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2009年12月

「同居家族がいても必要な時は生活援助が可能」と厚労省が通知

介護保険の改正で、家族がいると訪問介護(ヘルパー)のサービスに制限がかかるようになっていた問題。
ヘルパーの利用制限は、市町村によって判断基準がまちまちで、ひどい場合は、家族が同じ町内にすんでいるだけで、生活援助(家事援助)の利用ができないとしていた自治体までありました。

こうした事態を改善するために、厚生労働省が今年の12月25日付で、同居家族などがいる場合の訪問介護サービスの取り扱いについて、都道府県の介護保険主管課長にあてて通知を送付。
昼間独居や老老介護など、家族がいても必要な場合は生活援助が受けられることが、はっきり通知されています。

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老振発1224第1号
平成21年12月25日

各都道府県介護保険主管課(室)長 殿

同居家族等がいる場合における
訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて

厚生労働省老健局振興課長

標記については、「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス及び介護予防訪問介護サービスの生活援助等の取扱いについて」(平成20年8月25日付老健局振興課事務連絡)等を通じて、適切なケアプランに基づき、個々の利用者の状況に応じて具体的に判断されるべきものであることを改めて周知するとともに、管内市町村、介護サービス事業者、関係団体、利用者等に幅広く情報提供していただくようお願いしているところです。

しかしながら、依然として同居家族等の有無のみにより、生活援助の提供が判断されているという指摘があることから、各都道府県におかれては、管内の市町村に対して、生活援助等において同居家族等がいることのみを判断基準として、一律機械的にサービスに対する保険給付の支給の可否について決定することがないよう、改めて周知徹底していただくようお願いいたします。

また、今般別紙のとおり、ご利用者向けに訪問介護サービスの内容をご案内するチラシを参考までに作成いたしましたので、市町村においてご活用されますよう周知願います。

なお、市町村における周知に係る経費については、介護保険制度の趣旨の徹底や良質な事業展開のために必要な情報の提供に係るものとして地域支援事業を活用することも可能ですので、あわせて管内市町村に周知いただくようお願いいたします。
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利用者向けチラシも配布できるよう、用意されていて、チラシにはどういう場合に生活援助が利用できるのかなどを説明しています。

このチラシでは、
○家族が高齢で筋力が低下していて、行うのが難しい家事がある場合
○家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまうおそれがある場合
○家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合
など、生活援助が利用できる具体例を挙げています。

「利用者に同居家族がいるということだけで一律に生活援助が利用できないわけではありません。ご家族の状況等を確認した上で、利用が可能な場合もありますので、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)にご相談ください」
とも、明記しています。

同居家族がいることで、生活援助をことわられたきた方は、ぜひ以下のホームページから、厚労省の通知と利用者向けのチラシを印刷して、市町村の窓口で相談してください。

同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003fwn-img/2r98520000003fy5.pdf

最後に、このことについて取り上げた記事を紹介しますね。

---------------------(ここから引用です)------------------------

訪問介護の生活援助、必要に応じ「日中独居」でも可能-厚労省が通知

厚生労働省は12月25日付で、同居家族などがいる場合の訪問介護サービスの取り扱いについて、都道府県の介護保険主管課長にあてて通知を行った。
いわゆる「老老介護」や「日中独居」であっても、必要に応じて生活援助が受けられることが再度確認された。

山井和則政務官は同日の記者会見で、「ここ2、3年で、同居家族がいるという理由でホームヘルプが来てもらえない、介護サービスが利用できないという苦情が非常に多い」と指摘。
厚労省は一律にそういった判断をしてはならないと昨年8月に事務連絡を行っているが、「各都道府県、各市町村で非常に大きなばらつきがある」と述べた。

通知では都道府県に対し、「生活支援等において同居家族等がいることのみを判断基準として、一律機械的にサービスに対する保険給付の支給の可否について決定することがないよう」管内の市町村に周知徹底するよう求めている。

また、厚労省は利用者向けに訪問介護サービスを紹介するチラシを作成した。
チラシでは生活援助を利用できるケースとして、「利用者が独り暮らしの場合」「利用者の家族等が障害や疾病等の理由により、家事が困難な場合」に加えて、「利用者の家族が障害や疾病でなくても、その他の事情により、家事が困難な場合」も挙げている。

「その他の事情」の例としては、「家族が高齢で筋力が低下し、行うことが難しい家事がある場合」といった「老老介護」なども対象となるほか、「家族が介護疲れで共倒れなどの深刻な問題が起きてしまうおそれがある場合」「家族が仕事で不在の時に、行わなくては日常生活に支障がある場合」といった「日中独居」も挙げている。

山井政務官は「一部の悪い例では、昼間は日中独居にもかかわらず、同居家族がいるためにホームヘルプを受けられない状況があった」とし、家族が仕事で不在のときに日常生活に支障が出る場合は、訪問介護を利用できると説明した。

(2009/12/25 16:13   キャリアブレイン)
-------------------------(引用ここまでです)--------------------------

在宅介護の充実は、まったなしの課題です。
市町村の担当者が在宅介護を応援する姿勢を持つことが、必要だと思います。

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死の尊厳より、まず生きるための支援を

終末期医療についての議論の中では、いつも「尊厳死」についての考えが出てきます。
でも………。
尊厳ある死を迎えるためには、尊厳ある生を送ることが問われるはず。

いま、この国で、病気などで重い障がいをおった場合、尊厳ある生は保障されているのでしょうか。
「尊厳ある」どころか、生きる支援すら得られない現実があるのではないでしょうか。

そんなことを考えさせられる新聞記事を、以下に転載します。

-----------------------(ここから引用です)---------------------
あの人に迫る
 橋本 操 (日本ALS協会副会長)

死の尊厳よりも まず生きること
人工呼吸器を着けた車いすで、霞ヶ関からデンマークまで…。
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)のイメージを打ち破る行動力で、日本ALS協会副会長の橋本操さん(56)は患者や家族を励まし、政治家や官僚と渡り合ってきた。
最重度の難病と言われるALSでも生きやすい社会を実現するために。

症状が現れたのはいつですか。
32歳のころ、最初、右手にまひを感じ腱鞘炎(けんしょうえん)と思った。
次第に肩や足が動かなくなり、発声や飲み込みが困難に。
7年後、呼吸器障害に至ったので、気管を切開し人工呼吸器を付けました。

会話はヘルパーに五十音を読み上げてもらい、拾いたい文字のところでまばたきして、文章を作ります。
食事は野菜ジュースや液体状の栄養補助食品などを鼻から管で取ります。
無表情と思うかもしれませんが、顔の筋肉があまり動かないだけ。
飢餓にほほ笑みかけてくださいね。

告知をどう受けとめられましたか。
現在の私があるのは当時の主治医、佐藤猛先生(国立精神・神経センター国府台病院名誉院長)と、日本ALS協会初代事務局長の松岡幸雄さんのおかげ。
当時、私はALSの苦しさより、一人娘の世話ができなくなることが怖かった。
それを感じ取った佐藤先生は、「いま一番の薬はお嬢ちゃんだよ」と。
私の置かれた状況をよく分かっていてくれた。
松岡さんは「大丈夫ですよ。橋本さんなら大丈夫」と呪文のように繰り返し励ましてくれました。

でも聞くと、ほかのALS患者への告知は暗いことが多い。
ゆっくりと、親切に、少しでも楽に生きられるような告知をしてほしいです。

人工呼吸器を装着して自宅で、しかも家族と離れて暮らすのは大変ではないですか。
人工呼吸器はめがねのようなもの。
集中治療室に運び込まれた救急患者と違って、生活するために必要だから使っているだけです。
発症した時、娘は5歳、夫は深夜まで働いていました。
だから家族に頼らずに他人介護で自宅で暮らせる道を探したのです。
人工呼吸器を付けるまでは実家のきょうだいに手伝ってもらいました。

既存の制度では足りない介護の人手は、学生バイトを募ることで埋めた。
さらに、一人前のヘルパーに育て上げた学生らを、自分が運営する訪問介護事業所から、ほかの患者に派遣することで収入を得る方法を考案しました。
収入があれば、自立できます。
現在は訪問介護、訪問診療、介護人派遣制度などを組み合わせ、夜勤は学生10人前後で回します。
24時間、常に介護者が私の身の回りにいます。

うまくいっているのは、私に主婦意識が欠けているからかも。
冷蔵庫や財布の中を誰にのぞかれても平気。
人の出入りを気にしない。
声が出ないから口論は不利でも介護者を介して必ず言いたいことを言っています。
車いすで近所のスーパーやデパートにも買い物に行く。
愛犬のポンを連れて。
忙しくて、大好きなSMAPや、さだまさしのコンサートになかなか行けないのが悔しいですが。

患者を精力的に訪問しておられますね。
約15年前から全国の患者を訪ねています。
患者はほかの患者と会いたいものだけど、地方では患者が移動できる社会環境が整備されていないので。
しかし、私のように気ままな患者の、なんと少ないことか。
家庭に帰れば家族が待っているのに、ひとり病室の白い壁や天井を見つめて過ごしている人は少なくありません。

ご自身のホームページの題に「闘えALS」とあるように常に闘ってこられました。
あれは「患者よ、闘え」というアジテーションなんです。

2002年、医療行為として医療職や患者の家族にしか認められていなかった、たん吸引をヘルパーも行えるよう署名運動を始めた。
たんの吸引は単純な作業だけど、多い時は数分おきに行う必要がある。
だから家族が夜も寝る間もなく、吸引していました。
全国から17万人の署名が届きました。
「家族が休めない。何とかして」といった悲鳴のようなメッセージも添えて。
すべてに目を通してから国と交渉し、ようやく2003年に認められました。

尊厳死反対の論陣も張っておられます。
死の尊厳さは重要ではない。
生きている者の人権を守ることが肝要です。
人工呼吸器を付ければ生きられるのに、付けたくても付けられない患者は多い。
ALS患者の7割以上は呼吸器を付けずに亡くなる。
特に女性。
家族から「生きるな」と暗に言われ、子や夫に迷惑をかけるまいと呼吸器を付けずに死んでいく。
自立する知識も機会も与えられずに。
「死ぬ権利」を言う前に、生きたくても生きられない患者の生きる権利をなんとかしよう、と言いたいです。
そうでなくても、呼吸器は外れやすいんです。
時々、事故で呼吸器が外れて患者が亡くなる。
その無念や苦しさを思うと…。
私もよく外れますが、2分もたたずに顔は真っ赤、心臓はばくばくです。

