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胃ろうを巡る考察

病気などで口から食事をとるのが難しくなった時に、おなかから胃に穴を開け、直接、胃に栄養剤を流し込む「胃ろう」

脳梗塞などで、食べ物を飲み込む嚥下の力が低下したり、食欲がなく食事を食べようとしない高齢者に、よく行われる医療処置なのだが、さまざまな問題をはらんでいる。

胃ろうは、胃と腹壁に穴を開け(簡単な外科手術らしいが)、体外から胃に栄養剤を流し込む栄養補給法。
この胃ろうの処置や管理は医療行為なので、医師や看護師が行うのが原則だが、患者本人や家族が行うことは認められている。

問題となるのは、病院に入院して胃ろうをつけられると、入れる介護施設がほとんどなくなってしまうことだ。

常時、介護が必要な人が暮らす「特別養護老人ホーム」は、医師が常駐せず、看護師も24時間常にいるわけではないので、医療行為が必要な胃ろうのある人が入るのは難しい。
受け入れている特養もないわけではないが、定員の1割(100人定員なら10人)までの受け入れが限界というのが、おおかたの施設の答えだ。
有料老人ホームも、医療に特化しているごく一部の施設を除いては、受け入れしていない。
療養型病院も、介護型は廃止の方向だし、老人保健施設もなかなか受れ入れてくれない。

施設に入れなければ、自宅で看るしかないが、在宅での胃ろう管理をしてくれる医師や訪問看護師はまだまだ少なく、まして口から食べられるように口腔ケアや嚥下のリハビリを、自宅で受けられる体制も不十分だ。

胃ろうのある人を受け入れている特養ホームで話を聞くと、
(特にケアをしている看護師に聞くと)、
「胃にチューブで栄養剤を流し込むのは時間がかかり、その間、ずっと動かずに寝た状態でいないといけないので、どうしても寝たきりになりやすい。胃ろうをつけた皮膚の周辺がただれたり、胃の内容物が逆流したりトラブルもあり、自分だったら、胃ろうにはしてほしくない」
と、胃ろうに否定的な意見を聞くことが多い。

認知症の方が胃ろうになると、腹にチューブが入っているのをいやがり、引き抜いてしまうというトラブルも聞く。
胃ろうチューブを抜いてしまうと、数時間で穴がふさがってしまうので、すぐに看護師が処置をしないといけないという話も聞いた。これが看護師がいない夜間だったら、自宅待機している看護師が飛んでいかなければ行けない。
こうしたトラブルを防止するために、指でチューブがつまめないようにミトンをつける身体拘束を行うケースもでてくる。

一方で、口から食べられなくなって、そのままでは数ヶ月の命の人も、胃ろうをつけると1年〜2年、長く生きられるとも聞く。
生活の質を優先するのか、少しでも長く生きることを優先するのか。
自分だったら、家族だったら、どうしたいのかと、考えこんでしまう。

ターミナルケアを介護施設で行うようになり、入居時に、
「口から食べられなくなったら、胃ろうにしますか。胃ろうは拒否しますか」
と、本人や家族が尋ねられることも増えてきたが、本当に悩ましい問題だと思う。

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