特別養護老人ホームやケアハウス(軽費老人ホーム)などの公的な高齢者施設や、有料老人ホームといった民間の高齢者施設のほかに、新しい高齢者の住まい方がいろいろ出てきています。
昨日のブログで紹介した「寝たきり高齢者専用賃貸住宅」は、問題がいろいろありそうですが。
それに替わる住まい方として、自宅でもなく、病院でもない、医療・介護の手厚い住まいも出てきています。
以前にこのブログで紹介した「ケアタウン小平・いっぷく荘」も、そのひとつ。
読売新聞のサイトで、クリニックと訪問看護ステーション、ケアステーションに、高齢者専用の療養型住宅32戸が入る複合型施設を紹介していたのを見つけたので、紹介しますね。
高齢者の住宅
医療・介護手厚い 複合型の「住居」
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容態の急変にも対応
自宅では介護の人手が十分ではなかったり、医療面で不安があるといった理由で、長期入院する高齢者が多い。
自宅でもなく、病院でもない、医療・介護の手厚い住まいも登場している。
「生活の場」に近く
箱根・丹沢山系を望む神奈川県平塚市の新興住宅街に今年2月、「湘南真田メディケアセンター」がオープンした。
1階には、内科、脳神経内科などを掲げるクリニックと訪問看護ステーション、ケアステーション、2階と3階には高齢者専用の療養型住宅32戸が入る複合型施設だ。
住宅部分のうち、2階は、胃ろうなど、医療依存度の高い患者用で、広さは約19~28平方メートル。3階は、主に介護を必要とする要介護1~3までの高齢者用で、広さは約25~33平方メートル。
3階は2階に比べて広く、ユニットバス、洗濯機置き場があるなど、より生活の場に近くなっている。
3月初旬、2階の部屋をクリニックの加藤洋隆院長が訪れ、ベッドに横たわる佐藤愛子さん(94)(仮名)に「具合はどうですか。テレビはちゃんと聞こえているかな」と声をかけた。
ボタンを押せば
佐藤さんは1月まで、隣接市にある高齢者向けのケアハウスに入居していた。
昨年末に転倒して左手を骨折、トイレに行ったり、着替えをしたりする際の介助が必要になった。
しかし、本来、自立した人を対象とするケアハウスは、重度者の介護が難しい。このため、入居の継続に難色を示され、今の施設に移った。
医療・介護サービスが24時間対応になっているだけでなく、身の回りの世話をする生活支援員がサポート。
佐藤さんは、備え付けのボタンを手に、「これを押せば、困った時はだれかが来てくれるので安心。入院はしたくない。ずっとここで暮らしたい」とほほ笑む。
元気に話す佐藤さんだが、重症の尿路感染症で、2月下旬まで2週間ほど点滴などの治療を受けていた。
「高齢者は容体が急変しやすい。介護士、看護師、医師が緊密に連携し、住んでいる場所できちんと医療的処置を施すことで、病院に緊急入院するような事態を防ぐことができる」と加藤院長は強調する。
入居一時金は100万円以下。
部屋の広さなどに応じて、家賃と管理費で毎月十数万円かかり、介護、医療の費用は別払い。
「老人保健施設の2人部屋の標準的な料金」と、住宅を運営する「メディトピア湘南」は説明する。
東京都もモデル事業
自宅での療養が難しい高齢者向けの介護施設には、特別養護老人ホームや老人保健施設があるが、数が不足している上、医療・看護体制が十分でないなどの理由で、入居できない要介護高齢者も多い。
2012年度末までに、長期入院の受け皿となってきた療養病床が大幅に削減されるため、医療・介護の充実した住まいの場はこれまで以上に必要になる。
このため、民間では、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションと提携し、24時間の医療・介護をうたう有料老人ホームも増えている。
医療機関や老人保健施設が同じ建物に同居した高齢者専用賃貸住宅(高専賃)も全国に広がっている。
東京都も新年度から、建物内に訪問診療や訪問看護を行う医療機関と介護施設が付いた医療・介護一体型の高専賃を作るモデル事業を始める。
とはいえ、有料老人ホームも高専賃も、中身は玉石混交。
湘南真田メディケアセンターはクリニックが同一グループのため連携は密だが、一般的には連携が不十分なケースが目立つ。
高齢者住宅に詳しい竹中工務店の水田恒樹役員補佐(医療福祉担当)は「医療や介護のニーズが高いと家族の負担は重い。自宅での療養が難しい場合、医療・介護の充実した高齢者住宅に入れるかどうかは緊急で切実な問題だ。状態や生活様式に応じた多様な住宅が今後必要だ」と指摘している。
(2009年3月24日 読売新聞)
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上の文中に、「建物内に訪問診療や訪問看護を行う医療機関と介護施設が付いた医療・介護一体型の高専賃(高齢者専用賃貸住宅)」とありましたが、読売新聞では、こちらについても別の記事で紹介しているので、以下に転載します。
介護・医療付きで最期まで
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高齢者専用賃貸住宅 増えるサービス
高齢者を対象にした賃貸住宅「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」の中で、介護や医療サービスが付いたタイプが注目を集めている。