厳しい状況でも常に明るさとユーモアをお持ちです。
生家は漁をなりわいとしています。
昨年2月にイージス艦に沈められた漁船と同じ漁協で、兄たちはあの事件に近いことはよくあると言う。
海辺に生きていると、水死体が漂着したり、漁に出たまま帰らないこともあるから、死は日常のこと。
私も主治医と食事しながら終末期の話をします。

お寺が好きです。
樹齢千年の桜を、平成の時代に、車いすに人工呼吸器を積んだ私が眺めるロマン。
何代もの人が桜の下に集い、泣き笑い、時に病に倒れていったことに思いをはせると「この瞬間を生きよう」と思います。

最近、入院されました。活動のペースを落とした方がいいのでは。
9月に16年ぶりに入院。
すごく久しぶりというのが自慢です。
ウイルス性腸炎でしたが、飲んだコーヒーが濃すぎたんでしょ。
最近はすべて患者のため、という基準で行動している気がします。
在宅生活を送りやすくするために介護保険の自己負担の減免を求めていきたいし、在宅が難しい患者のために長期療養の病床をもっと確保したい。
課題はたくさんありますが、当事者が行動するしかない。
とりあえず死ぬまで走り続けることが私の使命です。

何より患者に泣かれるのが悲しい。
なんと言葉をかけたらいいものか。
「この瞬間はあなたのもの。必死に生きて」
そう伝えることにしていますが。
私は「今日が不幸でも、明日はたぶん幸せだぞ!」と思いこんでいます。

【あなたに伝えたい】
ALS患者の7割以上は呼吸器を付けずに亡くなる。特に女性。家族から「生きるな」と暗に言われ、子や夫に迷惑をかけるまいと呼吸器を付けずに死んでいく。

【インタビューを終えて】
「まあ飲んでよ」。橋本さんはいつも開口一番こう切り出した。インタビューは東京の自宅マンションで、4回にわたって夕飯時に行った。
大抵は、橋本さんのベッド脇の食卓で、遊びにきた友や仕事を終えた日勤の学生ヘルパーが鍋をつつき、ワイングラスを傾けていた。橋本さんもヘルパーの“通訳"を介して会話に入る。優しいほほ笑みからは想像も付かないブラックジョークを時折、飛ばしながら。
体がほとんど動かず、声が出なくても雑談を楽しむ姿は一見、感動的だが、これが橋本さんの日常なのだ。そして、すべてのALS患者が享受できるはずの光景でもある。

橋本 操(はしもと・みさお)
1953(昭和28)年千葉県生まれ。日本音楽学校幼稚園教諭養成科卒。1985年にALSを発症、93年には人工呼吸器を装着し在宅生活を始めた。99年にALS協会副会長、2003年から今年5月まで同会長。
04年、近隣の患者家族、看護師、ヘルパーらとNPO法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」を設立。障害者自立支援法の重度訪問介護従事者資格を取得できる研修会を開き、これまで約900人が修了。07年からNPO法人「在宅介護支援さくら会」理事長。00年、ALS/MND国際同盟会議(デンマーク)に呼吸器を付けた患者として初めて参加。06年、ALS/MND国際同盟人道賞。共編著に「生きる力ー神経難病ALS患者たちからのメッセージ」(岩波書店)
ホームページ/闘えALS

(中日新聞・夕刊 2009年11月27日)
----------------------------(引用ここまでです)-----------------------

人工呼吸器をつけなければ生きられない、ほとんど体が自分で動かせない状態で
車いすで買い物に行ったり、お花見に行ったり、
飛行機でデンマークまで飛んで、国際会議に出席して発言する。
橋本操さんの行動力は、わたしがALS患者や人工呼吸器について抱いていたイメージを打ち砕くものでした。

わたしはツイッターも行っているのですが、そこで出会った女性は、人工呼吸器をつけて、話もできるし、歌も歌うのだそうです。
なんでも、大学の時に声楽を専攻していたのだとか。
気管切開してスピーチカニューレを付けることで、話ができるようになったのですが、「話せるなら歌えるんじゃない?」と挑戦し、自分なりに歌えるようになったというメッセージをもらって、とても感動しました。

人工呼吸器を否定的にみるのではなく、医学の進歩による可能性の広がりと捉える視点を教えられたような気がしました。

その一方で、ALS患者の7割以上は、介護する家族の迷惑になりたくないと、人工呼吸器を付けずに亡くなっている現実があります。

介護保険や、障がい者自立支援法を使っての支援だけでは、家族の手をいっさい使わない「他人介護」での在宅生活はできません。
橋本操さんは、他人介護による在宅生活を可能にするために、学生ボランティアを育てて、介護者として支援してもらっています。
重度訪問介護は、24時間の在宅介護を行うためには欠かせないサービスですが、サービスが存在しない市町村も多く、しかたなく家族が一手に介護を引き受けているというのが現状です。

生きたいと望めば、だれもが人工呼吸器を付けて生きられる支援ができるようにするのが、基礎自治体の役割のはず。
生きるための支援を最優先課題にしなければと、強く思いました。

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「身体拘束は違法」判決から1年がたって

介護の現場では、縛ったり閉じこめたりして身体の自由を奪う「身体拘束」が禁止されています。
ですが、未だに「安全のため」と称した身体拘束が、多くの介護施設で行われています。

そんな中、昨年、名古屋高裁で、病院で入院していた80代の女性に対する身体拘束に対して、「同意のない拘束は原則違法」という判決が出たのは、画期的な出来事でした。
それから1年。
最高裁での弁論が行われるということで、注目が集まっています。

概要について、今日の新聞から引用します。

------------------------(ここから引用です)----------------------

「身体拘束は違法」判決から1年余り
基準求める病院・患者

きょう最高裁弁論
愛知県一宮市の病院に入院していた80代の女性が、不要な身体拘束でけがをしたとして賠償を求めた訴訟で、「同意のない拘束は原則違法」とした名古屋高裁判決から1年余り。
判決は、患者の安全と尊厳のはざまで揺れる医療現場の実態を浮き彫りにした。
25日に最高裁で開かれる弁論では、病院、患者側とも身体拘束の具体的な基準を示すよう求める方針で、最高裁の判断が注目される。

原告の女性は腰痛治療のため入院中、ナースコールを繰り返したことからベッドのさくに縛られ、手首などを負傷したと名古屋地裁一宮支部に提訴。
同支部は訴えを退けたが、名古屋高裁は昨年9月に「拘束は身体機能の低下をもたらすだけでなく、人間としての尊厳をおかす」と判断し、原告側逆転勝訴の判決を言い渡した。
画期的な判断との受け止めが広がる一方、医療現場からは「医療が成り立たない」などの声もあがる。

病院側の代理弁護士は「高裁判決後、訴訟を恐れた病院で患者や家族の同意書を得ようとする動きが広まった」。
現場は人手不足などからぎりぎりの状態だとし、「どんな場合なら許されるのか、明確な指標がなければ混乱する」として、最高裁に基準の明示を求めるという。

内科病棟勤務の30代の看護師も「本当はやりたくない。でも、手術後に点滴を抜いてしまうなどやむを得ない場合は、必ず家族と本人に説明し同意書を得ている」と話す。

原告側は、拘束には医師の判断が必要とし、緊急避難としての場合でも、具体的で切迫した危険がある場合に限られると主張。
「今回はいずれの要件も満たさず違法だ」とする。
中谷雄二弁護士は「当直医がいたのに看護師は判断を仰がなかった。拘束が日常化していたためだろう」と言う。

原告の女性は2006年9月、亡くなった。
裁判を受け継いだ長女(67)は「腰が痛く横向きにしか眠れないのに仰向けにされ両手を縛られた。おかしいことはおかしいと認めてほしい」と話している。

点滴減らす・ベッドやめ布団に
「縛らない」実践の病院

拘束ゼロは本当に可能なのか…。
全国に先がけて1980年代半ばから「縛らない医療」に取り組む、東京都八王子市の上川病院を訪ねた。

126床の入院患者のほぼ全員が認知症の高齢者だ。
午後3時、軽食の時間に患者が食堂に集まってきた。
点滴の人は少ない。
理事長の吉岡充医師は「点滴を外してしまうから、と手を縛られることが多い。食事のケアを工夫すれば、点滴自体を減らせる」という。
ベッドから転落しそうになった患者の個室には、畳と布団2枚を敷く。

転落や転倒による事故は年間約10件で骨折などは4〜5件。
日中は患者1.6人にスタッフ1人だが、夜間は126床を夜勤7人で担当する。
訪ねた病棟では34人に対しスタッフ2人。原告が入院した病院の夜勤体制は27人に対し看護師3人だった。
吉岡医師は「現場の負担が増えているのは事実」とし、「いったん縛るとなかなか外せず、拘束されて動けなくなるとあっという間に弱り、尊厳を傷つけられたまま死に至る」と話す。

(朝日新聞・朝刊 2009年12月25日)
---------------------------(引用ここまでです)---------------------

特別養護老人ホームや老人保健施設などを訪れた時に、身体拘束を目撃することがあります。
一番、強烈な印象として残っているのが、ある介護施設で会った車椅子の男性のこと。
車椅子から立ち上がれないよう、安全ベルトという名の身体拘束で、車椅子に縛り付けられていたのですが、その男性が、見学で訪れたわたしに向かって、
「トイレに行きたいので、ベルトをはずして」と懇願するのです。

どんなに懇願されても、見学者が勝手にベルトをはずすことはできないので、介護職員を探して「トイレに行きたいのでベルトをはずしてほしいと、おっしゃっていますよ」と伝えたのですが、
「おむつしてるんだから、そのまますればいいでしょう」
と、その男性に向かって言い放たれたのです。
非常に衝撃を受けると同時に、「施設に入ったら、尊厳なんてない」と、思い知らされる出来事でした。
(もちろん、そんな介護施設ばかりではありませんが)

身体拘束がなぜ問題なのか。
どうしたら身体拘束をせずにすむのか。
ということに対して、厚生労働省が高齢者ケアにかかわる人に対して出したのが、「身体拘束ゼロへの手引き」です。

2001年の身体拘束ゼロ推進会議で報告された、「身体拘束ゼロへの手引き」ですが、ぜひ多くの人に目を通してもらい、身体拘束は許されないという意識を持ってもらいたいのです。
というのは、身体拘束を行っている介護施設で、必ずといっていいほど聞かされるのが、
「施設としてはやりたくないが、家族が望むので身体拘束している」
という意見だからです。

家でみられないのだから、病院や施設では人手が足りないのだから・・・
縛ってもしかたがない?
高齢者だから、認知症だから・・・
縛られてもしかたがない?

