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生活保護を食い物にする「貧困ビジネス」を許すな

火災で何人もの高齢者が命をおとした、群馬県渋川市の高齢者向け住宅・静養ホームたまゆら。
この「たまゆら」が、生活保護受給者を対象にした無届け施設だったことから、生活保護を受けている高齢者を狙った「貧困ビジネスの温床」となっている無届け施設について、厚生労働省が実態調査を行っています。

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「貧困ビジネス温床」生活保護者の宿泊施設、実態調査
 http://www.asahi.com/national/update/0415/TKY200904150142.html

 生活保護を受ける若者や高齢者らに食事や寝場所を提供する共同宿泊施設について、厚生労働省が初の実態調査に乗り出した。劣悪な環境に住まわせて保護費のほとんどを利用料などとして受け取ったり、有料老人ホームなどで法的に必要な届け出をしなかったりする施設があり、「受給者を狙った貧困ビジネスの温床」という指摘もある。

 厚労省によると、実態を把握し、生活保護費の住宅扶助の支給方法の見直しも含め対策を講じるのが狙い。調査対象は、生活保護受給者や高齢者、ホームレスらを対象にした法的位置づけのない民間の施設や共同住宅、高齢者専用賃貸住宅などで、支援状況について確認する。

 調査内容は、要介護高齢者、ホームレスなどどんな人を対象にした施設か、個室面積・複数人部屋の定員数など住環境はどうか。また、1カ月の利用料金や食事の提供の有無、入居者の金の管理方法など。

 火災が起きた群馬県渋川市の高齢者向け住宅・静養ホームたまゆらも、こうした生活保護受給者を対象にした無届け施設。厚労省の緊急調査で無届けの有料老人ホームは579カ所にのぼることが分かったが、生活保護の受給者を対象にした施設全体の実態は把握できていないという。

(asahi.com 朝日新聞/2009年4月15日15時6分)
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今日の新聞で、生活保護受給者に宿泊施設をあっせんする複数の事業者が、不当に高い家賃や食費などを徴収しているとして、全国の弁護士らが刑事・民事の両方で法的措置に踏み切るという記事が掲載されていました。
まだホームページに掲載されていないようなので、以下に転載します。

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貧困ビジネス 生活保護費「食い物」
利用料「不当に高額」
 生活保護の受給者を囲い込み、保護費を吸い上げる「貧困ビジネス」の実態が、ようやく見えてきた。各地で被害が相次ぐ宿泊施設は、不明朗な金銭管理が疑われ、「自立支援とは無縁」との指摘もある。刑事告訴や民事訴訟の動きが加速する中、自治体のチェックは追いつかず、改善策は思うように進んでいない。

2畳半の部屋、家賃4万7千円
 9月23日、埼玉県川口市のJR川口駅近くのビル。弁護士らが開いた相談会で、元日雇い労働者の男性(53)が切実な声を上げた。「許せない」。支援団体が民事訴訟の手続きを進めている1人だ。

 昨年5月、東京都内の公園で顔見知りの路上生活者に声をかけられた。「寝泊まりができるし、小遣いもくれるそうだ」。その事業者は県内で無届け施設を運営し、ほかに入所者が約60人いた。申し込むと、生活保護の申請を促され、月約13万円の保護費支給が決まった。

 2畳半ほどの部屋の家賃は約4万7千円。食堂で取る食事は、朝がご飯と味噌汁に漬物で、夜はレトルト食品が中心だった。支給日になると施設の職員が市役所まで付き添い、封筒ごと保護費を管理。そこから生活費として週6千円が渡された。とても自立できず、今年8月に退去した。

 生活保護は住居があれば受けられるが、無断で退去すれば止められてしまう。そんな入所者の弱みにつけこんだビジネスがはびこる。

 元路上生活者の大阪市の男性(51)も1月末、鍵を置いて部屋を立ち去った。4年前、NPO法人を名乗る団体の勧めに従い、生活保護を申請。古びたアパートに入った。4畳で家賃4万2千円。1日2回配達される弁当は揚げ物が多く、夏は異臭を放った。弁当代とテレビ・布団類の使用料として、さらに月約5万円請求された。

