齢者向けに、本を宅配で届けるサービスも検討してもらえたらと思いました。

さて、2番目の議題。
「指定管理者制度の導入」についてです。
事務局からの報告内容を簡単に以下に紹介します。

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【愛知県で指定管理者制度を導入している市町】
○新城市(新城総合サービスセンターが受託)
 行政改革として導入。導入で特に変わったことはない。

○幸田町(幸田町文化振興協会が受託)
 低コストで質の高い行政サービス推進のため導入。導入後、役所の縛りがなくなり対応が早くなった。

○江南市(大成株式会社、大新東株式会社が受託)
行財政構造改革の一環で導入。経費削減、サービス向上のため。導入後は良くなったとか。

○津島市(NPO法人「まちづくり津島」が受託)
市の方針として、市の施設運営は可能な限り民間委託を行うことから、指定管理者制度の導入を積極的にすすめた。質の低下に繋がらないよう、仕様書を作成した。

○美和町(大成株式会社グループが受託)
行政の効率化による財政健全化のために導入。議会では、委託についての不安、財政の削減効果、個人情報問題について指摘された。導入後は時間延長、開館日数の増加を行い、利用者の利便はあがった。

○常滑市(図書館流通センターが受託)
 前市長は反対だったが、現市長は賛成だったので、導入に踏み切れた。導入後は人件費削減と接客マナーの向上ができた。

○知多市(大新東株式会社が受託)
集中改革プランの一環で導入。導入後は飲食コーナーの設置、老人・身体障がい者に図書の宅配サービス、学校図書館との連携などを行っている。

○高浜市(図書館流通センターが受託)
 予算の削減は考えておらず、市民の利便性向上を第一に考えて導入(予算の削減はされていない)。導入後は利用者から良くなったとの声があった。

○蒲郡市(NPO法人ブックパートナーが受託)
 行財政改革の一環で導入。導入後は、開館時間の延長、職員数の増加があり、利用者から直営だった時より良くなったとの評価を得た。

県内で、指定管理者制度の導入を予定していた
尾張旭市と豊明市は、「導入した場合に、利用者サービスの継続性が見込めないことから、指定管理者は図書館にはなじない」とのことで、導入は見送られた。

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報告に対して、委員から「導入する場合の不安点をもう少し詳しく教えて欲しい」という質問があり、
①指定管理は3年間などの期限があり、切り替え時に混乱したり、館長が変わったりする可能性がある。
②民間に委託した場合、最悪、採算が取れずに途中で撤退する可能性もある
などのデメリットが教育部長から説明されました。

また、近隣の尾張旭市、豊明市がどちらも「指定管理制度は図書館にはなじまない」との理由で導入が見送られたという説明に対して、
「指定管理制度が図書館になじまないとは、どんな不安点を指摘しているのか」
という質問がでました。
それに対し、図書館長から「経費削減に走り、住民サービスがおろそかになる」などの危険性が述べられたことから、
「かなりいろいろな問題がある」と委員長が発言。

そもそも、指定管理者制度の導入の理由として
「経費削減のため」という事務局からの説明があったことで
「人件費が高いのは、館長の人件費(現在、年間に約1000万円)。館長は、役所の人事異動で毎年のように変わっており、専門性も高いとはいえないのに、こんなに高い館長はいらないのでは」
「役場の退職間際の職員が館長をするのではなく、図書館長は公募して嘱託として外から雇ってはどうか」
など、指定管理ではなく、図書館長の人事を見直すことで人件費を下げてはどうかという意見が相次ぎました。
(図書館長の専門性継続のために、外部から一般公募することは、わたしも3月議会の一般質問の中で提案していたので、図書館協議会の委員からも同様の意見が出たことは、我が意を得た思いでした)

委員からは
「経費削減も大事だが、東郷町のゆったりとアットホームな図書館の良さをこれからも守っていって欲しい」などの意見も出て、指定管理制度については、今回は報告のみ(結論はださない)ということで、協議会は閉会となりました。

長久手町も日進市も、図書館長は役場職員でなく、外部の人(長久手町は大学教授を退職した人、日進は岐阜県図書館で勤めていた人)です。
館長の人件費や、役所の人事異動で毎年のように変わることは、現在の問題ですが、指定管理制度の導入以外にも方法はあるはず。
(むしろ、指定管理者は数年で交代するので継続性は難しい)
これからも、東郷町の図書館のあり方について、真剣に考えていきたいと思います。

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2010年3月議会一般質問報告③〜「地域を支える情報拠点」として図書館の再整備を

引き続き、3月議会で行った一般質問報告です。
今回は、図書館の見直しについて、質疑した内容を報告します。

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3.「地域を支える情報拠点」としての図書館の再整備を
「無料の貸本屋」と揶揄されることもある公立図書館ですが、だれもが気軽に立ち寄れる知の拠点として、重要な役割を担っています。この役割への認識と今後のあり方を問います。

①公立図書館として、「地域を支える情報拠点」としての役割をどう考えるか
「自殺したくなったら、図書館へ行こう」
これは、米国の図書館のポスターの言葉です。
ピストルをこめかみに当てた憂い顔の男の前に、積まれた本の山。
その下に、英文で、
「自殺しようと思うなら、やめなさい。そのかわり図書館へおいでください」と書いてあります。
図書館は、人生に悩み、苦しみ、死にたいほどのつらさを感じている人に対して、解決のかぎを差し出す場所。「人が生き延びていくための場所」が、本来の公共図書館の役割なのです。

平成21年の12月議会で、星野議員の図書館への質問にたいして、教育部長は
「これからの図書館は、地域の課題解決に向けた取り組みに必要な情報を提供し、課題解決に向けた資料を提供して、問題の解決を支援する機関として充実が求められています。住民に対しては、資料や情報の探し方を案内し調べ物を支援し、必要な情報を提供することが求められています。生活や仕事に必要な資料、自分や家族が抱えている問題を解決するために必要な資料を入手できる施設であることが求められています」
と答弁しています。