いいえ!
そんなことは、絶対にありません。

身体拘束は違法であり、許されない行為。
最高裁での判決が、尊厳ある医療・介護を後押しすることを願います。

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自殺はやめて、図書館へ

ちょっと刺激的なタイトルですが、昨日の朝日新聞夕刊に連載されている「3万人の命に」(9)で見つけた言葉です。

年間3万人が、自ら命を絶つという悲劇が、ここ数年続いています。
死にたいほどつらい時は、図書館へ行こう!
というメッセージがアメリカの図書館ポスターに掲載されているのだそうです。
「図書館は、人が生き延びていくための場所」
という考え方が衝撃的で、深く心に残りました。
まずは、記事を以下に転載しますね。

----------------------(ここから引用です)------------------------
3万人の命に(9)
人生の息抜き 図書館で

自分なんか……と、ひとりぼっちで悩んでいるあなた。
図書館に、解決のかぎがあるかもしれない。
万巻の書、静かに流れる時。
その森の中では、思っていたより世界はずっと広い、と感じられるはずだ。

図書館が育む生きる力。
日本でそれを唱えているのは、日本図書館協会の元理事長、竹内さとる(82)である。

もう30年近く前になる。
たまたま開いた本に、米国の図書館のポスターが載っていた。

ピストルをこめかみに当てた憂い顔の男の前に、積まれた本の山。
その下に、英文でこうあった。
「自殺しようと思うなら、やめなさい。そのかわり図書館へおいでください」

「図書館は、人が生き延びていくための場所なんだ」。
竹内は深く感じ入った。

敗戦を中国で迎え、日本人社会の混乱を目の当たりにした。
帰国の判断を占いに頼って財産を処分し路頭に迷う人、満州国復活を信じて内戦に参加し、大けがをする元兵士。
危機に流されてしまう判断力、知識の不足を痛感し、戦後はずっと図書館の充実に奔走してきた。

大学の授業や講演で、あのポスターの話をし続けている。
講演録も出された。
もっとも「おもしろい、と受け止めてくれる人がなかなかいなくてねえ」。

竹内の思いは、琵琶湖のほとりの図書館に届く。
才津原哲弘(さいつはらてつひろ)(63)は2001年、竹内の講演録を読んで思ったのだ。
「これこそ、僕のやろうとしてきたことだ」

東近江市になった旧能登川町が造った能登川図書館。
才津原は1997年のオープンから、名物館長だった。
来館者に次々に話しかけて、本をどんどん勧める。
世間話にも花を咲かせた。
ときにはシャツをはだけ、手ぬぐいをぶら下げて。

千葉や福岡の図書館をへて、才津原は能登川町にスカウトされた。
広いフロアに低い書架。
その合間にイス。
畳や喫茶コーナーもあって、比叡の山並みがみえる。
ふらっときて、ふうっと息が抜け、自分を解放できる場所づくりを目指した。
意気込みが伝わり、人口2万3千人の町で初日に4千人が訪れた。

そんな時、「自殺はやめて、図書館へ」という言葉を見つけた。
終戦の翌年、広島で生まれ、原爆で亡くなった親族の話を聞いて育った。
爆心地を歩いた母は夏になると、よく寝込んだ。
だから、どうしても「命」にかかわる言葉に敏感になる。
才津原は、地域に向かい合う姿勢をいっそう強めた。

ある日、役場の課長から聞いた。
ひとり暮らしの高齢女性が、病気で図書館通いができなくなり嘆いている、と。
自宅を訪ねると、大学ノートを見せてくれた。
4年間で借りた420冊、その1冊1冊の感想文がつづられていた。
本を毎月届けることにした。
彼女は、「図書館は魂をいやすところでした」という言葉を残して亡くなる。

才津原は2007年に退職。
福岡で無農薬農業を始めている。
でも、図書館について語り出すと止まらない。
「一度、ふらっと行ってみてください」

京都市で不登校児らの学習塾を開く虫賀宗博(54)は、図書館にいい印象は持っていなかった。
「いい所なんだがよそよそしい、昔のクラシック喫茶みたいなところ」。
だが、才津原と知り合って変わった。
「こんなこともできるんだ」

虫賀は新聞記者を1年で辞め、自宅兼塾の6畳2間で、作家の松下竜一ら、これはと思う人のミニ講演会を開き、社会や人生を考えてきた。

あるとき、才津原から、米国の図書館のポスターの話を聞き、胸に落ちた。
才津原にミニ講演会の講師を頼んだ。
タイトルは「自殺したくなったら、図書館へ行こう」。

同じような表題の文章を2005年夏、岩波の「世界」に投稿した。
そこにはこうある。
「図書館は、生きることのすてきさを味わわせてくれる場所だ」

現在、全国の図書館は財政難で資料費削減、外部委託が進む。
いつでも、無料で、何度でも、ぼんやりしているだけでもいい。
そんな場所はほかにあるだろうか。
命の森を枯れさせてはいけない。

(朝日新聞・夕刊 2009年12月21日)
----------------------(引用はここまでです)-------------------------

今日が最終日だった、12月議会。
指定管理者の継続についての議案が4議案出て、すべて賛成多数で可決となりました。
(今回、東郷町は指定管理者の公募をせず、すべて継続という選択をしました)

指定管理については、12月議会がはじまる前の全体会議で、町から「図書館運営についても指定管理とし、指定管理者は東郷町施設サービス株式会社とする」という案が示されました。
図書館協議会での反対・慎重論もあって、今回の議案としては出てきませんでしたが、図書館の指定管理については、非常に問題が多いと思っています。

生きることを支える場所としての図書館。
命の森を枯れさせないよう、今後の図書館運営については、もっと議論していきたいと思います。

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認知症の人には「笑顔(えがお)」を

毎日新聞社と(財)認知症予防財団など主催のシンポジウム「認知症にどう対応するか」が、広島と奈良で行われました。
このシンポジウムについて、毎日新聞のホームページに掲載されていた記事の中に、若年性認知症の家族からの発言が載っていました。

以下に、抜粋します。

----------------------(ここから引用です)-----------------------

広島会場・パネルディスカッション発言
 ◆若年性アルツハイマー病との闘い

◇「笑顔で一緒」支えに-
-社団法人認知症の人と家族の会広島県支部・松本恭子氏

今から8年前のことです。
私の夫は「若年性アルツハイマー病の疑いがある」と診断されました。
52歳の働き盛りでした。
当初は単なる物忘れ程度と軽く考え治療にもかからず、本人も医師の診断を嫌がっていたので、放ったらかしにしていました。

忘れもしません。
その4年前のお盆も過ぎた8月下旬、私が会社から呼び出され辞職勧告を受けたのです。
大手通信社に勤務していた夫の職場では、パスワードをいつも忘れる人、パソコンを開けない人、仕事を監視していないといけない人、といったレッテルを張られていたようです。

そのうち、買い物を頼んでも計算ができず、何を買うのかも忘れて店内をうろつく。
そんなことは近所にも知られたくないし、見られるのが嫌でした。
本人が一番つらかったと思います。
シャンプーの容器に「髪を洗うもの」と書いたり、家から出ると行き先を間違える。
「分からないこと」や「できないこと」をごまかし、隠そうとしていました。
夫が仕事を辞めて家でじっとしていることを隣の人にも隠し続けていました。

この時期、私の75歳になる母が夫の病気を知り、慌てふためいて電話をかけてきました。
「照道さんがこんな病気にかかってかわいそうだが、あんたもかわいそう。4年間もよう黙っていたね。まだ勤めているとばっかり思うとった。あんたが頑張らんといかん」と、涙声で励ましてくれました。

確定診断から2年後に認知症の権威である専門医と出会い、生き方が変わりました。
認知症は治る見通しがありません。
今できることを見つけて喜びを分かち合おうと思い立ち、私は「認知症の家族」との公表を決意しました。
症状が日々進行、毎日が真剣勝負でした。

それをきっかけに、みんなが見守ってくれ、近所の人は釣りや山登りにも誘ってくれるようになりました。
地域のつながりの大切さを学んだ瞬間です。

目の不自由な人には点字があります。
耳の聞こえない人には手話があります。
では皆さん、認知症の人には何が必要か分かりますか。
答えは「笑顔」です。

「心配ないよ」と笑顔でサポートすることが大切です。
認知症の人は笑顔を通し心と触れ合っているのです。

あいさつをする、話を聞いてあげる。
うなずいてあげる、時には新しい発見や感動があります。
食事をするのも、出かけるのも、特別なことではありません。
「何かを一緒にする」、そんなことが大きな支えになるのです。
夫が要介護4の今、この病気の理解を社会と教育現場に広めたいと考えています。

(※太字は山下がつけました)
------------------------(引用ここまでです)------------------

東郷町と三好町の2町合同で、認知症の理解をまちに広めるための講師役を育てる「認知症キャラバンメイト養成講座」がありました。
先日、その卒業生の有志で結成したのが、「認知症を地域で支える応援団〜えがお」です。

認知症の方と接する時に、一番大切なのは「えがお」。
えがおが町中にあふれ、認知症になってもえがおで暮らせる。
そんなまちにしていきたいという思いから、会の名前を「えがお」としました。

えがおを通じて、心と心が触れ合える。
そんな活動をしていきたいと思っています。

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我が家のインフルエンザ騒動

木曜日の朝、総務常任委員会に行く用意をしていると、2階の息子からSOS。
「起きて熱を測ったら、39.1度ある」とのこと。
急いで近くの病院に電話で相談し、診察時間より少し早いうちに病院に連れて行き、息子の診断を依頼。
わたしは議会があるので、病院の方に息子をお願いして、取り急ぎ議会へ。
なんとかぎりぎり遅刻せず、開始の9時に間に合いました。
(息子は、診察後に病院にタクシーを呼んでもらい、自宅へ)