 保護費の支給日には集金の職員が来るが、領収書はない。月3万円だけ渡され、昼食や日用品、光熱費にあてると、ハローワークまでの交通費も欠いた。再び路上生活に戻り、就職先を探す。「最初の親身な対応にだまされてしまった」。悔いだけが残る。

 名古屋市内に宿泊所を持つ事業者が市に提出した資料によると、3事業者15施設(07年度)で、総定員526人の4割にあたる213人が1年間で無断退所した。退所者に占める無断退所者の割合は平均約47%だ。

 自立支援で実績のある施設は家賃以外は徴収せず、金銭管理を入所者に任せている。入所者の救済に取り組むNPO法人「ほっとポット」(さいたま市)の藤田孝典・代表理事は「無料低額宿泊所をうたいながら、実際は無料でも低額でもない。利用料は常識外れに高く、とても福祉事業とは言えない」と批判する。

愛知にも宿泊所 劣悪な環境も
 こうした施設は東京や大阪、名古屋、福岡など都市部に集中する。

 愛知県内には、県と名古屋市に届けられた分だけで、同市を中心に15の宿泊所がある(08年度)。運営する3事業者のうち、2つは関東方面から進出したNPO法人と任意団体だ。法人登記簿によると、NPO法人の代表は横浜市で不動産会社を営む。

 宿泊所の大半は定員20〜30人だが、約160人の大規模施設もある。土地・建物の登記簿によると、施設の多くは使われなくなった社員寮などを転用していて、所有者は運営主体と異なる。賃貸契約で運営しているとみられる。

 全国的にみると、部屋の広さや築年数を問わず、家賃は保護費に含まれる住宅扶助費(3万〜5万円)の上限に設定するのが通例。ベニヤ板で仕切った部屋に複数の入所者を収容する施設まである。無届けの施設も多く、入所者の生活実態をケースワーカーが把握しきれていないとみられてる。

 厚生労働省の速報値(5月末現在)によると、生活保護の支給が決まった人は、前年同月比で17ヶ月連続の増加。全国で約168万人が受給している。これに比例して無料低額宿泊所も増え続け、厚労省の調査では、全国415カ所に約1万3千人が入所している(昨年6月末現在)。

 入所者と事業者のトラブルが相次いで発覚し、自治体は対応を迫られている。

 大阪市は9月、市長をトップとするプロジェクトチームを発足させ、調査に乗り出した結果、市内に88カ所の無届け施設があり、全国最多の約1200人が入所していることを確認した。ただ、担当者は「3畳1間で家賃4万2千円。こんな契約は不当だが、届けがなければ指導の権限がない」。千葉、さいたま両市は入所者に無断で口座管理していた一部の施設に対し、財産権侵害の疑いがあると改善を求めたが、解決には至っていない。

(朝日新聞/2009年10月4日朝刊)
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生活保護受給者のうち、約半数が高齢者です。
平成19年度は、1,105,275世帯/月のうち497,665世帯/月(45.0%)が65歳以上の世帯。
生活保護をねらった貧困ビジネスの被害者も、高齢者の割合が高いのではないかと心配しています。

新聞記事でコメントを寄せている人は、自力で逃げ出した人ですから、高齢でなんらかの介護が必要な生活保護受給者の場合は、あきらめて劣悪な環境の中に閉じこめられているのではないかという不安もあります。

こうした貧困ビジネスに行政がなかなか介入・解決できないでいるのですが、「無届・無料低額宿泊所問題弁護団」など、弁護士らが全国で立ち上がり、支援のネットワークをつくろうという動きが出ていることが救いです。
愛知県の事業者も、弁護士らの法的措置の対象に入っているようです。
人権が守られない事態を解消できるよう、こうした動きを支援していきたいと思っています。

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