【山下】では現在、東郷町図書館では、住民が抱えている問題を解決するための資料や情報を入手する役割をどのように実行しているかお答え下さい。
【教育部長】現在の社会情勢を受け、制度の変化が激しく、技術の革新も急速であるため、社会人の持つ知識が急速に古くなり、新たな知識を常に学習し続けることが必要です。このためにも、必要な知識や情報が適切に入手できるような環境が不可欠です。
インターネットが普及する現在、その利用機会や活用能力には相当の格差があり、その是正を図るため、公共機関が利用機会の提供や情報の活用方法の教育を行うことが必要となっています。
現在、本町の図書館で行っているのは、近年の雇用情勢、就職難に対して、就職支援の図書コーナーを設け、インフルエンザの流行に対しては、医療系の図書の充実を図っています。
本町図書館に所蔵していない図書は、県下の図書館との連携(相互貸借)で、希望のあった図書の貸し借りを行い、広く利用者の要望に応えています。

【山下】問題解決のための情報や資料探しを手助けする「レファレンスサービス」が、図書館の重要な役割ですが、利用者に周知するためにも専用のレファレンス窓口、たとえば日進市図書館で行っている「レファレンスデスク」のようなものを設置してはどうですか。
【教育部長】本町図書館の司書はレファレンスサービスに対応できる能力は十分あり、司書が代わる代わる窓口に出て対応しています。ただ、レファレンスサービスに対応している旨の掲示や、わかりやすい窓口など、利用者にわかってもらえる工夫は必要だと思います。

【山下】北広島市図書館では、国会図書館にある雑誌(国内刊行の学術雑誌を中心として約1万誌)を記事索引できるシステムを持っており、希望に応じて国立図書館の雑誌の複写依頼を行っています。
東郷町でも図書館内の蔵書だけでなく、取り寄せができる他の図書館の情報も積極的に所得し、情報提供や資料の取り寄せを行うことはできませんか。
【教育部長】そういう点についても相談していきたいと思います。

【山下】情報拠点として、図書館で地域の郷土資料や地域情報の収集の状況はいかがですか。
【教育部長】本町の郷土資料収集は重要な業務であり、平成18年には、館内の小さいスペースですが、郷土資料コーナーを設置しました。特に行政資料等は個人では購入できない貴重な資料が多いため、収集し利用者への提供を行ってきました。
地元にゆかりのある作家・知識人の書物なども、予算の許す限り購入し、地元関係の資料を充実させたいと考えています。

【山下】パソコンでの情報収集の支援を行う意向は。
【教育部長】役場、いこまい館で、パソコンを住民に自由につかっていただくスペースを作っていましたが、利用に不適切なものがあり、撤去しました。こうした経緯から、図書館でのパソコン設置には慎重になっています。

【山下】さきほどの答弁で、「インターネットが普及する現在、その利用機会や活用能力には相当の格差があり、その是正を図るため、公共機関が利用機会の提供や情報の活用方法の教育を行うことが必要となっています」と部長が答えていらっしゃいますが、今の答弁と矛盾しませんか。
【教育部長】生涯学習でパソコン教室を開催しています。
【山下】パソコン教室の開催は別の話。今、問うているのは、パソコンに触れたことがない人も、図書館でパソコンでの情報収集ができるような場所と手助けを行う必要性です。
インターネットの普及により、パソコンを使った情報収集ができるかできないかで、大きな情報格差が生まれてきています。利用方法については、不適切にならない方法を検討すればすむはず。図書館内でボランティアによるネットでの情報検索支援を行うなど、方法はあると思います。
日進市図書館では、20台の情報検索用のパソコンを設置し、利用券の発行により利用できるようにしています。
ネット社会が進んだ今、パソコンに不慣れな住民に対して、パソコンでの情報収集を行うことは図書館に課せられた役割ではないでしょうか。また、小中学校でも、パソコンを使った調べものの宿題が出されています。家にパソコンがなくても、町の図書館に行けば調べられる体制が必要です。
ぜひ前向きに考えていただくようにお願いして、次の質問に移ります。


②図書館の運営に安易な民営化導入は危険では
【山下】図書館協議会に運営に指定管理を導入し、東郷町施設サービスにまかせる旨の提案がされていますが、協議の経緯と結果について説明してください。
【教育部長】平成21年11月21日に開催した図書館協議会において、図書館の指定管理制度の導入について議論いただきました。
事務局から、現在、町民会館を指定管理している東郷町施設サービス(株)を指定管理者として、本町でも図書館の指定管理制度を導入したいと提案し、意見をいただきました。
委員の意見としては、「指定管理とはどういう制度かわからない」という声が多く、「デメリットの可能性もあり危惧する」「経営はノウハウを持っているところでないといけない」「本を読むということに関しての大きな要素を管理中心の業者で運営できるのか」などの意見がありました。
協議の結果、今後も指定管理制度について研究していくということで、協議会は終了しました。

【山下】図書館協議会の会議録を見ましたが、疑問や否定的な意見がめだち、指定管理導入に対する理解は得られていないように見受けられました。指定管理を導入するデメリットをどう考えますか。
【教育部長】特に問題ないと思いますが、指定管理は有期限のため、短期間で管理者が代わり、業務の継続性や蓄積が継承できない可能性があります。

【山下】図書館は無料が原則です。指定管理制度を導入した場合のメリットとして、コスト削減を挙げていらっしゃいますが、儲ける部分がない以上、コスト削減は人件費削減につながるのではないですか。
【教育部長】経験の少ない町職員が図書館長や常勤職員を務めるよりも、民間で専門性をもった人員の配置で人件費が削減できると見込んでいます。

【山下】町職員が図書館館長や正規職員をつとめ、しかも2〜3年で代わるのは、専門性の蓄積という意味で問題が多いと思います。ですが、指定管理制度でも有期限ですから短期間で指定管理者が変わるため、継続性には疑問があります。
専門性の継続を担保するために、民間から図書館長を公募して継続性や専門性を保つことは考えられませんか。
【教育部長】図書館長の一般募集では、経費削減になるか疑問です。

【山下】最初に申し上げたように、図書館は人生に悩み、苦しみ、死にたいほどのつらさを感じている人に対して、解決のかぎを差し出す場所。「人が生き延びていくための場所」なのです。
命を守る図書館に、わたしはコスト削減は求めておりません。
指定管理制度を導入するかどうか、検討はいつまでとお考えですか。
【教育部長】図書館協議会や教育委員会で、指定管理制度導入の可能性を検討しているところです。そこでのゴーサインが出ない段階では、先に進めないと考えています。