その日のうちには、まだインフルエンザとは判明しなかったのですが、息子の高熱はいっこうに下がらず、冷やすために脇の下やおでこにあてた保冷剤が、1時間で溶けて温まってしまうほど。
夕方になって熱を測ると、なんと、40.1度。
病院に電話をして状況を伝えると「たぶんインフルエンザだと思うので、リレンザを出します。とりにきてください」との返事。
急いで病院に薬をとりに行き、リレンザを服用させたのですが、わずかしか熱は下がらないまま。
翌朝になって、(この時点で、熱は39.4度) もう一度病院に息子を連れて行き、もう一度検査して、やっと「インフルエンザA型」と判明。
昼になって、やっとリレンザの効き目が出てきたのか、熱が36.9度まで下がりました。

それにしても、身近にインフルエンザが出てみて思うのが、症状が激しいということ。
とにかく高熱が続くので、脱水にならないよう、こまめに水分をとらせたり、着替えさせたり、氷で冷やしたりで、けっこうつきっきりになりました。
リレンザの服用も、タミフルほど激しくないけれど見守りが必要とのこと。
看病しているわたしは、濃厚接触者ということで、息子からインフルエンザをもらわないよう、マスク着用、アルコール消毒・・・など、けっこう気を遣っています。

息子の熱は、昨日、熱が下がってからは、再び上がることなく、今日も36.6度くらい。
リレンザが効いているからとも思いますので、油断せず様子をみているところです。

病院の先生によると、
「新型インフルエンザの流行は一段落したようですが、季節性のインフルエンザがはやり始めていますね」
とのこと。
息子のインフルエンザA型は、新型なのか、季節性なのかは判別できないそうで。
新型と季節性と、ふたつのインフルエンザが猛威をふるいそうです。

今朝は初雪が降るほど寒い日になりました。
みなさまも、インフルエンザにかからないよう、どうぞご自愛くださいませ。

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風邪にご用心!

風邪にご用心!
あいかわらず元気で、風邪とは無縁の へしにゃん♪です。
(にしても、にゃんこも風邪をひくのでしょうか?)

飼い主のわたしが、風邪をひいてしまいました。
インフルエンザではなく、熱もなく、ただの鼻風邪のようなのですが・・・
いかんせんティッシュの使用量がハンパないのです。

母が地元の大学病院で精密検査を受けるのに、ほぼ1日、ずっと病院で付き添っていた時に、風邪をひろってきてしまったようです。
帰ってきた月曜日の夜から、のどの痛みがひどくて、風邪薬を飲んで寝たのですが
火曜日は1日ダウン状態。。。
水曜日の今朝は、少し頭がはっきりしてきたので(前日は1日頭がぼっ〜〜〜として、いくらでも眠れました)
午前中は議会だよりの原稿整理をして、午後から議会だより編集特別委員会に行ったのですが。
やはり外出はまずかった。
灯油を買って(寒さに我慢ができなかったので、これだけはと!)、ストーブに灯油を入れて、やっと部屋を暖めてパソコンに向かっています。

母の具合が急に悪くなって、大学病院に連れて行ったり、こちらに戻ってからは、風邪で寝込んだりで、ブログも書けなくてすいません。

コメントも、たくさんいただいているのですが、返事を書く体力がないまま・・・。
本当に申し訳ありません。

明日は総務常任委員会があるので、なんとか体調を回復させて出なければ!
ということで、今日も早く休みます。
すいませんが、コメントの返事は、もう少しお待ち下さい。

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老い支度講座「自分で選ぶ終末期医療」のお知らせ

人生の最後を、どこでどのように迎えるか、考えたことはありますか。

自分らしい人生を送りたいと考えた時、人生の終え方についても考える必要があるのではないでしょうか。
今回の「ぬくぬく老い支度」は、終末期医療についてがテーマです。
自分なりの終末期医療の意思決定をどうするか、一緒に考える機会になればと思っています。
お気軽にお越しください。

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ぬくぬく倶楽部~老い支度講座~ 
最後はどこでどのように迎えたい?
 〜自分で選ぶ終末期医療〜

だれにでも訪れる最後の時を、どこでどのように迎えるか考えたことはありますか。
口から食べられなくなった時に、経管栄養やIVHを行うのか、人工呼吸器はつけるのか。終末期医療の問題について、一緒に考えてみませんか。

講師/山下律子
日時/1月30日(土) 午後2時~4時
場所/名古屋市女性会館 第1集会室(地下鉄「東別院」から徒歩5分)
参加費/500円(ぬくぬく倶楽部会員は無料)

申込み/氏名・住所・電話番号を明記し、右上の「メール送信」からE-mailでお送り下さい。当日参加も歓迎です。お誘い合わせの上、どうぞお越し下さい。
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おまけとして、これからの介護と在宅医療について書かれた社説を。
このまま高齢者が増え続けると、病院が足りなくなり、病院で死ねない時代が来る。という今の状況を前向きに解決するための提言として、在宅医療のことが書かれています。
「全身まひのため、人工呼吸器を付け、さらに胃ろうの栄養を受けながら独りで暮らしている人が全国で20人以上もいる」
と書かれていますが、これをどう考えますか。

では、河北新報社の今日の社説を紹介します。

--------------------------(ここから引用です)--------------------
超高齢社会/在宅医療と介護の両輪で

長寿の裏返しとして、わが国は超高齢社会を迎えている。
2000年には介護保険制度が始まり、老いてからの本人、家族生活を支える仕組みが一応、整った。
そして、今、次なる課題として浮かび上がっているのは、在宅の介護と医療を支援する態勢整備である。

一つには、医療側の問題がある。
年間の死亡者は08年、114万人。
それが40年には170万人に達すると推計されている。
現在の病院の受け入れ態勢を基準に考えれば、80万人が自宅で最期を迎えなければならないという計算になる。

もう一つは、住民側の意向である。
高齢者の60%以上、がん末期患者の80%以上が最期まで家で暮らしたいと回答している点は各種調査に共通しているという。

振り返ってみれば、かつては自宅で生まれ、長年暮らしたわが家で家族にみとられるのが当たり前だった。
それが今や、誕生から死まですべて病院の世話になるという時代に変わった。
そうした揺りかごから墓場まで病院で完結するという医療システムが限界に達しつつある、と専門家は指摘している。

病院の収容能力という空恐ろしい現実にも対処しないといけないが、それでは後ろ向きすぎる。
ここは、希望にかなった形で死を迎えるというプラスの立場から、いかにして在宅のケアと医療を連携させていくのかという問題に立ち向かっていきたい。

まずは、意識改革に着手する必要がある。
「仙台往診クリニック」(仙台市青葉区)の川島孝一郎院長(東北大医学部臨床教授)は「在宅医療の体験者である医師と療養者は最期まで家で暮らすことが可能だと思っているのに、一般の人、あるいは在宅医療を受けずに外来通院や入院をしてきた人は、最期までは困難だと思っている」と意識の落差を指摘する。

実際、全身まひのため、人工呼吸器を付け、さらに胃ろうの栄養を受けながら独りで暮らしている人が全国で20人以上もいる。

もちろん、意識改革だけでは足りない。
さまざまなバックアップ態勢を構築していかなければならない。
在宅医療に参加する医師、歯科医師、薬剤師、看護師の数を増やすことは必須条件である。

厚生労働省が06年に登録を開始した「在宅療養支援診療所」は現在、全国で約1万2千カ所ある。
まだ全国の診療所の1割余りにとどまっている数をもっと増やすことが重要だが、そのためにも、診療所の利用を進めていく必要がある。

在宅医療の推進のためには急性期の医療に当たる病院と、地元の診療所、訪問看護ステーションの連携も欠かせない。

医療は生命を守り、介護は暮らしを守る。
両者は車の両輪として、どちらが欠けても十全には機能しない。
そうした観点から見て、医療と介護の連携が非常に重要である。
超高齢社会の社会基盤として、その整備、連携強化に早急に取り組んでいく必要がある。

河北新報社 2009年12月13日日曜日
-------------------------(引用ここまでです)---------------------

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口から食べる支援が生きる力につながる

昨日のブログでとりあげた胃ろうの問題。
そもそも、胃ろうにするという話が出てくるのは、むせることが多くなったり、嚥下(ごっくんと飲み込む力)が弱まって、口から十分に食事をとるのがむずかしくなることから。

食事の工夫や専門家による嚥下のリハビリなどで、口から食べる支援をすれば、胃ろうにする以外の選択肢が出てくるのではないかなと思います。
たとえば、西尾市にある特養ホーム「せんねん村」で出しているような、ソフト食(温柔食)
誤嚥が減って、安心して食事介助ができるとのこと。
こんな食事が、もっと一般に食べられるようになるといいのにと思っていたところ、「レストランでも介護食が楽しめる」という記事を見つけました。
以下に紹介しますね。

---------------------------(ここから引用です)---------------------

レストランでも楽しめる「介護食」

高齢者用に工夫の彩り・味付け…楽しく
かんだり、のみ込んだりする力の弱くなった高齢者用の「介護食」を、外食の形で楽しんでもらおうという動きが目立っている。
食の楽しみを提供し、より前向きな気持ちで日々を過ごしてもらう試みだ。

「これはクワイね。お正月に食べるのよね」
「あー、おいしい。幸せ」

横浜市内で介護事業を展開する「アイシマ」が開いた中華レストラン「風の音」。
同社のデイサービスを利用する女性たちがランチに訪れ、「牛肉とクワイのオイスターソースいため」を楽しんだ。

運営するグループホームの近くで、入居者が外食できる店がなかったことから、レストラン設置の話が進んだ。
「誰もが気兼ねなく楽しめる店を」と、昨年末オープンした。

高齢者用にイカなどを細かく刻んだ海鮮おかゆといった特別メニューを用意。
一般メニューも要望に応じ、具材を軟らかく、細かくするなどして仕上げる。
ミキサー食の提供では、野菜と肉は分けてミキサーにかけるなど、彩りや味付けは食欲をそそるよう工夫。
ハード面でも車いす用トイレを3室備えた。

