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長野県が不登校の数を市郡別に公表

長野県の温泉で泊まった日の翌日、信濃毎日新聞が宿泊した部屋に届きました。
で、その新聞で見つけたのが、長野県教育委員会が、不登校児童・生徒の数と割合を市郡別に公表したという報道。
記者会見は9月10日にあったようですが、それを受けての考察記事が目を引きました。

まずは、記者会見後の翌日の報道を紹介。
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県教委、市郡別に不登校数公表 (中日新聞2009年9月11日)

 県内の不登校児童生徒の割合が全国に比べて高い現状を改善するため、県教育委員会は10日、市郡別の不登校児童生徒数と割合を公表した。市町村教委と合同での「県不登校対策検討委員会(仮称)」の設置も決めた。矢崎和広教育委員長は「通学したい子が大多数だと思う。必ず結果を出す」と、不登校の減少に向けて意欲を示した。
 文部科学省の調査によると、2008年度の県内の不登校児童の割合は0・5%。全国平均は0・32%で、県内は最も割合が高かった。中学生も3・22%(全国は2・89%)で、高い方から5番目だった。
 こうした状況を受けて県教委は「県だけでなく、各市町村が現状を比較し、連携しないと問題は解決できない」として、過去11年間の不登校人数の推移を市郡別に公表。行政と教育機関、地元住民らの協力を求めた。
 不登校率が全国平均を下回ったのは、県内19市のうち小学校で4市、中学校で5市だけで、県教委心の支援室の町田暁世室長は「数字から地域差は読み取れない。各市の施策から学ぶものがあるはずだ」と推測する。
 さらに「欠席が週に3回程度までなら学校でも対応できる。しかし、それ以上になると、家庭環境が影響する場合も多く、支援の形を変えないといけない」と指摘。福祉施設や医療機関との連携も必要だとしている。
 「県不登校対策検討委員会(仮称)」は、県内6市町村教委の代表者と、山口利幸教育長ら計12人で構成。16日から毎月開催し、課題や対策を論じ合う。個々の問題に対しては、教諭や住民らを交えた作業部会も設ける。
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信濃毎日新聞に、県教委の市郡別公表に対する考察記事が掲載されていたのですが、ネット上では見つからなかったので、手元の新聞記事を以下に転載します。

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不登校 数の向こうに
県教委の市郡別公表

 県教委が昨年度までの不登校児童・生徒の数(11年間)と割合(3年間)を市郡別に公表した10日の定例会。矢崎和宏教育委員長は「あえての公表だ」と強調した。これまで、特定の学校や地域に偏見が生まれるとして公表を控えてきた数値。矢崎教育委員長は「各市町村の教育委員会だけでなく、保護者や教員が現状を知り、しっかりと問題意識を持つきっかけになる」と意義を訴えた。
 「今回、県内での位置が初めてわかった市町村もあるのではないか」。降籏志郎・清泉女学院大学教授は数値公表を評価する。「減っている地域があることも分かった。その取り組みを共有し、県全体の対策の底上げにつなげようとする県教委の意図は理解できる」
 降籏教授は、塩尻市教委や小学校長、保育園長、NPOで組織する「塩尻市元気っ子応援協議会」の委員の1人。同市では、「発達障害と診断された」「家庭に問題がある」といった子どもの情報を、同協議会を通じて保育園と小学校が共有。そのため、入学する段階で小学校の教員が配慮を必要とする子どもを把握し、対応するという。
 同市は、小学校の不登校児童の在籍比(全校にしめる不登校児童の割合)が県内の市郡別で最も低い0.21%。2006年度の0.55%からも下がっている。降籏教授は「そうした取り組みの成果ではないか」とみる。
 県教委が16日、県庁で開いた県不登校対策検討委員会の初会合でも、保育園、小中学校、高校までの連携が論点の1つになった。委員長を務める県教委の山口利幸教育長は「3歳から18歳まで、どのような子どもを育てたいか。各市町村教委がしっかりとコンセプトを持たなくてはいけない」と、学校間の連携の確認を市町村教委に促した。