【山下】経費削減だけを目的にした拙速な指定管理には反対します。
東郷町図書館をどんな図書館とするのか、理念を明確にし、きちんとした方向性や目標を決めることが必要です。それを実現するための最善の方法を考える中で、検討していくべきだと考えます。

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指定管理制度導入について、2回目の図書館協議会が、3/27の午後1時半から、町民会館2階の第3会議室で行われます。
わたしは傍聴に行く予定ですが、興味のある方は、ぜひお越しください。

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2010年3月議会一般質問報告②〜予算編成過程の情報公開を

引き続き、3月議会の一般質問報告です。
今回は、予算編成過程の情報公開について。

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2.予算編成過程の公開をすすめ、住民参加の施策を
不況で住民生活が苦しい今、税収が減少し役場の予算が限られ、何をやめて何をするかが厳しく問われる時代となってきました。
住民に説明責任を果たし住民の意見を施策決定に生かすため、予算編成過程の公開を行う自治体が増えてきています。
予算編成過程を公開する姿勢について問います。

① 情報公開請求について
平成22年度の当初予算について、議会に議案として上程される予算書の審議に対する資料として、わたしは1月7日と、2月8日の2回、予算編成過程の資料を情報公開請求しました。
しかし、1回目は「まだ不確定で決まっていないから」という理由で全部不開示となり、議員に予算書が配布された後なら公開できると聞いて請求した2回目においても、「議会の議決前に公にすると、意思決定の中立性が損なわれるおそれがあり、確定したものと町民に誤解され混乱を生じさせるおそれがあるから」という理由で全部不開示とされました。

【山下】東郷町情報公開条例第7条第5号「町の機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に町民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」に相当するというのが、不開示の理由ですが、議会の議案として予算書が印刷・配布された時点で、町の機関、つまり行政での意思決定は終わっていると思われます。なぜ、第5号に該当すると判断されるのでしょうか。
【総務部長】議決後に開示するのが適当であると判断した。

【山下】予算編成過程の資料を情報公開請求したのは、東郷町だけではありません。他の市町でも同時に開示請求していますが、ほかでは開示されています。開示された市町の判断は、適当ではないとお考えですか。
【総務部長】開示された市町の情報も聞いている。それぞれ開示すると決めた経過があるので一概にはいえない。

【山下】情報公開条例で定められている「町民の知る権利を尊重」するという一文や、第1条の「町が町政運営の内容を町民に説明する責務を全うするようにし、もって町政に対する町民の理解と信頼を深め、町民主体の町政を実現する」という目的に反した、不開示決定ではないか。
【総務部長】目的にそっていると判断している。

【山下】予算が議決される前に、住民に予讃編成の情報が提供されなければ、住民の意向を取り入れた予算にはならない。情報公開請求における開示できる時期はいつだと考えているか。
【総務部長】議決後と考えている。

② ホームページでの公開について
予算編成過程をホームページで公開している自治体は、わたしが確認しているだけで、
出雲市、草津市、松江市、藤沢市、札幌市、大阪市、生駒市、堺市、高松市、米子市、京丹後市、北九州市(11 月より)、久喜市(来年度)、恵庭市、さいたま市(市長査定を記者公開)、成田市、みなべ町、三次市、厚木市、川本町、国立市、我孫子市、久喜市(来年度)、堺港市、えびの市、千葉市、松江市、長岡京市、熊本市(補正も)東近江市、加西市、多治見市、新城市、米原市、長浜市、福岡市、松本市  
など、37あります。

特に、札幌市と北九州市では、予算要求段階での資料公開をした上で、1ヶ月間、住民からの意見募集をしています。そして、出てきた意見に対して、「市の考え方」と予算に反映されたかどうかも公表しています。
堺市では、重点事業ごとに1ページを使って詳しい説明資料を公開しています。

【山下】こうした先進地の事例について、どう評価しますか。
【総務部長】ホームページなどで確認して、先進地の状況は認識している。今後は東郷町でも、各課の要求から査定までの予算編成過程の公開について検討していく。

【山下】情報の透明化は、川瀬町長が重点的に取り組んでいることであり、住民に町の収入や予算について公開し説明していくことは、町長のマニフェスト実現にも合致すると考えます。予讃編成過程について、ただいま前向きの答弁をいただきましたが、来年度からは東郷町でもホームページで予算編成過程を公開していくと受け取っていいですか。
【総務部長】スケジュール的に厳しいこともあり、どういう形で公開していけるか研究し、考えていきたい。研究はしっかりやらせていただくが、現時点では、1年後にとはお約束できない。

【山下】予算編成過程で住民の意見募集を行う意向は。
【総務部長】意見募集は、役場の事務量が非常に多く、困難。必要性は理解するが、限られたスケジュールでただちに行うことは難しい。今後の課題とさせてもらいたい。

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これからの地方自治は、住民への情報公開と住民の参加が鍵となると思っています。
まずは、情報公開をすすめたいと考え、今回は1月から予算編成過程の情報公開(公開されれば、だれが請求しても予算編成過程の資料が見られます)に取り組みました。
情報公開請求の結果は、「すべて不開示」という残念な結果となり、その理由と正当性を議会で質しましたが、「不開示」と決定した事実がある以上、議場でその解釈をひっくり返すことはできませんでした。

ですが、予算編成過程の公開については、「東郷町でもホームページで公開していく方向で取り組む」という主旨の答弁をもらえたので、一歩前進と考えています。
これからは、どんな形で予算編成過程を住民に公開し、予算編成に住民の意見を取り入れていくのかを注視していきたいと思います。


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2010年3月議会一般質問報告①〜子宮頸がんをふせげ

明日は、3月議会の最終日。
すべての議案について、委員会報告・質疑、討論、採決が行われます。

さて、遅くなりましたが。
3月議会で行った、わたしの一般質問について報告します。
①子宮頸がん ②予算編成過程の情報公開 ③図書館の役割 ④在宅介護支援
の4項目について質問したのですが、長くなるので、4回に分けて報告します。
まずは、「子宮頸がん」についてです。

