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地域福祉をどうつくる?

地域福祉をどうつくる?
日本福祉大学の夏季大学院公開ゼミナールに、参加してきました。

鶴舞にある名古屋キャンパスで、19、20日に開催されたのですが、
全体会のあった昨日は春日井市で、私が講師として呼ばれて「ちょっと早めの老い支度 高齢者施設のいろいろと入所決断のタイミング」という内容で講演会をしていたため、残念ながら参加できず。
今日の分科会のみ参加してきました。

参加したのは、「地域福祉計画と小地域福祉活動の戦略」という分科会。

今年の3月に出た「これからの地域福祉のあり方研究会報告」では、地域福祉を実現していくために、生活圏域として身近な小地域での活動が、重要視されていますが、身近な生活圏でどのような活動を展開するかが、これからの課題。
こうした問題意識のもとに、伊賀市・高浜市・茅野市という、いずれも先進的な活動で知られる社協職員をまねき、それぞれの社協の取り組みに学びながら、「小地域での活動手法」について考えるという内容の分科会です。

コーディネーターは、日本福祉大学社会福祉学部の原田正樹准教授。
午前中は、「各社協の取り組みを分析する」と題して、3つの社協からの報告。
午後は「社協における小地域福祉活動の戦略」ということで、課題を3つ設定し、グループでの討議を行いました。
ここでは、3つの社協の報告をかいつまんで紹介します。

【伊賀市社会福祉協議会】
報告者は、乾光哉氏。

伊賀市は市町村合併を機に、自治基本条例を制定。地域福祉計画は、合併後1年で作っています。
特徴的なのは、
自治基本条例の中で、小学校区を単位とする「住民自治協議会」が位置づけられており、
地域福祉計画を実現するために、社協が地域福祉計画活動を作るのが通常なのに対して、伊賀市では、住民自治協議会がつくる「地域まちづくり計画」で地域福祉の策定・実践支援をし、こうして各小学校区単位でできた「地域まちづくり計画」が、市の「総合計画」で地区別計画として明記されること。

つまり、伊賀市では、合併(1市3町2村)から地域内分権が一度に進み、自治の仕組みが大きく変わってきているということなのです。

伊賀市(人口/101,962人)では、圏域を5層に分けています。

① 市全域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1層 全市
② 旧市町村単位(6カ所)・・・・・・・・・・・・・第2層 地域福祉圏域
③ 住民自治協議会を中心とした単位(38カ所)・・・・第3層 福祉区
④ 自治体や区の単位(295カ所)・・・・・・・・・・第4層 自治会・区
⑤ 近隣の見守り等の基礎的単位(約3300カ所)・・・第5層 組・班
 (災害時の安否確認はここで行う)

自治基本条例で、新しく作られたのは、
③の福祉区 という圏域です。
小学校区を単位とした比較的小さい圏域で、ここに住民自治協議会があり、地域の問題を持ち寄って、話し合いをする仕組みです。

伊賀市社協は、伊賀市と社協が一体的に地域福祉計画を策定する道を選択し、自治基本条例の下で、行政と社協が一体的に地域福祉活動を推進しているとのことでした。

小学校区単位の住民自治協議会で、地域まちづくり計画を策定し、それが行政の最高計画である総合計画にまで反映される仕組みになっている。
しかも、それが自治基本条例で明記されているという点が、非常に新しい手法だと感じました。


【高浜市社会福祉協議会】
報告者は、杉浦崇臣氏。

高浜市は、平成13年に、住民参加の場「168(ひろば)委員会」を設置して、第1次地域福祉計画と活動計画を策定。
今は、第2次地域福祉計画の策定にむけて、取り組んでいます。

第1次地域福祉計画をつくった時には、「高浜市のこれからの地域福祉を考える委員会」に、7歳から85歳まで、146人が参加。
市全体を圏域とした「この指とまれ型」で、新しい人材の発掘をしながら、ワークショップをベースに、高齢者・障がい者・子どもの福祉を考えました。

高浜市は、市長マニフェストとして、「小学校区(全5小学校区)を単位とする住民互助型活動組織=まちづくり協議会」を各小学校区に次々に作っています。
(最後の協議会が、平成21年3月に設立予定)

第2次地域福祉計画は、この「まちづくり協議会」を活用して作っていくとのこと。
ただ、まちづくり協議会の取り組みが、行政主導で行われた「地域内分権」の推進という性格が強く、地域福祉をやっていかなくてはという意識が低いのが問題だとか。
高浜市は、愛知県の中ではトップクラスの福祉先進地だと思っていましたが、行政が上から進めるトップダウンで進められたために、住民の意識がついていっていない面もあるよう。
「困っている人をなんとかしてほしい」という住民からの地域ニーズから出発していないのが、伊賀市との大きな違いのように思いました。


【茅野市社会福祉協議会】
報告者は、丸茂丈実氏。

長野県茅野市は、人口57,317人。
地域福祉を推進するために、平成8年に「福祉21茅野」が発足。これがのちの「地域福祉計画策定委員会」となって、平成12年に地域福祉計画が策定されました。

茅野市が新たに作った圏域は、中学校区単位の「保健福祉サービスエリア」。
人口15000人程度の中学校区に、保健福祉サービスセンターを4つ作り、その中で健診や高齢者のデイサービス、地域包括支援センターが入り、社協の職員も2名ずつ入る形となっています。
この保健福祉サービスセンターには、社協の職員は「地域生活支援係」として常駐しています。

また、これよりも小さな単位として、小学校区ほどの「地区」(10地区)があり、それぞれに地区コミュニティセンターがあります。
ここに「地区コミュニティ運営協議会」があり、市職員も2名ずつ常駐。
住民にとっては、社協職員が入っている「保健福祉サービスセンター」より、「地区コミュニティーセンター」の方がなじみがあり、ここに市職員も常駐しているために、相談事があるとこちらに来るというのが現状だそうです。

そして、最小の単位が、区・自治会(98カ所)。
この身近な小地域で、「お互い様のシステム化」をしていくのが、これからの課題とのこと。
98の区・自治会で「福祉推進委員(会)」を設置してもらい、地域の課題を検討していく途上ということでした。


【東郷町では?】
では、東郷町では?
というと、
まず、地域福祉計画がない。作る仕組みもない。
と、地域福祉を進めるそもそもの土台がありません。

議会の一般質問で、「東郷町でも、住民と協働で地域福祉計画を作っていく意向はないですか」と私は質問しましたが、行政の答弁は「その意向はない」。

もちろん、住民が行政と協働していくための「住民自治基本条例」も、東郷町では制定されていません。

分科会で、私が入ったグループワークの参加者には、名古屋市の社協や、春日井市役所の長寿介護課職員、田原市の社協もいて、非常に熱心に取り組む自治体が増えていることを実感しました。
東郷町の職員や社協にも、ぜひこうした場で、地域福祉について学んで欲しい!

とりあえず、私が学んだことは、町行政と社協に報告していきたいと思っています。

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