現状知る機会 数値競争拍車の懸念も
 半面、数値が取りざたされることで、当事者を追い詰める風潮にならないかという懸念も強い。
 不登校の子どもや家族を支援する長野市の団体「ブルースカイ」代表で、長男の不登校を経験した松田恵子さん(58)=長野市松代温泉=は「学校に行くことだけが人生ではない。数値減を念頭に置くのはやめてほしい」と求める。「不登校への対応でうつになって辞める先生もいる。子どもを無理に学校に戻そうとするのは、先生にも生徒にも良くない」
 県内のある中学校長は「成果を挙げているところの取り組みを習おうとすることはできる」とする一方、「数字だけを競うようになれば、不登校の子どもとその家庭が非難の的になりかねない」と危惧した。生徒の7割が不登校経験者という県内の高校定時制の男性教諭(57)は「不登校の原因を教員の指導力不足に求める風潮になると、担任教員が全部しょい込んで行き場がなくなってしまいかもしれない」と懸念する。

当事者含め広く議論を
県教委の検討委員会の委員は、県内6市村の教育委員長、教育長6人と県教委幹部の計12人。初会合では「現場では不登校児童生徒の声に耳を傾け、われわれは現場からの声に耳を傾けなければならない」(飯田市教委の牧野欽治教育委員長)、「不登校で保護者や担任がパニックにならないように、『子どもにも休みが必要なんですよ』と声をかけるような、寄り添う姿勢も大事」(長野市教委の小泉敬治教育委員長)などの声も上がった。
 今後、不登校経験者や支援者らから意見を聞く場を設ける方針だ。松田さんも、検討委員会に「不登校経験者やその保護者の話を聞く機会をつくってほしい。学校外でも不登校を広く受け止める社会づくりを目指してほしい」と望む。
 当事者たちは日々、不登校と向き合っている。県内の高校通信制の男性教諭は「県内の中学校や高校は3年間クラス替えがない場合が多い。学校でこじれた人間関係がリセットできないことも、不登校の原因の1つではないか」と、県外では一般的なクラス替えを提案する。
 教え子で中学校時代に不登校を経験した4年女子生徒(19)は「クラス替えがあれば、登校する1つのきっかけになったかもしれない」と話す。一方で、高校定時制3年の女子生徒は「クラス替えがあったら登校していた可能性もある。けれど、やっぱり不登校だったかも。分からない」という。
 県教委が「苦渋の決断」(山口教育長)として踏み切った数値公表。数値を下げることは目的ではなく、あくまで議論を生むきっかけだ。生かすには、教育の現場から行政までの幅広い議論が求められる。

(信濃毎日新聞 2009年9月20日)
-------------------------(引用ここまで)---------------------

先日の総務委員会で、不登校への対応について質疑したのですが、東郷町でも中学生の不登校が増えているそうです。
学校に行くことだけが最善の道ではないとは思いますが、不登校となった子どもたちに向き合い、その悩みや将来について一緒に考え、豊かに生きる支援を行う体制が必要だと思っています。

どんな支援が求められているかを、今後の課題として当事者と一緒に考えていきたいと思います。

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コメント

突然失礼ですが、不登校でお悩みの皆様に、ぜひお読みいただきたい本があります。
「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望著 日新報道社)です。
学校カリキュラムや指導方法のデタラメ、教育行政の腐敗を明らかにするとともに、新しい時代の教育について考察した本です。題名も内容も衝撃的ですので躊躇されると思いますが、是非とも読むべき本であると思います。
 不登校、引きこもり、ニート、自殺者を作ってしまう誤った教育、その仕組みがよく分かります。日本社会の歪みも、ハッキリと理解できます。
 さらに、是非、教員や教育関係者に薦めて頂きたいのです。
先生に会ったとき「『おバカ教育の構造』を読みましたか」と聞いたり、教育委員会に電話したときに「読みましたか」と尋ねたりして頂ければ、それだけで、日本の教育が変わります。この本を読んでいる人がいると知るだけで、教員も教育委員会も、姿勢を改めます。それほど、インパクトの強い本です。

投稿: 勝手に推薦隊 | 2009年9月25日 (金) 10時54分

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