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1. 予防できるがん「子宮頸がん」はワクチン接種と検診の両輪でがん発症をふせげ
子宮頸がんは20〜30代の女性がかかるがんの第1位であり、年間3千人以上が亡くなっています。この悲劇を防ぎ、救える命を助けるための施策が必要です。

①子宮頸がんを予防できるワクチン接種について
子宮頸がんは、唯一、予防できるがんであることをご存じでしょうか。
昨年末に、子宮頸がんを予防できるワクチン接種が認可され、一部の医療機関ではすでにワクチン接種が始まっています。
昨年、厚生労働省が承認した子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウィルス)のうち、2種類のウイルスを防ぐもので、発症した20〜30代の女性の70〜80%から見つかっていることから、予防ワクチンを接種すれば、70%の発症を防ぐことができるといわれています。

【山下】東郷町内や近隣でワクチン接種できる医療機関は把握していますか。
【健康部長】予約すれば一週間ほどで接種可能な医療機関が2カ所。相談の上、接種という医療機関が3カ所。

【山下】東郷診療所で、子宮頸がんの予防ワクチン接種を実施する考えは。
【健康部長】今後、検討していきたい。

【山下】役場からワクチン接種で子宮頸がんが予防できることや、接種できる医療機関を周知する考えは。
【健康部長】任意接種であり、特に子宮頸がんのみ取り出しての周知は考えていない。問い合わせがあれば、ワクチン接種できる医療機関は紹介する。

【山下】子どもたちの未来の安全を守り、命を救うために、全国各地の自治体で子宮頸がん予防ワクチンの公費助成が決定されています。3月2日現在で、16自治体が公費補助によるワクチン接種の実施を予定。近隣では名古屋市、岐阜県の大垣市が実施します。東郷町で公費助成を行う場合、東郷町で中1女子全員に行う場合、何人が対象となりますか。また実施する場合、予算はいくら必要ですか。
【健康部長】中学1年生で約200人が対象。ワクチン接種費用を1回1万5千円と想定して、3回接種が必要なので、全額助成で900万円ほど必要。

【山下】町では、長野県の松川町(まつかわまち、人口13,680人)、新潟県の湯沢町(8,372人)、北海道の福島町(5,331人)が公費助成を行います。小さな町だからできないわけではなく、子どもの未来の命を救うことを優先施策とするかどうかという問題では。予防医療をすすめ、病気にかからない施策に力を入れるのは、川瀬町長の方針でもあります。東郷町でも子宮頸がん予防ワクチン接種への公的助成を検討できませんか。
【健康部長】国が調査を行っているところなので、今後の動向を見て、慎重に検討したい。
【町長】予防できる唯一のがんということで、今後の課題と考えている。しっかり検討していきたい。

②検診の受診率向上に向けて
【山下】昨年実施した無料クーポンによる子宮頸がん無料検診の結果によると、無料クーポンでは、受診率が約17%。自費検診は約8%ですから、無料クーポンによって検診率が2倍に上がっています。無料検診は効果が上がったと思いますが、当局としてはどう評価していますか。
【健康部長】一定の効果が上がったと考えている。

【山下】無料検診クーポンの配布について、今後の予定は。
【健康部長】昨年に引き続き、20歳から5歳きざみで無料クーポンを配布する予定。

【山下】検診率を上げるために、他にどのような施策を考えているか。
【健康部長】先の議会で山下議員が提案した「がん検診を受けた住民の体験記を検診のお知らせに同封する」という案は、さっそく実行した。今後も個別の通知をきちんと行い、勧奨案内の内容を充実させていきたい。

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唯一の予防できるがん、子宮頸がんについては、ワクチン接種による予防と検診による早期発見・早期治療で、多くの命が助かると思い、今回、一般質問に真っ先に取り上げました。
役場の担当者は、ワクチン接種よりも、まず検診の受診率を上げることに力を入れたいという回答でした。
そのために、子宮頸がん検診の無料クーポン配布は、国の全額助成が半額になった今年も引き続き行うことを表明しました。

検診の受診率向上のかぎは、個別の検診呼びかけ。
費用や人手の関係もありますが、できるだけきめ細かく、対象となる住民に個別に呼びかけ、1人でも多くの方にがん検診を受けてほしいと思います。

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老い支度講座「自宅で最後まで暮らすには?」 のお知らせ

老い支度講座「自宅で最後まで暮らすには?」のお知らせ
老い支度を考える人の介護情報誌「ぬくぬく」。
11号ができました。

今回の特集は
○がんになっても人生をあきらめない
 自分で納得できる治療選びをお手伝い
  〜名古屋市がん相談支援サロン ピアネット

○病院で死にたくないあなたに
 在宅看取りを行う「小笠原内科」の取り組み

○伴侶とともに歩む人生
 絆を求めて〜中高年の婚活

読んでみたい方には、見本誌をお送りしています。
お申し込みは、右上の「メール送信」から、送付先の住所・氏名・連絡先をお送り下さい。

「ぬくぬく」では、3ヶ月に1度、老い支度講座を行っています。
今回は、「自宅で最後まで暮らすには?」をテーマに、新しくできた介護サービスである小規模多機能居宅介護を利用した在宅介護について考えます。
講師に、名古屋市天白区で、実際に小規模多機能型居宅介護ひらばりで管理者をしている、竹内さんをお招きして、自宅での暮らしを支える実践例を報告します。
だれでも参加できますので、お気軽にお越しください。

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老い支度講座
 自宅で最後まで暮らすには?
 小規模多機能型居宅介護という選択

在宅介護を支えるためにできた「小規模多機能型居宅介護」。
通い、泊まり、訪問という3つの介護サービスを総合的に提供することで、自宅での暮らしを支えている実践例を報告していただきます。
最後まで家で暮らしたいという願いをどう支えたらいいかを、一緒に考えませんか。

○講師/竹内三保子さん(小規模多機能型居宅介護ひらばり管理者)
○日時/4月24日(土) 午後1時半〜3時半
○場所/名古屋市女性会館 大会議室
    (地下鉄「東別院」から徒歩5分)
○参加費/500円

