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有料老人ホームが倒産したら?

市民ボランティアで行っている、愛知県内の住宅型有料老人ホーム調査。
わたしも、ここ数ヶ月、訪問調査に回っていますが、施設長に聞き取りをしていて、
「実は最近、経営者が変わったところなんです」
という施設が2カ所ありました。

経営者が変わったというのは
事実上、前の有料老人ホームは倒産したということ。
ある施設では、かなり生々しい話も聞きました。

その施設では、倒産のきっかけがなんと、介護報酬を不正請求していたことが明るみに出て、県から介護保険の事業者としての認可を取り消されたことだったのだとか。
しかも、ある日、急に介護スタッフが全員こなくなり、取り残された入居者は途方に暮れてしまったというのです。
今の施設長は、そのつぶれた有料老人ホームの借金の保証人になっていたことから、行政の職員から電話が入り、とるものもとりあえず、静岡県から駆けつけたのだとか。

来てみると、介護スタッフは1人もいない。
介護をするどころか、食事を用意する人もいない状況に、とにかく無我夢中で元気な入居者に頭を下げて協力を呼びかけ、手分けして食事をつくり、入居者のおむつをとり換えたのだと、聞きました。

それから1年ほどたって、今は介護スタッフも充実して黒字になったそうですが、有料老人ホームが倒産したら、ある日、突然、スタッフがいなくなるという現実が実際にあったのだと思うと、ぞっとしました。

有料老人ホームについて、読売新聞が独自調査をしているのですが、その結果、閉鎖や事業主体の交代がめずらしくないという有料老人ホームの現状があきらかになったそうです。
以下に記事を転載します。

------------------------(ここから引用です)----------------------

「終の棲み処」広がる不安…有料老人ホーム経営難

読売新聞社の調査で、閉鎖や事業主体の交代が珍しくないことが明らかになった有料老人ホーム。
「終(つい)の棲(す)み処(か)」として入居した高齢者が退去を迫られるなどの問題が生じている。

昨年来の経済不安により、経営に行き詰まるホームは今後も増えると見られ、入居者保護が大きな課題だ。

今年8月、山形県鶴岡市の有料老人ホーム「出羽の郷(さと)レインボー」が閉鎖された。
13人の入居者は退去を強いられ、20人いた従業員も解雇された。

山形市内の建設会社の関連会社が2002年に運営を始めたが、介護のノウハウが乏しく、同じ年の暮れに早くも休止。
埼玉県の介護機器会社の支援を受けて昨年4月に再開したものの、PR不足もあって定員30人の半分しか集まらず、今年5月以降は賃金支払いもストップした。
元従業員の20歳代の男性は、「入居者を放り出すわけにはいかず、給料なしでも精いっぱいのケアを続けた。いいかげんな経営で閉鎖に追い込まれ、残念」と悔しがる。

胃に穴を開け、栄養をチューブで送る「胃ろう」の手術を受けた認知症男性(79)は、今年1月に入居した。
特別養護老人ホームにも申し込んでいたが、待機者が多く、いつ入れるかわからず、老人保健施設には胃ろうを理由に断られた。
男性の長女(53)は、「私は仕事があるし、高齢の母に介護は無理。閉鎖を知った時は途方に暮れた」と振り返る。

男性を含む入居者の大半は、鶴岡市が、市内の特養に、待機者を飛び越えて緊急入所させた。
長女は、「介護が必要な高齢者にとって、有料老人ホームは最後の砦(とりで)。
そこで安心して住めなければ、何を頼りにすればいいのか」と憤る。

閉鎖は免れたものの、事業主体が何度も変わっているケースもある。
1990年にオープンした関東地方のあるホームは、経営が行き詰まり、数年前に医療法人が作った企業に引き継がれた。
07年には、別の不動産コンサルティングの子会社に買い取られ、現在は、投資ファンドが株主となった企業が運営にあたっている。

開設当初の入居金は3000万円。
週5日、隣接の診療所で外来診療が受けられたが、2社目に経営が移った際、週1回程度に減った。
建物の老朽化も進み、入居者は、事業主体が次々に変わることへの不安が強い。

ノウハウなく、甘い見通し

入居者の生活を一変させる経営悪化がなぜ多発しているのか。
長谷工総合研究所(東京)の吉村直子主任研究員は、「2000年に介護保険が始まって以降、建設業や不動産デベロッパーなど異業種からの参入が相次ぎ、特に04~06年に急増した。
競争激化が一つの要因」と指摘する。

元々、介護関係者が始めるケースが多かったが、介護報酬が入るからと、介護に関心のなかった事業者も参入した。
「その多くはノウハウがなく、経営の見通しも甘い。安易参入のツケが07年ごろから経営譲渡や破綻(はたん)の形で表れるようになった」と説明する。

近年は、ファンド会社がホームを投資の対象にするケースも増えている。
自己資金の乏しい事業者が、ファンドから資金を得てホームを開き、土地や建物の賃料をファンドに支払う。
経済不安で入居者が集まらず、高い賃料で経営が悪化している事例もある。

有料老人ホームの事業承継のアドバイザリー業務などを行う「リエゾン・パートナーズ」(東京)の秋元二郎代表は、「賃料の不払いは表面化しないので行政もわからない。
経営が悪化したところは、入居一時金を使い切っていることが多い。
今後、破綻が増加する可能性もある」と警鐘を鳴らす。

一時金の保全 強化必要

事業主体が交代する際、新しい事業主体は入居者と改めて契約を結ぶか、入居者の同意を得て当初の契約を引き継ぐ。
ただし、住み続けようと思えば、現実には、新しい事業主体が示す条件に従うしかない。
転居しようにも、入居時に多額の一時金を支払ったため、資金がない高齢者も少なくない。

行政のチェックも期待しにくい。
「レインボー」の場合、再開時に山形県が埼玉の会社の財務諸表を確認したが、問題は見つからなかった。
担当課は、「財務の専門家ではない。経営状況を読み取るのは困難」と話す。

倒産を想定して、500万円を上限に、入居者に返還するための一時金の保全が法律で義務づけられたが、対象となるのは、06年度以降開設のホームだけ。

入居相談などを行う「コミュニティネットワーク協会」(東京)の高橋英与副理事長は、「規制を強めるだけでは、経営が厳しくなる。行政は、優良事業者を認定する仕組みづくりを支援するとともに、入居一時金の保全策の強化なども検討すべきだ」と話している。

◇入居率、保有者の確認を
「安全」なホームを選ぶにはどうすればよいか

「経営の健全度を見る指標となるのが入居率。また、土地・建物は誰が保有しているのか、抵当権がついているのかなどもチェックしてほしい」と、元国民生活センター調査室長の木間(このま)昭子さんは指摘する。

これらの情報を得るのに、木間さんが勧めるのが、介護サービス情報公表制度(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)の活用だ。
都道府県ごとに、ホームの個別の情報がアップされている。
入居率は、運営年数にもよるが、100%近いところを選びたい。

併せて確認したいのが、入居期間や退去者数、退去者の行き先など。
経営が厳しいところはサービスの質が落ち、入居期間が短くなり、退去者も増える傾向がある。
「焦らずに、必ず体験入居後に決定を」と木間さんはアドバイスしている。

(2009年12月18日 読売新聞)
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