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当事者ニーズで福祉をつくる

いよいよ来週に投票がせまった衆議院選挙。
一票をどう使うかが、問われています。

今日の朝日新聞のオピニオン欄に、現場から「争点」を見るというテーマで、4人の当事者からの意見が掲載されていました。
子育て支援、中小企業支援、障がい者支援、基礎自治体の長として、それぞれの立場から書かれた意見のうちで、最も心を打たれたのが、全国自立生活センター協議会常任委員の中西正司さんの意見でした。
中西さんは、上野千鶴子さんとの共著「当事者主権」「ニーズ中心の福祉社会へ」でも注目していたのですが、障害者自身のニーズに基づいた福祉政策をつくるという視点からの発言は、まっとうで力強く、改めて「そのとおり!」と納得させられます。
以下に、紹介しますね。

--------------------------(ここから引用)-------------------------

官主導の福祉を当事者参加に
全国自立生活センター協議会常任委員 中西正司さん

障害者自立支援法の廃止や抜本的改正が、各党のマニフェストにうたわれている。
福祉サービスの利用者に1割の自己負担を課したことに是非の焦点が当てられているが、より根本的な問題は別のところにある。

2003年を境に、福祉行政は大きく転換した。
2003年以前は、地域で障害者の自立をめざす私たちの運動がようやく実り始め、障害者自身のニーズにもとづき、必要に応じて福祉サービスを選んで受けられる支援費制度が、この年に発足した。
「本人のニーズにもとづき自己選択、自己決定による自立生活」という私たちの目標は、国や社会にも受け入れられてきた。
駅のエレベーター1つとっても、設置してみれば乳母車を押すお母さんにも必要だったことがわかり、障害者の社会参加への理解が進んできた。

ところが同じ2003年に、政府は社会保障費の伸び2200億円を抑制する方針を打ち出した。
それを受けて、地域での自立生活をめざす障害者に対する支援事業への国庫補助がまず、やり玉に挙げられた。
財政難だから自立生活は遠慮してくれと迫るものだ。
それを皮切りに福祉行政の逆行が始まった。
支援費制度に代わって2005年に成立した障害者自立支援法は、当事者である高齢者のニーズを反映できていない介護保険との統合を視野に入れ、障害者の自己決定の幅を狭め、サービスに事実上の上限を設けた。
ようやく障害当事者の声を聞き始めるようになった福祉は、振り出しに戻されてしまった。

方向転換は、政治家ではなく官僚が主導したと私はみている。
支援費制度のもとで予算不足に陥ったことを理由としているが、障害者のニーズをこれ以上聞くのはやめよう、国は障害者が生きられる最低限のサービスをすればよく、どんなサービスを提供するかは官僚が決めるという発想だ。

障害者の要求を入れれば際限がないというのは間違いだ。
私たちにとって必要以上の介助は、プライバシーの侵害にほかならない。
障害者も高齢者も必要なニーズを自己決定できるし、ニーズを伝えられるのは当事者以外にはない。
障害者が参加しなければ、適切なサービスをつくることはできない。

私は21歳のときに交通事故で四肢まひになった。
施設から出たとき以来、重度の仲間を置き去りにした脱走兵のような感覚を持ち続けている。
地域で暮らす障害者は誰でも同じ思いを持っているだろう。
自立生活センターでは代表や事務局長のほか、運営委員の51%以上は障害者としている。
重度の障害者でも勤務条件を工夫すれば働けるし、障害が重い職員ほど重要だ。
彼らの姿をみれば、サービスの依頼にセンターを訪れる人も安心してくれる。

生活の中で障害や加齢に向き合っている障害者や高齢者ら当事者こそが専門家を超える専門家だ。
今度の選挙を機に、政治家と官僚の関係が変わり、当事者自らが政策立案に参加し、官僚の手から主導権を取り戻せる可能性が出てきた。
そのためにはただ期待するだけでなく、福祉のあり方を自ら提案し監視していくことが、私たちの責任だと思う。

2009年8月23日(日) 朝日新聞
--------------------------(引用おわり)-------------------------

自ら行動し、発言する当事者が増えれば、日本は変わります。
まずは、選挙にでかける。
一票を行使することから、始めることが大事だと思います。

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