※参加申し込みは、右上の「メール送信」から、氏名・住所・電話番号を明記してお送りください。
※当日の飛び込み参加も歓迎です。

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安曇野にて

安曇野にて
安曇野にて
上の写真は、幸福を呼ぶ花「福寿草」。
下の写真は、白鳥の飛来地「御宝田遊水池」で撮したものです。

昨日、総務常任委員会が終了しました。
議会は、来週23日に行われる最終日で終了となるのですが、平成22年度予算案を含む議案審議も一段落したところで、今日は長野県の安曇野まで行ってきました。

安曇野への日帰り旅は、東郷町の有志「フラワーサークル」によるもので、わたしは今回はじめて参加させてもらいました。
月に一度、日進駅に集合してバスで出かけ、行き先でウォーキングを楽しむというもの。
今回は、安曇野にある福寿草の群生地(赤怒田福寿草群生地)と、白鳥の飛来地「御宝田遊水池」を訪ねる旅でした。(ウォーキングは松本市四賀化石館を起点に、福寿草の群生地まで歩きました)

日中はすっかり暖かくなってきた名古屋周辺の気候とは違い、安曇野は空気がひんやりしています。
ウォーキングの前に、せっかくだからと松本市四賀化石館に入ったのですが、太古のクジラの化石(日本で唯一ここにしかないそうです)が展示の目玉。
むかしむかし、クジラには上あご・下あご両方にしっかりした歯があったようで、そのことから、アザラシや海鳥などを食べる肉食だったのではと推測されているのだとか。
今のクジラには、上あごに歯はありません。
大きなマッコウクジラなどは、上下どちらも歯はなく、口を大きくあけて海水ごと丸呑みして餌をお腹に入れているそうですから、クジラも進化とともに捕食形態が変わったのかもしれません。
クジラのほかにも珍しい化石が展示してあり、小さな化石館でしたが、けっこう楽しめました。

メインの福寿草群生地ですが、盛りには斜面が黄色くそまるほど多くの花が咲くようですが、今日見た限りでは、ぼちぼちというところ。
地元のおじさんの話では、せっかく満開になった時に、大雪が降って積雪してしまい、咲いた福寿草が押しつぶされてしまったのだとか。
きれいに咲いたところを見てもらえなくて、残念だということでした。

福寿草は雪の中でけなげに咲いているイメージがあったのですが、斜面に群生している様子は、けなげというより、たくましい感じ。
しげしげと福寿草の花を見たのは初めてですが、大きめの黄色い花で、写真のとおり、なかなか美しい花でした。
群生しているようすは、以下のホームページでご覧下さい。
赤怒田のフクジュソウ群生地 http://takara.city.matsumoto.nagano.jp/city/201.html

最後に御宝田遊水池に、白鳥を見に行ったのですが。
ここが一番楽しかった!
白鳥だけでなく、さまざまな種類の鴨たちが、たくさん泳いでいて。
人を恐がりもしないで(餌付けをしているので、人間を見ると寄ってくるのです)、すぐ足下まで寄ってきてくれるので、すごくアップで写真を撮りまくり・・・。
餌をまくと、池の底に沈んだ餌をとろうとして、頭を下に、おしりを水面からつきだした形で、一生懸命ばたばたしている様子が、なんともユーモラスで可愛らしかったです。
(白鳥は悠然としていて、餌をまかれてもあわてず、ゆったり。水面に浮かんでいました)
動物好き、写真好きの方には、絶好のポイントだと思います。
ちなみに、餌付けは夕方の4時。
昼間は白鳥はどこかに飛んでいってしまい、池にはいないそうです。

※御宝田遊水池の様子は、以下のホームページでも見られます
   ↓
安曇野市〜観光情報 白鳥写真館
 http://www.city.azumino.nagano.jp/kanko/hakuchou/hakucho_photo/index.html

楽しみながら歩いて、安曇野のきれいな空気もたくさん吸って、議会で疲れた頭もすっきりしました。
議会最終日まで、もう一踏ん張り、がんばります。

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いま生きている喜びを支える

在宅で暮らすことの果てにある、在宅で死ぬということ。
「家で死にたい」と願う人たちを支えるプロに、訪問診療をする医師や訪問看護師がいます。

今晩、NHKで放送された「プロフェッショナル仕事の流儀」は、終末期の患者が自宅で暮らすことを支え続ける訪問看護師、秋山正子さんを特集していました。

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プロフェッショナル仕事の流儀 3月16日放送
http://www.nhk.or.jp/professional/

どんなときでも、命は輝く
 〜訪問看護師 秋山正子

終末期のがんや神経難病、老衰。重い病などを抱えながらも、退院して自宅で暮らしたいという人々を支える、訪問看護師のパイオニア的存在、秋山正子(59)。
20年近く新宿区市ヶ谷の周辺で、150名もの在宅療養の人々を回り続けている。
人々を希望で照らすその姿から、「市ヶ谷のマザー・テレサ」と呼ばれる。

秋山の仕事は、病院に出向いての退院調整から、個別の事情に合わせた療養支援、そして人生の最期を家で迎えようという人々のみとりや、家族の心のケアと幅広い。
家での療養では、医師や看護師が24時間常駐している病院とは違い、容態の急変への対応や家族の介護疲れなど、さまざまな困難が伴う。
秋山は、あらゆる手立てを駆使して、利用者を支える。
家を訪ねた時に相手とする何気ない会話ひとつひとつにも、訪問看護師としてのプロの技が光る。

秋山が最も大切にするのは、自宅で療養する人々が、今、生きている喜びを味わえること。
人は、どんな困難の中にあっても、今この瞬間を輝き、喜ぶことができると秋山は信じる。
番組では、さまざまな人々の人生と向きあう、秋山の日々に密着する。
進行した胃がんを抱えながら、残された日々を家で暮らしたいと願う一人暮らしの男性。老衰の父親と、それを支える娘。都会の片隅で繰り広げられる、きずなのドラマを描いていく。

-------------------(引用ここまでです)----------------------

秋山さんが、訪問看護師になったきっかけは、がんを患った姉を家で看取ったことだといいます。

秋山さんが39歳の時、2つ上の姉が、がんに・・・。
料理が好きで、家族のために家事をすることを誇りに感じていた姉に
なんとか輝いて生きて欲しい。
できる限り家で過ごさせてあげたい。
そのために、ベッドは台所から見渡せる場所に置き
学校から帰った子どもたちは、ベッドの回りで宿題を広げ、遊ぶ。
それを見つめる姉の表情はとても穏やかで、
4ヶ月後、「家にいられてよかった」と言って亡くなります。

