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おとこの介護を支えるネットワーク

男の介護者が、じわじわと増えています。

少し前まで、介護は女性(嫁、妻、娘)がするものだと思われていました。
しかし、3世代世帯が減り、夫婦とも高齢世帯や独居世帯が全体の半数以上にまで増加。
それに伴い、親と未婚の子も18%と増加し、独身の「むすこ介護」も急増しています。

いまや、全介護者の3人に1人が男性。
むすこ介護は、全介護者の12.2%。夫介護は、13.2%。
(逆に、よめ介護は、50%から26%まで下がっています)

増え続ける男性介護者を支えようと、2009年4月、京都市で「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」が発足しました。

この男性介護者ネットワークを提唱した、立命館大学の津止正敏教授によれば
男性介護者の平均年齢は、69.3歳。
多くは健康上の問題を抱え、仕事を持ちながらの介護も多い。
介護を理由にした離職、転職者14万5000人のうち、男性は2万5000人。
その大部分が40代、50代の働き盛りの男性
とのこと。

高齢者虐待の加害者は、男性割合が高くなっており、介護殺人の加害者も、むすこ37.4%、夫34.3%と男性の比重が多くなっています。

とりわけ、独身のむすこが親の介護を行う「むすこ介護」は、これから大きな問題になってくるのではないかと危惧しています。
親の介護のために、30代、40代で仕事をやめ、親の年金のみで介護生活を続ける。
一見、親孝行息子の美談のようにみえますが、親の介護が終わった後に、仕事を失い、結婚もできず、1人老いてしまった息子は、残りの人生をどう生きていくのでしょうか。

少し前の記事になるのですが、むすこ介護の問題を取り上げた読売新聞の記事を紹介します。

------------------------(ここから引用)------------------------

(4)「ご近所さん」に支えられ
 川崎市の寺口昭吉さん(42)は、今年1月下旬、突然の父の死で降りかかってきた母の介護に戸惑った。
 高校を卒業し、大阪市の金型工場で働いていた昭吉さん。母が脳こうそくで倒れたため、31歳で自宅に呼び戻された。しかし、継ぐはずだった父の工場の経営が悪化し、父子の対立が増えた。工場の規模を大幅に縮小した3年前、失意から両親との会話も避けるようになり、自室にこもるようになっていた。
 その後、父は、工場の仕事も、家事も、左半身にマヒが残る母の介護も1人でやっていた。その父が末期がんになっていたとは、昭吉さんは知らなかった。
 未明にトイレへ起き出して倒れた父は、運び込まれた病院で数日後に息を引き取った。
 「今度はおれがお袋の介護をせねば」「仕事を見つけて生計を立てないと」「お袋が老人ホームに入るには自宅を売るしかないか」——。目をそむけてきた母の介護や仕事の問題が一気に襲ってきた。
 母親は物忘れが進み、戸締まりも1人ではできなくなっていた。家事と母の世話で自由に外出もできず、「何でこんな人生になった」「大阪で働いていたら今ごろは結婚していたはず」という思いが頭の中をグルグル駆けめぐった。
 母が手をやかせると怒りがこみ上げた。「お袋のせいでおれの人生はメチャメチャだっ」「暴力息子は出ていけっ」。言い合いになって、手を上げてしまうこともあった。
 川崎市で介護の助け合い活動を行ってきた住民グループ「すずの会」の代表の鈴木恵子さんは、「息子さんのどなり声がする」という近隣の情報を耳にして訪ねた。混乱して疲れ切った昭吉さんの悩みをゆっくり聞いて、介護保険などの使い方を教えてあげた。
 何度も足を運び、心配してくれる「ご近所さん」に支えられ、母と息子は少しずつ落ち着きを取り戻した。
 多くの介護する家族を見てきた鈴木さんが、今、最も気がかりなのは「息子介護」だという。
 「すずの会」が始まった13年程前、介護者の会員のほとんどは嫁や娘だった。今、会員68人のうち息子は8人に上る。そのうち2人は離婚して実家に戻り、介護することになった男性だ。
 介護保険制度のサービスは、家事能力があり、時間の余裕もある主婦が高齢者を支えることを事実上、前提にしている。
 「男性が介護しようとすると、介護のために仕事も結婚もできない状況になり、葛藤(かっとう)が深くなる。そうした息子を支える仕組みがどこにもない」と鈴木さんはいう。
 勤め人の男性は、地域社会との付き合いを持たず、職場を離れると相談できる仲間もいないことが多い。「男たちと地域社会がつながることが必要だ」と鈴木さんはいう。
 昭吉さんは今、「すずの会」の活動も手伝いつつ、母の世話と両立できる介護サービスの起業を考え始めた。「男性も家事ができることや、地域のつながりを持つことが大事だと知った。仕事も介護も普通にできる働き方がもっと増えたらと思う」
(生活ドキュメント取材班)
(2008年4月26日 読売新聞)
----------------------(引用ここまで)--------------------

男性介護者が増えることで、見えるようになってきた介護の問題は、介護の社会化と家族のあり方にまつわる問題を突きつけてきます。
お金のあるなし、家族のあるなしに左右されない介護(社会保障)の仕組みを作っていくのが、これからの政治課題だと考えています。

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介護で困った時に」カテゴリの記事

コメント

ほほえみ 山田です。

確かに 息子の介護は大変です。
私どもの施設でも 認知症の母親と一人息子の家族が悩んで
相談にみえました。
お母さんは絶対に老人ホームには入らないの一点張り、うちのケアマネが
食事つくりのスタッフにお願いします。と提案 息子さんも「家計を助けて!」
とお願いして、いま通勤?してもらっています。

これなどは一例ですが 方法はいくらでもあります。
どうぞ お近くの介護施設、民生委員、老人会、婦人会、社協、包括支援センター、など色々手立てはいっぱいあります。

一番いけない事は 施設に入れることが「恥」と思う考えです。
「俺は 困っているんだ! 誰か 助けてくれ!」
声を大にして アピールすることです。

行政のせいばかりにしないで 自分で出来ることから努力してみましょう。
世間はそんなに冷たくはありません。

大事なのは 自己表現をすることだとおもいます。
福祉施設に携わるものとして お困りなことが判れば区域など関係なく、何でもご相談にのります。

「叩けよ さらば 開かれん!」の精神です。

注 わたし事ですが 16日付け中日新聞7面「発言」を見てください。
私の記事が載っていますので。

 

投稿: ほほえみマスター山田 | 2009年8月16日 (日) 10時20分

ほほえみマスター山田さま

コメントありがとうございます。

「食事作りのスタッフ」として通勤(?)するとは、良いアイデアですね。
「認知症になったから介護施設へ」というのでは、本人のショックも大きく、自尊心も傷ついてしまいますから。
ボランティアとしてお手伝いに、とか、仕事に行く、など。
ご本人が意欲的に出かけられる仕掛けを作ることが、なによりだと思います。

中日新聞7面の「発言」も読みました。
そうですよね。
いくら辛くても、死んだり殺したりしては、絶対にダメ!
悩みは自分1人で抱え込まないで、「助けて」と言って欲しいと思います。


投稿: 山下りつこ | 2009年8月16日 (日) 21時55分

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