周辺の施設に入居する高齢者が定期的に利用するほか、週末には3世代で来る一般の家族連れでにぎわう。
責任者の中谷国晴さんは「おしゃれをして来られる高齢者が多く、食事を楽しみにされている、と実感します」と言う。

食事に特化した形式のデイサービス事業所も登場した。
企業の健康管理のコンサルティングを手がける「ヘルシーピット」(東京)は東京都世田谷区に続き、昨春、兵庫県西宮市に「マリーン・レストランデイ西宮」を開設した。
ヨットハーバーのクラブハウスを改装した日当たりのいい店内で、フルコースを1時間半かけて楽しむ。

こだわりは、食前に出す50ccのニンジンジュース。
甘酸っぱさが、唾液(だえき)が出るのを促してのみ込みやすくする。
認知症の人には、「食事が出てくる」と意識させるサインになるという。

高齢者施設の食事についてはこれまで、集団給食的な対応が主流だった。
利用者に対するアンケートでは「もっとおいしく」「外食の楽しみを」と改善を求める声が根強かった。
介護保険制度が導入され、個別ケアという考え方が浸透する中で、食事の楽しさを重視する流れがある。

医療関係者、栄養士ら市民が「食による人にやさしい・健康な町づくり」に取り組む茨城県笠間市。
市内のフランス料理店が7年前から、高齢者にも食べやすい「楽食(らくしょく)」のメニューを提供している。
特産の陶器・笠間焼でも、ユニバーサルデザインを取り入れた食器の開発が進み、地域を巻き込んで運動が広がっている。

中心メンバーの歯科医、塙(はなわ)章一さんは「食べる楽しみを求めて、高齢者が外に出かける意欲を持てば、体を動かし、筋力面などの健康維持にもつながる。食べづらい、食器が使いにくい、街に段差が多いなど、高齢者が外食する際の障害を取り除く環境整備が重要になる」と訴える。

健康・嚥下力考えた食事
介護食は種類が豊富になり、より食べやすくおいしくなるなど進化している。
食べる楽しみが高齢者の生きがいづくりにつながるとして、介護現場でも注目されており、市場も拡大傾向にある。

レトルトや冷凍などの介護食品を扱う大手食品メーカーなど38社でつくる「日本介護食品協議会」は2003年、食べやすさに配慮した製品の自主規格として「ユニバーサルデザインフード」を設けた。

食材の香りや味を残したままゼリー状にしたり、魚の切り身をそのまま軟らかくしたりする技術も開発され、見栄えやおいしさも向上した。
施設向け業務用と一般向け市販用の合計品目は年々増え、現在は約450品目。
生産額(出荷ベース)も、この3年間で倍増した。
協議会事務局長の藤崎享さんは「施設や病院などで介護食品を活用して、適切な食事を提供する動きが進んでいる」と言う。

「低栄養」リスク軽減
介護保険施設での食事のあり方については、厚生労働省が05年から「栄養ケア・マネジメント」という仕組みを創設した。
管理栄養士を中心に、看護師や介護の担当者らが個々の入所者の健康状態やのみ込む嚥下(えんげ)力に合った介護食を提供し、栄養管理を行う。
同省の研究班の調査では、食事摂取量が少なく、低栄養状態になるリスクが中高度だった人の約4割が1年後に改善するなど一定の成果も上げている。

食を通した全人的な介護「食介護」を提唱する浜松大健康プロデュース学部教授の手嶋登志子さんは「口から食べることは、栄養素を摂取するだけでなく、人間らしく生きる原点としてQOL(生活の質)を高めるという重要な意義がある。一人一人の摂食・嚥下の状態をきちんと見極めることのできる人材の育成が求められている」と話す。

(2009年11月10日 読売新聞)
------------------------(引用ここまでです)---------------------

胃ろうになったとしても、口から食べる楽しみは必要です。
嚥下の状態をきちんと見て、口から食べることができるようにリハビリをすることが、もっと一般的にならなければと思います。

栄養を摂ることだけでなく、人間らしく食べる楽しみを最後まで支援する。
そんな医療・介護をもっと普及させなければと思います。

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胃ろうの根本的な問題は、選択の自由が確保されていないこと

先日、胃ろうの問題について書いたブログ「胃ろうは延命治療」だと思っていますかに、以下のようなコメントがありました。

とても大事なことを示唆いただいたと思いましたので、ここに再掲して、考えてみたいと思います。

-----------------(ここから、たまさんのコメント引用です)---------------

胃ろうについては、作らない方が良いという考えの方は時々見かけます。
しかし、その方達に聞いてみたいな、と思うことがあります。
胃ろうが良くないと言われるのであれば、当然食べられなくても点滴はされないのですよね?
もし、点滴はされるのであれば、なぜ点滴はOKで、胃ろうはだめなのでしょうか?
他の病気で食べられなくなったときの手術はOKで、胃ろうはだめなのはなぜなのでしょうか?
点滴よりも胃ろうの方が、胃を働かせて栄養を取るという面で考えると、より人間的だとも考えられるのではないでしょうか?
手続きの面や、どのような方に胃ろうを作るか、本人の意志確認という点では問題はあるのかもしれませんが、胃ろうそのものを問題視する意見が時々見られるのは、胃ろうを作る事でその方にとって楽に過ごせるという選択肢を奪ってしまう危険もあると思うのですが。
それに、胃ろうを作っても後からふさぐ事も出来るのですが。

私の母はむせがひどく、胃ろうの検討に入っています。
体重が減る様になればどうしても必要になると考えています。
しかし、むせた時の苦しみ様を考えると、これ以上むせる回数が増え、むせ方がひどくなれば、体重が減らなくても胃ろうの検討をしたいと思っています。
もちろん、本人の考えは尊重しますが、その方が苦しまずに日々の暮らしを楽しめると思います。
また、「胃ろうを作ると行き先がなくなる」という点については、逆に「胃ろうをつくらないのであれば、誤嚥の危険のある人は受け入れられない」という施設があるとも聞いていますので、作らないことで行き先がなくなるケースもあります。
基本的には本人と家族がよくメリット、デメリットを理解した上で選べば良いのですが、むやみに「胃ろう=悪」という感じが特に介護職の方に見受けられるのは気になっています。
問題がすり替わって、「胃ろう=悪」にならないで欲しいと思っています。

-------------------------(引用ここまで)----------------------

胃ろうについてのメリットは、わたしも理解しています。
身体の維持に必要な栄養補給を行うことで、褥瘡がよくなったり、寝たきりだった人が起きて歩き回れるまでに回復したという話も聞いています。
在宅療養が難しい方が胃ろうにすることで、在宅介護がスムーズにできるようになったり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんが、自分で胃ろうの管理をしながら家で暮らしている例もあります。
胃ろうになっても、口からゼリーなどを食べることもできますし、口から食べる楽しみをすべて奪うわけでもないようですね。

一方で、胃ろうにすることによるデメリットが医師から充分説明されず、後で後悔したという家族の話も聞いています。
胃ろうは、病院でわりと簡単に勧められるわりには、そのデメリットについての情報提供がなされていないのではと思い調べてみました。
以下に、わたしが胃ろうのデメリットについてまとめた記事(介護情報誌「ぬくぬく」10号より)を転載します。

--------------------------------------------------
○医師から経管栄養を勧められたら
 経管栄養という言葉を聞いたことがあるだろうか。自力で食事をとることが難しくなった時に、鼻などから胃に直接チューブを差し込み、必要な栄養や水分を外から入れる医療行為だ。
 鼻からチューブを入れる経鼻栄養に代わり、このところ急速に増えてきたのが「胃ろう」だ。経鼻栄養は、常にのどにチューブが入っているため、本人が苦しくて抜いてしまうこともある。それよりは負担が軽いからと勧められるのが、外から胃の中に栄養を直接流し込む穴を、おなかに作る胃ろう増設手術だ。
 胃ろうの手術は15分程度。手術としては簡単なためか、入院中に口から十分に食事をとれない場合に、「胃ろうにしてはどうですか」と、気軽に勧める医師は多い。入院のストレスから食が細った高齢の患者の家族に、「こうなれば胃ろうにするしかありませんね」と医師が告げたという例も。胃ろうを延命治療と意識せず、経口食の代替として勧めることもあるようだ。

○胃ろうにした後のことも考えて
 では、医師の勧めにしたがって胃ろうにすると、その後の生活はどうなるのだろうか。
 家族がまず直面するのは、退院後の行き先がないという現実だ。重度の認知症で入院中に意識が混濁し、嚥下できない状態になったAさん。医師から人工呼吸器と胃ろうを勧められ、家族は「これ以上なにもしなくても…」と思いながらも、胃ろうの手術に同意した。ところが退院して四方八方手を尽くして探しても、入れる施設は見つからない。結局在宅で家族が看るしかないとあきらめたという。
 胃ろうの管理は医療行為で看護師しか行えないため、看護師の配置が少ない介護施設では、受け入れを断られることが多い。医療行為ができる有料老人ホームも増えてきたが、数十万から数百万円の一時金と、月々約20万円の費用が必要。転院先となるはずの療養型病院もいっぱいで、しかたなく安い無届けの寝たきり高齢者アパートへ流れているというのが現実だ。
 胃ろうの処置自体の危険性や苦痛もある。胃に流し込む栄養剤が消化できなかったり、量が多すぎたりすると、のどに逆流してむせて苦しむ。逆流したものが肺に入って誤嚥性肺炎を起こす危険性もある。また胃に入れたチューブは1度入れたら終わりでなく、数ヶ月に1度、病院で交換してもらわなければならない。チューブは異物のため、周りの皮膚がただれるトラブルもあり、交換時の痛みであばれる人もいるという。
 なにより、延命のために多量の水分や栄養を体に入れることで、穏やかな死を遠ざける可能性も。たんが増えてのどに詰まったり、体がむくむこともある。「終末期は栄養・水分補給を控える方が苦しまず、すっと死に至る」と話す医師もいる。