この経験から、秋山さんは
家で暮らすことには底知れぬ力がある。
それを支えたいと思うようになりました。
そして、
家での看護の技術を学び、姉を看取った経験から、積極的に終末期のがん患者を受け持つようになります。

たくさんの命を見つめ続けて、秋山さんが気づいたことは、
どんな厳しい状況にあっても、人生の喜びはそこかしこにある。
ということ。
自分の仕事はその喜びを感じられるよう、支えること。
その思いで、訪問看護師として日々仕事を続けていると、番組の中で話していました。

先日、在宅でがんの看取りを行う小笠原内科に、取材に行きましたが
その折りにも、
最後がせまった人にとって、どんなに家での暮らしが大切かをかいま見ました。

自分の見慣れたものに囲まれて、使い慣れたベッドで横になる。
家族が台所で調理をする気配。
だしをとる、かつおぶしの香り。
味噌汁を一口飲んで「ああ、うちの味噌汁だな」と思わず笑みがこぼれる。
そんな、あたりまえにある日常のありふれた出来事が
「いま生きている喜び」として、輝きを放つ。
病院や施設では味わえない、幸せが家での暮らしにはあるのだと、しみじみ感じました。

その人の日常の生活を大事にする。
いま生きている喜びを支える、在宅医療や在宅看護をもっともっと充実させたい。
そう思わされる番組でした。

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介護施設の火事でお年寄りが犠牲に〜グループホームの火災で7人死亡

認知症のお年寄りが暮らす「グループホーム」で、夜中の午前2時すぎに出火。
入居していたお年寄り7人が、不幸にも命を落としました。

以下、新聞による報道です。
---------------------(ここから引用です)-------------------

当直1人、火の手になすすべなし…7人死亡火災
札幌市北区のグループホーム「みらいとんでん」で13日未明に起きた火災では、認知症の入居者7人が犠牲となった。

当直の職員はわずか1人だったうえ、スプリンクラーの設置義務もなく、広がる火の手に、なすすべもなかった。
施設でお互いを支え合いながら暮らしてきたお年寄りの突然の悲劇に、関係者らは言葉を失った。

スプリンクラー設置の義務なし 
火災を通報したのは、職員の辻麻衣子さん(24)。
約250メートル離れた交番に駆け込み、警官が不在だったため、中の電話を使って札幌北署に火事を知らせた。
同署の関係者によると、「火事です!火事です!」と、かなり取り乱した様子で話しており、警察が住所を聞いても、なかなか答えられなかったという。
辻さんは、警察と同時に、自分の携帯電話で消防にも通報していた。

札幌市などによると、「みらいとんでん」は、1988年9月に一般住宅として建てられ、2005年12月にグループホームになった。
入居者は全員が認知症患者だった。

消防法の改正で、自動火災報知器とボタン一つで119番できる装置を設置することが義務づけられているが、2012年3月末まで法的な猶予期間があるため、現在は設置されていない。
居間に自動給油式のストーブがある1階には、住宅用の火災警報器が設置されていた。

日中は3、4人の介護ヘルパーが食事の介助などをし、夜間は職員1人が当直として、泊まり込みで勤務にあたる体制を取っている。
厚生労働省の基準では、入居者が9人までの施設は、夜間の当直職員は1人でいいことになっている。

近所の住民は「施設ができた頃、夜中に徘徊(はいかい)している入居者を、20歳ぐらいの女性職員が1人で捜し回っていたのを見た。管理が大変だったのではないか」と話す。
現場の関係者も「入居者は歩行でさえ介助が必要な人が大半。
1人で全員を避難させるのは難しいと思う」と話した。
管理栄養士として施設で仕事をしていた佐々木志津子さん(73)は、ニュースを聞き、現場に駆けつけた。
「信じられない……。みんな食事をいつも完食してくれた。
『おいしいよ』と笑ってくれたみなさんの顔を思い出すだけでつらい」と顔をこわばらせた。

(2010年3月13日11時41分 読売新聞)
---------------------(引用ここまでです)--------------------

認知症のお年寄りが暮らすグループホームでの火災は、2006年1月にも、長崎県大村市の「やすらぎの里さくら館」で7人が死亡する火災が発生しています。
また、高齢者施設での火災は、昨年の3月19日におきた静養ホーム「たまゆら」でも10人が亡くなっています。

消防法施行令などの改正で、昨年4月から、275㎡以上の老人施設で、スプリンクラーの設置が義務付けられました。しかし、今回のような9人までの小規模施設には、スプリンクラーの設置義務はなく、民家を改造したグループホームの中には木造建築のものもあり、火が出て燃え広がるまで、あっという間だった可能性があります。

こんな悲劇を繰り返さないために、実効性のある防止策を考えていかなければと思います。

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うとうと

うとうと
いいお天気の冬の日。
窓越しに、日向ぼっこしながら
うとうと、眠そうな へしにゃん です。

昨日は一般質問が7人登壇し、議会が終わったのが、夜7時半ちかく。
今日は、午前中に一般質問が3人。
午後から、議案質疑に9人が登壇(わたしは4番目に予算案について質疑しました)。
議会が終了したのが、またまた夜7時過ぎになり・・・。
なんだか、どっと疲れました。

家にたどりついて、もはや食事の支度をする気力もゼロ。
近くの中華料理店で、夕食を食べて帰ってきたところなのですが・・・

写真のへしにゃん のごとく
ねむくて、ねむくて、もう限界。。。

くわしい議会報告は、明日書きますので、お許しください。

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「たまゆら」火災から1年〜東京都は低所得でも入れる支援付き住宅を整備する方針

今日から、議会が3日間続きます。
一般質問、初日。午前9時から1番で、わたしは4項目について一般質問を行いました。

わたしの一般質問についての報告は、後日ゆっくりしますが
今日の議会で一番のニュースは、川瀬町長が2期目も続投の意向を示したこと。
菱川議員の質問に答え、「まだ取りかかった課題が残っており、来期も立候補する」と明確に出馬表明を行いました。

