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寝たきり高齢者専用賃貸住宅「ガーデン・ヴァーベナ」

寝たきり高齢者専用賃貸住宅「ガーデン・ヴァーベナ」
寝たきり高齢者専用賃貸住宅「ガーデン・ヴァーベナ」
引き続き、日進にできた「寝たきり高齢者専用賃貸住宅」の見学レポートです。

写真は、居室(モデルルームを撮影)と、廊下。
廊下の両側にあるドアは、居室のドアです。

居室の広さは6畳くらい。(居室はすべて個室)
一般的な介護施設の個室と、同じくらいの広さです。
部屋の中にあるベッドは、介護保険の福祉用具貸与のサービスを利用して借りるもの。
ベッドの横の家具(もの入れ)は、備え付け。
窓のカーテンとエアコンも付いています。(壁の絵はモデルルームの備品です)
テレビは持ち込み可能。
持ち込める家具は、イスのみです。

で、肝心の介護の中身ですが。
あくまで賃貸住宅という位置づけ(なので、入居時にはニッショーが仲介に入っています)のため、介護サービスは、介護保険の居宅介護のサービスを使うという形をとっています。
介護スタッフとして、昼間はヘルパー2人、看護師1人。夜はヘルパー1人、看護師1人が常駐していますが、介護保険の利用申請上は、外部の「訪問看護」「訪問介護」が入っているという形。
なので、提携機関である訪問看護・訪問介護・福祉用具貸与しか、使うことができません。
(本来の介護保険のサービスは、自由に選ぶことができます)
ケアマネジャーも決められた事業者と契約するのが基本のようですが。
「ケアマネジャーは変えないといけませんか?」
と質問したところ、
「提携している介護事業所を使うことを了承してくれれば、変えなくてもかまわない」という答え。
その理由として、話してくれた事情を以下に書きますね。

「介護保険のサービスには上限があります。
要介護5で、36万円ぐらい。この36万円の枠内で訪問介護や訪問看護を入れると、1日に3〜4回が限界です。
でも、寝たきりで重度の高齢者の介護は、体位交換や痰の吸引など、2〜3時間おきに入る必要があるため、限度の回数プラス、さらに5〜6回入る必要があります。
ガーデン・ヴァーベナでは、この5〜6回分を、提携している訪問介護・訪問看護の事業所から来るスタッフがサービスで(追加料金なしで)行っています。
提携以外の、外部のヘルパーや看護師を利用すると、介護保険内しかサービスが入れられないため、そこを理解していただけるケアマネジャーなら変更してもらわなくていいのですが。」

という話でした。

これって、厳密にいえば、介護保険の適正利用という点で疑問があります。
(賃貸住宅は自宅ですから、利用できる介護事業者が限定されるのはおかしいですし、本来は有料老人ホームとして届け出をして、内部スタッフが行う介護サービスを明確化するべきでしょう)

「経口摂取は不可」という入居条件も、自立支援という介護保険の理念とは異なります。
経管栄養で寝たきりでも、口腔ケアや嚥下のリハビリをして、少しでも口から食べられるようにする、車椅子に移乗してもらい、なるべく日中は体を起こして過ごす。というのが、本来の介護のあり方だと思います。
胃ろうでも、ゼリーなどを口から食べることができる人はいますが
「本人の楽しみのために、ゼリーなどを食べさせてもらうことはできますか」と聞いたところ、「それはできません」との答え。
家族が来て食べさせるのはOKだが、スタッフの人手の関係で、経口摂取を行うことはできないという説明でした。

衣類についても、疑問な点がありました。
入居時の持ち物として指定してあるのが、下着、靴下のみで、上着などの普通の服が入っていないこと。寝間着は施設側がレンタルするとのことで、洗濯は下着と靴下だけとの説明でしたが、朝になっても寝間着から服に着替えをさせないのでしょうか。
車椅子は3台あり、数人はベッドからおこして車椅子に移乗させることもしていると聞きましたが、本人が着たい服を着ておしゃれをするという支援は期待できないのかなと感じました。