○決めることができるのは本人だけど…
 胃ろうは延命治療だ。老衰で口から食べられなくなった場合でも、胃ろうにすると数ヶ月から数年は延命でき、寝たきりで意識のないまま死ぬまで胃ろうという高齢者も増えている。
 終末期には口から食べられなくなる時がくる。食事や水分が口からとれなくなったら、胃ろうにするのか、しないのか。その決断は、本来は本人がすべきだが、本人に意思を確かめたくても意識がなかったり、判断する力がなかったりすることも多い。医療現場で実際に同意を迫られているのは家族だ。
 延命のために胃ろうをつけるかどうか、家族と話し合ってみてはどうだろうか。自分らしい最後を迎え、家族の負担を減らすには、勇気と行動が必要だ。
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記事では字数の関係で書けませんでしたが、特養ホームで胃ろうにした人の看取りを何人も行ってきた看護師さんから、終末期に延命のために胃ろうをつけることで本人が苦しむ現実も話を伺いました。
体が拒否しているのに、無理に胃の中に直接、栄養や水分を流し込むと、胃から口の方に逆流してむせて苦しんだり、むせる力のない場合は肺に入って誤嚥性肺炎になるのだそうです。

介護職の人に、「胃ろうが悪いこと」のように話す人が多いのは、胃ろうをつけたことで苦しみながら亡くなる入居者さんを、何人も見てきているからではないでしょうか。

胃ろうは、延命です。
延命である以上、胃ろうをつけるかどうかの選択ができるのは、本人以外にはないはずです。
(家族であっても、命の終わり方を本人に代わって決められるわけではないはずです)
ですが、医療現場で胃ろうをつけるかどうか判断するのは、本人ではなく家族である場合がほとんど。
ここに、問題があるように思います。

もうひとつの問題は、胃ろうをつけた場合の介護をだれがどこで行うかという問題。
胃ろうをつけなければ入れないとか、胃ろうをつけてたらダメとか、どちらも受け入れの施設側の都合で決められた条件でしかありません。

もっとシビアなのが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者が人工呼吸器を必要となった時の決断です。
人工呼吸器がなければ死ぬとわかっていても、人工呼吸器をつけた後の介護を考えて、つけるかどうかを選ばさるをえないのが、いまの現実だからです。
(ちなみに、ALSの患者は最後まで意識がはっきりしているので、自分で人工呼吸器をつけるかどうかの選択をしています)
人工呼吸器をつけるという選択が許されるのは、在宅での家族の介護が期待できる人だけでは、本当の選択肢とはいえませんよね。

胃ろうをつけるかどうかを本当の意味で選択するには、必要な情報提供や本人の判断力のほかに、胃ろうをつけた後の介護が公的な介護サービスでまかなえるという前提が必要です。

自分らしい最後を迎えるためには、在宅でも施設でも、望む場所で介護が受けられる制度が必要だと思います。
まだまだ不十分な介護保険制度ですが、問題点をもっと明確にして、だれもが本来の選択ができる制度に変えていかなければと思っています。

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2009年12月議会の一般質問報告①〜若年性認知症に対する早急な支援体制を

12月議会で、山下りつこが行った一般質問について、数回に分けて報告します。

まずは、「若年性認知症に対する早急な支援体制を」求めた質問です。
------------------------------------------------
若年性認知症に対する早急な支援体制を

64歳以下で発症する認知症を若年認知症といいます。
渡辺謙主演の映画「明日の記憶」で、一般にも知られるようになりました。
数年前のニュースで見た方もいるかもしれませんが、北海道の北竜(ほくりゅう)町という町の町長が55歳という若さで若年性認知症となり、その事実を公表して辞任するということがありました。
認知症は、高齢者だけがなる病気ではなく、若くてもなるところに、問題の深刻さがあります。
厚生労働省は、この若年性認知症の問題を緊急に取り組むべき重大な課題として、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」で国の介護施策の5つの柱の1つに位置づけました。
こうした背景を踏まえて、東郷町の若年性認知症への支援について質問します。

①若年性認知症の実態把握について
(山下)
愛知県では約2000人が若年性認知症という調査結果がでているが、東郷町では何人と推計されるか
(福祉部長)
厚生労働省が平成18年度から20年度の3年間で、若年性認知症について調査を実施した結果、18〜64歳における人口10万人あたりの若年性認知症者数は、47.6人。全国では、3万7800人と推計。
国の推計に従うと、東郷町の若年性認知症の人の数は12.4人となるが、本年11月1日現在、介護認定を受け、認知症状の出ている65歳未満の人は、14人にのぼっている。
(山下)
高齢者の認知症より深刻だといわれるが、どんな問題があると認識しているか。
(福祉部長)
認知症は、高齢者特有の疾患と思われがちだが、年齢が若くても発症し、本人や配偶者が現役世代であるため、仕事に支障がでたり、仕事を辞めることになって経済的に困難な状況や、配偶者が介護する場合には、身体的にも精神的にも大きな負担がかかると認識している。
また、発症年齢が若いため、本人も家族も受容しにくい。社会的認知度が低いため、周囲も無理解や偏見がある。早期に適切に診断できる医者が少ないため、診断が遅れてしまうなどもある。
さらに、離職による地域での生活は、地域へのなじみや人間関係づくりが難しい上、福祉サービスが高齢者向けに設定されており、若年では利用しにくいことなどもあると思われる。
(山下)
いまの答弁の最後で、介護保険などのサービスが、高齢者向きに設定されていて、若年性認知症という病気になった40代、50代の方には利用しにくいという問題点が指摘された。やはり、80代、90代の高齢者が使うデイサービスやショートステイでは、受け入れる事業所側も、本人もとまどいがあり、難しいようだ。
大府市のルミナス大府という老健では、若年性認知症専用のデイサービスを行っている。また県外では、デイサービスの中で、幼稚園の壁のペンキ塗りに若年性認知症の方が出向くなど、本人が生き甲斐や誇りをもてるような支援を行っている「おりづる工務店」のような例もある。若年性認知症の方の居場所になるようなデイサービスなどは、東郷町にあるか。
(福祉部長)
町内には、デイサービスが6事業所、ショートステイが2施設あるが、専門的な対応ができるかは疑問。過去に若年性認知症の受け入れ事例は若干あるが、ノウハウがあるかどうか。若年性認知症の人専用のサービスはない。
(山下)
若年性認知症は40歳以下で発症することもあるが、40歳以下の若年性認知症の方は介護保険のサービスは使えるか。
(福祉部長)
40歳以下の方は介護保険の対象とならない。
(山下)
さきほど山内部長が答弁した若年性認知症の問題に、経済的な問題もあげられていた。一家の稼ぎ手である男性が若年性認知症になり、そのために仕事をやめた場合、一家の暮らしはいきなり困窮する。住宅ローンが残っていれば、なおさら。そうした場合に、少しでも経済的な支援を行えるよう、医療費の補助制度や障害年金の受給などが考えられる。
若年性認知症の方を支援するために、精神障害の支援制度を使うことはできるか。
(福祉部長)
障害者自立支援法などによる障害福祉サービスで対応できる。
(山下)
精神障害の支援制度や福祉サービスを使うためには、精神保健福祉手帳を申請して手帳が交付されないと受けられないが、病院で認知症という診断を受けていれば、認知症の方も精神保健福祉手帳が交付されるか。
(福祉部長)
精神科の医療機関および精神科のある総合医療機関で、医師に診断書を書いてもらえば、手帳の申請受付は福祉課で行っている。
(山下)
介護保険にくわしいケアマネジャーでも、若年性認知症の方の支援に精神障害の支援制度は使えないと、思いこんでいる方もいる。再度、確認しておきたいが、認知症と診断されれば、精神保健福祉手帳が交付されるということか。
(福祉部長)
はい。
(山下)
精神保健福祉手帳を交付されると、東郷町ではどんなサービスが受けられるか。
(福祉部長)
心身障害者扶助料の支給、タクシー料金助成、精神障害者通院医療費および精神障害者入院医療費助成などのサービスが受けられる。

②相談しやすい体制をつくるために
(山下)
認知症の介護をしている家族などに話を聞くと、医療費助成などの障害福祉支援も受けられるとは知られていない。認知症の方や家族が相談するのは、地域包括支援センターやケアマネジャーが多いが、精神保健福祉手帳の交付や障害者サービスを受けるための手続きは、地域包括でできるか。
(福祉部長)
地域包括支援センターではできない。役場の福祉課の窓口で手帳は交付している。
(山下)
東郷町では介護の窓口と、障害の窓口は別々ということか。東京都が行った「若年性認知症に関する区市町村相談窓口調査」の報告書によると、介護と障害の担当窓口で、お互いの管轄するサービスの説明が提供できているのは、10%前後にすぎない。
地域包括支援センターは高齢者の相談窓口で、精神障害の支援サービスにはくわしくない。役場の障害福祉の担当者は介護保険にくわしくない。であれば、障害福祉の担当者と地域包括の連携が必要では。
(福祉部長)
連携の必要性はそのとおりだ。地域包括支援センターと役場の福祉課が連携をとり、おちがない支援が必要であると思う。
(山下)
若年性認知症の支援には、障害福祉のほかに、医療費の補助制度や、雇用保険での傷病(しょうびょう)手当金、税金の還付、若年性認知症の方の子どもへの支援など、さまざまなものがある。それぞれ、役場の窓口はばらばらで、必要なサービスにつながるまで時間がかかる。千葉県で若年性認知症の方と家族に聞き取りした調査結果によれば、「窓口がひとつでないため、わかりにくく、一度の相談で必要な支援がすべて受けられるようなワンストップサービスが必要」とのことだった。
若年性認知症で困って役場に助けを求めてきた住人が、窓口でたらい回しにならないよう、一度の相談ですべてにつながるように、相談窓口を一本化できないか。
(福祉部長)
一本化は、なかなかすぐには難しい。しかし、相談にこられた方が、何の案内もされないというのはまずい。少なくとも、窓口で「この手続きは、お済みですか」と役場の職員から聞いて案内することができるようにしたい。
(山下)
1つあげるとしたら、若年性認知症の相談窓口はどこか。
(福祉部長)
どこが最適な相談窓口かというなら、地域包括支援センターである。
(山下)
大府市の認知症介護研究・研修大府センターで、若年性認知症専用の無料電話相談が、10月から始まった。大府センターに聞き取りに行ったところ、「もしかしたら自分はそうではないか」という本人からの相談や、職場の上司や同僚から「仕事ができなくなった」などの相談がたくさん寄せられているという。「相談があった場合は、相談者の住所から近くの地域包括支援センターの連絡先を伝えている」とのことなので、地域包括が若年性認知症の相談窓口と案内するのがいいと思う。
大府の無料電話相談と、東郷町の地域包括との連携はできないか。
(福祉部長)
大府市の認知症介護研究・研修大府センターは、全国でただ1カ所の若年性認知症の電話相談窓口であり、センターでは相談者の所在地の地域包括支援センターを紹介していることから、連携については研究していきたい。

(つづく)

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認知症予防のための回想法・病後児保育を実施か?!