で、やっと今日のブログ。
火災で10人の高齢者が亡くなった、群馬県の「たまゆら」事件から、1年がたちました。
中日新聞の生活面では、大きくその後の取り組みについて取り上げています。

-----------------------(ここから引用です)----------------------

「たまゆら」火災から1年
低所得者の救済なるか

入居者10人が死亡した群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災から1年。
火災は、都市から追われる高齢者の実態を浮き彫りにした。
低所得高齢者の受け皿に「都市型軽費老人ホーム(ケアハウス)」制度が新年度から動きだす。
解決策となるのか。

小規模も設置可能 
新制度 都市型ケアハウス

「ここでの生活も落ち着いた。あんな怖いことは1回でいい」。
「たまゆら」で被災した男性(80)は、やっと安住の地を見つけた。
以前住んでいた東京都墨田区に帰り、NPO法人「ふるさとの会」が運営する支援付き住宅「ふるさと晃荘」で暮らす。
生活保護費の範囲で住め、生活は職員が支援。
訪問介護などを利用する。

たまゆらの入居者には、墨田区などから生活保護を受けていた人も含まれた。
特別養護老人ホームに空きがなく、費用が高い有料老人ホームにも入居できず、入居した認知症高齢者もいた。

実態を受け、国は老人福祉施設の1つ、「軽費老人ホーム」の設置が都市部でも進むよう設置基準を緩和した「都市型」を創設した。
同ホームは低料金で低所得者でも入居できる施設。
「身体機能低下などで自立生活に不安があり、家族の援助が困難な人」が対象となる。
都市型は、設備・運営基準で定める定員や居室面積などを緩和。
地価が高い都市部でも整備しやすくした。
都市型が該当するのは、首都圏の中心地域、大阪市とその周辺、名古屋市中心部。
新基準施行は来月からだ。

国は、併せて施設の新設・改修に、定員1人あたり150万円を上乗せ。
新年度から3年間で無届け施設や無料定額宿泊所の入居者2400人分を整備する。

認知症などの敬遠 危惧

先月下旬、都が開いた事業者向け説明会には、社会福祉法人、民間事業者ら400人以上が参加。
こうした動きを、「ふるさとの会」の滝脇憲理事は歓迎しつつも、「そんなに新設できる土地が都市にあるだろうか」と懐疑的だ。
「アパートなども活用し、生活支援のサポートセンターと組み合わせることで、地域自体を支援付き住宅にする仕組みも必要」と、実情に合わせた支援のネットワーク化を提言する。

軽費老人ホームは原則、要介護度が軽度の人が対象。
認知症など要介護度の重い人は敬遠される可能性もあり、滝脇さんは「本当に困っている人が取り残される恐れがある」とも懸念する。

一方、「在宅で暮らせる支援が十分ではないのに、施設が足りないという議論は納得できない」と話すのは、「いけだ後見支援ネット」の池田恵里子代表だ。
認知症高齢者の在宅生活を成年後見人として支える経験から、福祉サービスと後見制度の連携強化で在宅生活を支える環境づくりを切望。
「在宅で住み続けたい意思を支える制度をきちんと考えるべき時期だ」と訴える。

【都市型軽費老人ホーム】
老人福祉法に基づく老人福祉施設で、自治体や社会福祉法人、民間事業者が設置。無料や低料金で入居でき、食事や入浴などのサービスを受けられる。都市型は大都市限定で設備・運営基準を緩和。定員は20人以下(現行20人以上)、居室床面積は4畳半程度の7.43㎡以上(同21.6㎡以上)、現行で必置の談話室は不要など小規模でも設置できる。

(中日新聞/2010年3月9日火曜日・朝刊)
-------------------------(引用ここまでです)----------------------

記事の最後でコメントしていた、池田さんの「在宅で住み続けたい意思を支える制度を」という訴えが、一番胸に落ちました。
在宅で暮らしたくても暮らせない。
そうした人たちをどう支援したら住み続けることができるのかを考え、在宅を支えるシステムを作らなければと思います。

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東郷町で子宮頸がんの予防ワクチン接種ができる病院

明日の一般質問で、子宮頸がんの予防ワクチンについて取り上げます。

で、準備のために、町内で子宮頸がんの予防ワクチンを接種できる病院を聞き取り調査しました。
せっかくの情報なので
一足先にブログで、医療施設の予防ワクチン接種の状況について報告します。

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☆子宮頸がんワクチン接種を実施している医療機関
 (愛知県・東郷町内 平成21年2月末現在)

○あいちクリニック/接種料金(15,000円/回) 実施中、予約が必要
○和合セントラルクリニック/接種料金(15,000円/回) 予約すれば実施可能

○バク諸輪診療所/現在未実施、希望があれば面接し、その後実施可能
○たなか内科/希望があれば実施可能
○やまクリニック/現在未実施、希望があれば実施可能

○裕福寺内科/現在未実施、希望が多ければ実施は可能だが未定

※上記以外で聞き取りをした町内の4つの病院は、「現在未実施、今後の予定なし」でした

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東郷町内以外の近隣病院は、藤田保健衛生大学病院が「現在未実施、今後については検討中」とのこと。
昨年の12月に子宮頸がんの予防ワクチン接種が認可されたばかりですが、わりに積極的に実施しようという医療機関が多いように感じました。

民主党のマニフェストである「子ども手当」も、支給されると思います。
ぜひ、子どもたちの未来の安全のために、予防ワクチン接種も一度検討してみてください。

明日は、予防ワクチンの公的支援の必要性について、議場で訴えます。

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子宮頸がんを予防ワクチンと検診で防ごう

火曜日に行う一般質問で、「子宮頸がん予防」について取り上げるために準備しています。

子宮頸がんは、女性特有のがんとしては乳がんに次いで発症率が高いがんです。
国内では、毎年1万人以上が新たに患者となり、3500人の女性が命を落としているといわれています。

