« 政治倫理審査会の報告は議会だよりに掲載されないことになりました | トップページ | 若年性認知症専用のデイサービス〜ルミナス大府で研究事業 »

看取りまで行う特養ホームで経管栄養の入居を拒むのはなぜ?

25日(日)にあった「寝たきり老人アパート問題」を考えるシンポジウム。
ブログで、「遅れていったら、資料をもらえませんでした」と書いたのを見てくださったのか、すぐに主催者からメールで資料が届きました。
(すばやい対応、ありがとうございました)

資料がかなりのボリュームだったので、何回かに分けて、報告および考察を書く予定ですが、26日に取材で訪れた愛知県西尾市の特養ホームについて、まず書きたいと思います。

西尾市の特養ホーム「せんねん村」については、前に「ソフト食体験記」でも取り上げました。

せんねん村は、「死ぬまで口からおいしく食べる」支援のために、誤嚥性肺炎の危険が高いきざみ食を廃止し、独自のソフト食を開発し、厨房スタッフが各ユニットで仕上げて食事提供をしている施設です。
終の棲家として、本人・家族の希望があれば、施設での看取りも積極的に行っています。

取材の中で、経管栄養の人しか入居できない(口から食べる人はおことわりの)「寝たきり高齢者専用賃貸住宅」があるという話になったのですが。
そもそも「経管栄養になると特養ホームから入居をことわられる」ということに対して、「それはなぜ? うちの施設では経管栄養だからとことわることはしません」という答えが返ってきました。

25日のシンポジウムでは、「特養ホームに入居していた人が入院して経管栄養になったら、契約解除で退去してもらう」という話が出ていたのですが、施設によって本当に姿勢がさまざまのようです。

せんねん村では、入居者が入院して経管栄養になっても、ちゃんと戻れるようにしているそうです。
「経管栄養(鼻腔栄養、胃ろう)になった」という報告が病院からあると、せんねん村の看護師が病院に行って、本当に口から食べることはできないのか、言語聴覚士に確認します。
病院によっては、嚥下障害がなくても、意欲低下などで食事の摂取ができない場合にも、栄養補給の確保のために経管栄養にするケースもあるそうで、そういった場合には、退院してせんねん村に帰ってきたら、ゆっくり時間をかけて口から食べてもらう介護をすることで、管は抜けます。
また経管栄養での栄養補給が必要な人にも、様子を見ながら嚥下の訓練を行い、口からゼリーを食べてもらうなどして、口から食べる楽しみを失わないように介護していると聞きました。
また入居者だけでなく、新規の入居でも、経管栄養の人の受け入れを行っています。
「困っている人を助けるのが、特養の役割だから」と話す施設長の姿勢に、すべての特養ホームが同じ姿勢で運営してくれれば、寝たきり老人アパートに入らなくてもすむのにとため息が出ました。

経管栄養だから、介護難民になるのはしかたがないのでしょうか?
そもそも、経管栄養が本当に必要だったのでしょうか。
病院が介護(食事介助)の手間をはぶくために、安易に経管栄誉にしていることはないでしょうか。
そして
経管栄養になったとしても、
管を抜いて口から食べるためのリハビリをすることはできないのでしょうか。
(リハビリ病院でなくても、せんねん村のように、特養ホームで努力をしている実例もあります)

特養ホームは生活の場。
看護師は入居者100人に対して3人という最低基準しか、配置されていません。
痰の吸引や胃ろうの栄養補給は、医療行為ですから、看護師にしかできません。
だから、「経管栄養は医療行為だから、特養ホームでは行えません。退去してもらいます」という施設があるわけです。

一方、特養ホームは終の棲家として、看取りまですることが期待されています。
そのため、厚生労働省は国のモデルケースとして、介護職員が看護師の指導のもとで、痰の吸引や胃ろうの介助をすることを始めています。

モデルケースの施行は、来年はじめまで行われると聞いていますが、経管栄養の人の入居が特養ホームに拒まれることがないよう、改めるべきものは改めていかなければと思います。

|

« 政治倫理審査会の報告は議会だよりに掲載されないことになりました | トップページ | 若年性認知症専用のデイサービス〜ルミナス大府で研究事業 »

介護ライターの独り言」カテゴリの記事

コメント

医療法人系の特養ですが利用者が少し嚥下できなくなった途端、NSから家族長女の元へ「胃ろうにしていいですか?」と電話があり、この長女さんは「もう何もしなくていいです」と答えたところ、県外に住む弟さんにも電話があり無理やりに近い形で胃ろうの承諾を受け、母体病院で胃ろうの手術を受け特養には何とか帰ってきたけど・・と長女さんが呆れて言ってみえました。母体が病院の場合は胃ろうの点数も取れますしね、そういう絡みだとは思うんですが。本人は認知症の重度です。同じ認知の旦那さん(入院中・意識混濁)がやはり嚥下できなくなって、医師が人口呼吸器、胃ろうを進めたそうです。妻は一瞬(もう何も・・)と思ったそうですが、病院側が「退院したら介護施設に入れますよ」と言ってくれたので手術を受けたそうです。その後退院して介護申請しケアマネが付き、介護施設を探して欲しいと伝えたら「この地域では新規入所の人で医療行為の人が入れる施設はどこもないんですよ」と四方八方手を尽くしてくれたそうですが結局在宅で夫を見るしかなくなった・とため息まじりで話してみえました。病院側の手に乗るな!と私は周囲に啓発していますが、その立場にならないと分かろうとしないのが家族のようです。こうしてどんどん財源が無くなっていく。知識不足と観念不足です。金がないなら家で看よ、預けるのなら金を出せ、こういう図式がどうしても国民には分からないようで。ただで誰かが何とかしてくれると思っている人がまだまだ多いですね。とは言え、これからの財源不足をどう補ってゆくのでしょうね。

投稿: みかん | 2009年11月12日 (木) 09時55分

みかんさま

お返事が遅くなりました。ごめんなさい。

胃ろうをめぐる介護の実態を報告いただき、ありがとうございました。
病院系の特養ホームでは、施設のナースが胃ろうを勧めることがあるんですね。
「胃ろうは延命治療である」という認識がほとんどないのが、そもそもの問題」と、取材先で聞きました。
医師は胃ろうをつけた後の生活をほとんど知りませんし、胃ろうが介護施設への入居を阻んでいることも知らないで、気軽に胃ろうをすすめているのだろうと推測します。

胃ろうをつけられる本人が、(要するに、いまのお年寄りが)、自分で考えて「胃ろうはいやだ」というしかないのでしょうね。
家族もきちんと認識する必要はあると思いますが。

意識もなく、寝たきりで胃ろうをつけて、何年も何年も生き続ける。
よろこぶのは、本人? 家族?
それとも・・・、医療費が定期的に入る病院でしょうか?
人任せにしないで、真剣に考えなければいけないと思います。

投稿: 山下りつこ | 2009年11月15日 (日) 00時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/215645/46594050

この記事へのトラックバック一覧です: 看取りまで行う特養ホームで経管栄養の入居を拒むのはなぜ?:

« 政治倫理審査会の報告は議会だよりに掲載されないことになりました | トップページ | 若年性認知症専用のデイサービス〜ルミナス大府で研究事業 »