山下りつこの一般質問、無事に終わりました。

前日の6日には、認知症の本人支援のセミナーに京都まで行ってきて。
帰ってから今日の一般質問の原稿にとりかかったために(若年性認知症支援の最新情報を勉強したものを、質問にとり入れたかったので、こんなに遅くに・・・)
原稿を書き上げたのが、夜中の3時半。
持参する資料の整理をしてから、4時すぎにベッドに入り・・・
7時に起きて、小学校前の横断歩道で、交通当番へ。
8時20分に交通当番を終えて自宅まで戻り、朝ご飯を大急ぎで食べてから、議会へ。
9時の開会10分前に、席に着席。
という慌ただしさの中、一般質問を迎えました。
わたしの順番は、6番目。3時40分からスタートでした。

今回の一般質問は
1.若年性認知症に対する早急な支援体制を
2.障がいがあっても自分らしく働ける支援を
3.一人もとりこぼしのない不登校への支援体制を

という3項目について、取り上げました。

原稿を書いていた時に、ある程度、予想はしていたのですが
1と2の質問に時間をとられすぎて、3の不登校への質問で、くわしくつっこむ時間がなくなってしまったのが、大きな反省点です。
どんな内容の質問をしたか、くわしい報告は、明日以降にしますね。

今日は、わたし以外に、5人の議員が一般質問をしました。
その中の行政答弁で、注目の発言が2つあったので、さっそく報告します。

○いこまい館の見直し方針について
有元議員に対して行われた企画部長の答弁で、いこまい館で診療所の移転を予定していたスペース(郷土資料館など)の利用について
「郷土資料館を生かして、認知症予防のための回想法を行うことについて検討している」
という発言がありました。

休み時間に、町長に確認したところ、
「いこまい館では、トレーニングジムで元気な人の健康作り、郷土資料館周辺のスペースで、介護予防に取り組みたいと考えている。介護予防には、回想法がいいのではないかと思っている」
とのこと。
郷土資料館での回想法は、わたしが前から提案していたことなので、実際にその方向に梶が切られることを素直に喜んでいます。

○診療所公営の意味
山田議員の一般質問の中で、健康部長と町長から
「東郷診療所で病後児保育に取り組んでいきたい」
という答弁がありました。
税金を投入して、町が診療所を運営する意味をはっきりさせるために、民間の小児科クリニックでは採算があわずに取り組めない、病児・病後児保育を行うことは、たいへん意味があると思います。

ただ、残念なのは、今回検討していると表明があったのが、病後児保育のみで、病児保育は入っていないこと。
まだ行うと決定したわけではないので、これからの取り組みを注視していきたいと思います。

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アラカン世代のあなたに贈る〜マイケアプランのすすめ

四日市市のボランティア団体「女夢(はばたき)」から依頼を受けて、「マイケアプランのすすめ」と題した連続講座を3回担当することになりました。

自分らしい老後の設計について考えたい方、マイケアプランに関心のある方は、よければおいでください。

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アラカン世代のあなたに贈る
 マイケアプランのすすめ

高齢期を自分らしく生きるために~暮らしのなかで必要なサービスを選んでいきたい~
そのためには介護保険サービスの利用も大切なポイントです。
ケアプランやプランを支える情報などについて学び高齢期の暮らしを考えます。

12月19日(土)10:00~12:00
 マイケアプランってなぁに
 講師 山下 律子さん 介護情報誌「ぬくぬく」編集人

1月16日(土)10:00~12:00
 ケアプランを作るために必要な地域・介護の情報収集
 講師 山下 律子さん

1月30日(土)10:00~12:00
 マイケアプランのすすめ(体験談)
 講師 山下 律子さん ほか

会 場  本町プラザ 2階 会議室
受講料  コースで1,200円
対 象  高齢期の暮らしを考えてみたい方、または
     介護やケアプランなどに関心のある方。
定 員  20名(先着順)
託 児  あり(無料 12月12日までに申込が必要です)
締 切  12月15日(火)

お申し込み・問い合わせ
四日市市男女共同参画センター(はもりあ四日市)
四日市市本町9-8  本町プラザ3F
Tel  354-8331  Fax  354-8339 
E-mail :kyoudousankaku@city.yokkaichi.mie.jp
企画・運営 女夢(はばたき)
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12月といえば

12月といえば
12月といえば
写真は、名古屋駅前のイルミネーション。
12月の定番風景となりましたね。
今年は四季の風景が移り変わる様子が電飾で描かれているのですが、最後の方でサンタクロースが登場します。
(サンタが登場している場面を撮したのですが、わかりますか?)

12月は、もう1年が終わるのか、という思いを抱くのですが、年を取って、ますますそんな感慨を覚えるようになってきました。
年の瀬の慌ただしさは、議員になってからは、ますます加速しているようで。
毎日、休みなく、過ぎていきます。

近況報告をかねて、これからの予定を少し。
さきごろのブログで「議員年金を廃止すべし」と書きましたが、明日、地方議員年金廃止をめざして、「地方議員年金を廃止する市民と議員の会(仮称)」の発足総会が開かれます。

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(仮称)地方議員年金を廃止する議員と市民の会
結成総会のご案内

以下の要領で、地方議員年金を廃止する議員と市民の会の結成総会を行います。お忙しいとは存じますが、ご出席をお願いします。

●日 時   2009年12月6日(日) 18時~20時30分
●場 所   新宿区戸塚出張所 地下A会議室
●議 題   (1)会の名称・目的・規約・人事の確定、(2)活動内容、(3)申入書(総務省及び、3議会共済会を予定)の作成と確定、(4)その他、
●会場:住所 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1丁目17番20号
交通:JR高田馬場駅から徒歩約5分、地下鉄東西線高田馬場駅7番出口から徒歩約2分
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わたしは、明日、認知症・本人ネットワーク 支援者養成研修に出るために、京都へ行っており、残念ながら上記の総会には出席できないのですが、「地方議会議員年金を廃止に関する要望」については事前に目を通し、賛同人として名前を連ねることにしました。

ちなみに、わたしが参加する「認知症・本人ネットワーク支援者養成研修」については、こちらをご参照ください。

認知症の本人同士が意見交換や、経験を共有できる場は、とても大切です。
できれば、東郷町でも、認知症で苦しむ当事者自身が語れる場を作ることができないかという思いで、支援者養成研修に参加することにしました。
くわしくは、戻ってからブログで報告しますね。
(ただ、翌日の7日に一般質問を行いますので、明日の夜はその準備で手一杯。報告が遅れると思いますので、お許しください)

ということで、明日は6時に家を出て、京都に行ってきます。

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小牧市内の住宅型有料老人ホーム訪問記/風の家、ボンセジュール小牧

小牧市内には、住宅型有料老人ホームが3箇所あります。
そのうち、「サントピア小牧」はアンケートと訪問調査に応じてくれたのですが、「風の家」と「ボンセジュール小牧」は、アンケートへの回答がありませんでした。

アンケート回答がなかった施設についても、訪問してパンフレットと重要事項説明書をもらいに行くことにしています。(その時に見学もお願いして、できれば中を見てきます)

というわけで、アンケート回答がなかった2施設も、午後から訪問してきました。
どんな様子だったか、訪問順に報告します。

【風の家】
民家を改築した住宅型有料老人ホームで、入居定員は6人。
場所がかなりわかりにくくて、電話で聞きながら行ったのですが、大通りから細い道を中に入っていって、里山のような森(?)の中にありました。
すぐ手前に、認知症高齢者のグループホーム「安心樹(やすらぎ)」があります。
運営主体は、このグループホームを運営している「介護支援センターやすらぎ」です。

50代の落ち着いた男性(施設長さん)が、電話の時から対応してくださったのですが、その話によると、「風の家」はつい最近、運営主体が変わったそうで、そのためにアンケートの回答がなかったよう。
(前は個人の方が「見守りつき住宅」として運営していたそうです)
改めて、アンケートに協力いただけるよう、お願いしました。

風の家は、もとが普通の家ですから、中は家庭的な雰囲気。
キッチンとつながった居間に通されましたが、キッチンで食事を作る香りがしてきて、ただ座っているだけで、くろげる雰囲気だと感じました。
2階建てですが、災害時に2階からも車いすで避難できるよう、2階からゆるやかなスロープが外につながっています。

入居の条件は、要介護1以上であること。
年齢制限は特になく、若年性認知症の方も受け入れるという話でした。
いま入っている入居者6人は、すべて要介護4・5の重度の方ばかり。
経管栄養の人も入居しているということでした。

居間に、車椅子の入居者さんがいらっしゃって、食事介助の様子も見ることができたのですが、とろみをつけて食べやすくした食事(ふつうに家で食べるようなメニュー。この日は、食べやすく小さめにした鶏の唐揚げ、野菜のあんかけ、コーンスープ、ご飯でした)を、介護スタッフが横に座って、ゆっくり口に運んで食べてもらっていました。
こうしたゆったりした介護ができるのは、入居者が6人と少ないわりに、介護スタッフが多いから。
夜間もスタッフが1人泊まって、24時間で介護しています。
(特別養護老人ホームだと、夜間は20〜30人にスタッフ1人ですから、比較すると手厚さがわかります)

居室はプライバシーの関係から見ていませんが、居室内にはミニキッチン、冷蔵庫、洗面、収納、テレビがあって、電話の設置もできるとのこと。
トイレは共用部分にあります。

金額は
○入居一時金
 100万円(3ヶ月以内は全額返却、3ヶ月後は、1〜7ヶ月まで10万円、8〜12ヶ月まで6万円ごと償却)
○月々の利用料
 18万2千円(家賃6万円、食費4万5千円、水道光熱費1万5千円、日用品費2千円、管理費6千円) + 介護保険の自己負担分(1割)