ですが、子宮頸がんは、「予防できる」がん。
原因は、ほぼ100%がウィルス感染によるものなので、ワクチンを接種すれば高い確率で予防できるのです。
日本では、昨年12月に、子宮頸がんの予防ワクチンが認可され、利用できるようになりました。
今回認可された予防ワクチンは、頸がんの原因の大半を占める2種類の感染を長い期間防げるものとされています。
日本産科婦人科学会は、10代前半を中心に45歳までの女性に接種を勧めています。

問題は、費用の高さ。
計3回接種しなければなりませんが、合計4万〜5万円の費用がかかります。

子宮頸がんの予防ワクチンは、海外では、すでに100か国以上で使用され、ほとんどの先進国では多くの女性が接種できるよう公費で助成されています。
ですが、日本では一部の自治体が公費助成を決めていますが、まだ少数。
あさっての一般質問では、東郷町でも子宮頸がん予防にワクチンの公費助成を求めていく予定です。

※子宮頸がん予防ワクチン公費負担の自治体は、以下を参照。
           ↓
http://hpv.umin.jp/img/fig2.jpg

公費助成を決めた自治体では、小学校6年生〜中学生を対象にしています。
子宮頸がんは、20代、30代という若い世代で増えており、がんの進行も早く、若くして命をおとす女性も珍しくありません。
それだけに、予防ワクチンを接種することで、子宮頸がんのリスクを確実に減らすことができるのであれば、公的負担で、子どもたちの未来の安心を確保すべきと考えています。

ただ、ワクチンはリスクを減らすもののゼロにはできないので、子宮頸がんの予防には、定期的な検診をすることも欠かせません。
検診の受診率を上げるために、昨年、女性特有のがん(乳がん、子宮頸がん)に、無料の検診クーポンが配布されましたが、東郷町でも無料クーポン配布で、検診率が向上しています。
このことから、22年度予算でも、女性特有のがん(乳がん、子宮頸がん)に対する無料の検診クーポンは継続できるよう予算が組まれています。
(21年度は国が全額負担しましたが、22年度は国の負担が2分の1に減ったため、東郷町独自で2分の1の費用を負担して行う予定です)

一般質問では、検診率を上げるためにどうすべきかを質したいと考えています。

救える命を助けるための施策を実現するために、一歩ずつでも前進していきたいと思います。
お時間がありましたら、あさって(3/9)の午前9時から一般質問を行いますので、ぜひ傍聴におこしください。

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巣立ち

自宅から他県の大学に通学していた娘が、ついに大学近くに下宿することになりました。
(片道2時間半〜3時間かかっていたのです)

で、昨日は1日、娘の下宿先のアパートへの引っ越し作業。
1人暮らしを始めるために、冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ(調理台)、洗濯機という家電一式を購入したり、カーテンや調理道具を買ったりと、ばたばた慌ただしく時間が過ぎていき・・・。
「あとは自分で整理して、細々したものは自分で買いなさい」
といいおいて、娘の下宿先を後にして帰ってきました。

そして。
今日の夕食。

久しぶりに、夫とふたりで食卓を囲みながら
「こんなふうに、子どもたちはいなくなって、また2人の暮らしに戻るんだね」
としみじみ話しました。

まだ家には大学3年生の息子が巣くっていますが、あと1年もして順調に就職できれば、こちらも巣立っていくのでしょう。

2歳違いで2人の子育ては、怒濤のように過ぎていき、
その渦中では
「早く子育て終わらないかな」
などと、何度も思ったものでしたが・・・。

過ぎてみれば
本当に、あっという間。

子どもの巣立ちはめでたいけれど、ちょっぴり淋しい気もしますね。

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住宅型有料老人ホームの調査報告会は5/29に行います

市民ボランティアで取り組んでいる、住宅型有料老人ホームのアンケート&訪問調査。
2月末までで、ほぼすべての施設を手分けして回り終え、今日の定例会では集めた資料の整理と状況報告を行いました。

愛知県内に、昨年8月時点でオープンしていた住宅型有料老人ホーム68施設。このすべてにアンケートのお願いを送り、アンケートが帰ってきたのが、今日の時点で29施設。
42.6%の回収率です。

アンケートが戻ってこなかった施設にも、手分けして訪問した結果、68施設のうち、3施設が閉鎖していたこともわかりました。

これから集まったアンケート回答をホームページに載せるためのデータ入力などの作業がまっています。
また、集めた情報はエクセルに入力して、全体の傾向や分析を行う予定。
まとめた調査結果については、5月29日(土)午後1時半から、名古屋市女性会館・視聴覚室で報告会を開きます。
くわしい内容が決まったら、このブログでもお知らせしますね。

「介護施設と地域を結ぶ市民の会」では、有料老人ホームの調査は前にも1度行っているのですが、全国的にこうした取り組みをしている市民ボランティアは珍しいのか、NHK放送局から取材の依頼がきました。
放送は東京とその周辺の県だけで行うそうなので、愛知県では見ることができないと思います。
「行政任せにしないで、市民自らが行動する」という視点からの取材になるとのこと。

安心して暮らせる終(つい)の棲家(すみか)をどう探すのかは、だれにとっても重大な関心事。
より良い情報提供ができるよう、考えたいと思います。

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障害者自立支援法早わかりガイド

別名、予算議会と呼ばれる3月議会が始まりました。
平成22年度の予算について、審議・採決する議会です。

東郷町議会では、議案(平成22年度予算書も議案の中に入っています)について議会で質疑するためには、事前に議案質疑通告書を提出することになっています。
明日が議案質疑通告書の提出期限のため、ここのところずっと、予算書と格闘中。

今回は、障害者自立支援法にかかわる予算について、質疑しようと準備している所なのですが、本を読んでもなかなかわかりにくいのが障害者自立支援法の中身。
初心者でもわかりやすい資料はないかと探していたところ、WAM NETで「障害者自立支援法早わかりガイド」を見つけました。
コンパクトに要点だけまとめてあるので、初心者向きだと思います。
興味のある方は、ぜひご覧下さい。
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 WAM NET「障害者自立支援法早わかりガイド」

民主党が政権をとって、障害者自立支援法は廃止される見込みですが、それに代わる新たな制度ができるまでは、障害者自立支援法によるサービスで障がい者の生活を支えなくてはなりません。
少しでもより良い支えとなるよう、しっかり問題提起をして議論していきたいと思っています。

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