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寝たきりの高齢者を対象にした“賃貸住宅ビジネス"が増加

住宅型の有料老人ホームに、要介護4・5の寝たきり高齢者であることを入居条件にしている施設が増えてきている。
中には、介護は外部からと称し、「高齢者の賃貸住宅」だと主張して、「無届け」のまま営業している施設もある。

今朝の中日新聞に、こうした最重度の寝たきり高齢者を対象にした“賃貸住宅ビジネス"について、告発する記事が掲載された。
書いた記者は、生活部の佐橋大さん。
無届け施設の問題について、ずっと取材を重ねていた佐橋記者から、先日おこった群馬県の無届け老人施設での火災をきっかけに、わたしにも取材の依頼があった。
記事の中には、わたしのコメントも掲載されていたので、以下に紹介したい。

---------------------------(ここから引用)----------------------------

広がる賃貸「無届け」施設
「実態は寝たきり老人ホーム」

最重度の寝たきりの老人を対象にした“賃貸住宅ビジネス"が広がっている。
本来、洗濯の自由が保障されているはずの介護保険サービスが、指定事業者のものしか使えない所も。
「有料老人ホームではなく住宅」だとして行政には無届けで済む。
「住宅の扱いだと、介護サービスについて監督する部署がなく、実態の把握も難しいのが現状だ。

愛知県内に住む会社員は、親の介護の相談で同県内の「寝たきり高齢者の専門賃貸住宅」を訪ねた。
知り合いの介護事業者のサービスを使えるかどうかを尋ねたところ、「当社のサービスを使っていただくのが入居条件」と説明を受けた。

「介護保険サービスは本人や家族が決められるはずなのに・・・」。
この会社員は不信感を抱いた。
行政に届け出ている有料老人ホームでは、そんな条件を付けることは許されない。
老人施設の現状に詳しい社会福祉士は「介護保険法に反する契約が無届け施設で広がっている」と指摘する。

この社会福祉士が調べた別の“寝たきり専用アパート"では、賃貸借契約書に「貸主が指定する会社の介護保険のサービスを受ける」ことを規定。
入居者は経管栄養の人ばかりで、食事の世話の必要がないため、四畳ほどの部屋にはベッドが置かれているだけだった。
施設が指定した事業所の訪問看護、訪問介護、訪問診療のスタッフが、そんな部屋を順番に回っていた。

寝たきりの高齢者がばらばらに自宅に居るのと違い、一カ所に集まっているため「事業所はサービス提供に手間がかからない。ケアプランで必要以上のサービスを設定することも容易だし、ほかの事業所のサービスを受けたいと家族が不満を持っても、入居の契約で事業所を変えることができない」。
この社会福祉士は、施設側が丸抱えの契約で金もうけする実態を説明する。
介護ベッドのレンタル料も相場より割高だ。

無届け施設だと、有料老人ホームのように居室の広さ、防火設備、職員配置などの規定に縛られない。
人件費や建設費が抑えやすい。
浮いた経費で入居料を安くし、その安さを売りに入居率を上げられる。

「介護」選べぬ契約
行政の監督は困難

こうした「無届け施設」は行政が監視できないのかー。
厚生労働省は「実質的に有料老人ホームと判断すれば都道府県が契約の是正を求められる」とするが、判断は難しいケースが多い。

愛知県高齢福祉課が冒頭の会社員の訪ねた施設に事情を聴いたところ、施設側は「経管栄養の人だから食事を提供していない。介護保険のサービス提供はすべて外部の事業者。うちは単なる賃貸住宅」と説明。
県は施設内を調べる権限もないため、有料老人ホームと判断する証拠を得られなかった。

別の県の担当者も「『賃貸住宅』と言われると、住宅部門の管轄となる。老人福祉法に基づく改善は求められない」と頭を抱える。
「介護施設と地域を結ぶ市民の会」の山下律子代表は、「実態は寝たきり老人ホームだ。在宅の介護保険サービスが十分ではないうえ、国が療養病床を削減したことなどで、行き場のない人たちが増え、無届けホームが受け皿になっている。サービスに税金が使われている以上、チェック体制を早急に整えるべきだ」と指摘。
「無届け施設に親を入れざるを得ない介護の現状を改めないと、根本的な解決にならない」と訴える。

無届け施設
実態が有料老人ホームでありながら、都道府県に届け出ていない施設。
県などの監視がないため、高齢者虐待が起きやすいとの指摘がある。
厚労省は先月末、有料老人ホームの可能性がある無届け施設が32都道府県で、579施設に上るという調査結果を発表している。

県の指導や監督逃れで届け出ない施設がある一方、認識不足で出していない施設や単純な出し忘れもあるとみられる。
山下律子さんは「無届け施設は、事業内容を公開する仕組みがないケースがほとんど。実態が外から見えないことが最大の問題点だ」と指摘する。

--------------------------(引用ここまで)--------------------------

ちなみに、有料老人ホームとは
○老人1人以上を入居させ、食事、入浴、排せつなどの介護、洗濯・掃除などの家事、健康サービスのうち、いずれか1つでも提供している施設。
(サービスを外部委託している場合も該当)

上の要件に該当するのに、県に届け出ないと、30万円以下の罰金が課されます。

届け出た場合は、以下の義務がある。

○サービス内容、職員体制などを記した重要事項説明書を入居希望者らの求めに応じ交付しなければならない
○身体拘束の状況や入居者家族からの苦情を記録し、2年間保存しなければならない
○都道府県の定期的な監査を受ける(愛知県は3年に1度)
○契約内容や防火設備などについて、県の指導に従わなければならない
○入居者の保護のため都道府県が必要と認めた場合、県などが立ち入り検査し、改善命令を出せる

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