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「認知症になっても安心して暮らせるまち」をつくるために

10月26日のパネルディスカッション「認知症になっても安心して暮らせるまちに」で配る資料を作りました。

参加できない人のために、ブログにも掲載しておきます。

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「認知症になっても安心して暮らせるまち」をつくるために

【認知症はひとごとではない】
長寿世界一の日本は、世界でも類を見ない「超高齢社会」を迎えようとしています。
厚生労働省の推計によれば、2025年には「何らかの介護・支援を必要とする認知症の高齢者」は323万人に。
2035年には、65歳以上の10人に1人が認知症になるとされています。

認知症の中で、最も多いアルツハイマー病は、なぜ発症するのかという原因がわかっておらず、根本的な治療薬はまだ開発されていません。
認知症の予防法はいろいろ話題になってはいますが、確実にこれをすれば防げるという決定打はないのが実情。
だからこそ、自分や家族が認知症になった時に備えて、「認知症になっても地域で安心して暮らせる仕組み」をつくることが大切なのです。

【介護の現状と問題点】
2000年に介護保険がスタートし、介護は社会で支えるものということになりました。
ですが、介護が必要になる人が最期まで暮らせる「特別養護老人ホーム」は待機者が多く、要介護4・5の重度になるか、身寄りがなく介護する人がいない場合でないと、なかなか入れないのが実情です。
認知症の方が少人数で暮らす「グループホーム」はまだ数が少なく、重度になると出なくてはいけなくなるなど、利用しにくい側面があります。
では、民間企業がつくる「介護付き有料老人ホーム」はといえば、入居一時金が数十万円、月額利用料が15〜20万円と、金額こそ利用しやすくなりましたが、認知症でほかの入居者とトラブルになると退去を求められたり、身体拘束されるなど、認知症の人が尊厳を持って暮らす場としては不適切な施設もあります。
認知症になっても最後まで笑顔で暮らせる介護施設は、まだまだ少ないのです。

そんな現状もあって、施設に入っている認知症の方より、在宅で暮らしている方の割合が高いのが実情です。
では、在宅介護は介護保険だけで支えられるのでしょうか?

残念ながら、今の介護保険制度では、在宅サービスは限度額が低く、家族が介護をするのを補完するだけ。
自宅で一人で暮らす認知症の方を、介護保険だけで支えるのは難しく、地域の支えがあれば自宅で暮らせる場合でも、本人が望まないまま介護施設へ入るという現実があります。

【在宅での暮らしを支えるために】
認知症は記憶障害と認知障害(時間や場所、ものの名前などがわからない)が進行する病気です。
環境の変化に適応することが難しく、環境が変わると、そのストレスから症状が悪化することもあります。
認知症を悪化させないために、なじみの環境で365日・24時間、適切な介護を受けるシステムが必要です。

そこで、2005年の介護保険の改正で、新しくできたサービスが、「小規模・多機能サービス」です。
日中の通い、一時的な宿泊、緊急時や夜間の訪問サービス、つまり「通って、泊まって、来てくれる」介護サービスを歩いていける範囲に整備し、本人や家族の状態に応じて、在宅に365日・24時間の安心を届けようというのが、「地域密着型サービス」です。
許認可・監査権限は各市町村にあり、どんなサービスをどれだけつくるかも市町村ごとに決められます。

また介護保険以外の支え合う仕組みを、まちでどう作っていくかも求められています。
認知症になると、日常生活にあれこれ支障が出てきます。
たとえば、ごみの分別ができなくなったり、決められた集積場所にごみを出せなくなることから、在宅での暮らしが難しくなったりします。
家族が認知症の方の介護をしている場合は、切れ間のない介護に疲れ果てる家族を支える仕組みが欠かせません。

こうしたニーズに対して、介護が必要な家庭にごみの個別収集を行っている春日井市、ごみ出し支援を「エコサポート」として制度化した日進市、認知症見守りボランティアを育てて家族負担を軽減している三重県伊賀市など、まちで独自のサービスをつくっている市町村も増えています。

【認知症サポーターを増やし、安心して暮らせるまちに】
平成17年度から厚生労働省では、「認知症を知り地域をつくる10カ年」キャンペーンを始めています。
「認知症サポーター100万人キャラバン」は、このキャンペーンの一環。
認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を見守り、支援する「認知症サポーター」を多数育成し、認知症になっても安心して暮らせるまちを市民の手によってつくっていこうという試みです。

「認知症になると何もわからなくなる。家族は大変だけど、本人はわからないんだから」という思いこみは、実は間違いです。
認知症になっても、感情やプライドはありますし、「なんだかおかしい。自分は家族の迷惑になっているのでは」と悲しんだり、心配したり、不安になったりして、一番苦しんでいるのは認知症になった本人です。

介護施設に行くと、認知症の人が外へ出られないように鍵をかけて閉じこめている場合が多いのですが、「なぜ閉じこめるのですか」という質問すると、施設から「認知症の入居者が施設の外に出ると、地域の人からどうして閉じこめておかないんだと苦情がくるから」という答えが返ってくることがあります。

でも、認知症になったら、死ぬまで施設に閉じこめられなければいけないのでしょうか?
地域の人たちが認知症のことを理解して、外で迷っている認知症の方を見つけて助けられる仕組みがあれば、認知症になっても自由に外を歩き、なじみの店で買い物したり、知り合いに会って立ち話をしたりできるのです。

「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を進めるために、厚生労働省はモデル事業を行っています。
愛知県では、昨年は北名古屋市が、今年は東郷町がモデル事業に選ばれました。

東郷町では部田地区をモデル地区に指定し、地域の介護資源を利用するための「地域資源マップ」作成や、認知症の人が行方不明になった時に町の人たちで探せるよう「徘徊SOSネットワーク」づくりと「模擬訓練」を行う予定です。
また地域で認知症について正しく理解し、偏見を持たずに認知症の人や家族に温かい目で見守ることができるよう、認知症サポーターの養成にも取り組んでいます。
(平成20年9月現在で、約150人のサポーターが誕生)

認知症は病気です。
40代の働き盛りでなる若年性認知症もあり、だれもが、いつ認知症になるかわかりません。
「もしも認知症になったら」と考え、いま行動することは、将来の自分のためでもあるのです。

認知症になっても安心して暮らせるまちをつくるために、いま、あなたにできることは何ですか。

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