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ソフト食体験記

ソフト食体験記
ソフト食体験記
西尾市にある特養ホーム「せんねん村」で、ソフト食(温柔食)の試食をしてきました。

試食したのは、
○エビフライ(写真上・下)
 つけあわせにのっているのは、キャベツとトマト
○厚揚げのみぞれ煮(写真 左下) きぬさや添え
○ひじきとにんじんの芥子マヨネーズあえ(写真 右下)
 添えてある白いものは、えのきだけ
○味噌汁
 とろみをつけた味噌汁に、さといもともやしとねぎの具が入ったもの

以上、4点でした。(写真は3点のみです)

写真を見てもわかるように、エビフライはペースト状にしたエビに、細かく砕いたパン粉をまぶし、軽く油で揚げてあります。(尻尾は飾り)
「油で揚げることで、フライのおいしさを再現したい」
という調理スタッフのこだわりどおり、食べると香ばしい味わいとエビの味が口の中に拡がります。

添えてある野菜は、すべてペースト状にしたものを形成してあり、口に入れると舌でつぶせる堅さ。
噛まなくても、口の中ですっと溶けて、のどにスルリと入っていきます。
キャベツ、トマト、きぬさや、えのきのうち、一番素材の味がよくわかったのは、きぬさや。
トマトはトマトゼリーを思わせる味で、さわやかな風味が感じられました。

個人的な印象として、一番おいしかったのは、厚揚げのみぞれ煮。
せんねん村で出しているソフト食は、きざみ食に代わる「温柔食」ですが、
(詳しくは、以前に報告した「きざみ食からソフト食へ」という記事を参照)
基本的に、メニューは普通食と同じ。

ソフト食の試食の後で、普通食も食べたのですが、温柔食の「厚揚げのみぞれ煮」の方が、飛竜頭のようで普通食のものよりおいしいと思いました。

試食は、18人で体験したのですが、同じテーブルにいた人からは、
「きれいで、食べてみたいという気持ちになる」
「ソフト食の方が、普通のエビフライよりおいしい!」
との声も。
素材ごとにペースト状にして、それぞれの味がわかるように調理してあり、その手間と完成度の高さに驚いたというのが、率直な感想です。

なによりすごいと感じたのが、温柔食として特別のメニューを作っているのではなく、普通食と同じメニューを毎食用意していることです。
「食事形態の違いがあるだけ」
という方針から、どうしたら普通食と同じメニュー・同じ味を、ソフト食で再現できるかという視点で取り組んできた結果だそうですが、見るからにかかる手間が半端じゃない!

それでも、
「最後まで口からおいしく、安心して食べてもらいたい」
という厨房スタッフの熱意とこだわりで、ここまで完成度の高いもの(おせじでなく、普通に食べておいしく、見た目も美しいもの)を作って、毎日提供しているのかと思うと、努力に頭が下がる思いでした。
(しかも、割増料金をとらず、普通食と同じ料金で提供していますから、そのぶれない姿勢にも脱帽です)

それまで38%の入居者が食べていた、きざみ食を「温柔食」へと変更することで、食欲が回復し、褥瘡が直った人もいるとのこと。
また誤嚥や、口の中に食べ物の残渣が残ることが減ったことで、介護スタッフも安心して食事介助ができるようになったと聞きました。

せんねん村のソフト食(咀嚼や飲み込みができない方の食事)への取り組みは、
「死ぬまで口からおいしく食べる」支援の一環です。
フードスタッフがソフト食を開発するだけでなく、看護師や歯科衛生士、言語聴覚士による「口腔ケア」や「嚥下訓練」を行うことで、口から食べられる支援につなげているのだとか。

口から食べることをあきらめて、経管栄養で胃に直接、栄養剤を流し込むという傾向が強まる中、口から食べることを支援する試みは、生活の質を上げる意味でも、大変重要なものだと思います。

食べることは、生きること。

食事が生活の質を左右することをもっと真剣に評価し、ソフト食を必要とする人がだれでも利用できるように、介護保険の中でも何らかの対価を考える必要があると感じました。

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コメント

 ソフト食を研究課題として実習に臨もうと思っている学生です。
特養ホーム『せんねん村』の取組みに感銘をうけました。
手間の掛るソフト食を割増し料金も請求せず、ただ食事をおいしく食べて欲しいという熱意の強さに尊敬の念を覚えました。

山下先生は、ブログのような栄養管理や食形態に詳しい方なのでしょうか、そんな印象を受けました。ソフト食の発展に国も補助金を出す等されているようですが、まだまだ導入におけるコストや調理員への作業負担の増大等の問題があります。ソフト食導入の理想モデルを確立し、全国の病院・施設(欲を言えば家庭)に情報発信していけることを願っています。

投稿: Kiki | 2009年4月25日 (土) 11時45分

Kikiさま

コメントありがとうございます。
ソフト食がもっと利用しやすくなるためにも、Kikiさんのような学生さんが取り組んでくださることを応援したいです。

わたしは介護施設を中心に取材してきましたので、施設介護については知識があるのですが、栄養士ではないですし、ソフト食に特別くわしいわけではありません。
せんねん村の温柔食は、取材に行ったことから、実際の試食会につながりました。

老健や特養などでソフト食を導入するところは増えていますが、デイサービスや小規模な施設、自宅でもソフト食を気軽に利用できる体制ができるといいですね。
Kikiさんの夢を、ぜひかなえてください。
応援しています!

投稿: 山下りつこ | 2009年4月25日 (土) 22時24分

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