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身体拘束廃止はどうしたら進むか

名古屋市健康福祉局が主催した、看護・介護実践セミナー「高齢者の身体拘束廃止と虐待防止」に参加してきました。

セミナーは、介護の現場で仕事をしているスタッフを対象にしているもので、一般に公開されているわけではないようでしたが、講師が長年、身体拘束廃止とおむつはずしに取り組んでいる、田中とも江先生だったので、ぜひ拝聴したいと思い、介護スタッフではないのに参加した次第。

講演では、「高齢者の自由を奪う身体拘束は許さない」という揺るぎない信念に基づいた、数々の実践が報告され、期待にたがわぬ素晴らしい内容でした。

田中とも江先生の話を、以下に少し抜粋します。

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身体拘束とは、
本人の意志に関係なく、体や行動の自由を制限すること です。

今、行われている身体拘束としては、
○自分で降りられないようにベッド柵で囲む
○車椅子から立ち上がらないように拘束する
○認知症棟の出入り口に鍵をかける
○手指の機能をミトン型手袋で制限する
○脱衣・おむつはずしを制限するための介護服

の五大拘束と

○行動を落ち着かせるために薬物投与
○点滴や栄養チューブを抜かないように縛る

で、以上七つの拘束がおもなものです。

平成12年度に「身体拘束禁止」の省令が出たことで、身体拘束はしてはいけないことになりました。
私自身は、昭和61年から縛らないケアに取り組み、福岡から「身体拘束廃止宣言」を行い、後に厚生労働省の「身体拘束ゼロマニュアル」策定にもかかわっています。

今、介護施設では、身体拘束廃止に取り組むことが義務づけられ、監査でも厳しく指導されるようになっています。
身体拘束廃止ができていない施設は、「福祉施設身体拘束廃止未実施減算」もあり、全ベッド数が−5単位減算されます。
身体拘束を行わざるおえないとされる、例外3原則(切迫性、非代替性、一時性)を満たしていても、

①毎月、拘束廃止委員会の開催
②拘束廃止のためのカンファレンス実施
③記録の保存

の要件が満たされていなければ、いけないとされているのです。

身体拘束を行っている施設では、きちんと個別カンファレンスを行って、身体拘束をなくせないかを検討しているでしょうか。
本当ならば、身体拘束を行う時は、縛ったままで放置は厳禁。必ず拘束している時間は職員が見守り、記録をつけ、ケアマネ、施設長、PT・OT、介護スタッフ、家族など、すべての関係者をまじえての検討委員会を開かなければいけません。
拘束をやめるより、よほど手間がかかるんですよ。

よく、「家族が縛ってくれ」というから、身体拘束がやめられませんと、施設はいいます。
家族の希望が、廃止しないための隠れ蓑になっています。

でも、本当に家族は、心から縛って欲しいと思っているのでしょうか?
ほかに行き場がないから、ころんで入院しても付き添えないから、心ならずも「縛って」と言わされているのではないですか。
そもそも、家族には「縛ってくれ」という法的な権限はないのです。

身体拘束は、だれかの意志で行われるものです。
だからこそ、「ぜったいに縛らない」という意志が施設内にあれば、なくすことはできるもの。
まずは、「身体拘束はしない」と決めて、そのためには、どうしたらできるのだろうかと、一人ひとりのケースを検討していくことが大切なのです。

施設長や理事長が、「もしも事故があって、家族になにか言われたら困るから、身体拘束をするように」と言う施設もありますね。
そんな時は、理事長に
「悪いですが、理事長もそこそこのお年のようですし、認知症になって、いつ縛られないとも限りませんよ。ご自身も縛られたいですか」
と、私はいいます。
入居者ご本人でなく、そんな責任逃れをする理事長を縛ってほしいぐらいだと思います。

「拘束死」 という言葉を知っていますか?
身体拘束を受けた人は、受けていない人に比べて、早死にするのです。
これは、データに裏付けされた事実です。

自分の意志でなく、縛られたり、閉じこめられたりすれば、人としての誇りを傷つけられて、死に至るのです。
身体拘束による弊害(縛って動けなくすることで、ADLが低下し、歩けなくなり、寝たきりに繋がる)をきちんと認識してほしいと思います。

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田中先生の話の中で、特に印象に残ったのは、次の言葉。

「認知症の人を一定の場所に集めて、鍵を掛けて自由に外に出られないようにするのは、身体拘束にあたり、禁じられています。
そもそも、自由に外に出られないように閉じこめるのは、精神病院か刑務所でしか許されない行為。
あまりにも安易に、自由を奪っているのは、高齢者虐待にあたります」

介護施設をまわると、多くの施設で、あたりまえのように、施錠して認知症の人を閉じこめています。
これをはっきり「身体拘束であり、許されない!」と言い切る言葉を聞いたのは、初めてでした。
私自身は、ずっと身体拘束にあたると思い続けてきましたが、介護の専門家から「してはいけない行為でしょう」と言っていただいて、今までのもやもやが解消された思いでした。

それにしても、認知症フロアで施錠している施設は、みな「福祉施設身体拘束廃止未実施減算」がされているのでしょうか?
一度、調べてみなくてはと思っています。


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コメント

いいんじゃない?勝手にやれば?とは思いますが
どうもこの手の人らは他所のウチにまで考えを押し売りしてるようで腹立たしい
縛らないのが愛ですか?同じ目線に立って考えるのは本当に適切なんですか?
拘束しなくても対応できる方法はもしかしたらあるのかもしれない。でも、出来る出来ないかじゃなくて、やりたいかやりたくないか
個人の好き好きですよね。

投稿: | 2016年12月22日 (木) 15時44分

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