ただ、医療対応については、有料老人ホームや特別養護老人ホームよりも対応範囲が広いのは利点。
別紙の説明では、「胃ろう、経鼻胃官、気管切開、人工呼吸器、在宅酸素、末梢点滴、中心静脈栄養、埋め込み型中心静脈栄養、インシュリン注射、膀胱留置カテーテル、人工肛門、導尿、吸引、MRSA、結核、肝炎」は受け入れ可と書いてありました。
(ただし、居室内にナースコールはついていませんでした)

医療対応が必要で、経管栄養の高齢者は、入れる介護施設がなかなかありません。
2011年までに療養型病床が大幅に削減されれば、行き場のない高齢者があふれるのは間違いないでしょう。
その受け皿として、「寝たきり高齢者専用賃貸住宅」というものが、あちこちにオープンしているのが現状です。
一概に「良くない施設」と切り捨てるわけにはいかないとも感じています。

医療依存度の高い高齢者をどう支えていくのか。
すぐ目の前につきつけられた課題だと思います。

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介護施設見学レポート」カテゴリの記事

コメント

読んでいくうちに、だんだん深刻さが伝わってくる気がしました。。自分の周囲にも親の介護をどうするか悩んでいる方がいらっしゃるので、このブログを読みながら考えていきたいです。

投稿: bamboo | 2009年6月18日 (木) 14時05分

bambooさま

介護が必要な高齢者の住まいは、いろいろな選択肢が出てきました。
肝心なのは、ご本人が人として尊重され、笑顔で過ごせることだと思っています。

たとえ、重度で寝たきりに近い状態になったとしても、その状態でも「幸せだ」と思える瞬間を提供できるかどうかが、介護の質をはかる重要なポイントではないかと思います。

現実には、ベストでなく、よりよい(もしかしたら、「少しでもましな」)選択をするしかないのかとも思いますが、悩みながら、少しでも良い方向を模索していければと願ってやみません。

投稿: 山下りつこ | 2009年6月18日 (木) 21時22分

読ませてもらって、疑問を感じました。
私には要介護5で、胃ろうで栄養を摂っている母親がいます。
いくら痰を2~3時間おきに吸入しても、風邪を引いた場合などは痰も頻繁に出てつまらせます。
部屋にナースコールが無いということが、とても疑問です。
常駐の看護士が居るのなら、なぜナースコールを置かないのか?
やはりそれでは、介護される側もする側も安心が出来ないのではないでしょうか?
それと、着替えの服を持ち込めない点。
要介護5の老人でも、おしゃれをさせて刺激を与えてあげることも、とても大切なことだと思います。
いくら金額が安くても、ここの施設には介護老人に対する心があるのかな?と疑問に思います。
老人介護に必要なのは、心で接して思いやるということだと思っています。
ただ安いというだけではなく、安心と安らぎを与えてあげる施設でなければ、姥捨て山感覚でこのような寝たきり老人の賃貸住宅に親を放り込む人も増える気がします。


投稿: M | 2009年7月 7日 (火) 15時03分

Mさま

コメントありがとうございました。

「部屋にナースコールがない」、「着替えの服を持ち込めない」のは、わたしも大いに疑問を感じています。
声を出して呼ぶことができない苦しい時に、どう助けを呼べばいいのでしょう。
居室のドアが開け放してあって、何かあれば聞こえると施設側は考えているかもしれませんが、緊急時のナースコールは必須だと思います。
それに、おしゃれをする支援も大切なこと。
介護が必要な人の気持ちをくみ取ってどう支えるか、という介護の理念がない施設に、良質な介護が提供できるのか疑問です。

Mさん。お母様の介護、たいへんでしょうが、応援しています。
ご自分の時間もなるべくとりながら、どうか、がんばりすぎないでくださいね。

投稿: 山下りつこ | 2009年7月 8日 (水) 22時27分

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