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映画「終りよければすべてよし」を見て

老いや介護をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続けてきた、羽田監督の新作「終りよければすべてよし」の鑑賞会に行ってきました。

主催は、豊田市の「わらびの会」。
ボランティアの有志が集まり、豊田市文化会館で自主映画鑑賞会を企画しました。
私もブログでその企画を紹介したのがきっかけで、スタッフの1人として鑑賞会に参加させてもらい、今日は朝からお手伝いをして、夜9時半すぎに帰ってきたところです。

「終りよければすべてよし」は、穏やかな最後を迎えるための終末期医療について、さまざまな国の取り組みを紹介しています。

映画の冒頭は、2006年3月、富山県の射水市民病院で、入院中の末期患者7人の人工呼吸器が医師によって取り外され、死亡していた事件の新聞報道から始まります。
日本の病院における終末期は、さまざまなチューブにつながれた過剰医療が問題とされていますが、射水市民病院の事件後、終末期医療における延命治療中止のガイドラインが検討されるなど、日本の医療も延命を絶対視する考え方から、変わっていく転換期にあるのかもしれません。

画面は、8割以上が病院で死亡し、自宅での死はわずか1割ほどというグラフを示し、在宅死に取り組む日本で最初の在宅医療システムに取り組んだ、「ライフケアシステム」の活動へと移ります。
日本の取り組みとして、次に紹介されるのが、岐阜県池田町の特別養護老人ホーム「サンビレッジ新生苑」でのターミナルケア。
その後、オーストラリアの緩和ケアや在宅医療と、スウェーデンの在宅医療チーム「ASIH(アシー)」の活動を紹介。
最後に、日本の厚生労働省が在宅医療を進めようとして始めた制度「在宅療養支援診療所」にのって在宅医療をおこなっている、栃木県小山田市の在宅医療と介護の連携を紹介して終わります。

映画を見て感心したのは、池田町の「サンビレッジ新生苑」での取り組み。
特養ホームでのターミナルケアとして、医療スタッフや言語聴覚士などのリハビリスタッフ、介護スタッフが連携し、胃ろうで病院で寝たきりになっていた人を、まず着替えて車椅子で起こすことから始め、口から食べられるまでに支援する様子が紹介されていました。
病院では寝たきりだった方が、無理なく体を起こしていられるように、頭がぐらつかないように両脇からヘッドレストで支え、リクライニングが自由にできる、特注の車椅子を使用しての支援です。

とりわけ感心したのが、ショートステイ中に在宅に戻れるかどうかを家族が体験できるよう、一泊二日で自宅に戻し、在宅ケアのスタッフが実際に受けられる支援を行う試み。
昼食、夕食の宅配サービスと、一日4回のヘルパー訪問、そして訪問看護も入って、手厚い介護体制がとられていました。

「サンビレッジ新生苑」がある池田町では、在宅介護を支援するため、毎日2食の食事宅配を行っています。映画で紹介された、ショートステイ利用中の一時帰宅の支援は、池田町独自のサービスとして紹介されていました。
終のすみかとしての役割を果たしてきた特養ホームは、入ったら最後までというイメージが強いのですが、本当は、必要な時にいつでも入れて、家にも帰れる(在宅でも施設にいるのと同じような支援が受けられる)のが理想です。
それを実現しようとしている所が、素晴らしいと思いました。

もう1つ、印象に残ったのが、外国の病院(緩和ケアの病室)や、医療支援の必要な人の介護施設の環境の良さ。
ゆったり座れるソファと、色鮮やかなベッドカバーがかかったベッド(しかも、日本でよく見るように、介護ベッドに柵がまったくついていないのにビックリ)。
家具の上には家族の写真がたくさん飾られ、花や緑であふれています。
スウェーデンの医療支援が必要な人が暮らす施設(住まい)にある食堂は、お酒やワイングラスが並び、テーブルには花が飾られ、家族や本人が自由に調理して一緒に食べることができるようになっていました。

その直後に出てきた日本のデイサービスや老健の室内は、天井から保育園にあるような色紙で作った飾りが下がっていたり、提灯が飾ってあったりと、人生経験の長い方が尊厳を持って暮らす住まいには似つかわしくない装飾で、その落差にがっくりしてしまいました。

日本でも、24時間在宅医療を行うための「在宅療養支援診療所」という制度ができ、在宅での看取りを支援する方向に動き始めています。
でも、在宅死を支えるためには、医療のほかに、たくさんの介護サービスが必要です。
池田町で行っているような、町独自の手厚い在宅サービスの仕組みを整えなければ、24時間の在宅医療も、家族で介護を負担できる一部の人しか恩恵を受けることができません。

医療と介護を連携し、在宅でのおだやかな最後を支える仕組みづくりにむけて、課題は多いと感じています。

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