運営しているシルバーサービス株式会社は、ヘルパーステーションやケアプランセンターも持っていますが、ケアマネジャーは前からのケアマネさんでもいいとのこと。
ヘルパー事業所も、自社だけでなく、ほかからも自由に選べるというお話でした。


【ボンセジュール小牧】
最後に、訪問したのが、ここボンセジュール小牧。
ですが、残念ながら、施設長さんにお会いすることも、中の見学もお許しいただけませんでした。
(施設内に施設長はいらっしゃったのですが、受付で名刺を出して訪問の主旨を話し、取り次いでもらった結果は、「お断り」。見学も「お断り」という、残念な結果でした)

パンフレットのほかに、重要事項説明書も受け取りたいと申し出たのに、「いったい何に使うんですか?」と言って、すぐには渡してくれなかったりと、情報公開に対しては非常に消極的な施設のようです。
(重要事項説明書は、希望者に手渡すように県の監査が指導しています。渡さない場合は、監査時に指導対象となります)

というわけで、見ることができたのは、外観のみ。
大型の高級マンションといった、堂々とした外観で、ちょっと圧倒されました。

ここからは、重要事項説明書からの施設概要です。

開設/平成20年10月1日
構造/鉄骨鉄筋コンクリート造地上10階建て
総戸数/123戸
定員/130名(夫婦室7部屋)
居室面積/23.2〜72.95㎡

一般居室と介護居室があり、介護が必要になった場合は、介護居室に住み替えをするようです。

気になったのは、開設後1年たっているのに、入居率が23.1%しかないこと。
今年の8月1日時点で
 自立…8人、要支援1…1人、要支援2…5人、要介護1…3人、要介護2…2人、要介護3…6人、要介護4…3人、要介護5…1人

利用金額は
○入居一時金
 一般居室/1人入居…800〜820万円、2人入居…2280〜2390万円
 介護居室/1人入居…539〜631万円、2人入居…1080〜1110万円
○月々の利用料
 一般居室…10万9680円〜22万9080円(管理費5万7750円、食費5万1930円、家賃0〜11万9400円)
 介護居室/13万680円〜20万9380円(管理費7万8750円、食費5万1930円、家賃0〜7万8700円)

入居一時金が高額なのに、介護が必要になったら、介護居室に住み替えを求められるというのが、一番気になります。
介護居室に移ると、部屋は狭くなりますし、中に備え付けてある設備も変わります。
何より、引っ越し(環境の変化)は高齢者にとってダメージとなります。
自宅として入る住宅型有料老人ホームなのに、なぜ居室替えが必要になるのか、不思議でなりません。

今回は話を聞くことはおろか、見学もさせてもらえませんでしたが、また機会を見つけてお願いしてみようと思います。


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小牧市内の住宅型有料老人ホーム訪問記/サントピア小牧

介護施設と地域を結ぶ市民の会では、愛知県内の住宅型有料老人ホームの訪問調査に取り組んでいます。

訪問は基本的に2人1組で。
訪問希望が重なった場合は、3人で訪問することもあります。
今日は、小牧市内にある住宅型有料老人ホーム(全部で3箇所あります)を訪問しました。
訪れた順番に、紹介しますね。

【サントピア小牧】
訪問調査の前段階として、県内にあるすべての住宅型有料老人ホームに、アンケートを送っています。
サントピア小牧は、このアンケートに回答して返送してくれ、なおかつ、施設長との面談もOKしてくれた、情報公開に前向きな施設です。

開設した母体は、介護センターはなたば。
訪問介護、訪問入浴、デイサービスのほかに、介護付有料老人ホーム(春日井市・サントピア勝川)、高齢者専用賃貸住宅(小牧市・サン小牧)も運営しています。

サントピア小牧は、住宅型有料老人ホームです。
2階建て、定員27人の小さめな施設。
入居条件は60歳以上、要介護の人のみ。元気な自立している高齢者や要支援では入れません。
医療行為が必要な場合、在宅酸素、インシュリン、人工透析は対応できますが、経管栄養や痰の吸引は今のところ受け入れていないとのこと。

部屋はすべて個室で、18.3㎡と小さめ。
居室内にはトイレ、洗面(ドアではなく、カーテンで仕切って居室内にある)があり、介護ベッドはレンタルできます。
エアコン、照明器具、カーテンはついています。
緊急通報用のボタンと、スプリンクラーも居室内にあります。
(安全確認のため、見回りは頻回に行っているとのことです)
収納用の家具類はなにも備え付けていません。「自宅で使い慣れた家具を持ち込んで欲しい」というお話でした。
冷蔵庫やテレビの持ち込みはできますが、専用の電話回線は引けません。

共有スペースは1階の食堂のみ。
食事は厨房スタッフが3食作ります。
食費は1日1720円。一食ごとに注文でという形ではないため、外食や出前、自分で作るという選択は基本的にありません。
お風呂は、月、水、金の週3回の固定。
毎日入りたくても、入浴日は固定で個別対応はなし。
浴槽は、個浴が2つ(ひとつは檜風呂)と、寝たまま入れる機械浴があります。
外出も個別の希望には対応しておらず、生活の楽しみというよりは、介護に特化した施設という印象を受けました。

入居者の平均要介護度は、2〜3。
認知症の入居者が多いとか。
2階の階段は閉鎖(スタッフのみ使用)。エレベーターのみ使用するとのこと。
話の中では、「基本的に玄関の施錠はしない。玄関付近に介護スタッフがいない時だけ、鍵をかける時もある」と聞きましたが、実際に帰りに玄関に行くと、中扉に鍵がかかっていました。

対応してくださったのは、25歳という若い男性の施設長さん。
(かなりのイケメンで、施設内をぐるっと一緒に回った時に、入居者のおばあちゃんたちと笑顔で話す様子が、とてもいい雰囲気でした。)
前職は、介護センターはなたばの訪問入浴を担当していたとのこと。
食事やお風呂を楽しんでもらうことを重視していると話してくれました。

気になる金額ですが
○入居時
 32万円(入居契約事務費20万円、敷金12万円)
○月々の費用
 15万5千円(家賃6万円、管理費4万5千円、食費5万円)+介護保険利用料の1割

住宅型有料老人ホームの場合、自宅で介護を受けるのと同じように、ケアマネジャーが個別のケアプランを作って、必要なヘルパーやデイサービスなどを使えるように支援するのですが、どうしても要介護度が高くなれば、限度額を超えてしまいます。
自宅の場合は、この超えた分の介護を家族が担っているので、この施設では超えた分がさらに追加料金になるのかと聞いてみましたが、超えた分はスタッフが無償で介護しているとのこと。
そのかわり、ケアマネジャーも使う介護サービス事業所も、サントピア小牧で指定している自社のものを使うことが条件となります。

利用する人にとっては、費用負担が少なくて済むのでいいようにみえますが、介護保険制度の基本である、選択の自由がなくなるわけですから、問題だと思います。

サントピア小牧の場合、実態は介護付き有料老人ホームですから、「住宅型」でなく「介護付」で県に登録する方がわかりやすいのにと思いました。
施設長さんによれば、「住宅型にしたのは、小牧市の意向から」とのこと。
施設でなく、在宅を重視したいという市の方針で、住宅型にしたという説明でしたが、なんとなく腑に落ちません。

在宅で、ということであれば、施設内(同一法人内)で介護サービスを丸抱えにするのでなく、入居者ひとりひとりの希望にそって、自由に介護サービス事業者を選べるようにすべきです。
こうした「見かけだけ」住宅、実質は「介護施設」という住宅型有料老人ホームは、ここだけではありませんが、住宅型有料老人ホームにすると介護の中身については、市や県の指導監査が入らないのが、一番の問題。
介護サービスが一律固定されている住宅型有料老人ホームは、「介護付」として登録しなおし、情報の公表制度や、行政の指導監査がきちんと入るようにできないものかと思いました。

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東郷町職員・議員のボーナスカットが決定

議会初日の昨日、東郷町役場の職員、町長・副町長・教育長、議員のボーナスカットなどを提案した4議案が、可決されました。

今回のボーナス削減は、国の人事院勧告に準じたもの。
議員のボーナス(期末手当)削減額は、6月と12月をあわせた1年分で、約10万2千円。
議員20人全員の分を合計すると、年間210万1060円削減されます。

東郷町議会では、半年前に議員提案で、議員報酬7%カットをすでに行っていますので
今回のボーナス削減で、さらに議員報酬が減ることに。
それでも、ほぼ全員賛成で議員の報酬削減が決まったことは、たいへんよかったと思います。
(山口議員は、反対でした)
ボーナス削減は、条例の改正で行いましたので、今後ずっと削減が続くことになります。

景気が悪くなって、税収も減っている以上、役場職員および議員の報酬削減はやむをえぬことと考えます。
職員のボーナス削減については、「優秀な人材が就職しようとしなくなるのではないか」などの理由で反対した議員が3人いましたが、賛成多数で可決。わたしは削減に賛成しました。

【地方議員年金については、廃止の意見も含めて県に提出】
議会終了後、全体会議で地方議員年金制度についての意見を県に提出する件について、議長から報告がありました。

「意見がある人は個別に文書で提出」ということになっていたのですが、5〜6人が意見を提出したとのこと。
東郷町議会の意見としては、それらの意見を列記する形で、県に提出したそうです。

ちなみに、提出した意見は以下のとおり。
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・現行制度の枠内での見直しではなく、抜本的な改革が必要と考える。
 →市町村議員の制度と都道府県の制度との合併による制度存続や、廃止する場合も給付資格を他の制度に引き継がせることを検討することが必要では。

・議員年金は廃止すべきである。
 →地方議員の収入は報酬であり、給料ではないため、退職後の生活を保障する必要はない。

・基本的には本制度への入退会は自由であるべきだ。

・都道府県、市、町村も含めた制度とする。無理であれば廃止。ただし、経過措置は必要。

・税金投入なしで存続できない地方議員年金は廃止すべき。

・議員だけが優遇される制度は認められない。

・制度の廃止は生活保障ができず、安心して議員活動ができない。

・遺族年金については大いに検討し、現職議員の負担を軽減されたい。

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