今後さらに増加が見込まれるこのタイプで、住民の暮らしぶりを見た。
1人月20万円以内
「夫の介護では、ヘルパーさんやドクターに本当にお世話になりました」
千葉県野田市ののどかな住宅地に建つ「ココファン尾崎台」(定員50人)。
教材出版大手「学研」の子会社「学研ココファン」が運営する3階建ての高専賃だ。
入居者の一人、サトさん(83歳、仮名)はそう話す。
一昨年末、ほぼ寝たきりの夫と他県から転居した。
昨年4月に夫が亡くなるまで、建物1階にある訪問介護事業所から1日5回の訪問介護を利用。
急なおむつ交換などの際には、備え付けのナースコールを鳴らしてヘルパーに来てもらった。
医療的処置も必要だったため、やはり1階に入っている在宅療養支援診療所の医師に往診もしてもらった。
最後は救急車で病院に運ばれて亡くなったものの、「ぎりぎりまで介護施設ではなく『家』にいられ、夫も満足だったと思います」とサトさんは振り返る。
尾崎台の居室は全室バリアフリー(段差なし)で、洗面・トイレ付き。
約22平方メートルの1人用が38室、2人でも住める約28平方メートルが6室。
1階には食堂もある。
1人用の家賃は月6万4000円。
共益費と、緊急通報や医療相談などの「基本サービス費」を含めると約10万6000円。
これに、食事の利用料や介護保険の自己負担などが加わる。
サトさん宅の場合、長女夫婦の支援があったほか、20分以内のおむつ交換などは「基本サービス」の枠内でやってもらえたこともあり、介護保険の自己負担は多い時でも月2万5000円程度だったという。
尾崎台の要介護者は40人で、平均要介護度は「2・5」。
介護保険サービスの1か月の利用は、月平均約12万円(自己負担約1万2000円)。
「1人なら食費も含め、ほぼ月20万円以内で暮らせる。介護・医療の体制があるので、希望すれば最期まで過ごせます」と同社では強調する。
契約内容に注意
高専賃は、2005年に制度化された。
有料老人ホームと似ているが、原則、入居一時金を払って居住部分や介護サービスを利用する権利を得る有料ホームと異なり、借地借家法に基づくだけに、業者が倒産しても住み続けられるなど、居住の権利が強いといわれる。
現在、全国に約1300物件、約3万3500戸あり、うち、入浴・排せつなどの介護サービスを提供する物件は47%(08年3月末時点)に上る。
これまでは面積などの基準がなかったため、高齢者の住まいとして適当でない物件もあるといわれてきた。
だが、今国会で「高齢者居住安定確保法」が改正され、面積などに一定の基準が設けられることになった。
また、サービス付き高専賃の整備を促すため、東京都が今年度から補助金付きのモデル事業を始めるなど介護・医療付きは今後さらに広がる見通しだ。
ただ、法改正が行われても、行政の立ち入り調査権などはなく、サービスの質が担保されるわけではない。
シニアライフ情報センター事務局長の池田敏史子さんは、「介護が必要になった場合、いつまで住み続けられ、いくら費用がかかるのか、誰がどういうサービスをしてくれるのかなどを確認することが必要。書面で説明事項をもらえると安心です」と話している。
◇各地の高専賃の情報は、高齢者住宅財団のホームページ(http://www.koujuuzai.or.jp/)参照。
◇高齢者の住まいに関する情報は「NPO法人シニアライフ情報センター」(電)03・5350・8491、ホームページ(http://www.senior-life.org/index.html)。
(2009年6月16日 読売新聞)
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高齢者専用賃貸住宅は、今まで規制がなく、行政の指導監査対象にもなっていませんでした。
しかし、高齢者居住法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)改正案が今国会で可決されると、「登録基準」が決められ、その基準をクリアしている賃貸住宅しか、上記の「高齢者住宅財団のホームページ」で掲載できなくなります。
(掲載してあるかどうかで、最低限の基準を上回っているか、判断できるようになります)
改正後は、次のように変わります。
高齢者住居法改正案の主なポイント
【1】“必要事項の登録のみ”の制度から、“登録基準”を導入
・ 居室の床面積が一定基準以上
⇒原則25㎡以上(十分な共有スペースがある場合は18㎡以上)
・ 居室の設備が一定基準以上
⇒トイレ、洗面所、キッチン、浴室などの設備を義務付け
【2】前払い金の保全措置を義務付け
【3】都道府県の指導監督権限を強化
・ 必要に応じ管理状況の報告を求めることができ、助言や指導も可能に
・ 基準に適合していない高専賃(高円賃)に対して、基準を満たすように
指示することが可能に
・ 都道府県から求められた報告をしなかった、虚偽の報告をした場合は、
10万円以下のの罰金
【4】 国土交通省の所管 ⇒ 厚生労働省との共同所管
(介護事業所の併設などをすすめ、介護・福祉と住宅施策の融合をはかる)
自宅でも施設でもない、新しい住まいとして、高齢者専用賃貸住宅がきちんと制度化され、質の担保を行政責任で行うようになることを期待しています。
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